君は永遠にそいつらより若いの紹介:2020年日本映画。芥川賞受賞作家・津村記久子のデビュー作であり、第21回太宰治賞受賞作である同名小説を映画化したヒューマンドラマです。 児童福祉の就職に内定し、日々をただ何となく過ごしてきた女子大生が、暴力や児童虐待、ネグレクトといった社会の闇と向き合ううちに成長していく姿を描きます。
監督:吉野竜平 出演者:佐久間由衣(堀貝“ホリガイ”佐世)、奈緒(猪乃木“イノギ”楠子)、小日向星一(吉崎“ヨシザキ”壮馬)、笠松将(穂峰“ホミネ”直)、葵揚(安田“ヤスダ”貴一)、森田想(岡野“オカノ”あかり)、宇野祥平(江藤“エトウ”敏光)、馬渕英里何(杉田“スギタ”千鶴)、坂田聡(八木“ヤギ”圭介)ほか
映画「君は永遠にそいつらより若い」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「君は永遠にそいつらより若い」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
君は永遠にそいつらより若いの予告編 動画
映画「君は永遠にそいつらより若い」解説
この解説記事には映画「君は永遠にそいつらより若い」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
君は永遠にそいつらより若いのネタバレあらすじ:起
和歌山県出身のホリガイ(佐久間由衣)は東京の大学に通う22歳の女子大生です。卒業を間近に控え、児童福祉の職に内定しているホリガイは大学・バイト先の酒造工場・下宿先を行き来するだけの日々をただ何となく過ごしていました。
そんなある日、ゼミのコンパに参加したホリガイは、未だに自分が処女であることをからかわれました。他の参加者から絡まれたホリガイは友人のヨシザキ(小日向星一)のところに逃げ込み、そこでヨシザキが連れてきていた男子学生のホミネ(笠松将)と知り合いました。
ホミネは自宅マンションの階下に住むネグレクトの子供・翔吾(藤原陽人)を独断で保護し、警察に誘拐犯と誤認されていたのです。疑いの晴れたホミネはヨシザキに迎えられ、そこでホリガイと出会ったのです。ホミネからなぜ児童福祉司になりたいのかと尋ねられたホリガイは、話すと長くなるので後日改めて話すと返しました。
ホリガイの卒論のテーマは「人の生まれ育った環境と将来の夢」でした。ホリガイは学校の友人たちに卒論のためのアンケートを取っていきましたが、その過程でイノギ(奈緒)という女子大生と出会い、たちまち交流を深めていくようになりました。
君は永遠にそいつらより若いのネタバレあらすじ:承
ホリガイはイノギと二人で飲みに繰り出し、酔い潰れてしまったところをイノギの下宿先に連れて行ってもらいました。その後、ホリガイはイノギと共にゲームに興じていましたが、自分はゲームは好きではなく、戦う前から負けることを前提にして生きてきたと語り出しました。
ホリガイは小学生の頃、男子児童と喧嘩した時のことを打ち明けました。その喧嘩は明らかに相手に非があったのですが、もう一人の男子児童が現れてホリガイに殴りかかり、ホリガイは二人がかりでボコボコにされてしまったのです。イノギは親身になって聞いてくれました。テレビでは失踪したまま未だに見つからない少年の件が報じられていました。
それから程なくして、ホリガイはヨシザキからホミネの突然の訃報を聞かされました。彼はバイク事故に遭ったとのことでした。この頃からヨシザキは態度が変わり、ホリガイに対して「お前は人に頼ってばかりだ」と怒鳴るようになりました。
3ヶ月後にバイトを辞めるホリガイの代わりにヤスダ(葵揚)が研修についていたのですが、ヤスダはここ最近仕事に顔を出さなくなっていました。ヤスダのアパートを訪れたホリガイは彼の悩みを聞き、自分の下宿先に招いたところでイノギと出くわしました。
