犬神家の一族の紹介:1976年日本映画。戦後間もない日本。大富豪犬神佐兵衛の奇妙な遺言をきっかけに起こる、骨肉の争いを描くミステリー。陰惨な連続殺人の謎に挑む金田一だが、事件には深い愛憎と怨念が渦巻いていた。市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第1作目。
監督:市川崑 出演者:石坂浩二(金田一耕助)、島田陽子(野々宮珠世)、あおい輝彦(犬神佐清/青沼静馬)、高峰三枝子(犬神松子)、地井武男(犬神佐武)、川口恒(犬神佐智)、小沢栄太郎(古館)ほか
映画「犬神家の一族(1976年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「犬神家の一族(1976年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
犬神家の一族の予告編 動画
映画「犬神家の一族(1976年)」解説
この解説記事には映画「犬神家の一族(1976年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
犬神家の一族のネタバレあらすじ:巨額の遺産
舞台は昭和22年9月、架空の土地信州那須市。地元の名士である「犬神製薬」の創始者犬神佐兵衛の死から7ヶ月が経過したこの地に、私立探偵金田一耕助がやって来ました。金田一は到着早々、湖で溺れかけていた野々宮珠世を救出したり、依頼人若林の毒殺事件に出くわしたりと騒動に巻き込まれます。那須警察署に連行された金田一を古館弁護士が訪ねます。古館と若林は佐兵衛の遺言書を厳重管理していましたが、どうやら若林が遺言書を読んでしまったらしく、その内容を恐れて金田一をこの地に呼んだと推測されました。改めて古館に雇われた金田一は、佐兵衛の遺言書について詳しい話を聞きます。遺言書は9人の肉親と、佐兵衛の恩人の孫娘で犬神家に身を寄せている珠世が揃った席で発表される決まりになっています。欠けていた佐兵衛の孫佐清が復員し、現在母松子が彼を迎えに行っています。犬神家には既に佐兵衛の次女竹子と三女梅子の家族が揃っており、あとは松子親子の帰りを待つばかり。しかし松子が連れ帰った佐清は顔を隠していました。彼は戦場で人相の判別もつかないほどの大怪我を負い、首から上をすっぽり白い仮面で覆っていたのです。そしてついに発表される遺言。犬神家の全財産と事業の相続権を象徴する三種の家宝「斧・琴・菊」は、佐兵衛の男孫3人の内1人を夫にすることを条件に、珠世に譲られるという内容でした。それが成されなかった場合の相続人は、青沼静馬という男。遺言書の内容に激怒する犬神一族と困惑する珠世。金田一は遺産を巡って骨肉の争いが起きるだろうと予想します。
犬神家の一族のネタバレあらすじ:動き出した謎
佐清の正体を疑う犬神家の面々は、彼が出征前に神社に奉納した手形を使い指紋を照合しようとします。その頃周辺では様々なことが起きていました。珠世は狂ってしまった懐中時計の修理を佐清に頼むものの無言で突き返され、商人宿柏屋には顔を隠した兵隊服の男が現れます。肝心の手形合わせは松子の反対で実現しませんでした。翌朝、古館からの電話で金田一は犬神家に駆け込みます。竹子の息子佐武が殺害され、その生首が菊人形の首と挿げ替えられていたのです。犯行現場は展望台、胴体は湖に投げ込まれたものと考えられました。そこで珠世のブローチが発見されます。佐武殺害を受け、松子はいらぬ疑惑を晴らすために佐清に手形合わせをさせます。一方珠世は昨晩の出来事を警察に説明します。珠世は昨夜佐武を展望台に呼び出し懐中時計を渡しました。時計の裏蓋に佐清の指紋がついているので、それを奉納手形と照合してもらうためです。時計を渡してすぐに立ち去ろうとした珠世でしたが、佐武に襲われブローチが落ちます。珠世は使用人の猿蔵に助けられ事なきを得ました。捜査を続ける金田一達は柏屋の兵隊服の男にたどり着き、顔を隠した男が2人いるという事実に気づきます。やがて手形の鑑定が終わり、指紋が一致したことから佐清は本人だと証明されました。
犬神家の一族のネタバレあらすじ:犬神家の闇
佐武の通夜の晩、今度は展望台で佐清が何者かに殴られます。更に湖から佐武の胴体が発見されますが、珠世の時計はありませんでした。金田一は犬神家が戦争の度に躍進してきたことに目をつけます。犬神製薬はケシの実から抽出される麻薬を軍部に売って栄えたと語る古館。一方、佐智は薬で珠世を眠らせ、廃屋同然になっている旧犬神邸に連れ込みます。珠世の服を脱がし馬乗りになる佐智。そこへ現れた兵隊服の男が佐智を撃退します。男は猿蔵に電話し、珠世を迎えに行くよう指示しました。金田一は薬学部の教授を頼り、若林が死亡する直前に吸っていた煙草を調べてもらいます。煙草には毒が混入されており、その毒はケシと関係があると突き止めます。翌朝、大雨の中屋根の上で佐智の遺体が発見されます。佐智の首には琴糸が巻きつけてありました。菊と琴というキーワードに、竹子が青沼静馬に関する話を始めます。佐兵衛が50歳を過ぎた頃、青沼菊乃という若い女工が佐兵衛の男児を出産。佐兵衛は静馬と名付けられた赤ん坊に、犬神家の三種の家宝を与えたのです。それに激怒した松子達は、親子が隠れていた農家を襲撃。家宝を取り戻し、激しい暴行を菊乃に加えました。菊乃は斧・琴・菊で犬神一族に復讐すると叫びます。その後菊乃は空襲で死亡し、静馬は出征して行方不明になっていました。
