海辺のエトランゼの紹介:2020年日本映画。紀伊カンナの同名漫画を映画化。沖縄の離島を舞台に、男性同士の揺れる恋心を描く青春アニメーション作品。小説家志望でゲイの青年・駿は、とある事情から北海道の実家を飛び出し、沖縄の離島で暮らしていた。ある日、海辺のベンチに悲しげに座る少年・実央と出会う。実央は両親を亡くし、周囲の同情にも嫌気が差して心の殻に閉じ篭っていた。実央に惹かれた駿が半ばナンパのように声をかけ、2人の距離は次第に縮まっていく。しかし実央が本島の施設に入ることになり、2人は離れ離れになってしまった。3年後。未だ実央のことを想う駿の前に、成長した実央が現れる。実央は真っ直ぐな眼差しで、駿に好意を伝えるのだったが…。
監督:大橋明代 声優:村田太志(橋本駿)、松岡禎丞(知花実央)、嶋村侑(桜子)、伊藤かな恵(絵理)、仲谷明香(鈴)、ほか
映画「海辺のエトランゼ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「海辺のエトランゼ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
海辺のエトランゼの予告編 動画
映画「海辺のエトランゼ」解説
この解説記事には映画「海辺のエトランゼ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
海辺のエトランゼのネタバレあらすじ:海辺の出会い
沖縄の離島。小説家志望でゲイの青年・橋本駿は、小説を書く傍ら世話になっている民宿の手伝いをして暮らしていました。駿は少し前から海辺のベンチに1人で座る少年・知花実央のことが気になっています。その悲しげな横顔に、駿は惹かれ始めていました。
ある夜、ベンチから立ち上がった実央を追いかけた駿は、民宿と併設している店のパンを渡します。実央は戸惑いつつもパンを受け取って帰って行きました。後日、駿の留守中に実央が民宿にやって来ます。彼はパンのお礼にと、母が育てていた花を株分けして持って来てくれました。
帰宅した駿は、民宿の経営者であるおばちゃんから、実央の母親が亡くなったことを聞かされます。実央の父親は彼が幼い頃に亡くなっており、ずっと母親と2人で暮らして来たそうです。まだ高校生で1人ぼっちになってしまった実央を、周囲の人は心配していました。
実央は今日も海辺のベンチに座りながら、母との日々を思い出しています。そこへ駿がやって来ました。駿に「いつも1人で寂しくならない?」と問われた実央は、かっとなって「気持ち悪い」と口にしてしまいます。
その言葉を受けた駿は、仕草が女性的というだけで気持ち悪がられた過去がフラッシュバックしました。トラウマを抉られた駿は強いストレスに耐え切れず気絶してしまいます。民宿で目を覚ました駿は、同性が恋愛対象というだけで何故おかしなことになるのかと呟きました。民宿の同居人でレズビアンの絵理は、それを黙って聞いています。
海辺のエトランゼのネタバレあらすじ:別れと再会
別の日、実央が駿を訪ねて来ました。酷いことを言って申し訳ないと謝る実央に駿は慌てます。実央は周囲の同情の目に嫌気が差し、気安く慰めて欲しくないと思っていました。駿は、単純に話してみたいという下心から声をかけたのだと明かします。それを聞いて、実央はナンパみたいだと笑いました。
そこに現れた絵理の提案で、実央は民宿で夕飯を食べることになります。久しぶりの賑やかな食卓に、実央も嬉しそうな顔を見せました。食後、駿と実央は海辺のベンチに座って話します。実央は明日本島の施設に引っ越すことを明かしました。ショックを受ける駿に、必ず連絡すると約束します。駿が思わず実央の手を握ると、実央も握り返してくれました。
それから3年後の夏。駿は相変わらず民宿に暮らし、小説を書いていました。実央からの連絡は無く、小説が入選した時おめでとうとハガキが届いたきりです。それでも駿は実央を想い続けていました。絵理は恋人の鈴と暮らすため、民宿から引っ越すことになります。すぐに新しい住人が入ると知らされ驚く駿。
そこに現れたのは、20歳になった実央でした。新しい住人とは、彼のことだったのです。突然のことに混乱する駿をよそに、明るい笑顔を見せるようになった実央は真っ直ぐな眼差しで、駿のことが好きだと告白しました。
海辺のエトランゼのネタバレあらすじ:駿のためらい
実央は臆することなく駿に好意を伝え、何度もキスをしようと試みます。しかし駿はそんな実央から逃げ回っていました。締切に追われる駿は実央を迷惑そうに扱うこともあり、その度に実央の笑顔は曇っていきます。そんな彼らを見かねた絵理は、どうにかして背中を押してやろうと考えました。
