鍵の紹介:1959年日本映画。谷崎潤一郎の同名小説を題材にした作品。精力減退に悩む初老の古美術鑑定家は娘の婚約者に妻を誘惑させることで欲望を取り戻そうとする。名匠市川崑監督が描くセンセーショナルかつ官能的なサスペンス映画です。第13回カンヌ国際映画祭にて審査員賞を勝ち取りました。
監督:市川崑 出演者:中村鴈治(剣持)、京マチ子(郁子)、仲代達矢(木村)、叶順子(敏子)、北林谷栄(はな)、菅井一郎(石塚)、倉田マユミ(小池)、ほか
映画「鍵」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「鍵」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
鍵の予告編 動画
映画「鍵」解説
この解説記事には映画「鍵」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
鍵のネタバレあらすじ:起
老年期を迎える古美術鑑定家剣持は近頃めっきり精力を失い、焦りを感じています。彼には郁子という若く美しい妻がいますが、剣持は郁子に隠れて大学病院の博士の元で精力を回復させる注射を打ってもらっています。剣持は博士の助手でインターンの木村を娘敏子の結婚相手に迎えたいと考えていますが、プレイボーイの木村はすでに敏子といい仲になっています。ある夜木村は実家から送られてきたカラスミを届けるため、剣持家を訪ねます。
鍵のネタバレあらすじ:承
剣持は木村の来訪を喜び、家族や木村にしきりに酒を勧めます。敏子はどこか白けた様子で早々と席を立ちますが、夫に従順な郁子は勧められるまま酒を飲み続けます。郁子は上機嫌のまま席を外しますが、いつまで経っても戻ってきません。郁子は風呂場で脳貧血を起こし、バスタブの中でぐったりしていました。駆けつけた剣持は裸の郁子を抱き上げ、脱衣所へ連れて行きます。木村は郁子のなまめかしい裸体を目の当たりにし狼狽しますが、部屋まで郁子を運んでほしいと剣持から頼まれてしまいます。郁子は大事には至りませんでしたが、剣持はあくる日から毎日のように木村に郁子の診察を依頼します。剣持は意図的に木村と郁子を近づけ、己の嫉妬心や欲望を掻き立てようとしているのでした。ある日木村は巷で流行しているポラロイドカメラを剣持に貸します。剣持は毎晩のように郁子を泥酔させてはポラロイドカメラで郁子の裸体を撮り始めます。
鍵のネタバレあらすじ:転
剣持からフィルムの現像を依頼された木村は郁子の淫らな裸体写真を見て強い衝撃を受けます。その後木村と連れ込み旅館にやってきた敏子は木村から母の裸体写真を見せつけられ動揺します。郁子は父の悪趣味な性癖を軽蔑しながらも、母に対抗するかのように自分から木村を誘い、二人は情交を結びます。両親と暮らし続けることが苦痛になった敏子は一人暮らしをすると言い出し、家を出て行ってしまいます。一方郁子は木村に惹かれ始め、木村も郁子の肉体を己のものにしたいという欲求に駆られていきます。郁子は頻繁に外出するようになりますが、剣持は恋をして一段と美しくなっていく妻を誇らしげに見守り続けます。敏子は剣持に母と木村が不貞関係にあることを教えようとしますが、剣持は貞操な妻が一線を越えることはないと信じこんでいるのでした。高血圧症を患う剣持はめまいや記憶障害などの症状に悩まされるようになります。女中のはなは剣持の身体を心配し、知り合いの按摩を紹介します。先が長くないことを悟った剣持は家に木村を呼び寄せ、敏子との結婚の日取りを決めたいと言い出します。その夜剣持は久しぶりに郁子を抱きますが、事の最中に脳卒中を起こして倒れてしまいます。剣持の病状は思わしくなく、郁子と看護師が交代で看病にあたります。しかし郁子は裏口の鍵を木村に渡し、看病の合間を縫っては離れの部屋に木村を誘い込みます。郁子は結婚したらこの家で開業すればいいと木村に告げ、二人は情交を重ねます。
鍵の結末
ある夜郁子が夫に食事を持っていくと、剣持は裸が見たいと妻に手で合図をします。郁子は身体に毒だからと言いながらも着物を脱ぎ始めます。剣持は妻の裸体を凝視しながら息を引き取りました。郁子は動かなくなった夫を見下ろしながら死んだと心底嬉しそうに呟きます。その後葬儀がしめやかに執り行われますが、剣持の財産だと思われていた骨董品の数々はすべて借り物で、屋敷も抵当に入っていることが判明します。郁子は敏子と木村を招いて慰安会を開きます。母への憎しみを募らせる敏子は台所の棚から農薬の入った筒を開け、紅茶の中に入れて、郁子を毒殺しようとします。しかし筒の中身は女中はなによってすり替えられており、まったく利きません。その後三人ははなが持ってきたサラダを食べはじめますが、奇妙な味に違和感を感じながら、バタバタと倒れていきました。剣持に同情したはながサラダに農薬を盛り、三人を殺害したのでした。はなは刑事達に殺人を自白しますが、取り合ってもらえず、事件は皮肉にも主人を失い悲観した三人の後追い自殺として処理されてしまうのでした。
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