ペトルーニャに祝福をの紹介:2019年北マケドニア,フランス,ベルギー,クロアチア,スロヴェニア映画。身なりに無頓着で美人でもなく体型も太めな32歳のペトルーニャ。大学を出ても仕事はウェイトレスしかなく、自分の主義を曲げ努力して臨んだ面接では就活セクハラにあった上に不採用。そんな彼女が帰り道に地元の伝統儀式に遭遇する。それは司祭が川に投げ入れた十字架を追いかけ手に入れた者には幸せが訪れるという女人禁制の儀式。目の前に流れてきた十字架にすがりついたペトルーニャは地元住民や警察から怒りを買い騒動となる。映画の発端となった事件は、2014年に実際に起きた出来事を下敷きにしている。
監督:テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ 出演:ゾリツァ・ヌシェヴァ(ペトルーニャ)、ラビナ・ミテフスカ(ジャーナリストのスラビツァ)、シメオン・モニ・ダメフスキ(検察長官ミラン)、スアド・ベゴフスキ(司祭)、ステファン・ヴイシッチ(若い警官ダルコ)、ヴィオレタ・シャプコフスカ(母ヴァスカ)ほか
映画「ペトルーニャに祝福を」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ペトルーニャに祝福を」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ペトルーニャに祝福をの予告編 動画
映画「ペトルーニャに祝福を」解説
この解説記事には映画「ペトルーニャに祝福を」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ペトルーニャに祝福をのネタバレあらすじ:起
北マケドニアにある小さな町シュティプ。
大学を卒業したものの仕事に就くことができずにいる32歳のペトルーニャは、母ヴァスカに疎ましく思われながら鬱々と実家暮らしをしていました。
そんなある日、ペトルーニャは母親が知人のツテで探してきた面接を、乗り気のしないまま受けることにしました。
面接当日「綺麗な格好に着替えて、25歳と言いなさい」と言うヴァスカ。この言葉にイラ立ちを覚えながらも、友達からマシなワンピースを借りて指定された場所に行くと、そこは大勢の女性がミシンを踏む縫製工場でした。
面接を担当した責任者らしき男性はスマホをいじりながら一言、「42歳に見える」と。縫製経験はない上にミシンを使うこともできないペトルーニャを、男はからかうようにスカートに手を入れました。しかしすぐにサッと引っ込め「お前になんてそそられない」と吐き捨て、ペトルーニャを追い出しました。
ペトルーニャに祝福をのネタバレあらすじ:承
最悪の面接の帰り道、ペトルーニャはキリストの受洗を祝う”神現祭”に参加する男たちの群衆に遭遇しました。
神現祭は東ヨーロッパの東方正教を信仰する国が毎年1月19日の神現祭の日に、司祭が十字架を川に投げ入れ、最初につかみ取った者は1年間幸福に過ごせると信じられている、女人禁制の祭りです。
人波に飲まれ川沿いまで来たペトルーニャは、自分の前に流れてきた十字架を見て、思わず川に飛び込み手に取りました。「取った!!」橋の上にいる司祭に向かい十字架を高くかかげたペトルーニャでしたが、瞬時に男たちに囲まれ、ペトルーニャの手から十字架を奪っていきました。
前代未聞の事態に戸惑う司祭、十字架を巡って混沌とする会場。その混乱に乗じ、ペトルーニャは十字架を奪還して逃亡しました。
ペトルーニャに祝福をのネタバレあらすじ:転
消えたペトルーニャに怒る男たちに、警察署長まで加わり、現場はカオス状態になっていました。
神現祭の取材に来た女性レポーターのスラビツァは、警察署長や司祭に「女性が十字架を取るのは問題なのか?」と尋ねました。騒ぎを起こしたくない警察署長は「君の仕事はイカれた女を追うことか?」と尋ねましたが、スラビツァは「狂った群衆が、彼女を追っている」と反論しました。
一方、ペトルーニャの家では面接に行ったはずの娘がびしょ濡れで帰ってきたことを母ヴァスカはいぶかっていました。しかし、テレビが報じる「田舎町の珍事」というニュースで全てを知り、怒りが爆発。「罰当たり!近所の目があるから出て行け!」と怒鳴る母にペトルーニャは蹴りを入れて「十字架は絶対に渡さない!」と言い放ち、出て行こうとしました。
しかし、ちょうど訪れた警察によってペトルーニャは連行されてしまいました。
ペトルーニャに祝福をの結末
警察署に連れていかれたペトルーニャは、寒いなか長いこと待たされていました。司祭も到着し、ペトルーニャをどう扱うかの話し合いはさらに長引いている様子でした。
一方、十字架を盗られたと主張する男たちは、フラストレーションが爆発する寸前でした。警察署に詰め寄り罵声や脅迫、そして暴力という形でペトルーニャを攻撃していきました。そんなペトルーニャを助けようとするレポーターのスラビツァでしたが、我が手でつかんだ十字架を誰の力も借りずにひとりで守ろうと、スラビツァの差し伸ばした手を払います。
しかし、そのまっすぐな強さを理解してくれる人もいました。若い警察官ダルコです。彼は寒そうにしていたペトルーニャに上着を貸してあげ、彼女の勇気を称えました。この出会いはペトルーニャに自信をもたらし、少しずつ心を溶かしていきます。
また、上司や同僚に取材をやめるよう詰め寄られたスラビツァも、ペツルーニャを助けたい一心でレポートを続けていました。「女性が十字架を取ることの何が問題なのかわからない」とインタビューに答えた男性もいました。
警察署に検事が到着し、いくつかの質疑を交わしたのち、ペトルーニャはやっと釈放されました。
署の前で見送る司祭に、ペトルーニャは十字架を差し出しました。頑なに守り続けていた十字架をあっさり渡すペトルーニャを不思議そうに見つめる司祭。ペトルーニャは「もっと必要な人に渡してあげて」と伝えました。
すがすがしく警察署をあとにしたペトルーニャ。その決意の込められた表情はまるで、自分が信じる神は自分自身だと決めたかのようでした。
以上、映画「ペトルーニャに祝福を」のあらすじと結末でした。
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