BALLAD 名もなき恋のうたの紹介:2009年日本映画。戦国時代にタイムスリップした真一一家を中心にしたアニメ映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を原案に、「守ることが,愛することだった。祈ることが,愛することだった。」というキャッチコピーで、草彅剛が演じる1人の武士と新垣結衣が演じるお姫様の恋物語を中心した時代劇映画です。
監督:山崎貴 出演:草なぎ剛(井尻又兵衛)、新垣結衣(廉姫)、大沢たかお(大倉井高虎)、夏川結衣(川上美佐子)、筒井道隆(川上暁)、武井証(川上真一)、吹越満(仁右衛門)、斉藤由貴(お里)、吉武怜朗(文四郎)、ほか
映画「BALLAD 名もなき恋のうた」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「BALLAD 名もなき恋のうた」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「BALLAD 名もなき恋のうた」解説
この解説記事には映画「BALLAD 名もなき恋のうた」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
BALLAD 名もなき恋のうたのネタバレあらすじ:1.プロローグ:真一の夢
小学生の川上真一は最近、ある夢をよく見ていました。それはある若き美しいお姫様が一人、湖畔で静かに手を合わせ祈っている様子でした。真一はその夢をガールフレンドに話していると、悪ガキどもがガールフレンドにちょっかいをかけてきました。しかし、真一は彼女を守ることなく、去りました。その帰り道、真一は1体の古いお地蔵様がある大きなクヌギの木で、彼女を待っていると、彼女は真一に軽蔑の眼差しを向けて帰っていきました。真一は厄介なことから逃げる癖がついていたのでした。ある日、真一はまた例のお姫様の夢を見て目覚めました。そして、登校途中の真一は、カメラマンの父・川上暁からその大きな木は「川上の大クヌギ」と呼ばれていることを知りました。なぜ自分と同じ姓がその木についているのか不思議に思いながら、真一は乗っていた自転車から降り、木を見ていました。真一はそこで足下に一粒のドングリを拾い、その傍を掘ってみると、土の中から古い木箱が出てきました。その中を開けると、油紙にくるまれた古く朽ち果てそうな手紙が出てきました。その手紙を見て、真一は驚きました。そして、真一はなぜかそこで意識を失ってしまいました。
BALLAD 名もなき恋のうたのネタバレあらすじ:2.真一、戦国時代へ
真一が目を開けてみると、そこはあの大きな木はなく、あの古いお地蔵様だけがある林の中でした。真一は不思議に思いながら、自転車に乗り、林を出てみると、そこには大きな幟を立てた鎧武者たちが集まっていました。初めて見る光景に圧倒されながら真一が辺りを見ると、藪の中から、火縄銃で二人の武者が誰かを狙い撃とうとしていました。真一は恐る恐る背後から近づき、その二人に「あの~」と声をかけると、二人は驚き、狙いを外し、発砲し逃げて行きました。立ちすくむ真一のもとに、結集していた武者たちが「何奴~!」と言いながら駆け寄ってきました。真一は武者たちに捕り縛られ、彼らの城・春日城に連行されました。真一はそこでその春日の国の大殿・康綱に正直に未来からタイムスリップしてきたことを話しました。身なりからして怪しげな真一に、康綱は「命が惜しくば証明してみよ」と命じました。真一は携帯電話を取り出し、それのカメラ機能を使って康綱を画面に映し出して見せました。康綱以下、そこにいた武将たちは腰を抜かして驚き、真一をどのように始末するか騒いでいました。そこに登場したのは一人の若き美しいお姫様でした。そのお姫様は廉姫様と呼ばれていました。真一は驚きました。それは真一が毎晩夢で見ていたお姫様だったからでした。真一は廉姫に夢で見たことを伝えると、廉姫は真一に「わが夢を叶えるために来たか」と言い、傍らにいた井尻又兵衛に真一の面倒をみることを厳命しました。又兵衛は嫌々でしたが、幼少の頃から遊び相手をしていた廉姫の頼みということもあり、真一の面倒をみることになりました。廉姫の美しさは、近隣諸国でも有名で、真一曰く「モテモテ」なのでした。
BALLAD 名もなき恋のうたのネタバレあらすじ:3.真一の手紙
