地獄の黙示録 ファイナル・カットの紹介:2019年アメリカ映画。「ここが終着点―――」ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』を『ゴッドファーザー』シリーズのフランシス・フォード・コッポラ監督が映画化、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞するなど数々の金字塔を打ち立てた戦争映画の傑作『地獄の黙示録』(1979年公開)。2001年には未公開シーンを加えた『特別完全版』が公開された本作品を、公開40周年を記念してコッポラ監督自ら再編集した最終版です。今回は1979年のオリジナル版より30分長く、特別完全版より20分短い182分にまとめたうえでIMAX上映に向けて新たにデジタル修復も施されました。
監督:フランシス・フォード・コッポラ 出演者:マーロン・ブランド(ウォルター・E・カーツ大佐)、ロバート・デュヴァル(ビル・キルゴア中佐)、マーティン・シーン(ベンジャミン・L・ウィラード大尉)、フレデリック・フォレスト(ジェイ・“シェフ”・ヒックス)、サム・ボトムズ(ランス・B・ジョンソン)、ローレンス・フィッシュバーン(タイロン・“クリーン”・ミラー)、アルバート・ホール(ジョージ・“チーフ”・フィリップス)、ハリソン・フォード(ルーカス大佐)、デニス・ホッパー(報道写真家)、G・D・スプラドリン(コーマン将軍)、ほか
映画「地獄の黙示録 ファイナル・カット」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「地獄の黙示録 ファイナル・カット」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
地獄の黙示録 ファイナル・カットの予告編 動画
映画「地獄の黙示録 ファイナル・カット」解説
この解説記事には映画「地獄の黙示録 ファイナル・カット」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
地獄の黙示録ファイナルカットのネタバレあらすじ:起
ベトナム戦争末期の1969年。アメリカに一時帰国をしていた米陸軍特殊作戦コマンドの空挺将校、ベンジャミン・L・ウィラード大尉(マーティン・シーン)は、再びベトナムの土を踏んでいました。出征に反対する妻と離婚したばかりのウィラード大尉はジャングルでの戦いの日々を忘れられずにいましたが、サイゴンのホテルで指令が下るのを待ち続けてかれこれ1週間、ウィラードは酒を飲んで踊りあかすという、空虚な日々を過ごしていました。
そんなある日、ウィラードはようやくニャチャンの米軍情報司令部から呼び出しを受けました。司令部には司令官のコーマン将軍(G・D・スプラドリン)と副官のルーカス大佐(ハリソン・フォード)がおり、ウィラードは元グリーンベレー隊長のウォルター・E・カーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺指令を受けました。
カーツはかつては優秀な軍人だったのですが、ベトナム軍情報部員4名を二重スパイの罪で勝手に処刑した罪に問われており、軍部の命令を無視して暴走した挙句にカンボジアのジャングルに逃げ込み、今や現地で独自の王国と軍隊を築き上げ、現地人から神として崇められているというのです。
ウィラードはかつてCIAの諜報部員だった頃に要人暗殺作戦に従事した豊富な経験を買われて抜擢されたのであり、コーマン将軍はカーツは正気を失っていると告げ、ウィラードにカンボジアで傍受したカーツの肉声入りテープを聞かせました。
カーツの王国に行くには米海軍の河川哨戒艇でヌン川を上る必要があり、ウィラードは作戦の目的を告げぬまま哨戒艇の持ち主であるジョージ・“チーフ”・フィリップス(アルバート・ホール)、ロサンゼルスで名を馳せた元プロサーファーであり銃を使ったことのないランス・B・ジョンソン(サム・ボトムズ)、料理の修業をしていたことのある機械工のジェイ・“シェフ”・ニックス(フレデリック・フォレスト)、ブロンクス出身の若き兵士タイロン・“クリーン”・ミラー(ローレンス・フィッシュバーン)という経験の浅い4名のメンバーを引き連れてカンボジア国境付近へと向かいました。
地獄の黙示録ファイナルカットのネタバレあらすじ:承
ウィラードはカーツの履歴書に目を通しながら、いくら6人の要人を消してきた自分でも今回の標的は米軍のエリート将校で数々の受勲に輝くカーツを殺るのに戸惑いを覚えていました。ウィラードは殺人罪を犯した奴などここには無数にいると思いながらも、任務は必ず果たさねばならないと自分を律しました。
ウィラード一行は危険地帯を通過するため、“空の騎兵隊”と呼ばれる第一騎兵隊に護衛を依頼しました。第一騎兵隊の指揮官ビル・キルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)に挨拶をしたウィラードは、ニャチャンから指示を受けていないとキルゴアから渋られるも、ひとまずベトコンの基地奇襲作戦の終了を待てと言われました。
