海を駆けるの紹介:2018年日本,フランス,インドネシア映画。インドネシアのアチュ海岸に流れ着いた日本人男性ラウを、NPO法人で働く貴子は引きとります。やがて貴子と息子のタカシや友人のクリスとイルマ、そして姪のサチコ達は、ラウの不思議な力に巻き込まれていくのでした。『文學界』に掲載された深田晃司の『海を駆ける』を自ら映画化したもので、結末までわかる小説に対し、映画の方は謎が残されたまま終わります。小説ではラウは死を導く人として描かれ、倒れた貴子は死んでいます。
監督:深田晃司 出演者:ディーン・フジオカ(ラウ)、太賀(タカシ)、阿部純子(サチコ)、アディパティ・ドルケン(クリス)、セカール・サリ(イルマ)、鶴田真由(貴子)ほか
映画「海を駆ける」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「海を駆ける」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
海を駆けるの予告編 動画
映画「海を駆ける」解説
この解説記事には映画「海を駆ける」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
海を駆けるのネタバレあらすじ:起
インドネシアのアチュの浜辺に、海から上がってきた全裸の日本人男性が倒れ込みます。その一報はNPO法人の仕事をする貴子に入ります。貴子はインエドネシア津波の復興で通訳としてアチュにやってきてからずっと住んでいます。夫はジャカルタに住み、大学生の息子タカシと二人暮らしです。丁度タカシの友人のジャーナリストを目指すイルマとカメラマン志望のクリスの取材を受けている最中でした。
現場に向かった貴子は、ジャカルタの有名ジャーナリストのレニに会います。男性を診察した医師は記憶喪失だと言います。現地の人は貴子に「しばらく面倒見てくれ」と頼み、貴子も承諾します。
タカシとクリスは貴子の代わりに日本からやってくる従姉のサチコを空港に迎えに行きます。やがて家に迎え入れた男性に、貴子は『海』という言葉のラウという名をつけます。翌日貴子はラウを連れ身元捜しに行きます。タカシ、クリス、イルマも一緒に行くことになります。
父の持っていた写真の場所で、父の遺骨を散骨するためにやってきたサチコにクリスは魅かれ、好意を持ちはじめます。そして写真を見て、クリスが「この辺の場所だ」と言いますが、サチコは「違う」と言います。そしてイルマの事をクリスが話します。「イルマの家は津波で流され母も死んだ。今は仮設住宅で暮らしている。一番金持ちだったイルマが一番貧乏になり、大学にも行けなかった」と言いました。
海を駆けるのネタバレあらすじ:承
何もつかめないまま帰ろうとした時、ラウが倒れている女の子を見つけます。「熱中症だろう、人を呼んでくる」と言うタカシらでしたが、しばらくして女の子が元気になって走ってきて、父親に抱き着きました。
自宅に帰ったイルマがラウの動画を見ています。ラウが女の子に水の玉を手のひらの上で作り飲ませると、女の子は元気になったのです。このことを新聞社にスクープとして電話で話しますが取り合ってもらえませんでした。
大学でタカシがクリスに「家でやるパーティーに来るか?」と誘います。クリスは「サチコは?」と聞きます。「サチコの為のパーティーだ」と言います。
サチコが街を歩いているとイルマに会います。イルマは「ジャーナリストになる為に今は雑貨屋で働いている」と言います。サチコはクリスとの関係を聞きます。イルマは「一度告白されたけど私がフッた、宗教の違いで無理なの」と言います。
サチコのパーティーにレニがやって来ます。貴子はイルマを呼び、レニに紹介します。レニはイルマの父が、アチュ独立運動に参加し、政府から拷問を受け足が不自由になったことを知っていました。イルマは自分がジャーナリストになりたい夢を話し、ラウの動画を見せます。驚いたレニは「これ少し貸して」と言います。
タカシはクリスに日本流の告白方法を教えます。クリスはサチコを呼び出し、「月がきれいですね」と告白します。サチコは空を見上げて「月なんか出ていない。意味が解らない」と言って立ち去ります。サチコは告白されたとは思わず、クリスはフラれたと思ったのです。
海を駆けるのネタバレあらすじ:転
落ち込むクリスを見たイルマが「サバンにいこう」と言います。クリスは「いいよ」と答えます。パーティー会場へイルマの父が剣幕でやって来ます。そして強引にイルマを連れ帰ります。
サチコが熱を出して寝込んでしまいます。貴子がサチコの母に電話をすると、サチコが大学を辞めていたことを知ります。高熱でうなされるサチコのお腹にラウが手をかざします。サチコは夢の中で泳いでいます。目の前の高台にはトーチカがあって誰かが見ています。目覚めたサチコが熱が下がりすっかり元気になっています。
サチコは夢で見た光景をクリスに話します。クリスはトーチカがある場所を聞き「それはサバンだ。トーチカは日本軍が残したものだ」と言います。サチコが「行きたい」と言うと、クリスが「船で10分で行けるから僕が連れて行ってあげる」と言います。喜んだクリスでしたが、何かを思い出し何度も電話をします。
レニがラウを連れてジャカルタに向かいます。サチコとタカシがテレビを見ていると、生中継にラウが出ています。レニがラウを紹介し、スクープ映像として、水の玉を出すラウの動画を流します。イルマのスクープを自分の手柄にしたのです。
この様子を見ていたイルマは裏切られた悔しさで涙を流します。記者からの要望で、この場で水の玉を出そうとしたラウが途中で止めて、会見場を出て行きます。騒然とする会場の中継がいったん止まります。するとラウが瞬間移動でもしたようにサチコらの前に帰ってきたのです。
海を駆けるの結末
タカシはサチコを連れ、船着き場に行きます。来ないクリスにサチコがイラつきはじめます。船の出港寸前クリスがやってきます。サチコを探すもののいません。そこへイルマがやって来ます。「一便早いよ、どうしたの?」と言います。
乗りこんだ船の中でサチコを見つけたクリスが話しかけます。「どこにいたの」と怒るサチコをクリスがなだめているとイルマがやってきます。「違うんだ」と言うクリスの頬をサチコがはたきます。イルマがサチコに「クリスがあなたにフラれたと落ち込んでいたから私が誘ったの」と言うと、サチコは「私は告白されていない」と言います。クリスが「僕はサバンに行く日が同じだったからイルマに電話を何度もしてメールもした」と言います。タカシが「鳴らしてみろよ」と言うと、鳴ったのはタカシの電話でした。
ラウは貴子の元へ向かいます。そして背後から貴子に何かを念じると、貴子はその場に倒れてしまいます。
クリスの案内でサチコがトーチカに上がります。そこから見た風景は、父の写真と同じでした。サチコは散骨を始めます。イルマと一緒にいるタカシが「月がきれいですね」と告白します。日本語のわからないイルマは首をかしげます。そしてタカシが海に飛び込むと、岩の上にトーチカが見えます。
ラウは子供たち4人が遊ぶ川にいます。ラウの姿は何故か子供です。
砂浜にサチコ、クリス、イルマ、タカシが集まります。後ろを葬儀の列が進みます。話を聞くと「4人の子供が川に流されて死んだ」と言います。そこへラウが現れると、「あの男が子供たちを殺したんだ」と叫びます。
ラウは「そろそろ帰らないと・・・」と言って海の上を走りだします。サチコたちも追います。すると4人も海の上を走れるのです。やがてラウが海の中に消えると、4人も海に落ち、岸へ泳いで帰りはじめます。
以上、映画「海を駆ける」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する