愛と死をみつめての紹介:1964年日本映画。1960年代、当時大学生だったジャーナリストの河野實と軟骨肉腫により21年の短い生涯を閉じた大島みち子との3年間に及ぶ文通にまつわる実話を基にした同名のベストセラー書簡集を映画化した作品です。当時の日活の花形スターであり、幾度も共演している吉永小百合と浜田光夫がダブル主演を務めています。
監督:斎藤武市 出演者:吉永小百合(小島道子)、浜田光夫(高野誠)、内藤武敏(K先生)、初井言栄(オールドミス)、笠智衆(小島正次)、北林谷栄(吉川ハナ)、笠置シヅ子(中井スマ)、ミヤコ蝶々(佐竹トシ)、宇野重吉(中山仙十郎)ほか
映画「愛と死をみつめて」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愛と死をみつめて」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
愛と死をみつめての予告編 動画
映画「愛と死をみつめて」解説
この解説記事には映画「愛と死をみつめて」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛と死をみつめてのネタバレあらすじ:起
大学生の高野誠(浜田光夫)は、恋人・小島道子(吉永小百合)からの手紙を読んでいました。二人が出逢ったのは2年前のこと、当時浪人していた誠が大阪大学付属病院に入院した時のことでした。誠はそこで当時高校生だった道子と知り合い、道子の清純さに惹かれた誠は彼女と恋仲になるのには時間はかかりませんでした。
その後、東京の中央大学に合格した誠は関西の大学に進んだ道子とは遠距離恋愛になり、文通で交流を続けていました。しかし、道子はこの時すでに難病の軟骨肉腫に冒されており、これまでに4度の入院を余儀なくされていました。
夏休みを利用して大阪に帰省した誠は、アルバイトの合間を縫って道子の見舞いに向かいました。誠との2年ぶりの再会を喜ぶ道子でしたが、道子は2年前には着けていなかった左目に大きな眼帯をしていました。
誠は塞ぎ込む道子を励ますため、夏休みの間を利用して足しげく道子の見舞いに通い、大の阪神タイガースファンの道子のために野球中継のラジオを聴かせてあげたりしていました。しかし、道子は主治医のK先生(内藤武敏)から完治の見込みはないと宣告されていました。
愛と死をみつめてのネタバレあらすじ:承
道子は意を決して誠に別れを告げる手紙を書きましたが、誠はそれでも彼女を支える決心をしていました。東京に戻っていた誠は道子の手紙を読んで急遽大阪に向かい、道子は誠に一緒に死のうと呼びかけました。誠に軽々しく死を考えるなと叱られ、我に返った道子は改めてK先生から現在の病状について説明を受けました。
軟骨肉腫は道子の左目の下にあり、鼻の周辺の骨を溶かしながら進行しているといい、このままでは大脳に転移する恐れがありました。既に放射線治療を行っており、残された数少ない治療法は顔の左半分の手術をして肉腫と周辺の肉を大きく取り去ることしかありませんでした。それは左半分の顔を潰すことを意味していましたが、誠の励ましもあって道子は「顔が元通りに成型される2年後までは会わない」ことを条件に手術を受けることを決意しました。
若い女性の道子にとっては、つらい選択でした。誠は大学を卒業したら結婚しよう、信州の森の奥でで暮らそうと道子を励ましました。手術当日、東京に戻った誠は居てもたってもいられず、ひとり信州へと向かいました。
愛と死をみつめてのネタバレあらすじ:転
道子の手術は無事成功、これで彼女の生存の望みが出てきたと確信した誠は、彼女との文通を再開しました。道子も誠からの手紙を心待ちにしていましたが、入院費用が家の家計を圧迫したことから、道子は個室から一般病棟に移ることになりました。道子は自分の親や祖母ほどの年齢の患者たちと触れ合ううちに、少しずつ生きることへの希望が湧いてきました。
ところが、それから間もなくして最悪の予感が的中しました。右目近くに骨のような突起を感じた道子は、肉腫が健全なはずの顔右半分にまで転移したことに愕然としました。
道子の21回の誕生日、彼女は誠にはこのことを伏せたまま再手術を受けることにしました。しかし、肉腫の進行は思ったよりも早く進行しており、手術は中断されてしまいます。道子の父からの手紙で手術のことを知らされた誠は深く衝撃を受け、道子が嘘をついていたことに激昂しました。
愛と死をみつめての結末
道子は自分自身を奮い立たせるため、せめて社会奉仕をしたいと看護の勉強を開始しました。道子は孤独な患者の中山仙十郎(宇野重吉)の身の回りの世話をし、父と共に外出しては大阪観光を楽しみました。しかし、この時すでに道子は自らの余命がもう長くないことを悟っていました。
道子は頭痛に苦しみながらも、誠のために刺繍した布を送りました。電話の向こうでは道子は誠に病状悪化のことを隠しつつも、少しずつ身辺整理をするなど迫りくるその時への準備をしていました。
誠は大阪に向かい、再び個室に移った道子を見舞いました。誠は道子を励ますため、彼女に信州の山の写真を見せて元気づけようとしましたが、誠もまた道子が長くないことを悟っていました。やがて誠が帰った後、道子は両親に看取られながら21年の短い生涯に幕を下ろしました。1963年8月7日午前11時25分のことでした。
中山は自分が道子の代わりに死んだらよかったと嘆き、道子の訃報を知った誠は深い哀しみに包まれました。道子は誠との日々、そして叶わなかった夢を綴った日記帳を遺していました。
以上、映画「愛と死をみつめて」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する