その頃、現代では、母・川上美佐子と父・暁は突如消えてしまった真一を探し回りましたが、見つけられませんでした。唯一手がかりとして残されていたものは、大クヌギの木の下に落ちていた古く朽ちはてそうな手紙だけでした。その手紙には真一が墨で父母宛てに書いたもので、自分が戦国時代の天正二年(1574年)にいるということを伝えるものでした。暁と美佐子は驚きました。美佐子はインターネットでいろいろと調べました。すると、美佐子はある記事に目を奪われました。それはあの「川上の大クヌギの木」に関する伝承でした。そこには「天正二年、突如現れた川上真一とその一族の働きで春日の戦いは形勢を逆転した」と書かれていました。美佐子と暁は車に荷物を積み、大クヌギの下に行きました。しかし、どうすればタイムスリップできるのか、分かりませんでした。一方、戦国時代にタイムスリップした真一は、又兵衛の家にいました。真一は又兵衛と同居している仁右衛門から、又兵衛が戦においては「鬼の井尻」と異名をとる強者であるが、女には滅法弱い恥ずかしがり屋であることを知りました。又兵衛は自分が独り身である訳を「妻や子があればこの世に未練が残る。そうなれば立派な働きができぬ」と言いました。父母を既に亡くした又兵衛の勧めで、真一は両親に手紙を書きました。書き終えた真一は、この手紙が現代で読んだあの古い手紙であることを悟りました。
BALLAD 名もなき恋のうたのネタバレあらすじ:4.武将・大倉井高虎
その翌日、春日城に北関東の大国大名・大倉井高虎が、突如訪れ、廉姫に婚儀を申し入れてきました。廉姫はその言葉を聞き、末席に控えていた又兵衛の方に目を向けました。高虎はそれを見逃しませんでした。高虎は廉姫が又兵衛に気があることを悟りました。しかし、高虎はかつて森で鹿狩りをしていた折、その邪魔をした廉姫の凜とした気品ある美しさを気に入っていました。高虎は「婚儀の日取りは追って伝える」と言い残し、春日城を出て行きました。高虎が去った後、春日城ではこの事態の処遇について話し合われました。高虎は自分に歯向かった国は、その武力で徹底的に容赦なく攻め入り滅びさせ、支配する恐ろしい男でした。高圧的で無礼千万な高虎に嫌悪感を抱いた康綱でしたが、そんな噂を聞いた康綱は、廉姫を高虎に差し出すことを決めました。廉姫は「お父上に従います」と答え、お付きの吉乃の制止を振り切り、馬に乗って城外へと逃げ出し、湖に向かいました。その頃、真一は仁右衛門の息子・文四郎と共に、と向かっていました。その途中、真一は夢に出てきたあの湖を見つけました。するとそこに馬に乗って廉姫がやって来ました。廉姫は湖畔で涙を流しているようでした。するとそこに6名の盗賊たちが現れ、廉姫に詰め寄ってきました。隠れて見ていた文四郎と真一が止めに入りましたが、歯が立ちません。そこに又兵衛が馬を駆って来ました。廉姫を追って来たのでした。又兵衛はその剣さばきであっという間に盗賊たちを打ち負かしました。又兵衛の強さに恐れをなし逃げて行く盗賊たちに、又兵衛は持っていた金子を渡し、「これでどこかに仕官せよ」と情けをかけました。廉姫はこの湖畔でいつも又兵衛の無事を祈っていたのでした。そんな廉姫と又兵衛の様子を見た、真一は二人が互いに密かに心の内で想い合っていると感じました。
BALLAD 名もなき恋のうたのネタバレあらすじ:5.真一一家、勢揃い
又兵衛と廉姫が城へ帰った後、真一と文四郎はタイムスリップした場所に到着しました。真一は持っていたドングリを文四郎と共に大クヌギがあった場所に埋めました。そして、真一が昨日書いた両親宛の手紙を箱に入れて土の中に埋めたそのとき、突如、1台の四輪駆動車が現れました。それは真一の家の車で、両親が乗っていました。とうとう、真一一家は戦国時代にタイムスリップしてきました。暁と美佐子は真一を車に乗せ、元いた現代に戻ろうとしますが、戻りません。しかたなく、真一一家は車でお城をめざしました。その途中、又兵衛と廉姫に追いつき、二人は真一の乗っている“自動車”に驚きました。そのとき、先ほどの盗賊の中の二人が現れました。二人は又兵衛の情けに心動かされ、又兵衛の家臣となりました。廉姫は真一らと自動車に乗り、城へ戻りました。城に入った父・暁は、城主・康綱に謁見し、春日家も大倉井も戦国時代という歴史の中で埋没してしまい、表舞台に出てこないことを伝えました。それを聞いた康綱は高虎に娘・廉姫を差し出すという決定を翻し、高虎と一戦交える決意をしました。新た未来からやって来た暁と美佐子を、城の人たちは歓迎しました。真一ら一家はしばしこの時代にとどまることになりました。真一らは仁右衛門、又兵衛の家でひとときの楽しい時間を得ていました。
BALLAD 名もなき恋のうたのネタバレあらすじ:6.激怒した高虎
