ダンケルクの紹介:2017年イギリス,アメリカ,フランス映画。1940年、第二次世界大戦初期。フランス最北部ダンケルク海岸でドイツ軍に包囲され逃げ場を失った英仏連合軍。チャーチルはダイナモ作戦によってダンケルクから30万人以上の兵士を撤退させるよう命を下す。防波堤、トミー2等兵は自身の分隊が敵に銃撃され全滅。1人で逃げ、海岸へ逃げ込む。そこで無口なギブソンと出会い、行動を共にする。海では、ダイナモ作戦での民間船徴用のためドーソンが息子のピーターとピーターの友達ジョージと共に自身の小型船でダンケルクへ救出へ向かう。空では、英国軍パイロットのファリアとコリンズがスピットファイア戦闘機で、ダンケルクから出た駆逐艦を狙うドイツ空軍を追撃する。陸の一週間、海の1日、空の1時間をクリストファー・ノーラン監督が得意の時間のトリックを使い、実際に戦いのあったダンケルクで撮影。ダンケルクはノーラン監督初の実話をベースとした物語でCGをほとんど使わず撮られたことでも話題を呼んだ。映画ダンケルクはIMAXカメラで撮影されているため、通常の映画館では上下40%の画面範囲がカットされているため、IMAXシアターでの鑑賞がオススメとなっている。
監督:クリストファー・ノーラン 出演:フィオン・ホワイトヘッド(トミー)、トム・グリン=カーニー(ピーター)、ジャック・ロウデン(コリンズ)、ハリー・スタイルズ(アレックス)、アナイリン・バーナード(ギブソン)、ほか
映画「ダンケルク」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ダンケルク」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ダンケルクの予告編 動画
映画「ダンケルク」解説
この解説記事には映画「ダンケルク」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ダンケルクのネタバレあらすじ:起
第二次世界大戦初期、戦地となったダンケルクの街の空をドイツ軍が撒いた大量のチラシが舞います。そこには「連合軍は降伏せよ」の文字。トミー2等兵(フィン・ホワイドヘッド)は空を見上げ仲間と歩いています。すると突然、けたたましい音と共に四方八方から敵の銃撃。1人、また1人と仲間が倒れていく中、トミーは1人バリケードの中へ飛び込み、なんとか逃げ込みます。自身の分隊は全滅。うつろにダンケルクの浜辺まで出ると、そこにはおびただしい数の兵士たちが脱出のため桟橋から列を作って並んでいました。ふと浜辺に目をやると、命を落とした仲間を砂に埋葬しようとしている青年がいました。トミーはこの無口な青年ギブソン(アナイリン・バーナー)から飲み水をもらい、行動を共にします。列の中には担架で船まで運ばれている者もたくさんいました。けが人は優先的に乗船できることを知った2人は、倒れている兵士を見つけ担架で運びます。たくさんの兵士を分け、必死で出航ぎりぎりの駆逐艦へ乗り込もうとした2人でしたが、あと一歩のところで船から降ろされてしまいます。桟橋に隠れ、脱出の機会を待つ2人。そこを狙うはドイツ軍の容赦ない爆撃。駆逐艦は転覆し、多くの兵士が海へ投げ出されました。トミーとギブソンは転覆した船から泳いできた青年アレックス(ハリー・スタイルズ)を助けます。アレックスはハイヤーラウンダーと呼ばれる高地連隊の2等兵です。3人は爆撃から逃げながらやっとの思いで脱出のため船に乗ります。日が沈み、静かな海に安堵する兵士たち。支給されたパンを頬張るトミーとアレックスでしたが、ギブソンは不安げに1人で甲板に出たままです。胸騒ぎを抱え暗い夜の海に目をやると、大きな魚雷がこちらに向かってきているのが見えます。「魚雷だ!!」ギブソンの叫び声は船内の仲間たちには届かず、船は爆発と共に傾き、多くの兵士が海へ飛び込みます。朝方、ダンケルク海岸へ泳ぎ着いた3人。遠くには自ら命を断つため海へ向かう兵士が見えるものの、絶望と疲労でじっと見つめるしかできません。