犬神家の一族のネタバレあらすじ:顔を隠した2人の男
犬神佐兵衛の人物像を探る金田一は、那須神社の神官を訪ねます。佐兵衛は行き倒れていたところを先代の神官野々宮大弐に助けられました。そして2人は男色関係に発展しますが、佐兵衛は大弐の妻とも関係を持ってしまいます。2人の間に生まれた娘こそが珠世の母。珠世は佐兵衛の実の孫娘だったのです。一方犬神家では、松子が珠世に佐清と結婚するよう迫っていました。しかし珠世は拒絶し、佐清を冷静に見つめながら「この人は佐清さんではありません」と言い放ちます。蔵の中で向き合った松子に佐清は低く不気味に笑い出し、自分の正体は青沼静馬だと明かします。静馬は戦場で偶然佐清と出会いました。部隊が全滅し顔に酷い傷を負いながらも、静馬は犬神一族への復讐だけを支えに生き延びます。そして佐清になり代わって犬神家を乗っ取るつもりだったのです。その翌日、湖面から足が2本突き出ているのが発見されます。斧で頭を割られたその遺体は静馬でした。仮面を使って本物と偽物が巧みにすり替わっていたと気づく金田一。一方、珠世の部屋に兵隊服姿の佐清が現れます。泣きながら縋り付く珠世を抱きしめ、佐清は犯行を自供する手紙を託し去っていきます。旧犬神邸で逮捕された佐清は、静馬を脅して協力させ弟達を殺害したと自白します。しかし逆だと反論する金田一。佐清は自分の偽物が犬神家に入り込んだのを知り、穏便にすり替わるため屋敷に忍び込みました。そして偽物である静馬と会っている最中、佐武殺害を目撃したのです。佐清は犯人を庇うため、静馬に脅迫される立場に追い込まれます。真犯人は松子だと告げる金田一に、佐清は泣き崩れるのでした。
犬神家の一族の結末:犬神佐兵衛の怨念
金田一は松子を訪ね、彼女の犯行を次々暴いていきます。若林を買収して遺言書の内容を知った松子は、遺産を佐清に独占させるために邪魔な甥達を殺害したのです。菊人形や琴糸の細工をしたのは佐清と静馬でした。佐清が犬神家へ連れて来られ、親子は5年ぶりの再会を果たします。関係者が全員揃った席で、金田一は「全てが偶然の集積」だったと語ります。珠世の時計は松子が持っていました。松子は妹達に謝りながら、父の怨念から逃れられなかったと懺悔します。古館が佐清の弁護を、珠世が佐清の帰りを待つと約束すると、松子は安心したように煙草を深く吸いその場に倒れました。彼女は若林を殺害したものと同じ毒で自殺したのです。5人もの死者を出した事件は終わり、金田一が東京に戻る日がやって来ました。見送られるのが苦手な金田一は予定より早い汽車に飛び乗り去っていきます。汽車の音が響き、この映画も終幕を迎えます。
以上、映画犬神家の一族のあらすじと結末でした。
「犬神家の一族(1976年)」感想・レビュー
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TSUTAYAでのジャケットとレビューを見て手に取りました。湖から足が浮いているあのシーンは衝撃でしたね…。自分は金田一少年世代なので、耕助ジッチャンを見ることができたのは嬉しかったです。過去のシーンの描写の仕方など今にはない表現でした。ストーリーも展開が進むにつれ金田一耕助の推理力や雰囲気の魅力が増していくように感じられました。最初は重々しい感じでしたが、ラストの汽車のシーンは爽快感すら感じました。
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公開日だったかな、TBSラジオ 土曜ワイド
ラジオ東京 のなかで おすぎとピーコが
口汚く けなしておりましたなあ!
今となっては なつかしい思い出ですわ。 -
美しさと醜さ、愛と憎しみ
表裏一体を描き出している映像美。崇高なる音楽にのせて日本映画の最高峰を堪能しました。
小学校のプールで「犬神家!」と真似をした記憶があります。年がわかりますね。あの物悲し気なテーマ曲も印象的ですが、「愛のテーマ」というタイトルだと知っていましたか? 全曲通して聴くと、「愛」っぽいきれいなメロディが出てきます。この映画、キャスティングがいいです。特に石坂浩二の金田一耕助! 私は映画を観てから原作の小説を読みましたが、ぴったりはまっていました。