コード:アンノウンの紹介:2000年フランス,ドイツ,ルーマニア映画。「ファニーゲーム」で大きな衝撃を与えたミヒャエル・ハネケ監督が手掛けた初のフランス語作品。日本未公開作品ながらハネケファンには評価の高い作品になっています。「いくつかの旅の未完の物語」という冒頭の言葉、何の意味か分からない手話等ハネケらしさが爆発した作品とも言えます。
監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:ジュリエット・ビノシュ(アンヌ)、ティエリー・ヌーヴィック(ジョルジュ)、ヨーゼフ・ビアビヒラー、アレクサンドル・ハミド、ほか
映画「コード:アンノウン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コード:アンノウン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「コード:アンノウン」解説
この解説記事には映画「コード:アンノウン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コード:アンノウンのネタバレあらすじ:起
冒頭、聾唖の子供達が皆の前でジェスチャーゲームをやっています。おのおのが手話で答えを解答していきますがなかなか正解に辿り着きません。
多忙を極める女優アンヌ(ジュリエット・ビノシュ)のもとに報道カメラマンの恋人ジョルジュ(ティエリー・ヌーヴィック)の弟ジャンがやってきます。実家の農家を継ぐようにと言われた父に反発し家を出てきたのでした。アンヌは素っ気なく応対します。そんなアンヌの態度に機嫌を損ねたジャンはその苛立ちをぶつけるかのようにもらったパンの包み紙を物乞いの女にぶつけるのでした。
その一部始終を見ていた黒人青年のアマドゥに咎められます。それに対しジャンは激昂し騒ぎは大きくなってしまいます。警官がやってきてアマドゥはジャンがやったことを声高に訴えますが黒人を偏見視されたのかアマドゥは取り押さえられ逮捕されてしまいます。
コード:アンノウンのネタバレあらすじ:承
戦場カメラマンのジョルジュはコソボから帰国後、レストランで懇親会を開きます。そこで友人の女性にジョルジュの写真を批判されることになってしまいます。それにジョルジュは「確かに」としか答えられません。以降ジョルジュは隠し撮りを始めます。地下鉄で向かい合った乗客の写真を撮り捲るのでした。
そんなジョルジュは畜産農家の父には全くの無関心です。だから父の期待はますます弟のジャンに向かいます。あらゆる手段をもってしてもプレッシャーが重いジャンは家出を繰り返していきます。全てを諦めたかのように父は手塩にかけて育てた牛を全て殺してしまいます。そんな父を見てもジョルジュは無関心を貫くのでした。
アンヌは女優なので真実でない姿を常に演じています。そんな彼女の至福の時は自宅でアイロンをかけている時でした。彼女がいつものようにアイロンをかけていたある日子供の悲鳴のような声を聞いてしまいます。その時は気にも止めなかったアンヌでしたが、後日ドアに挟まっていたメモを見て幼児虐待を確信してしまいます。メモの字に見覚えのあったアンヌは向かいに住むベッケルという老婦人を訪ね、真相を探ろうとするも老婦人にははぐらかされてしまいます。
不安な気持ちが晴れないアンヌはジョルジュにその事を相談しますが、冷たくあしらわれてしまいます。たまらずアンヌはジョルジュに誰かを幸せにしたことがあったか?と問いますがジョルジュは「ない」と答えます。このことからアンヌのジョルジュへの気持ちは急速に離れていくことになります。
後日アンヌの不安が現実になりました。はっきりとは明言されませんが虐待により幼い命が失われてしまったようです。葬儀に参加したアンヌも老婦人も無力感で一杯になってしまうのでした。映画の中では強く良き母を演じていたアンヌも現実にはこれほどまでにも無力だという現実がより突き刺さってしまうのでした。
コード:アンノウンのネタバレあらすじ:転
物乞いの女を正義感で救おうとしたにも関わらず不当拘束されていたアマドゥ。家族は白人社会の厳しい洗礼に苦しまされています。しかしアマドゥは白人社会に積極的に溶け込もうとしているのでした。ジョルジュが隠し撮りをした写真の中に白人女性と堂々とデートをするアマドゥの姿がそれを物語っていました。そんなアマドゥは妹の通う聾唖学校の太鼓を打ちならす授業のサポートもしていたのです。
アマドゥの一件で母国ルーマニアに強制送還されてしまった物乞いの女マリア。帰国しても生活に安定が得られるわけでもなく、再び不法入国を余儀なくさせる、そして再び物乞いを始めようといつもの場所に戻るももう別の物乞いが占拠していました。しかたなく他の場所で物乞いをしようとするも周りの者に疎まれ追い返されてしまいます。とうとうマリアは居場所を失ってしまいました。
コード:アンノウンの結末
アンヌは地下鉄でアラブ系の若いチンピラ二人に絡まれてしまいます。周りの人は見て見ぬふりで誰も助けてくれません。皆巻き込まれるリスク、煩わしさと恐怖を恐れ何もできないのです。若いチンピラの一人がアンヌに唾を吐き掛けた時にようやく初めて彼らと同じアラブ系の初老の男性が怒りを見せ一喝し、騒ぎを終息させました。アンヌはありがとうと一言絞り出すように言うだけで、後はすすり泣いていました。
アマドゥがサポートする聾唖学校の子供達による太鼓の音がまるでBGMのようにラストを盛り上げていきます。
地下鉄から出て自宅に向かうアンヌは沈みきった様子です。その後隠し撮りを終えたジョルジュがタクシーで帰ってきます。いつものように暗証番号を押しアパートの扉を開けようとしますが扉は開きません。一旦道路際に下がり窓の方を見上げ、アンヌがいるのを確認するジョルジュ。すぐさま電話ボックスに向かい電話するも繋がらず、すぐ諦め何度も窓を見上げながらタクシーを探すジョルジュ。
ラストシーン、再び聾唖学校の生徒が手話で語りかけています。
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