あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の紹介:2023年日本映画。小説家・汐見夏衛の同名小説を福原遥と水上恒司のダブル主演で実写映画化した作品です。太平洋戦争末期の1945年にタイムスリップしてしまった現代の女子高生と特攻隊員の切なく儚い恋を描いていきます。
監督:成田洋一 出演者:福原遥(加納百合)、水上恒司(佐久間彰)、伊藤健太郎(石丸)、嶋﨑斗亜(板倉)、上川周作(寺岡)、小野塚勇人(加藤)、出口夏希(千代)、新井舞良(木島カンナ)、中島瑠菜(津崎美月)、天寿光希(常連客)、津田寛治(警官)、中嶋朋子(加納幸恵)、坪倉由幸(ヤマダ)、松坂慶子(ツル)ほか
映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」解説
この解説記事には映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のネタバレあらすじ:起
現代。高校3年生の加納百合は母・幸恵と二人暮らし。百合の父はかつて溺れていた子供を助けて命を落としており、幸恵は女手ひとつで百合を育てたのですが家は貧しいまま。百合は自分の妻子は助けず他人を助けて死んだ父を「父親失格」だと憎んでいました。
幸恵は百合を大学に行かせるために必死で金を貯めていましたが、百合は大学には行かずに就職すると決めていました。終戦記念日の2ヶ月前の雨の日、百合は幸恵と口論になり、そのまま家を飛び出してしまいました。百合は近くの防空壕後に入り、そのまま一夜を明かすことにしました―――。
―――百合が目覚めると、防空壕の外は見慣れた住宅街ではなく田園地帯でした。街並みは完全に昔風で、行き交う人々の服装も質素なものでした。体調を崩した百合は軍服の男に助けられ、近くの食堂「鶴屋食堂」で食事を食べさせてもらいました。その際、百合は食堂の新聞の日付が「昭和20年(1945年)6月14日」であること、記事が戦争のことばかりだということに気付きました。
百合を助けた男は近くの部隊の隊員・佐久間彰、秋田県生まれの21歳で大学生でした。食堂の女将の名はツル。自分が戦争時代にタイムスリップしてしまったことに気付いた百合はもう一度防空壕に戻りましたが、現代に戻ることはできませんでした。行き場のない百合を戦災孤児だと勘違いしたツルは、百合に住み込みで食堂を手伝ってもらうよう頼みました。
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のネタバレあらすじ:承
その日から百合はツルの娘が着ていたもんぺを与えられ、食堂で働き始めました。百合は食堂に魚を持ってきてくれる魚屋の娘・千代と親しくなりました。食堂には彰が同僚隊員を連れてやってきました。彰と同い年で高知出身の石丸、大阪出身で18歳の板倉、東京出身で32歳の寺岡、千葉出身で空手の達人でもある加藤です。しかし、百合は彰たちが特攻隊員であり、数日後に出撃する予定だと聞いてショックを受けました。
彰は百合をユリの花が咲き乱れる丘に連れて行きました。彰の妹は百合と同い年であり、百合も負けず嫌いな性格が妹と同じだと親近感を持ちましたが、百合は小さな戦闘機で巨大な敵艦に特攻したところで日本は戦争に負けることに変わりはないことを知っており、彰がなぜむざむざと命を捨てる特攻に参加するのか理解できませんでした。
そんな時、百合は千代が石丸に淡い恋心を抱いていることを知り、石丸に千代を嫁にしてほしいと頼みましたが、石丸は生まれ変わったらと答えるのみでした。寺岡は妻と生まれたばかりの子を残しており、自分の命で妻子を守れるのならそれで満足だと語りました。
ある日、ツルは百合を連れて娘の墓参りに出かけました。ツルの娘は結婚して子供を産んでいましたが、空襲で子供と共に死んでいたのです。ツルは母親というものは命がけで子供を守るものだと百合に語りました。
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のネタバレあらすじ:転
