悪霊島の紹介:1981年日本映画。瀬戸内の刑部島に行方不明者を探すためにやってきた金田一耕助。金田一に依頼したのは、島の出身で事業に成功した越智竜平です。島に渡った金田一は、島を牛耳る刑部の家系での殺人事件に遭遇し、磯川警部と一緒に真相を究明するのですが…という内容の横溝正史のミステリー小説「金田一耕助シリーズ」の映画化作品です。
監督:篠田正浩 出演者:鹿賀丈史(金田一耕助)、室田日出男(磯川警部)、古尾谷雅人(三津木五郎)、岸本加世子(真帆/片帆)、二宮さよ子(広島の御寮人)、石橋蓮司(吉太郎)、中尾彬(刑部守衛)、佐分利信(刑部大膳)、岩下志麻(巴御寮人/ふぶき)、伊丹十三(越智竜平)ほか
映画「悪霊島」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「悪霊島」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「悪霊島」解説
この解説記事には映画「悪霊島」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
悪霊島のネタバレあらすじ:起
1980年の冬、ジョン・レノンの暗殺事件のニュースを見た三津木五郎(古尾谷雅人)は、10年前の事を思い出します。当時の三津木は流行りのヒッピースタイルでビートルズの曲を聞きながら一人旅をしていました。
瀬戸内海の刑部島で行われる祭りを見に行く為、列車に乗っていました。車内で切符をなくした金田一耕助(鹿賀丈史)と仲良くなった三津木は、同じ刑部島に行くという事を聞き無賃乗車の手引きをして、フェリー乗り場に二人で向かいます。
岸壁では青木という男の変死体が上がっており、遺体の確認作業が警察によって行われていました。この場所で金田一は磯川警部(室田日出男)に会います。磯川は「ちょうど良かった」と言って、殺人事件現場の家に連れて行きます。
殺害されていたのは浅井はるという老婆で、「正業以外に闇の産婆もしていたはるから、『24年前の秘密を知っている。そのことで命が狙われているかもしれない』・・という手紙をもらい、ここに来た」と磯川は話します。その時、内村警部補が、20年前から発行されていない刑部神社のおみくじが大事に保管されているのを見つけます。
話を聞いた金田一は「私は、刑部島出身の越智竜平(伊丹十三)から、青木という男性が戻らなくなったから探してくれと言われて向かっている」と言います。磯川は「フェリーが引き上げた男の死体の上着に青木の刺繍があった」と教えます。
磯川は青木が死ぬ前に残した言葉を録音したテープを聞かせます。「鵺の鳴く夜は気をつけろ、あの島には悪霊がいる」と言っていました。磯川が「鵺<ぬえ>とはなんだ?」と聞くと「ツグミですよ」と金田一が答えます。
悪霊島のネタバレあらすじ:承
刑部島に向かうフェリーの中で、三津木が「刑部島出身者が祭りに里帰りすると、金をもらえるんです。出しているのは越智竜平という実業家です」と言います。島に着き、旅館に入った二人は別々の部屋に入り、金田一は女中の隙を盗んで宿帳を見て、青木が泊まっていたことを知ります。そして漁師から「この島に平家の落ち武者が逃げてきて、島の女と一緒になり栄えた。それが刑部です」と聞かされます。
この島は刑部大膳(佐分利信)が仕切っていて、この宿も経営していました。三津木は、刑部大膳の娘の巴(岩下志麻)とその双子の娘の真帆(岸本加世子)と片帆(岸本加世子)と仲良くなり写真を撮っていました。
夜になると、大膳が金田一を訪ね、巴の夫で神主の守衛(中尾彬)と親戚の町長を紹介します。守衛は神社の宝だという黄金に輝く頼経の弓矢を見せます。
金田一がいろいろと調べると、巴の双子の娘は、それぞれ守衛のニ号の家に預けられて育てられていました。そして巴には双子の姉ふぶき(岩下志麻)がいて、精神を患って離れに隔離していました。ふぶきの世話をしていたのは、巴と使用人の吉太郎(石橋蓮司)でした。吉太郎は巴の側にいつも寄り添っています。