ダンケルクのネタバレあらすじ:承
イギリスの小さな港町ではドーソン(マーク・ライアンス)が自分の小型船を出港させる準備をしています。山のように積まれた救命胴衣。ダンケルクで戦っている兵士を救出するために、国から徴用命令が出されたことを息子のピーター(トム・グリン=カーニー)に説明します。出港直前、ピーターの友達のジョージが乗船しようとします。降りるよう伝えたドーソンでしたが、ジョージの人の役に立ちたいという熱意に折れ共にダンケルクを目指します。目的地にだんだん近付くと、転覆した英国船の上に取り残された兵士を見つけます。ロープを渡し兵士を助けるドーソン親子。船に引き上げると震えの止まらない兵士は戦いのショックでお礼も言うことができず、ジョージが差し出した紅茶も叩き落としてしまいます。ドーソンが兵士にダンケルクへ向かうことを告げると、兵士は血相を変え「絶対に行ってはいけない」と戻るよう叫びます。耳を貸さないドーソンに苛立った兵士は船を奪おうと争いになり、勢いからジョージを突き飛ばしてしまいます。頭から流血したジョージは意識朦朧の中、ピーターに「新聞に載るのが夢だった。自分たちのことを世に伝えてほしい」と言い気を失います。
ダンケルクのネタバレあらすじ:転
ダンケルク近くの上空、英国戦闘機スピットファイアを操縦する、コリンズとファリアは敵軍の戦闘機を追撃しています。ダンケルクから出た船を狙うドイツ空軍をなんとか食い止めたい2人。激しく攻防を続けます。そんな中、コリンズの乗った戦闘機が銃撃されてしまいます。コリンズはパラシュートで脱出するのではなく、水面に不時着することを選びました。ところが、着水はできたものの衝撃によりハッチが開かず、脱出することができません。みるみる水没していく機体と、浸水していく機内。そこにちょうど通りかかったドーソンの船に助けられます。ピーターはハッチのガラスを叩き割り間一髪のところでコリンズを救出しました。
ダンケルクの結末
ダンケルク浜辺、トミー、ギブソン、アレックスの3人は足早に移動するハイヤーラウンダーの小隊と遭遇します。聞けば、敵と自陣の境界線近くに座礁している商船を見つけたとのこと。船で待機し潮が満ちれば脱出できると希望を抱きます。ところが時間になってもなかなか潮は満ちません。潮の流れがが変わったのです。そうこうしているうちに船は銃撃にあいます。何も喋らないギブソンは仲間からスパイだと言われ、船を軽くするために降りるよう迫られますが迫られますが断固として拒みます。ギブソンはスパイではなく、フランス兵でした。救助はイギリス人が優先されるため、埋葬したイギリス兵から兵服とネームタグを奪ったのでした。やがて船は海に浮き、銃弾で空いた穴から浸水が始まります。船は沈没し始めますが海に潜り必死で泳いだ兵士たちはなんとか逃げ切ることができましたが、ここでギブソンは脱出が遅れ命を落とします。ダンケルク海岸にはとてつもない数の民間船が集まってきました。ドーソンの小型船も次々に兵士たちを救助していきます。ピーターは横たわっているジョージを気遣い、兵士たちに「けが人がいるから気をつけて」と言いましたが、兵士からすでに死んでいることを告げられます。燃料がなくなり帰る選択のなくなったファリアはダンケルクの浜辺へ不時着します。着陸するとすぐスピットファイアに火をつけ燃やし、潔くドイツ軍へ捕まります。こうして多くの兵士たちが民間船を中心とした救助船に助けられ、故郷へと帰ります。「よく頑張った」と言う盲目の老人に、アレックスは「何もしていない。生き残っただけ」と答えます。老人は「それで十分だ」と言うのでした。ピーターは帰国後、ジョージの写真を持って新聞社を訪れます。後にジョージの勇気は新聞に載り、讃えられるのでした。汽車でホームタウンへ向かうアレックスはトミーに逃げたことを非難されるだろうと不安を告げます。駅に着くと配られた新聞には、ダンケルク海岸で戦った兵士たちに賛辞を述べる記事が書かれているのでした。