康綱は高虎に縁談を断る文をしたため、高虎へ送りました。その文を読んだ高虎は激怒しました。高虎は「この高虎より一階の侍大将(又兵衛)を選ぶというのか!」と言い放つと、鬼の形相で高虎は、家臣団に春日攻めの号令をかけました。総勢5千の高虎の大軍が、春日城前に鶴翼の陣をひきました。対して、春日はわずか500という少数で城を守る形になりました。明らかに劣勢で文四郎は不安がりますが、又兵衛は城攻めでは敵は10倍の兵力が必要なので互角と言い、文四郎の気持ちを和らげました。また、又兵衛は戦上手の高虎相手なので、早速、高虎軍の戦意を削ぐため、戦前夜に罠をしかけました。高虎はまんまとその罠にはまってしまいました。高虎は益々、又兵衛への敵意を募らせました。そして、翌日、高虎軍が城に攻め入ってきました。いよいよ戦が始まりました。戦は激戦を極め、高虎軍の攻撃を何とか又兵衛たちは防ぎ、城を守りました。美佐子も城中で、兵士たちの食べ物をつくり、応援しました。ホラ貝の音とともに1日目の対戦が終わりました。何とか又兵衛たちは城を防ぎました。
BALLAD 名もなき恋のうたのネタバレあらすじ:7.又兵衛と廉姫、寄り添う心
その夜、又兵衛たちは評定を開き、翌朝、又兵衛は少数の兵士を連れ、密かに敵の左翼から本陣の高虎まで一気に攻め上るという無謀ともいう策に討って出ることになりました。又兵衛はそれを廉姫に伝えました。又兵衛は真一一家に、一緒に城外へ出て行き、城外に隠している車で逃げるように指示しました。又兵衛がそれのみ伝え、部屋を立ち去ろうとしたとき、真一の母・美佐子は廉姫に「いいの?もう会えないかもしれないのよ」と言いました。又兵衛に真一は駆け寄り呼び止めました。死ぬ覚悟の又兵衛は「自分の守りたいものを命を懸けて守るそれが武士というもの。だから、わしは今が一番幸せなのだ」と言いました。そんな又兵衛に真一は食い下がりました。あまりの真一の熱意に負け、又兵衛は廉姫のもとに戻り「自由にお生きくださいませ」と言いました。廉姫はそう言った又兵衛に「必ず命をつなげ。生きて帰ってきてくれれば、自由に生きよう。そなたと」と言い、抱き寄りました。又兵衛は驚きつつも、覚悟を決めました。その後、真一の父・暁は自分が今できることとして、又兵衛ら武士たちの写真を撮り残してあげました。又兵衛はじめ、武士たち全員の写真を暁は撮り、渡しました。皆、喜びました。
BALLAD 名もなき恋のうたのネタバレあらすじ:8.又兵衛、高虎を討つ
翌未明、又兵衛たちと真一一家は作戦通り、城を出て行きました。途中、真一一家は車に乗り、又兵衛たちと別れました。又兵衛たちは少数の兵士で、日の出と共に作戦通り敵の左翼から奇襲をかけました。序盤、又兵衛たちは優位にたちましたが、いかんせん、敵の兵は多く、次第に劣勢に追い込まれていき、高虎本陣まで行けそうにありませんでした。その様子を見ていた真一は「戦は大将の首を取れば勝ち」という又兵衛の言葉を思い出し、両親に「又兵衛を助けに行こう。もう逃げるのはいやだ」と言いました。その真一の熱意に押され、暁も美佐子も車で又兵衛を援護する決意をしました。暁は四駆を名一杯走らせ、敵を蹴散らしました。又兵衛たちは真一の乗った車の勢いを利用し、高虎の本陣までたどり着きました。驚く敵兵士たちの中、高虎は又兵衛と一騎打ちで勝負を始めました。激闘の末、高虎は槍を又兵衛に落とされ、寸止めで又兵衛が勝ちました。高虎は武将らしく、介錯を又兵衛に求めました。しかし、真一は又兵衛に殺しても何も始まらないと言い制しました。又兵衛は真一の言葉を胸に高虎の髷を刎ね、勝利の雄叫びをあげました。高虎は潔く負けを認め、全軍を撤退させました。春日軍が勝利を収め、国を守りました。
BALLAD 名もなき恋のうたの結末:エピローグ:悲恋、そして「ありがとう」
高虎を討ち負かし意気揚々と又兵衛たちは城へ向かいました。高虎の兵士たちは信じられない様子で撤退していきました。城内の物見やぐらから戦況と見ていた廉姫は、無事帰ってくる又兵衛を待ちきれず、帰ってくる又兵衛のもとに走っていきました。その時、一発の銃声の音がどこからともなく鳴り響きました。すると又兵衛が倒れました。又兵衛が銃弾で撃たれたのです(これは真一が最初にこの時代に来た時の銃弾が時空を巡り、又兵衛を襲ったのです。歴史は変えられないということです)。虫の息の又兵衛は真一に自分の脇差しを与えました。廉姫は泣きながら又兵衛の手を握り、必死でしたが、願いむなしく、又兵衛は息を引き取りました。戦が終わり、川上一族の歴史上での役目は終わりました。廉姫らとの別れの時が来ました。真一は又兵衛の写真を廉姫に渡しました。そして、真一、暁、美佐子は車に乗りました。するとその瞬間、車は消えて亡くなりました。現代に戻った真一一家は、春日城址に行きました。そこには「ありがとう れん」と刻まれた石碑が立っていました。真一は「どういたしまして」と呟き、元気に学校へ行きました。
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