チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~の紹介:2011年フランス,ドイツ,ベルギー映画。マルチ・アーティストのマルジャン・サトラピが自身のコミック「鶏のプラム煮」を題材に漫画家ヴァンサン・パロノーと共同で監督した作品。 あるバイオリニストの波乱に満ちた生涯をファンタジーを交えながら美しく綴っていきます。主演のナセル・アリ役を演じるのは監督としても活躍するフランス人俳優マチュー・アマルリック。ナセル・アリの娘役をマルチェロ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴの娘であるキアラ・マストロヤンニ、ナセル・アリの母役をイングリッド・バーグマンの娘であるイザベラ・ロッセリーニがそれぞれ演じています。
監督:マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー 出演者: マチュー・アマルリック(ナセル・アリ・カーン)、エドゥアール・ベール(死の天使アズラエル/ナレーション)、マリア・デ・メデイロス(ファランギース)、ゴルシフテ・ファラハニ(イラーヌ)、セルジュ・アヴェディキアン(イラーヌの父)、キアラ・マストロヤンニ(リリ)、イザベラ・ロッセリーニ(ナセル・アリの母)ほか
映画「チキンとプラム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「チキンとプラム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~の予告編 動画
映画「チキンとプラム」解説
この解説記事には映画「チキンとプラム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~のネタバレあらすじ:起
舞台はイランの首都テヘラン。バイオリニストのナセル・アリは自身の演奏にふさわしい名器を探して様々な楽器店を渡り歩いています。過去には天才的ヴァイオリニストとして世界に名を馳せたナセル・アリでしたが、現在は思うような演奏ができず、生活にも困窮しています。仕事と幼い子供達の世話に追われ疲弊している教師の妻ファランギースは働かないナセル・アリを罵倒し、夫婦の間には喧嘩が絶えません。夫婦の亀裂が決定的になったのは師匠から受け継いだナセル・アリのバイオリンを妻が叩き壊してしまったことが深く関係していました。ある日ようやく探し求めていた名器に出会ったナセル・アリは期待に胸を弾ませながら演奏してみますが、思い描いたような素晴らしい音を奏でることはできませんでした。絶望したナセル・アリは自殺することを思案し始め、部屋に閉じこもってしまいます。
チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~のネタバレあらすじ:承
ナセル・アリの弟アブディは兄が部屋に閉じこもったと知り、心配して家を訪ねてきます。アブディはなんとか兄を励まそうとしますが、ナセル・アリは頑なに心を閉ざし、弟への恨み言ばかり並べていきます。ナセル・アリは希望に満ち溢れていた青春時代を思い出し始めます。著名な音楽家に師事し音楽を学んでいたナセル・アリはある日街角で出会った女性に一目惚れをします。それは彼がこれまで経験したことのない狂おしいほどの恋心でした。女性を尾行したナセル・アリは、彼女がアンティークショップの娘イラーヌであることを突き止めます。そしてアンティークショップで購入した時計の修理を口実に毎日のように彼女に会いに行くようになります。やがてナセル・アリはイラ―ヌに話しかけることに成功、二人はやがて激しい恋に落ちていきます。
チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~のネタバレあらすじ:転
ナセル・アリが部屋に閉じこもってから数日が流れました。夫の身体が徐々に衰弱しつつあることを感じ取ったファランギースはナセル・アリの大好物であるチキンのプラム煮を作って元気づけることを思いつきます。二人の夫婦仲は冷え切っていましたが、ナセル・アリとの結婚を強く切望したのはファランギースのほうでした。世界的なヴァイオリニストだったナセル・アリに幼い頃から恋焦がれていたファランギースは、成人してついにナセル・アリと彼の家族達と食事する機会を得ます。憧れのナセル・アリを前に舞い上がるファランギースでしたが、ナセル・アリのほうは彼女にまったく興味を感じません。しかしナセル・アリの母がファランギースの気立ての良さを気に入ったことで二人は結婚することになったのでした。ファランギースは出来上がったチキンのプラム煮を夫の部屋まで運びますが、ナセル・アリは食欲がないと拒絶します。ナセル・アリは大切なバイオリンを叩き壊した妻のことをどうしても許すことができませんでした。夫の愛を得られなかったファランギースは子供達を必要以上に厳しく躾けますが、長女リリと長男キュロスの未来も決して明るいものではないのでした。
チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~の結末
死を待ち望んできたナセル・アリの前に死の天使アズラエルが現れます。彼の人生における唯一の心残りは最愛のイラーヌとの結婚が叶わなかったことでした。イラ―ヌと深く愛し合うようになったナセル・アリは彼女の父に結婚の許しを貰いにいきますが、イラ―ヌの父は無名の音楽家と娘の結婚を許してはくれず、失意の中で二人は別離します。皮肉なことにその悲しみを演奏に託せば託すほど彼のバイオリンには深みが増し、やがてナセル・アリは素晴らしい演奏家として成長したのでした。その後イラ―ヌは父の勧めた相手と結婚しますが、ナセル・アリを忘れることはありませんでした。二人が別離してから数十年の歳月が流れたある日ナセル・アリは街角で孫を連れたイラ―ヌと再会します。懐かしさからイラ―ヌに話しかけるナセル・アリでしたが、イラ―ヌは彼を覚えていないふりをして足早にその場を去ります。角を曲がったイラ―ヌは慕い続けてきたナセル・アリとの再会に人知れず涙を流すのでした。ナセル・アリはその波乱に満ちた人生に幕を降ろしました。イラ―ヌは遠くから彼の葬儀を見守り、愛した男の死を静かに悼むのでした。
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