ホリガイとイノギはヤスダが眠りこけた後も夜遅くまで互いの胸の内を語り合いました。イノギからなぜ児童福祉司になりたいのかと尋ねられたホリガイは、以前イノギの部屋に上がった時に見たテレビの話をしました。
少年が失踪した当時、ホリガイはどうしても少年のことが気になり、いつか捜し出してあげようと思ったのがきっかけだと語りました。ホリガイはもし少年と会話できるのなら、少年を弄んだ連中と対比して「君は永遠にそいつらより若い」と声をかけてやりたいと話しました。
イノギは「その言葉で十分だよ」と語り、今まで誰にも打ち明けたことのない秘密を明かしました。イノギがいつも髪の毛で隠している耳には一生消えることのないであろう壮絶な傷跡があったのです。それを見たホリガイは強い衝撃を受けました。
君は永遠にそいつらより若いのネタバレあらすじ:転
いよいよ卒業の日が近づき、ホリガイはバイト先の工場で送別会をしてもらいました。しかし、ホリガイは自分がいなくなってもこの工場は止まることなく進んでいくだけだという心境を感じ取っていました。
何とか卒論を完成させたホリガイはヨシザキに呼び止められました。ヨシザキの口から語られたのは、ホミネの死は事故ではなく自殺だったというのです。ホミネの故郷・島根で営まれた葬式でヨシザキはホミネの弟(小林喜日)から事情を聞き、ホミネに対して何もしてあげられなかったことで自分を責めてしまい、ついホリガイにも辛く当たってしまったのです。
そして迎えた卒業式の日。ホリガイはイノギからのメールで一緒に牡蠣鍋を食べようと誘われました。イノギの家に向かおうとしたホリガイはヨシザキと出くわし、ホミネの部屋を整理したので明日にでも形見分けを持って帰ってほしいと告げられました。ホリガイは考えておくと返し、イノギの家で一緒に食卓を囲みました。
ホリガイはイノギに、胸に抱え込んでいた不安を打ち明けました。ホリガイは自分は普通の人が持っている根本的な部分が欠落していると感じており、普通の人が普通に気がつくことが自分に出来ないことに悩んでいました。
その結果、自分は未だに処女であり、そんな自分は他人の人生に介入する資格すらないと考え込んだホリガイはイノギの耳の傷にも気付いてあげられなかったことを後悔していました。
イノギは突然ホリガイにキスをし、耳の傷のことについて語り始めました。イノギは中学生時代、学校帰りに何者かに連れ去られて凄惨な暴力を受け、血まみれのまま河川敷に放置されたのです。その時、自分を見つけて助けてくれた女の子はどこかホリガイに似ていたというのです。その夜、ホリガイはイノギと愛し合いました。
翌朝、ホリガイはヨシザキからホミネの遺書を受け取りました。ホミネは最後まで翔吾のことを気にしていたのです。意を決したホリガイは翔吾の部屋に向かい、玄関のベルを鳴らしましたが何の反応もありませんでした。ホリガイはヨシザキの制止を振り切って階下のベランダに飛び移り、ガラスを割って中で振るえていた翔吾を保護しました。
その後、翔吾は児童施設に保護されましたが、ホリガイはイノギとは連絡が取れなくなっていました。
君は永遠にそいつらより若いの結末
3ヶ月後。ホリガイは故郷の和歌山に戻り、児童相談所で勤務していました。ある日、意を決したホリガイはイノギの暮らす小豆島へと向かいました。イノギは大学を休学し、祖母の住む小豆島に戻たのです。
小豆島へ向かうフェリーの船内で、ホリガイは久しぶりにイノギと電話で会話を交わしました。ホリガイはイノギのことは今でも、これからも気にしていることを伝え、イノギは逢えるのを楽しみにしていると返しました・・・。
ホリガイは職場の上司・エトウ(宇野祥平)と共に、虐待が疑われる児童の安否確認のため対象世帯を回っていました。ホリガイはとある少女の家に着くと、「何がなんでも安否を確認するぞ」と言うエトウの言葉を受けて玄関のベルを鳴らしました。
以上、映画「君は永遠にそいつらより若い」のあらすじと結末でした。
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