新解釈・三國志の紹介:2020年日本映画。『銀魂』『勇者ヨシヒコ』『今日から俺は!!』などの福田雄一が、幾度となく映像化されてきた歴史書『三國志』を自らの解釈を加え、自ら監督と脚本を務めて映画化した完全オリジナルの痛快エンタテインメント作品です。主演に今回が初タッグとなる大泉洋を迎え、脇を福田作品の常連で固めました。主題歌は福山雅治が手掛けています。
監督:福田雄一 出演者:大泉洋(劉備)、賀来賢人(周瑜)、橋本環奈(黄夫人)、山本美月(小喬)、岡田健史(孫権)、橋本さとし(関羽)、高橋努(張飛)、岩田剛典(趙雲)、渡辺直美(貂蝉)、磯村勇斗(荀彧)、矢本悠馬(黄蓋)、阿部進之介(夏侯惇)、半海一晃(魯粛)、ムロツヨシ(孔明)、山田孝之(黄巾)、城田優(呂布)、佐藤二朗(董卓)、小栗旬(曹操)、西田敏行(蘇我宗光/ナレーション)ほか
映画「新解釈・三國志」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「新解釈・三國志」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
新解釈・三國志の予告編 動画
映画「新解釈・三國志」解説
この解説記事には映画「新解釈・三國志」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
新解釈・三國志のネタバレあらすじ:起
現代。歴史学者の蘇我宗光(西田敏行)は、今から1800年前の漢王朝後期から三国時代の中国を描いた歴史書『三國志』の新説を発表しました。これまで語り継がれてきた登場人物たちの実像は物語とは全くかけ離れたものであり、後に蜀初代皇帝となる『三國志』屈指の英雄であり志が高く人望が厚かったと言われていた劉備は、実は根っからの戦嫌いで小心者であり、しかし酒を飲むと気が大きくなって勇猛果敢な武人へと変貌するというものでした…。
…1800年前の中国。漢が弱体化し、中国統一を巡って魏・蜀・呉の三国が群雄割拠していた時代。蜀の将軍・劉備(大泉洋)は関羽(橋本さとし)や張飛(高橋努)に無理やり満開の桜の木の下に連れて行かれ、義兄弟の誓い(桃園の誓い)を誓いました。劉備は「桃の木の下でやるべきだ」とぐだぐだ文句を言ってばかりでした。そんな劉備でもなぜか慕う民が多いものでした。
この頃は黄巾(山田孝之)率いる逆賊・黄巾党が国を乗っ取ろうと企んでいました。劉備は関羽、張飛と一緒に黄巾党に対抗すべく義勇軍を結成、黄巾党のアジトに乗り込みました。嫌がる劉備は無理やり関羽と張飛に指揮を執らせ、砦の黄巾に「中途半端な軍勢だ」と呆れられました。黄巾は劉備の顔も中途半端だと吐き捨て、何を思ったかやたらと顔の黄金比について長々と語り始めました。飽きてきた劉備は張飛に戦わせました。
新解釈・三國志のネタバレあらすじ:承
義勇軍は劉備が全く役に立たなかったものの、関羽と張飛の活躍によりどんどん勝ち進んでいきました。同じ頃、漢の衰退の混乱に乗じて成り上がったのが暴君・董卓(佐藤二朗)でした。董卓は幼い帝を擁して国の実権を握り、用済みになった帝を処刑するなど圧政の限りを尽くしていました。劉備や呉の王・孫権(岡田健史)らは反董卓軍を結成、魏の将軍・曹操(小栗旬)と手を組んで20万の大軍を率いる董卓の拠点・虎牢関に集結しました。
ところが、肝心な戦を直前にして劉備が忽然と姿を消しました。劉備はサボっているのかという曹操の問いに、関羽と張飛は気まずそうに「休みだ」と答えました。劉備が仮病を使ってズル休みをしていることを知った曹操は呆れ果て、関羽は「許せ。みんなも分かっている。どちらにしろ、いつも戦うときはいてもいないようなもんだしね」フォローしました。