以上、映画ダンケルクのあらすじと結末でした。
ダンケルクの戦いとは。その後どうなったのか
ダンケルクの戦いとは1940年5月24日~1940年6月4日に繰り広げられた史上最大の撤退作戦。1939年にドイツ軍がポーランドへ侵攻、これに対しイギリス・フランスが宣戦布告したことにより第二次世界大戦となります。その後、現在のオランダ・ベルギー・ルクセンブルクもドイツ軍の支配下に置かれたことにより戦線はフランス北部にまで迫っていました。ドイツ軍による強力な兵力に圧倒された約40万人のイギリス・フランスの連合軍兵士たちは、フランス北部のダンケルクという港町へ追い詰められます。約80万人ものドイツ軍勢力に包囲されたイギリス・フランス連合軍。この状況に当時のイギリスのチャーチル首相は撤退命令を下し兵士たちを救う決断をします。この作戦はダイナモ作戦と呼ばれ、1940年5月26日~6月4日の9日間で民間の漁船や貨物船など大小900隻近くが撤退のために手配され兵士を救出しました。官民一体となり史上最大の撤退戦を繰り広げたこの闘いは「ダンケルクの戦い」と呼ばれています。結果的に33万の英仏軍兵士がダンケルクから救出されました。ダンケルクはその後ドイツ軍により制圧されます。フランス軍にはすでに戦闘能力が残っておらず1940年6月22日、フランスはナチス・ドイツと休戦協定を結ぶ。これによりフランスはパリも含め北部・西部をドイツ軍に占領されることとなります。
ダンケルクのキャスト・監督
フィオン・ホワイトヘッド(トミー)、トム・グリン=カーニー(ピーター)、ジャック・ロウデン(コリンズ)、ハリー・スタイルズ(アレックス)、アナイリン・バーナード(ギブソン)、ジェームズ・ダーシー(ウィナント大佐)、バリー・コーガン(ジョージ)、ケネス・ブラナー(ボルトン中佐)、キリアン・マーフィ(謎の英国兵)、マーク・ライランス(ミスター・ドーソン)、トム・ハーディ(ファリアー)、ほか 監督・脚本:クリストファー・ノーラン、製作総指揮:ジェイク・マイヤーズ、音楽:ハンス・ジマー
「ダンケルク」感想・レビュー
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戦争映画って戦場での凄惨な戦いのイメージがあるけど、この映画は戦争を指揮する政治家たちの葛藤や駆け引きが見ることができる。当時のイギリスの政治家たちは国民のためを思って、どうすることが1番いいのかと言うのをよく考えていたんだなと思った。また、よく結果的には勝ったからよかったけど、もしそうじゃなかったらこんな映画もできてはなかっただろうなと思った。
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戦争映画が大嫌いでした。
でも、先頃映画の宣伝でウインストンチャーチルを視て感動を覚え、この映画に興味を抱きました。グロもないし、トムハーディ出演だから視ました。
絶賛も頷けました!最後がホッとして、出演者全員が好きになりました。縁があって視れて良かったです‼️映画館の大画面で観るべき大作でした。この映画を切っ掛けに、戦争映画が嫌いではなくなりました。視て良かったです‼️
戦争映画としてはグロテスクなシーンはほとんどないので、血しぶきや怪我などのシーンが苦手な方も観やすい映画だと思います。セリフも少なく、3つの時間軸がバラバラに描写される序盤は、少し退屈だったり、理解するのに時間がかかるかもしれません。その分、その時間軸が徐々に重なってくる後半は、状況の切迫感とともにパズルのピースがはまるような妙な快感もあり、好きな人はとても気に入る映画だと思います。
戦争を動かそうとする上層部の思惑や大局的なことはほとんど描かれないですが、実際に戦い、逃げ、傷ついた兵士たちの視点が淡々と描かれ、戦争の無常さ、異様さ、そして戦争が終わった後の彼らや彼らの家族のことまで考えさせらる映画です。