映画「キングダム 運命の炎」解説
この解説記事には映画「キングダム 運命の炎」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キングダム 運命の炎のネタバレあらすじ：起
時は紀元前。7つの国による中華統一の抗争が500年にもわたって繰り広げられていた春秋戦国時代後期の中国。
天下の大将軍になるという夢を追い求める秦国軍の若き戦士・信は蛇甘平原の戦いで初陣を飾り、“百人将”への出世を果たしました。信は伝説の大将軍である秦国六大将軍のひとり・王騎に修行を申し出、王騎は部族同士の抗争が絶えない荒野の地の平定を試練として命じました。信は期待に応えて抗争を収め、王騎は自ら修行をつけることにしました。中華統一を目指す秦国の若き王・嬴政は忠臣・昌文君の報告を受け、嬴政は信は必ず大きくなって戻ってくると語りました。
紀元前224年。秦国の北東に位置する国境の町・関水に隣国の趙軍が10万を超える大軍をもって侵攻してきました。秦国は折しも韓に大軍を派兵しており、現地に駆けつけられる戦力はありませんでした。趙国・趙荘軍の副将で誉れ高き軍師である馮忌は関水を陥落させ、趙荘軍の副将・万極は老若男女問わず関水の民を虐殺しました。趙国は嬴政が秦国王となる前、秦国軍が降伏した趙国軍の捕虜40万を虐殺した“長平の大虐殺”の恨みを抱き続けていたのです。
秦国の王都・咸陽では、嬴政が丞相・呂不韋、呂不韋の重臣“呂氏四柱”の秦国軍総司令官・昌平君と猛将・蒙武を招集して軍議を始めました。昌文君は嬴政に成り代わって秦国の実権を獲ろうと目論む野心家の呂不韋に一抹の不安を抱えました。
呂不韋は秦国民に緊急の徴兵をかけ、何とか8万人が集まりましたが、大半は戦いに不慣れな農民の寄せ集めでした。呂不韋は蒙武を秦国軍の総大将に推薦しましたが、昌文君は蒙武は攻に長けるが守が弱いと反対、最近は戦から遠ざかっているものの攻守の両方を兼ね備えた王騎を総大将に推薦しました。王騎は副官・騰と信を引き連れて軍議に顔を出しましたが、蒙武は王騎を過去の遺物だと吐き捨てました。それでも軍議は王騎を総大将とする方向となり、蒙武は苛立ちながら帰っていきました。
王騎はその場の者全員に退室を求め、嬴政と二人きりで話し合いをすることにしました。信は物陰に隠れてこっそり二人のやり取りを聞くことにしました。王騎は嬴政になぜ中華統一を目指すのか真意を問うと、嬴政は“ある人”と約束をしたことを明かしました―――。
キングダム 運命の炎のネタバレあらすじ：承
―――7年前。秦国の先代国王・子楚と趙姫の間に生まれた若き日の嬴政は趙国の王都・邯鄲で人質として過ごしていましたが、長平の大虐殺で秦国に恨みを持つ趙国の民から凄惨な暴力を受け続けていました。同じ頃、秦国では当時の王だった昭王が崩御し、昭王の子・安国君が新王として即位しました。安国君の子で嬴政の父である子楚は呂不韋の手引きにより、安国君の次の王となる太子として秦国に戻っていきました。
子楚が秦国王になることが趙王に知られたら嬴政は抹殺されるため、秦国は趙国に潜入させた分官の道剣の指揮のもと嬴政を秦国へ脱出させる計画を実行に移しました。道剣は現地の闇商人・紫夏とその仲間・亜門と手を組み、嬴政を荷物を積んだ馬車の中に紛れ込ませて邯鄲から脱出しました。
嬴政は途中で趙兵が放った矢で手に重傷を負わされましたが、一行は何とか趙国の5つの関門を突破することに成功しました。しかし、趙国民からの暴力により五感が損なわれ、精神に異常をきたしていた嬴政は自分は王になってはいけない人間だと思い込み、馬車から突然逃げ出してしまいました。紫夏は嬴政を強く抱きしめ、自分が嬴政の五感の代わりになると約束しました。
ところが、嬴政の脱出計画は既に趙国側に察知されており、嬴政一行は趙国軍の騎馬隊の襲撃を受けました。道剣と亜門は討たれ、紫夏は猛攻を受けながらも必死で嬴政を守り続け、ようやく秦国軍との合流地点に辿り着きました。秦国軍に保護された嬴政でしたが、全身を弓と槍で貫かれた紫夏はもはや虫の息であり、嬴政は誰よりも良い王になれると言い残して絶命しました―――。