そんなある日、買い出しに出ていた百合は戦争で両親を失った戦災孤児の男の子と出会いました。男の子に野菜を分けてあげた百合は「戦争はもうすぐ日本の負けで終わる。良い国になるからそれまでの辛抱」だと男の子に語りかけました。ところが、通りがかった警官が百合の話を聞いてしまい、百合を非国民だと責め立てました。そこに駆け付けた彰とツルが百合を庇い、彰は代わりに殴られてしまいました。百合は二人に誤りましたが、彰は警官をあんな風にした何かが悪いのだと語りました。
彰は百合を基地での野球に誘い、百合をかき氷屋に連れていったりしました。百合と彰は少しづつ距離を縮めていきましたが、日本が敗色濃厚であることは特攻隊員たちもひしひしと感じ取っていました。
そんなある日、百合はツルから着物を米に替えてもらうよう頼まれました。その帰り道、突然空襲警報が鳴り響き、街は空襲によって火の海と化しました。百合は倒れてきた柱に足を挟まれて絶体絶命の危機に陥りましたが、駆け付けた彰が百合を助けてくれました。百合が以前会った男の子は死亡していました。
ツルの食堂は幸いにも無事でした。疎開を決めた近所の人はツルにも疎開を勧めましたが、ツルは基地の兵士たちのために残る決心をしていました。そんなある時、遂に彰たち5人にも出撃命令が下されました。
彰たち5人はツルの食堂を訪れ、2日後に出撃することを報告しました。百合は苦悩するなか、板倉が突然姿を消してしまいました。百合や彰たちはようやく板倉を見つけ出しましたが、板倉は故郷に残してきた婚約者が空襲に巻き込まれ、婚約者は両親を失っただけではなく自らも歩けない体になり、死のうとしたことから自分は彼女を残して死ねないと言い出しました。加藤は生き恥を晒すのかと板倉を非難しましたが、板倉は加藤は敵前逃亡した父の汚名を晴らすために言っているだけだと論破、百合も「生きることは恥ずかしくない。板倉さんは生きたいだけ」と庇いました。彰たちは自分たちの分まで生きてくれと板倉を見逃し、板倉は走り去っていきました。
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の結末
百合と彰はユリの花の丘に行きました。彰は教師になってこれからの子供たちの未来を豊かなものにしたかったという夢を打ち明けました。百合は日本は戦争に負けるから一緒に逃げようと彰を説得しましたが、彰の決意は揺らぎませんでした。
特攻の前日、彰たち特攻隊員はツルの食堂を訪れ、これまでの感謝を述べるとともに最後のお別れを告げました。千代は手作りの人形を石丸に渡しました。百合は彰に行かないでほしいとすがりつきましたが、これ以上引き止めるのは無理だと悟ると諦めました。彰は百合に感謝を告げて去っていきました。
特攻の当日。百合は見送りには行かずに食堂に残っていました。ところが、ツルが預かっている特攻隊員の家族宛ての手紙の中に彰が百合宛てに書いた手紙があるのを見つけた百合は急いで飛行場へと向かいました。
彰は飛行機にユリの花を、石丸は千代の人形を、寺岡は妻子の写真を持って飛び立ちました。飛行場に着いた百合が飛行機に向かって「彰!」と叫んだ瞬間、百合は気を失いました―――。
―――気が付くと百合は現代に戻っていました。タイムスリップしてから元の時代に戻るまでの間は半日しか経っていませんでした。百合は幸恵と再会し、これまでのことを謝りました。
百合は学校の社会科見学の一環として「特攻隊資料館」に行くことになりました。展示室には寺岡や加藤が家族に宛てた手紙、石丸が千代に宛てた手紙と共に、特攻を免れて生き延び、年老いた板倉と妻の写真も展示されていました。そして百合は彰が1945年(昭和20年)7月7日に戦死したことを知り、そして彰が百合に宛てた手紙に目を通しました。彰は「君のことを愛していた。戦争のない日本で一緒に暮らしたかった。百合は生きて平和な世界をつくってくれ」と百合への想いを綴っていました。百合はその場で泣き崩れました。
あの防空壕跡は封鎖され、付近にはユリの花が咲いていました。百合は幸恵に、自分は教師になりたいので大学に行かせてほしいと頼みました。そして百合は彰のことを決して忘れず、彰が願った未来を生き抜くと誓いました。
以上、映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」のあらすじと結末でした。
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