宿に戻ると、父を探しに毎年島に来ているという兄弟に会います。二人の父は20年前、神楽太夫として島に来て、行方不明だと言います。更に、10年前この島に来て行方不明になった薬屋だった荒木にも会い、話を聞きます。
祭りの前日、越智竜平が帰って来ました。
悪霊島のネタバレあらすじ:転
越智竜平は若い頃、巴と恋仲でした。二人は七人塚で逢引きを繰り返していました。この手引きをしていたのが竜平の叔母でしたが、毎回の事に面倒になった叔母が、二人に「合言葉を考えなさい」と言い、二人の逢引の合図は鵺の泣き声でした。
竜平が鵺の鳴きまねをすると、巴が走って来て二人は愛を育みました。やがて大膳に見つかり、二人は引き裂かれ、竜平は島を出て、巴は守衛と結婚させられたのです。「あの時の大膳の怒り方は酷かった。巴は妊娠していたのかもしれない」と竜平の叔母が話します。
金田一は、巴の子供を浅井はるが出産させたか、降ろしたものだと考えます。その夜、火事がありました。そのころ竜平が神社で何かを見つけていました。中に入ると守衛が、頼経の矢で射ぬかれて死んでいました。
同じころ、行方不明の父を探す妹尾誠と逢引をしていた片帆がいなくなりました。金田一からの連絡を受け、磯川らが島にやって来ます。検死の結果、矢は守衛の心臓に刺さって死んでいたが、その後、何者かがさらに突き刺して串刺しにした事がわかりました。
金田一は巴とふぶきの話も聞きます。双子は畜生腹と呼ばれることから、姉のふぶきは広島に里子に出され、最近戻ってきた事がわかりました。竜平に会った金田一が「ヒッピー風の男に何と言われたのか?」と聞きます。竜平は「お父さん?」と言ったと言います。
三津木は巴と竜平の間の子供だとも考えられました。金田一はふぶきが住んでいた広島に向かいます。近所の人に話を聞くと「頭なんておかしくない。普通の人じゃった」と言います。
悪霊島の結末
島では三津木が取り調べを受けていました。三津木は「半年前母が死んだ。その時、私は本当の母じゃない、知りたければ浅井はるに会いなさいと言われ、はるを訪ねた。はるの記憶があいまいで、『その時期に巴と竜平の子供を取り上げた』と言われ、両親を探して島にやってきた」と言います。
一方では妹尾兄弟に、守衛が殺された場所にいたことを目撃されていました。三津木は「ふぶきが夢遊病者のように神殿から出てきた。見に行くと守衛が死んでいた。ふぶきが犯人だと思い、矢をさらに突き刺して偽装した」と言います。
磯川と金田一は巴を訪ね、ふぶきを呼んでもらいます。するとふぶきが走って逃げ出しました。追う二人ですが、崖の上にふぶきの服を持った大膳がいました。大膳は「飛び降りてふぶきは死んだ」と言います。
犯人はふぶきだと言う磯川に対し、納得できない金田一はふぶきの足跡を探します。見つけると明らかに男のものでした。自宅で自慰をする巴を見た真帆が、巴に首を絞められます。その時、鵺の泣き声が聞こえました。巴は慌てて七人塚へ行きます。そこには竜平がいました。巴は竜平に抱き着き愛し合おうとしました。
金田一と磯川は大膳に連れられて洞窟に入ります。中には神殿があり、巴が生み落した太郎丸、次郎丸の双子のミイラと、行方不明の神楽太夫のミイラがありました。大膳は「巴は双子を生み落した後、普通の巴と、淫乱で狂暴な巴の多重人格になった。そんな巴を隠すため、原爆で死んだふぶきを利用した。しかしそのことで浅井はるにゆすられていた」と話します。
ふぶきを普段演じていたのは吉太郎でした。実の娘片帆を殺したのも巴でした。そこへ巴と竜平がやって来ます。太郎丸と次郎丸のミイラを見た巴は錯乱し、穴へ落ちました。それを見た大膳は猟銃で自殺します。
島を離れるフェリーを崖の上から見送っていたのは真帆でした。三津木は磯川警部に連行されていきました。
以上、映画「悪霊島」のあらすじと結末でした。
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