恋妻家宮本の紹介:2016年日本映画。「家政婦のミタ」などの人気脚本家・遊川和彦の初監督映画。重松清の小説「ファミレス」が原作で、子供が独り立ちして25年ぶりに2人きりになった夫婦が、周囲の人と関わる中で家族の在り方を見つめ直していく様子を描く。
監督:遊川和彦 出演:阿部寛(宮本陽平)、天海祐希(宮本美代子)、菅野美穂(五十嵐真珠)、相武紗季(門倉すみれ)、工藤阿須加(大学生の陽平)、ほか
映画「恋妻家宮本」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「恋妻家宮本」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
恋妻家宮本の予告編 動画
映画「恋妻家宮本」解説
この解説記事には映画「恋妻家宮本」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
恋妻家宮本のネタバレあらすじ:起
宮本陽平はファミレスのメニューで悩んでいました。常に決められない男、それが陽平でした。今日は、息子夫婦が福島でのボランティアを決めて、旅立ちと言うのに。思えば、陽平の人生は選択の連続でした。その時、常にベストの選択が出来ていたのか? それを思って、また悩むのでした。妻・美代子に初めて出会った合コンでも「陽平、お前真ん中の子な」妻・美代子に「(赤ちゃんが)出来た」と言われた時も、愛よりも責任感から大学での研究や文学者の道を捨てて、教師を選んだし、息子「正」の名前も「優一」と悩んでいて、子供の時は、ハンバーグとカレーで悩み、今もまた… 美代子「ハンバーグでいいじゃない」また、妻に勝手に決められてしまうのでした。ファミレスから帰り、正の賞状を見ながら、陽平は、美代子が正が笑った方に決めようと言った時のことを思い出すのでした。あの時の陽平には、どちらも同じように笑っていたので、どちらか分からなかったのです。美代子は「どちらでもいいじゃない」と笑っています。「それより久々の2人きりなので、飲もうよ」と赤ワインを持ってきたので、陽平は張りきって、おつまみを作りだします。最近、料理教室に通いだし、冷蔵庫の余り物で料理を作れる程度の腕前になっていたのです。美代子「楽しそうね」陽平「何か言ったか?」 美代子は酔っていました。「お父さん、お母さんでなく互いの名前で呼ぶこと。でないと罰金」「酔ってるのか?」「酔ってますよ。陽平」「おか、美代子、そんなトコで寝てると」流石に四半世紀一緒なので、地下よればしわが見えます。「陽平、リフォームどうする?」「おか、美代子、考えとくよ」 毛布を取りに2階に来た時、「暗夜行路」が目に入りました。付き合いだした時に貸した経験がありました。懐かしくなって読もうとすると、中から離婚届が出てきました。それだけでなく、既に美代子の名前が書いてありました。真意を聞こうとしますが、陽平には聞けません。
恋妻家宮本のネタバレあらすじ:承
学校でも悩みます。つい、リフォームも新しい夫を迎えるためかと邪推し、テスト中なのに声を上げてしまいました。何とか誤魔化し、従業を終えるとメイビー(明美)が話しかけてきました。「ドンのこと、どうする気ですか?」ドンこと克也(カツヤ⇒カツドン⇒ドン)は母親が浮気中に交通事故に遭い入院中です。でも、教室では無理に明るく振舞っていました。陽平も家庭訪問の際に、様子をうかがうつもりでしたが、それでは遅いと言われてしまいます。実際、家庭訪問すると、祖母が母親を悪くいうだけで子供は立つ瀬ない状態です。そして、次の日、ハンスト(ハンガーストライキ)で絶食していたドンが倒れてしまいます。陽平は簡単に作れる料理を教えようとしますがドンは学校で教わるのが抵抗があるようです。仕方なく、半熟卵かけご飯の作り方のレシピを書いて、投函するのです。料理教室で、陽平は離婚届を妻が書くのは、どういう時か聞いてみました。五十嵐さんは離婚を考えていたので美代子に習い、離婚届を書いてみましたといい、門倉はマリッジブルーになっていくのです。ある日、美代子に聞いてみました。すると「不満はないけど不安がある」と訳の分からないことを言われ、美代子は息子夫婦の福島に行ってしまいました。五十嵐さんに不倫に誘われホテルまで行きますが、旦那が入院したと聞いて慌てて病院に駆けつける五十嵐さんを見て、陽平は安心します。あてつけだったのです。そして気の迷いを反省します。その帰りに、ドンと病院で会った陽平は、ドンの祖母がいない間に、お弁当を作ろうとしますが、体調を崩して帰ってきた祖母に見つかり怒られます。でも陽平は言い返します。「おばあさんは正しいですが、優しくありません。怪我したお母さんに元気になってもらいたくて、お弁当を作ることは間違ってるかもしれませんが、優しいと思います。」ドンとエミは祖母の手を握りしめていました。流石の祖母も孫の気持ちを理解します。
恋妻家宮本のネタバレあらすじ:転