そうしているうちに、鬼神のごとき強さを誇る董卓の将軍・呂布(城田優)が名馬・赤兎馬に乗って颯爽と現れました。槍の一振りで次々と反董卓軍の兵士たちをなぎ倒していく呂布に、力自慢では負けない張飛が戦いを挑みました。二人の戦いに関羽も加勢し、両者のぶつかり合いは五分五分の引き分けとなりました。それでも戦いは反董卓軍が優勢の優勢に進み、追いつめられた董卓軍は後漢の都・洛陽へと退却していきました。
ところが、いざという時に反董卓軍は内部で不協和音が生じて解散してしまい、劉備は新たな作戦を立てることにしました。董卓は大の女好きで呂布はバカだと聞いた劉備は敵陣に絶世の美女を送り込み、二人を誘惑して仲違いさせる“三角関の計”を計画しました。そこで劉備軍きってのイケメンでナルシストの将軍・趙雲(岩田剛典)に蜀の国一番の美女を探させ、連れてこられたのは、豊満すぎるボディに圧巻のダンスを踊る“時代考証的美女”の貂蝉(渡辺直美)でした。
劉備は早速董卓に貂蝉を差し出すと、作戦通りに董卓も呂布も貂蝉に誘惑されて仲違いを始めました。劉備の狙い通りに呂布は董卓を刺し殺し、まんまと騙されたことに気付いた呂布は貂蝉に切りかかりました。貂蝉は「次は私が美人と言われる時代に生まれ変わりたい」と言って絶命し、呂布はそのまま逃亡しました。
新解釈・三國志のネタバレあらすじ:転
董卓の死により時代は更なる乱世となっていき、曹操や孫権が勢力を伸ばしていました。この状況においてもなおうだつの上がらない劉備は、「今より楽したい」との理由で新たに軍師を雇うことにしました。そこで劉備は稀代の天才との名高い孔明(ムロツヨシ)をの元を訪ねることにしました。関羽から「孔明は気難しい人」と聞かされていた劉備でしたが、当の孔明はノリが軽く、二日酔いで昼寝していました。無職の孔明は妻の黄夫人(橋本環奈)の尻に敷かれており、劉備は不安がりながらも孔明を軍師として雇い入れることにしました。
今や漢の実権を握っていた曹操は将軍の夏侯惇(阿部進之介)と参謀の荀彧(磯村勇斗)から劉備が孔明を雇ったことを知らされました。劉備が孫権と手を組むことを恐れた曹操は夏侯惇と荀彧の進言を受け、帝の勅命を得て劉備と孫権を逆賊とすることを思い立ちました。こうして劉備は逆賊として追われる身となり、長坂で曹操軍に追い詰められた劉備は逃走しましたが妻と子供が逃げ遅れてしまいました。子供は趙雲に助けられましたが、妻は井戸に飛び込んで自決しました。
孔明は劉備に孫権と同盟を組むべきだと進言しました。劉備は「俺は褒められて伸びるタイプなので、曹操の部下になるよりはバカで速攻褒めてくれる孫権と手を組む」と決意しました。一方、孫権は部下から徹底抗戦するか降伏するかを迫られていました。そこに現れた孔明は曹操が呉で一番の絶世の美女・小喬(山本美月)を差し出せと言っていると伝え、小喬の夫で呉軍司令官の周瑜(賀来賢人)は激怒して曹操と戦う決意を固めました。
こうして劉備と孫権は同盟を組み、長江の赤壁で曹操群を迎え撃つこととなりました。これが『三國志』前半のクライマックスとなる“赤壁の戦い”の始まりでした。
新解釈・三國志の結末
曹操軍は総勢80万の大軍なのに対し、劉備と孫権の連合軍はわずか3万でした。長江の対岸にいる曹操軍の大群の船を目の当たりにした劉備はどう考えても負けると怖気づきますが、孔明は「戦で最も大切なことは“ネバギバ”」と答えました。
曹操が小喬を欲しがっていないことが判明、騙されたことに気付いた周瑜は孔明に対して矢を10万本準備するよう命じ、出来なかったら斬首すると脅してきました。孔明は3日で用意すると返答してしまい、兵士たちに矢を作らせましたが、いくら頑張っても1日で100本余りしか用意できませんでした。困り果てた孔明は黄夫人に泣きつき、夫とは正反対の切れ者である黄夫人は天候を読んだうえで風向きが変わる頃合いを見計らった作戦を伝授しました。