ちょうど駿が空港便を出しに本島へ行くと言い出したため、実央も一緒に行けば良いと提案します。フェリーに乗り、とりとめのない話をする駿と実央。実央が色々と努力していると知った駿は、その調子で彼女も作れば良いと口にしました。激怒した実央は、本島に着くと駿を置いてどこかへ行ってしまいます。
夜になり、駿は実央にどこにいるのかと電話で尋ねました。実央は、自分もこの3年同性同士で付き合うことについてたくさん考えたと話します。もう好きではないのかと聞かれた駿は、実央の居所を聞いて駆け出しました。実央と合流した駿はホテルに入り、初めてのキスをします。
駿は同性愛の苦労や痛みを実央に味あわせたくないと思い、そのために実央の想いに向き合うことが出来なかったと話しました。同じベッドに横になり、駿は女性経験はあるものの男性とセックスしたことはないと明かします。驚いた実央は、勢い余って駿をセックスに誘いました。しかし2日連続徹夜していた駿はそのまま眠ってしまいます。
海辺のエトランゼのネタバレあらすじ:元婚約者の襲来
島に戻った駿と実央は晴れて恋人同士になりましたが、キス以上の行為は駿が承諾しませんでした。そんなある日、桜子という女性が駿を訪ねて来ます。彼女は駿の幼馴染であり、元婚約者でした。
桜子は駿を連れ戻しに来たと言い出します。駿はかつて桜子と婚約し、結婚式も挙げようとしていました。しかし結婚式当日、自分の気持ちを誤魔化せなくなった駿は桜子を置いて会場から逃げてしまったのです。その時両親に初めてゲイであることを打ち明けましたが理解して貰えませんでした。
駿は桜子と破談したことをきっかけに両親とも縁を切り、遠く沖縄まで逃げて来たのです。駿は今実央という恋人がいるため、桜子と復縁するつもりも家に帰るつもりもないと言い放ちました。しかし実央は気が気ではありません。
翌日、実央は桜子に頼まれ、島を案内するために車を出しました。駿とはもう寝たのかと聞かれ、実央は激しく動揺します。それを見た桜子は、駿は上手で丁寧だったと肉体関係があったことを匂わせました。しかし桜子は駿がゲイであることを昔から知っており、目的は復縁ではないと言います。駿の父親の具合が良くないので、取り返しのつかなくなる前に帰って来て欲しいのだと話しました。
その夜、駿と桜子は帰る帰らないの応酬を繰り広げます。駿が桜子には関係無いと言い放つと、桜子は涙を零しながら駿の頬を引っ叩きました。出て行く桜子を見た実央は、追いかけるよう駿を急かします。実央は、自分を口実に家族から逃げないで欲しいと口にしました。死んでしまったらもう二度と会えない。だからこそ、帰ってあげて欲しいと話す実央。そして桜子を追いかけて海へ走り出しました。
海辺のエトランゼの結末2人の決断
桜子は幼い頃、駿と結婚の約束をした日を思い出していました。彼女は駿がゲイであることを知り、叶わぬ恋をしている姿をずっと見て来ました。駿に好きになって貰えないことは理解していた桜子。それでも彼女は駿と一緒にいたかったのです。
追いついた実央は桜子の恋を知り、彼女の痛みを受け止めた上で、自分も駿が好きだと伝えました。桜子は、実央がもっと最低な人間だったら良かったのにと泣き出します。
翌日。とりあえず桜子は1人で北海道に帰ることにしました。駿と実央はフェリー乗り場まで見送りに行きます。桜子は、最後にキスをして欲しいと駿に頼みました。それでもう駿のことは諦めると。今まで一度もしてくれなかったと話す桜子に、肉体関係はなかったのだと安堵する実央。しかし桜子に近づく駿を見て焦ります。
実央は慌てて2人の間に割って入り、駿の代わりに桜子にキスをしました。あなたじゃないと怒る桜子を見送った実央は、キスをしようとしていた駿に激怒し頬を引っ叩きます。実央は泣きながら部屋に引きこもってしまいました。
夜、実央の部屋を訪ねた駿は、実央以外とキスする訳がないと話します。2人は抱き合い、初めてセックスしました。いつか好きになった相手と抱き合えたら、と叶わぬ夢を願い続けていた駿は、満たされていく心に涙を流します。
駿は北海道の実家に帰る決意をしました。そして、一緒に行こうと実央を誘います。「1人は嫌だ」と泣く実央は、駿の手を取りました。出発の日、2人は実央の両親の墓に手を合わせます。彼らは新たな一歩を踏み出すのでした。
以上、映画「海辺のエトランゼ」のあらすじと結末でした。
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