―――嬴政は王騎に、自分のために犠牲になった紫夏たちのためにも中華統一を果たして戦乱を終わらる決意を語りました。嬴政の強い覚悟を受け止めた王騎は総大将の任を引き受け、昭王から託されていた“伝言”について語り始めました。
キングダム 運命の炎のネタバレあらすじ：転
王騎を総大将、蒙武を副将とする秦国軍8万は趙国軍の待つ馬陽へ向けて進軍を開始しました。百人将を務める信は共に修行を積んだ渕と伝説の暗殺一族“蚩尤”の羌瘣を副将に任じ、信と同じ故郷の尾平と尾到の兄弟、戦場での経験豊富な伍長・澤圭、信たちと共に蛇甘平原の戦いを生き残った百戦錬磨の沛浪、腕っぷしの強い大男・竜川など荒くれ者、強い者たちを集めて王騎直属の特殊部隊を編成しました。
馬陽に着いた秦国軍は王騎軍の軍長のひとり干央率いる左軍1万、王騎と蒙武が率いる中央軍4万、王騎軍の軍長のひとり鱗坊率いる右軍に分かれて趙国軍と対峙しました。対する趙国軍も馮忌率いる左軍2万、総大将の代理を務める趙荘の中央軍2万、万極率いる右軍4万と展開しました。
戦いは蒙武の軍が先陣を切り、力で趙国軍の守りを蹴散らしていきました。右軍・中央軍・左軍いずれにも属しない信の百人隊に王騎は奇襲作戦の任務を与えました。それは両軍が戦っている側面から攻撃を仕掛け、馮忌の首を盗るというものでした。王騎は信の百人隊に“飛信隊”と名づけました。
飛信隊は飛信隊は秦左軍と秦中央軍の間の険しい岩山に登り、信は寄せ集めの隊士たちを激励し続けました。戦いは秦左軍が趙右軍を押す展開で進み、趙右軍を率いる馮忌は軍を下げ始めました。昌文君の副官にして秦国軍の千人将・壁は趙右軍の動きに不信感を感じましたが、怪しいと感じて干央を止めるが、干央は趙国軍が撤退したと判断して更に進撃を続けました。これは馮忌の仕掛けた罠であり、まんまとはめられた秦左軍は趙右軍に左右から挟み込まれてしまいました。
飛信隊は趙右軍の目が秦左軍に向いている一瞬の隙を付き、隊を二手に分けて馮忌の本陣に攻め入る作戦を立てました。渕や澤圭らの主力部隊が岩山の麓の敵兵を引き付ける間、信や羌瘣、竜川、沛浪、尾平、尾到など30名からなる精鋭たちが馮忌の本陣へと突き進んでいきました。
キングダム 運命の炎の結末
馮忌はまさかの農民兵の奇襲を受け、自分は王騎の策にはめられたことに気付きました。馮忌は長距離戦には強いが接近戦には弱いことを見抜いていた王騎は、趙右軍本体が秦左軍に集中している間につけ入る隙ができると確信していました。
飛信隊の仲間たちは信と羌瘣に先に行かせ、信は羌瘣の協力を得て馮忌を討ち取ることに成功しました。秦国軍は勝ち名乗りを挙げ、趙国軍は戦意を消失して撤退を開始しました。蒙武は後を追おうとしましたが、王騎は追うのは明日にすると告げ、深入りしないよう忠告しました。
戦いの一部始終を秦国の幹部候補生である蒙毅と河了貂が丘の上から見守っていました。そこに李牧と名乗る男が部下のカイネを連れて現れ、「一緒に見物を」と声をかけてきました。
飛信隊は31名の戦死者を出しながらも大きな戦功を立てたことで、信は部隊を率いることの責任の重大さを改めて痛感するとともに、何度でも戦功を挙げて飛信隊の名を中華じゅうにとどろかせる決意をしました。
その夜、飛信隊の野営地に突如大きな矛を持った男が現れ、兵士たちを次々に倒していきました。信と羌瘣は男と戦いましたが全く歯が立たず、男は自らを武神・龐煖と名乗りました。この龐煖こそが今まで謎に包まれていた趙国軍の総大将であり、このことは即座に秦国の宮廷にも伝えられました。かつて伝説の六代将軍・摎を倒した龐煖は9年前に王騎によって倒されたはずであり、当時を知る昌文君は王騎が総大将を引き受けたのは因縁の宿敵である龐煖が生きていることを知り、決着をつけるためではないかと考えました。
その頃、山の民の王・楊端和は勇猛果敢なはずの騎馬民族が何者かに全滅させられた光景を目の当たりにしていました。
以上、映画「キングダム 運命の炎」のあらすじと結末でした。
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