君の名前で僕を呼んでの紹介:2017年イタリア,フランス,ブラジル,アメリカ映画。アンドレ・アシマン原作小説「君の名前で僕を呼んで(call me by your name)」の映画化作品。80年代の北イタリア、とある避暑地。教授である父を持つ17歳の少年エリオ。毎年訪れる別荘に今夏は大学院生のアメリカ人オリヴァーが身を寄せてくる。エリオにとって初めての、そして生涯忘れられない男性同士の恋の痛みと喜びを描く。主演のティモシー・シャラメは本作で数多くの主演男優賞や新人賞を受賞して脚光を浴びた。特に3分半にも及ぶ超長回しのラストショットには心を揺さぶられる。
監督:ルカ・グァダニーノ 出演:アーミー・ハマー(オリヴァー)、ティモシー・シャラメ(エリオ)、 マイケル・スタールバーグ(パールマン教授/エリオの父)、アミラ・カサール(エリオの母)、エステール・ガレル(マルシア)ほか
映画「君の名前で僕を呼んで」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「君の名前で僕を呼んで」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
君の名前で僕を呼んでの予告編 動画
映画「君の名前で僕を呼んで」解説
この解説記事には映画「君の名前で僕を呼んで」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
君の名前で僕を呼んでのネタバレあらすじ:起
1983年夏、北イタリアのとある避暑地。17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、毎年夏になると家族で北イタリアを訪れます。そこには母が相続した17世紀に建てられたヴィラがあり、そこで年に2回は家族でのんびり過ごすことが定番でした。
エリオの父はアメリカの大学でギリシア=ローマの美術史を教える教授をしており、母は翻訳家をしています。両親はエリオに自然に囲まれた環境の中で高い教養に触れさせたいと思っていたのでした。
ヴィラ滞在中、エリオは本を読んだり、ピアノやギターを弾いたり、川で泳いだり、時には夜遊びをしたり、マルシア(エステール・ガレル)とじゃれ合ったり、そんな夏を過ごしていました。
君の名前で僕を呼んでのネタバレあらすじ:承
エリオの父、パールマン教授は毎年ヴィラで共にひと夏を過ごし、自身の研究を手伝ってくれる助手となるインターン生を迎え入れます。今年のインターンに選ばれたのは、博士課程に在学中のオリヴァー(アーミー・ハマー)という24歳のアメリカ人大学院生でした。
オリヴァーはこの夏の間、エリオたち家族と暮らすことになります。オリヴァーが使うのはエリオの部屋。エリオは共用のバスルームを挟んだ隣の部屋を使うことになります。オリヴァーが到着し、部屋について説明するエリオをよそに、長旅の疲れで眠ってしまうオリヴァー。
これまでのインターン生とは違う知性を感じつつも、自信みなぎる雰囲気を持つオリヴァーに少々萎縮気味になるエリオでした。
君の名前で僕を呼んでのネタバレあらすじ:転
完璧な容姿と裏腹に横柄に見えるオリヴァーを次第に疎ましく感じ始めるエリオ。ある日、エリオがギターで弾いていた曲をオリヴァーが褒め、アンコールをお願いされるとわざとアレンジして弾いて見せ、エリオは意地悪をします。
エリオの女友達キアラとダンスをするオリヴァーを見た夜はマルシアを誘い、翌日には良いムードだったとオリヴァーに自慢して聞かせ、オリヴァーを気に入らないと思いつつも同時に気になる存在になってきたのも感じ始めてくるエリオでした。
ある日、母アネラが16世紀のフランス小説をエリオに読み聞かせます。それはある王女に熱烈な恋をした騎士の物語でした。王女に愛を告げることのできなかった騎士はついに王女へ問いかけます。告白すべきか、命を絶つか。その物語はエリオの中にあった何かを確実に突き動かすきっかけとなりました。
オリヴァーと自転車で街まで出かけたエリオは、オリヴァーへの想いを打ち明けます。すると、オリヴァーもまた同じ気持ちだったのです。
君の名前で僕を呼んでの結末
お互いの想いを確認したことで激しく恋に落ちていくふたり。「君の名前で僕を呼んで。僕の名前で君を呼ぶから」とオリヴァー。自分の名前で相手を呼ぶことで、さらに強烈なつながりを深く感じていくのでした。
夏の終わりが近づき、オリヴァーがヴィラを去る日がやってきます。大学のリサーチのためオリヴァーは帰国前にベルガモへ行くことになり、その数日間をエリオとオリヴァーの2人だけで過ごすことを両親から提案されます。草原、滝、夜の静かな街など、2人で訪れる場所が愛しく輝きます。そんな誰にも邪魔されない2人だけの時間にも、別れの瞬間がやってきます。
オリヴァーを乗せた列車が発つと、たまらず母親に電話するエリオ。車で迎えに来た母とも口を聞く気力が出せないままでいました。人生初の悲しく、そして美しく大切な経験をした息子エリオに、父はあたたかい眼差しを向けながら言いました。「早く立ち直ろうと心を削ってはいけない。痛みを葬るな」と。
冬になり再びヴィラを訪れた家族の元に、オリヴァーからの電話がきます。それは来年結婚するという衝撃的な知らせでした。「君との出来事を何ひとつ忘れない」オリヴァーの言葉に暖炉の前で静かに涙を流すエリオでした。
以上、映画「君の名前で僕を呼んで」のあらすじと結末でした。
「君の名前で僕を呼んで」感想・レビュー
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イタリアの避暑地を舞台に、青年のエリオとアメリカからやってきたオリヴァーの儚くも切ないひと夏の恋を描いた作品です。ゆっくりと時間が流れている中で、2人の感情は急速に、激しく燃え上がっていく。恋に落ちる相手は選べない、ということを改めて気づかされます。エリオ演じるティモシー・シャラメの魅惑的な演技が光り、「桃」のシーンなど印象的なシーンが、本作にはたくさん散りばめられています。エリオの純粋な感情が溢れ出すラストシーンは必見です。
人が恋に落ちることは、時代や環境によって左右されるものであるということをとても切ない描写で描いている作品だと思います。
歴史の話をするエリオに、「君はなんでも知っているね」と褒めるオリヴァ―。エリオが「大事なことは何も知らない」とオリヴァ―を諭します。どんなに知識があっても自分の感情をどのように消化し、行動するかは答えの見えない難しい問題であると感じます。
エリオの父親が「自分の感じたことを大切にしなさい」という言葉ががとても印象的でした。
美しいイタリアの夏の景色が、幻のように美しかったです。
個人的に、エリオのファッションがとても素敵でした。