大のサーフィン好きであるキルゴアは、一行に大ファンであるランスがいることを知って喜び、作戦終了後に良い波があるというヌン川の下流で練習をしようとランスに持ちかけて依頼を引き受けることにしました。その場所はベトコンの前線基地があり、部下はここは敵の重要拠点だとして反対しますが、キルゴアは全く意に介さず、翌日にヘリの大編隊を編成するとワーグナーの「ワルキューレの騎行」を大音量で流しながら基地や村を爆撃していきました。
キルゴアは大量のミサイルと銃弾、ナパーム弾を投じてベトコンはおろか一般人までも大量虐殺していき、炎に包まれる森林を見ながらキルゴアはナパームの匂いを嗅ぎ込み「この匂いが好きだ。勝利の香りだ」と満足げな表情を浮かべました。恐れをなしたランスはこっそりとキルゴアのボードを盗んで逃げだし、ウィラードはキルゴアの狂った行いは許されるのに、なぜカーツだけが罪に問われるのか疑問を抱きました。
ウィラード一行は哨戒艇で引き続きヌン川を上り、改めてカーツの資料に目を通したウィラードは、どうしても彼が狂気に陥った経緯が理解できずにいました。やがて燃料補給のため現地の補給部隊に立ち寄ったウィラード一行は、今夜金髪美女のプレイメイトによる慰安ショーがあるから観に来ないかと誘われました。ウィラードたちは一応ショーを観覧しますが、興奮した軍人が暴れてステージに乱入したことから、ショーは途中で打ち切られました。
出発した一行は途中でベトナム人の漁船を発見しました。放っておけというウィラードの指示を聞かずにシェフとクリーンは漁船の乗組員を皆殺しにし、子犬を庇っていた無実の女性をも殺害してしまいます。
地獄の黙示録ファイナルカットのネタバレあらすじ:転
ウィラード一行は燃料補給のため米軍の最後の拠点であるド・ラン橋付近の関所に辿り着きました。しかし、そこでは米軍兵士が指揮官不在のままベトコンと戦闘を繰り広げており、一行は給油を何とか済ますと足早にこの場所を通過しようとしました。
ところが、一行は橋を越えたところで敵の襲撃を受け、クリーンはあえなく命を落としてしまいます。一行はカンボジアとの国境付近で農園を営むフランス人のユベール・ド・マレ(クリスチャン・マルカン)一家のもてなしを受け、クリーンを埋葬してもらいました。
第一次インドシナ戦争を経験し、今までベトコンから農場を守り続けてきたユベールは「アメリカは何のために戦っているのか」と問いかけ、ベトナム戦争の原因はアメリカにあるとウィラードを責めました。ウィラード自身ももはや戦う意味を見失いつつありました。
農園を後にした一行はいよいよカーツの王国を目前としますが、ジャングルで原住民の襲撃を受け、チーフは槍に刺されて絶命してしまいます。チーフの遺体を川に水葬した一行はシェフの操舵で川を上り、遂にカーツの王国へと辿り着きました。
アメリカ人報道写真家(デニス・ホッパー)に出迎えられたウィラード一行は、至るところに死体が散乱する地獄絵図のような光景を目の当たりにしました。写真家の情報でカーツは仲間を引き連れてジャングルの奥地へ入っていったことを知ったウィラードは、カーツが王国に帰ってくるまで待つことにし、船に待機するシェフに「22時までに自分が戻ってこなければ爆撃を要請してくれ」と頼み、ランスと共に王国内を偵察することにしました。
そこでウィラードは捕らえられ、戻ってきたカーツの前に引き出されました。ウィラードは決して口を割りませんでしたが、カーツはウィラードが自分を暗殺するために来たことを見抜いており、ウィラードは竹で作られた檻の中に拘束されました。
地獄の黙示録ファイナルカットの結末
その夜、目覚めたウィラードはカーツからシェフの首を渡されて驚きました。その後、拘束を解かれたウィラードは自由行動を許されますが、逃げる気も起きなければカーツを殺すこともできませんでした。
カーツはウィラードに自分は人殺しと呼ばれる権利はなく、また“地獄”を知らぬ者に自分を裁く刺客はないと語り、これまで自分自身が目の当たりにしてきた地獄を語りはじめました。そしてカールはウィラードに、アメリカに帰国したら息子に真実を全て伝えて欲しいと伝え、真の精鋭とは必要な軍事行動を無慈悲に躊躇することなくやり遂げなければならないと告げました。
ウィラードはカーツ暗殺に成功すれば昇進が約束されていましたが、今となってはそれはもはや重要なことではありませんでした。ウィラードはカーツが裏切り者の脱走兵などではなく、誇り高き軍人としての死を望んでいることを悟りました。
そして原住民が水牛を生け贄に捧げる儀式の日、ウィラードはカーツの暗殺を実行に移し、抵抗することなく死を受け入れたカーツは「恐怖…」と呟きながら息絶えました。ウィラードはカーツの手記を持ち、ランスと共に船に乗って川を下っていきました。ウィラードは軍からの無線連絡に一切応答することはありませんでした。
以上、映画「地獄の黙示録 ファイナル・カット」のあらすじと結末でした。
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