吾輩は猫であるの紹介:1975年日本映画。夏目漱石の名作小説「吾輩は猫である」を映画化した市川崑監督による文芸作品。偏屈な英語教師珍野苦沙弥を演じるのは名優仲代達矢、癖の強い仲間達を伊丹十三や左とん平、岡本信人が好演しています。
監督:市川崑 出演者:仲代達矢(珍野苦沙弥)、波乃久里子(細君)、島田陽子(雪江)、伊丹十三(迷亭)、岡本信人(水島寒月)、左とん平(多々良三平)、神山繁(鈴木藤十郎)、篠ひろ子(金田富子)、三波伸介(金田氏)、岡田茉莉子(金田鼻子)、ほか
映画「吾輩は猫である」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「吾輩は猫である」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
吾輩は猫であるの予告編 動画
映画「吾輩は猫である」解説
この解説記事には映画「吾輩は猫である」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
吾輩は猫であるのネタバレあらすじ:起
珍野苦沙弥は少々神経質な中学校の英語教師です。彼の家には美学者の迷亭や理学士の水島寒月といった風変わりな仲間達が出入りしています。苦沙弥の教え子寒月はバイオリンの演奏会で出会った令嬢富子に気に入られたという話をしますが、富子が近所の実業家金田の娘だと知り、苦沙弥は極めて不快そうな顔をします。苦沙弥は阿漕な商売で私腹を肥やす金田を以前から快く思っていませんでした。苦沙弥には可愛がっている飼い猫がいます。元々は野良猫で、名前はまだありません。細君は猫を疎んじていますが、苦沙弥はこの猫を観察することを日々の喜びとしていました。
吾輩は猫であるのネタバレあらすじ:承
ある日金田の妻鼻子が苦沙弥の家を訪ねてきます。娘が心配でならない鼻子は寒月の評判について根掘り葉掘り聞き出そうとしますが、苦沙弥や迷亭は寒月が首くくりの力学について研究しているなどと出鱈目を言って鼻子をからかいます。憤慨した鼻子は出て行ってしまいました。その後寒月が詩人の越智東風や哲学者の八木独仙といった仲間達を連れて訪ねてきます。そして皆で芸術や愛について語りあった後、東風は高浜虚子の俳句を用いた劇を作ってみたいと言い出します。ヒロイン役には苦沙弥の姪っ子雪江の名前が上がりました。苦沙弥の家に出入りする男達にとって容姿端麗な雪江は憧れのマドンナ的な存在です。迷亭が雪江こそ理想的な女性像だと絶賛、一同皆頷きますが、苦沙弥には雪江の魅力がさっぱり分かりません。
吾輩は猫であるのネタバレあらすじ:転
ある夜苦沙弥の家に泥棒が忍び込むという事件が起きました。警察への届け出でバタバタしているところに苦沙弥の教え子の多々良三平が訪ねてきました。三平は金田の元で働くことになったと嬉々として語りはじめ、先生も教師などやめて稼ぎのいい実業家や政治家になったらどうかと進言し、苦沙弥をひどく憤慨させてしまいます。苦沙弥は金田のような強欲な男を心から嫌っていました。学校へ行くと金田富子宛てにある男子生徒が冷やかしの恋文を送ったことが問題になっており、校長は事実ならば退学にすると言い出します。迷亭から生徒を守ることが教師の務めだと進言された苦沙弥は恋文を書くことが法を犯しているわけではないと校長に楯突いてしまい、学校での立場が悪くなってしまいます。さらにこの頃から苦沙弥の家には近くの中学校の野球部のボールが嫌がらせように投げ込まれるようになり、胃弱な苦沙弥の神経を逆なでさせるのでした。苦沙弥の家に入った泥棒が捕まり、程なくして盗品が無事に戻ってくることになりました。盗品を引き取りに警察に出向いた後、苦沙弥は姉の家に一晩泊まることにしました。苦沙弥は手を洗おうと洗面所に行ったところ風呂上がりの雪江と鉢合わせしてしまい、その美しさにしばし見とれてしまいました。苦沙弥は自分が見ているようで何も見ていなかったことを反省します。
吾輩は猫であるの結末
帰省していた寒月が新妻を連れて東京に戻ってきました。寒月は新妻が親の決めた許婚であり、挙式もすでに故郷で済ませてきたと報告しますが、何も知らされていなかった苦沙弥達は驚きます。さらに三平も苦沙弥の家を訪ねてきて富子と結婚することになったと報告します。一同は祝杯をあげることになりました。苦沙弥の猫はどんちゃん騒ぎをしている人間達のそばをすり抜け、廊下を歩いていました。常々苦沙弥達を観察してきたこの猫は他愛ないおしゃべりをして呑気にしているような人間達でも心の中を叩いてみれば悲しい音がするものだと同情していました。猫は胃弱な主人にも気楽に長生きしてほしいものだと心の中で願いました。その後猫はコップに残ったビールを一口飲んだ後、熱くなった身体を冷やそうと水がめの中に飛び込み、あっけなくその生涯を終えました。猫嫌いだった細君が水がめから猫の死骸を救いあげ、涙を浮かべる姿を見て苦沙弥は細君を見直しました。苦沙弥は「吾輩は猫である」という題名の小説を書き始めます。
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