くちびるに歌をの紹介:2014年日本映画。アンジェラ・アキの名曲「手紙~拝啓十五の君へ」を題材にしたテレビドキュメントをから小説を書いた中田永一の作品を映像化したものです。心に傷を負った元ピアニストの教師が、産休に入った教師の代わりの臨時職員として、生まれ故郷の中学校の合唱部の顧問として派遣され、そこで巻き起こる人との触れ合いや心の変遷を描いています。最初は心を開こうとせず、ピアノも弾こうとしない女教師に周囲も生徒も戸惑います。しかし合唱部の生徒達と触れ合っていくうちに彼女はだんだんと心を開いていきます。合唱部の生徒はそれぞれに複雑な事情を抱えている生徒が何人かいて、その難しい中学生の役どころを若い俳優さん達がとても上手く演じています。最後の合唱シーンは涙なしには見られません。
監督: 三木孝浩 出演者:新垣結衣(柏木ユリ)、木村文乃(松山ハルコ)、桐谷健太(塚本哲男)、眞島秀和(仲村祐樹)、石田ひかり(仲村静流)、木村多江(桑原照子)、角替和枝(仲村キヨ)ほか
映画「くちびるに歌を」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「くちびるに歌を」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
くちびるに歌をの予告編 動画
映画「くちびるに歌を」解説
この解説記事には映画「くちびるに歌を」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
くちびるに歌をのネタバレあらすじ:謎の女教師がやってきた
ある長崎の島にある中学校の合唱部の顧問であるハルコは産休に入ります。彼女は持病の心臓病を抱えており、合唱部の顧問は、当分の間受け持つことができなくなり、彼女が良く知る女教師を臨時で呼び寄せます。臨時でやってきた女教師の名前は柏木ユリと言い、とても美しい女性でしたが、暗い雰囲気を持っており愛想がない女性でした。そんな彼女に周囲と生徒達は戸惑いますが、彼女は淡々と業務をこなします。美人教師合唱部の顧問となったということて、合唱部には興味がないものの、ユリ目当てで男子部員が何人か合唱部の入ってきます。合唱部の部長のナズナは、不純な動機で入ってきた男子部員を毛嫌いします。彼女は元々男性が嫌いでした。しかも男子部員は真面目に練習しないので、元いたメンバーと亀裂が生じます。
くちびるに歌をのネタバレあらすじ:訳ありの生徒
ナズナが男嫌いには理由があり、彼女の父親は彼女が幼い時に家族を置いて家を出てしまっていたのでした。合唱部にはもう一人男子部員が入ってきます。その少年はサトルという少年で、放課後はすぐに帰ってしまうような目立たない少年でしたが、何かの手違いで入部してしまったようです。しかし彼は前から合唱部に入りたい気持ちがあったのでした、ある事情があり部活に入れないでいたのでした。実は彼には自閉症の兄がいて、その兄の職場に毎日学校が終わると迎えに行かなければならなかったのでした。彼の父親は部活に反対しますが、母親は賛成し部活に参加することになります。ユリは合唱部に様々な事情を抱えた生徒がいることが分かります。
くちびるに歌をのネタバレあらすじ:ユリの過去
動画サイトの閲覧がきっかけで、ユリが過去に著名なピアニストであったことが分かります。しかしユリは決して合唱部の練習でもピアノを弾こうとはしませんでした。その過去はハルコだけが知っているようでした。ユリはソロのピアノコンサートでかつての恋人を招いたのですが、その恋人がコンサートに向かう途中に事故で亡くなっていたのでした。それがトラウマになりピアノが弾けずになってしまっていたのでした。一方行方不明だったナズナの父が帰ってきます。ナズナは父を受け入れずにいましたが、以前とは違い優しい父に心を許します。しかしその父親はナズナの家に金をせびりにきただけで、ナズナとの約束もほったらかして姿を決してしまいます。今度こそ悲しみの淵に投げ出されたナズナは立ち直れなくなります。そんなナズナを見て、ユリはピアノを弾きます。彼女は言葉で慰めることは出来ませんでしたが、どうしても弾けなかったピアノを弾くことでナズナを元気付けます。
くちびるに歌をのネタバレあらすじ:未来への手紙
ユリは合唱部の生徒達に未来への自分に手紙を書くように言います。それはコンクールの課題曲を理解して貰いたいがために出した課題でした。サトルはその手紙の中で自分は自閉症の兄がいるからこそ生まれてきて、そしてこれからも支えていくつもりであること、兄を愛していることを書きます。しかし時折兄がいなかったら、僕はもっと自由なのに時折思ってしまうことがあると書きます。その思いを知ったユリは、自分の想いを歌に込めれば良いと言います。サトルはコンクールための練習に一生懸命になります。そんな姿を見て、不真面目だった男子生徒達も一生懸命練習するようになります。
くちびるに歌をのネタバレあらすじ:コンクールの日に
とうとう合唱コンクールの日がやってきます。しかしその日にハルコは産気付き、持病の心臓病が災いして難産となってしまいます。苦しむハルコがコンクールでの合唱を聞けるように、ユリは携帯でハンコに歌声を届けます。その甲斐あってハルコは子供を無事に出産することができます。合唱コンクールのはサトルの兄と家族がロビーで待っていました。サトルの声を聞きたかったのですが、兄が暴れるのを恐れてじっとロビーで待っていたのでした。その姿を見たユリはみんなにロビーで歌おうと提案します。サトルの家族の前でコンクールの歌を歌います。その歌声はサトルの兄に対する想い、家族ヘの愛で溢れていました。サトルの兄と家族はその愛をしっかり受け止めるのでした。心を閉ざして島にきたはずのユリは、いつの間にか生徒達にとってかえがえない存在となり、本当教師として生きていました。心の扉を開けることができたユリは、また新たな人生を歩み始めます。
以上、「くちびるに歌を」のあらすじと結末でした。
「くちびるに歌を」感想・レビュー
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初めて 2020.03.20にJ-COMで見ました。感動しました。新垣結衣さんは、美しかった。
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前に進め…。一人一人の声が重なって、一つの曲として完成する。この作品の見どころは、美しい島の街並みや生徒たちの葛藤、登場人物の成長である一方で、『立ち止まる時があってもいい、支えられてもいい、ゆっくり前に進め』というメッセージに込められているのではないだろうか。ラストに回収されていく伏線も見事。美しい歌声や時折流れる課題曲は、学生時代合唱に打ち込んだ日々を思い出させくれた。この作品に出会えたことに感謝。
新垣結衣さんの演技力にハマり、この映画を観ました。彼女が演じるのはどことなく影のあるそっけない音楽教師。しかも、彼女はビアノを引くことを拒否します。その謎が解き明かされていくプロセスがとても面白いと感じました。特に、最後のシーンで、発表会のホールの控え室にて、彼女が合唱することを持ちかけ、高校の枠を超えて全生徒たちで合唱するシーンは泣けました。