今日子と修一の場合の紹介:2013年日本映画。2011年3月11日に起こった東日本大震災で、故郷が被災してしまった男女の物語を描く。監督は、映画「風の外側」以来約6年ぶりにメガホンをとった俳優でもある奥田瑛二。主人公の女性を安藤サクラ、男性を柄本佑が演じる。
監督:奥田瑛二 出演:安藤サクラ(今日子)、柄本佑(修一)、和田聰宏、小篠恵奈、カンニング竹山、柴田理恵、諏訪太朗、高橋源一郎、ほか
映画「今日子と修一の場合」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「今日子と修一の場合」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
今日子と修一の場合の予告編 動画
映画「今日子と修一の場合」解説
この解説記事には映画「今日子と修一の場合」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
今日子と修一の場合のネタバレあらすじ:起
工学部を目指して浪人中だった修一(柄本佑)は、父親に「いい加減大学を諦めて、働け!」と言われます。彼の父親は、30年務めた会社を最近リストラされていました。酒を飲み八つ当たりをする父親を見て、修一は「みっともない!」と言ってしまいます。するとその言葉に切れた父親が修一に掴みかかりました。
修一は突き飛ばされてしまい、母親が止めに入ります。すると父親が母親の首を絞め、修一はやめさせるために父親の頭めがけて思い切り花瓶を振りおろしました。何度もその行為を繰り返し、帰らぬ人となってしまった父親。修一は父親殺しの罪で、少年刑務所に入れられてしまいます。
数年後、出所した修一は迎えに来た東京の町工場の社長と、中華屋で昼食をとっていました。すると突然地震が起きます。二人は店を出て、急いで町工場へ向かいました。工場では社員たちがテレビにくぎ付けとなっています。
東北で大地震が起こり、その直後にきた津波で町が飲み込まれている様子がニュースで流れていました。修一の実家は宮城県にあります。修一は、一人で暮らす母親を心配し電話を掛けるのですが、全くつながりませんでした。
母親の安否がわからず心配する修一ですが、翌日、社長から母親が行方不明になっていることを知らされます。深く落ち込む修一に、同僚の若い女性・ミキが「ご飯を食べに行こう。」と声を掛けます。しかし食欲のない修一のためにミキがラーメンを作り、二人で仲良く食べるのでした。
今日子と修一の場合のネタバレあらすじ:承
一方、東京都内のマンションで一人暮らしをする今日子(安藤サクラ)。彼女はかつて宮城県に住んでいました。結婚していた彼女は、夫の実家で義理の両親と一人息子・ゆうたの5人で暮らしていました。夫が病気のため、保険の外交員として一家を支えていた今日子。
働き始めたばかりでなかなかうまく契約が取れずにいた今日子に、男性上司はノルマを達成するよう迫ります。困り果てる今日子に男性上司は、契約をとるかわりに体の関係を求めてきました。
さらには体で契約が取れそうな営業先を紹介され、今日子は紹介された建設会社の社長の元に向かいます。社長と関係を持ち、何とか契約を取り付けた今日子ですが、そのことが義理の父親に知れてしまい、家から追い出されることになりました。
そして大きなトランクを抱えて東京へとやって来た今日子。今日子が街をさまよっていると、スカウトマンのトオルが声を掛けてきます。「仕事紹介しますよ。」と名刺を渡され、彼を怪しんだ今日子はその場から逃げようとします。しかしトランクが重くてうまく歩けません。
そしてついにはこけてしまい、今日子のカバンの中身がすべて飛び出してしまいました。その後、自分の財布がないことに気が付いた今日子は、仕事を探す必要もあったためトオルに電話を掛けることにしました。
それからはトオルの紹介した風俗の仕事をするようになった今日子。人妻やOLなど、その日の客の要望に合わせて設定を変えて仕事をこなします。私生活ではトオルと恋人関係になり、この日は昼過ぎに目覚めた今日子は遅めの朝食を作っていました。そこへ恋人・トオルがやってきます。台所で料理を作る今日子に、「金を貸してほしい。」としつこく頼むトオル。
その時、地震が起きました。揺れはいったんおさまったものの、その後も余震が続き、トオルは怖がって今日子に抱きつきます。大きく揺れた時、今日子はトオルとその場に倒れ込み、そして気がついた時にはトオルは血だらけで倒れていました。今日子の持っていた包丁が、運悪くトオルに刺さったのでした。
今日子と修一の場合のネタバレあらすじ:転
テレビからは東北で大きな地震があったとニュースが流れ、部屋にはトオルの遺体が転がっています。動けずにいた今日子ですが、しばらくするとトオルの遺体を風呂場に運び、切り刻むことにしました。切り刻んだ遺体は、宮城から来る時に持ってきた大きなトランクに詰めます。
一方、修一は、社長から一度故郷に帰るべきだと言われます。しかし行方不明の母親はもう亡くなっているだろうと修一は諦め、「ここで働かせてください。」と頭を下げました。どうせ帰ったところで、津波で流され何も残っていないだろうと考える修一。
ある日、修一は同僚のケンイチから自分も同じように刑務所に入っていた過去があると告白されます。ケンイチは、学生の頃にいじめられた経験がありました。あまりにもひどいいじめに耐えられなくなり、主犯格の少年を殺してしまったケンイチ。
工場には、修一のことを良く思わない2人組の同僚・クドウとヤナギバがいました。修一が過去に父親を殺して刑務所に入っていたことを知った二人は、嫌がらせを始めます。からかわれていちゃもんを付けられた修一は殴ろうとしますが、逆に怪我を負ってしまいました。
修一は、自分の犯した過去に後悔し前に進めずにいましたが、ミキに支えられて何とか乗り越えようと奮起します。そして社長からも進めらていた大学受験に挑戦することにして、再び受験勉強を始めた修一。ついに念願だった大学に見事合格します。ケンイチは音大を目出して頑張っていましたが、上手くはいきませんでした。しかし「また来年受ける!」と明るく宣言し、この頃にはクドウやヤナギバとも良い関係を築けるようになっている修一でした。
今日子と修一の場合の結末
今日子は、津波の映像がニュースで流れるたびに、一人息子のゆうたのことを思い出していました。ある日、飲食店を訪れた今日子は、店の小学生の男の子に自分の息子を重ねてしまいます。自殺を考える今日子でしたが、震災に遭った夫の実家を訪れることを決め、遺体の入ったトランクを土に埋め、宮城に向かいました。
一方、工場での暮らしも落ち着いてきた修一は、故郷に一度戻ることにしました。行方不明の母親を探す修一は、変わり果てた街に愕然とします。そこには息子を探して途方に暮れる今日子の姿がありました。
翌日、今日子は役場でゆうたの居場所を尋ねます。しかし「身分を証明するものがないと、教えることはできない。」と言われました。その様子を後ろで見ていた男性職員が、今日子を追いかけて一枚のメモを差し出してくれました。メモの場所に行ってみると、たくさんのプレハブ住宅がありました。
そこにはゆうたの姿があり、すでに夫と義理父は亡くなっていることを立ち聞きしてしまう今日子。義理母と目が合うものの、今日子はその場を去っていきます。真っ直ぐに前を向き、歩き出す今日子。その後、そのプレハブ住宅に修一もやってくるのでした。
以上、映画「今日子と修一の場合」のあらすじと結末でした。
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