ドンの祖母も正しく厳しくあるために、自分の心を殺して孫たちを立派に躾けようとしていたのです。コゲたり、形が悪いですが何とかお弁当は出来ました。でも、ドンは自分でお弁当を渡す勇気はありません。結局、陽平が渡しました。ドンが大好きだった母親が作ったメニューを再現したのです。母親は食事もせず、点滴をしていました。つまり、事故で悩んでいて元気になってはいけないのではないか? と彼女も悩んでいたのです。メイビーに言われます。「先生、やっぱり先生に向いてるよ」陽平も少し自分が好きになれました。正から電話がかかってきました。そろそろ美代子とのことも、はっきりさせなければいけません。陽平はこんなことをしてる場合じゃないと分かっているのにお弁当を作って出かけます。福島の正の家では、今、美代子は出たと言われます。「追いかけて何を言えばいいか」聞くと、正の妻に「抱きしめるか手を握るだけでいい」と言われます。「正、俺はいい父親だったか?」「考えとくよ」 駅に着くと、電車が出たばかりでした。電車の中には走馬灯のようにこれまでの四半世紀の思い出がよみがえります。陽平はガックリうなだれてると、声を掛けられました。「あなた? 陽平?」美代子は反対側のホームに立っていました。忘れ物を駅に取りに帰ったところでした。今度こそ、陽平はこの27年間の思いのたけを伝えます。でも電車が通過します。「俺はおまえの…」 電車が通過したので言い直そうとすると美代子がいません。聞こえなかったので、こちら側のホームに降りてきていました。しかし、階段で転んでしまい、美代子が陽平の上に覆いかぶさります。
恋妻家宮本の結末
そして、ホームの電源が落ちました。架線の衝突による停電です。復旧までに時間がかかります。美代子がボランティア用にロウソクを持っていたので、それで火をつけます。ベンチに座り、陽平の作ってきたお弁当は先ほどこけた時に傾いてました。でも、美代子は構わず食べます。その時、陽平は先ほどのホームのセリフを言い直します。「俺はお前の作る味噌汁を一生飲みたい」それはプロポーズの言葉でした。陽平は責任感もありましたが、これから一生この人の作った味噌汁を飲むんだと思って、心から、そう口にしたのです。27年前に戻れるなら、陽平、お前はこれから色々悩むけど、この選択は間違ってないと言ってやりたい。美代子も言います。最近の陽平が料理を覚えて、捨てられるんじゃないか? と思った。だから、もし捨てられるなら、こちらから離婚届出して捨ててやるんだという保険だったのです。いい雰囲気になりキスしそうな瞬間でホームに電気がつきました。周りに人がいるので、2人は離れて座ります。それは「こいつま(鯉津間)」駅の一幕でした。ファミレスで、陽平はハンバーグと金目鯛の煮つけで悩んでいました。でも、美代子が両方頼みます。夫婦ならシェアできます。でも味付けは和風おろしにされました。門倉さんは就活中で、一生結婚する気はないというので、陽平はおせっかいにも、「僕はよいことばかりでもありませんでしたが、結婚してよかったです」というのです。ドンの家族や五十嵐夫婦も食事をしています。エンディングは皆で「吉田拓郎」の「今日までそして明日から」を歌います。陽平「私は今日まで生きてみました」 美代子「時には誰かの力を借りて」
以上、映画 恋妻家宮本のあらすじと結末でした。
恋妻家宮本のレビュー・解説
原作は重松清さんの「ファミレス」。それを大胆にアレンジしたのが今作。原作だと、料理教室に通うおじさん3人組がメインの話なのですが、映画では、宮本+2人の奥さんの話になっています。しかも、そのおじさん3人中、2人は離婚するというファミリー・レス(家族なし)という内容。勿論、映画同様、ファミリーレストランが舞台にもなるようですが、原作と比べると色々違うところもあるようです。阿部寛ハーレム映画と言えなくもない構成で、最近は「真田丸」や「バイプレイヤー」のようにおじさんが可愛く頑張るだけのドラマも多くなっているので、原作通りに作っても案外、面白かった気もします。監督・脚本の遊川和彦さんは、「家政婦のミタ」「女王の教室」など、変わったドラマを作ることが多いのですが、今回は普通のホームドラマの悲喜こもごもをめざしたようです。天海祐希さんといえば、映画前にアヒル口をする(若い)女性をバカにする発言をしてたり、映画にとってはマイナス・プロモーションだろ?と思わないでもないですが、映画はいいので、発言は切り離して忘れて楽しんだ方がいいと思います。(思っていてもわざわざ言っちゃう辺り、まだまだ若いのかも。)最近は、熟年離婚も多いそうで、団塊の世代も、そう言った年齢なので、高齢者層をターゲットに狙うにはいい題材で、これから増えてきそうな映画と言えるかも。夫婦生活が長続きするカップルはハッピーエンドの恋愛物語を選ぶとか。一方、若いカップルは、ハラハラドキドキのアクション映画がいいらしいです。家族っていいな…と素直に自分は思ったのですが、テレビドラマ演出が過剰だったという意見も。
阿部寛さんはとても男前なのに、こういう優柔不断のもっさりした役がとても似合います♪そして妻役の天海祐希さんも美しいのに年を重ねた熟年夫婦の疲れた感を絶妙に醸し出してます!問題だらけな現状に優柔不断の本宮は悩みながらも本当に大切な事の意味を理解していきます。何かの節目には必ずファミレスに足を運んだ夫婦の、最後はとても優しい気持ちになれる作品でした!エンドロールまで引き込ませるような作りになっていて、最後はちょっと泣けたよ・・・