霧の立ち込める夜、孔明は兵士に見立てた藁人形を乗せ、藁で覆った船20隻を曹操軍に向かわせました。敵が襲来したと勘違いした曹操軍は無人の船に大量の矢を放ち、孔明はまんまと10万本の矢を手に入れる事が出来ました。
曹操軍が出陣する日がやってきました。ところが、曹操軍の陣地では疫病が流行り、とても戦える状況ではなくなっていました。報告を受けた劉備は自分たちも疫病をうつされてはたまったものじゃないと怖気づき、「マスクをすれば平気」と言う孔明の説得を無視して軍を引き上げはじめました。
そこで孔明は周瑜に、曹操軍を火攻めにすることを提案しました。周瑜の部下の魯粛(半海一晃)は「今は北西の向かい風で、火攻めをすればこっちに火が回る」と反対しますが、黄夫人から「この地方では山に雲がかかると低気圧の影響で追い風が吹く。儀式とかして自分が吹かせた事にすると良い」との助言を受けた孔明は「南東の追い風を吹かせる」と約束しました。周瑜は明日追い風が吹かなかった場合は孔明を斬首すると宣告しました。
翌日、未だに追い風は吹かず、周瑜は孔明の斬首の準備を始めました。その時、向い風がパタリと止み、孔明の言った通りに追い風が吹いてきました。周瑜と部下の黄蓋(矢本悠馬)が火攻めの準備に手間取っていると、孔明は「曹操軍に火を放つ魔術を持っている」と言い出しました。すると、向こう岸に集結していた曹操軍の船団が燃え上がり始めました。
実は劉備は軍を撤退させるフリをして密かに曹操軍の船に火を放ったのであり、これは劉備と孔明があらかじめ仕組んでいた作戦だったのです。野牛の群れを焼肉にして食べ、酒を飲んだ劉備軍は意気揚々としており、酔って気の大きくなった劉備は一気に攻勢に出ました。劉備は関羽、張飛、趙雲に「俺はこの国を誰も血を流す事のねえ平和な国にする。そんな国に暮らす民の笑顔が見たいだけなんだ。いくぜ、みんな!」と宣言すると敵陣に突入していきました…。
…語り終えた蘇我宗光は「赤壁の戦いは冬。日本でも冬の間に南風はめったにない。でも曹操が火攻めで敗れたのは史実。これから三者の戦いがずるずると続く。『三國志』に興味があれば色々な文献を見てください」と語り、本日の講座を切り上げました。
以上、映画「新解釈・三國志」のあらすじと結末でした。
「新解釈・三國志」感想・レビュー
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恥ずかしながら、三國志のストーリーを把握出来ていないのでとっかかりに良いかなと思って見ました。劉備とか飛鳥とか、難しい登場人物名が覚えられなくてストーリーに着いて行けなかったのです。
映画では登場人物が日本の有名役者で構成されているので、誰が何をしたのか よく理解できました。
福田作品特有の笑いも随所にあり、ココは史実を笑いに変換しているんたろうなーというのも想像しつつ楽しめました。
三國志のとっかかりにハードルを低くしてくれた、秀逸な作品です。 -
日本のコメディ映画監督で有名な福田監督であり、仕事で疲れている方は見て笑いすっきりする事ができると思うのでお勧めです
三國志については横山光輝の漫画を読んだりしてなんとなく知っていたが、こういう形の三國志も悪くないなと思う。
アクションは迫力あり、それぞれの登場人物が個性的でふふふと思わず笑みをこぼすくらいおもしかったです。
何気ないものが伏線になっていて、後にあー、こういうことかという発見できるなど楽しんで見ることができました。