ミーシャと狼の紹介:2021年ベルギー, イギリス映画。ユダヤ人でホロコーストの生存者であるミーシャは、あるイベントで体験談を話したことにより、一躍有名人となります。ミーシャの両親はナチスに逮捕されドイツへと連行されてしまい、離れ離れになってしまいます。両親と会うために、当時7歳のミーシャは1人で森を彷徨い、ベルギーからドイツへと渡ります。その途中でミーシャは一匹の狼と出会い…。この体験談は書籍化され、多くの人に発信されるはずでしたが、あるトラブルが発生します。
監督: サム・ホブキンソン 出演:ミーシャ・デフォンスカ、ジェーン・ダニエル、イブリン・ヘンデル、ほか
映画「ミーシャと狼」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミーシャと狼」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ミーシャと狼の予告編 動画
映画「ミーシャと狼」解説
この解説記事には映画「ミーシャと狼」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミーシャと狼のネタバレあらすじ:起
アメリカ、マサチューセッツ州の小さな町に、ミーシャ夫妻が引っ越してきます。ミーシャは不思議な人で、あんなに動物に好かれる人は見たことがないと近所の人が言います。ミーシャは第二次世界大戦のホロコーストの生存者です。
ベルギーでミーシャが7歳のとき、学校に迎えにくるはずだった父親ロベールは迎えに来ず、代わりの家族の元へと連れていかれます。そして、新しい名前『モニーク』と服をもらい、知らない家族の元での新しい生活が始まります。その後ミーシャは数年間、両親を探すために、ドイツ占領下の森を何千キロもさまようことになります。
時は経ち、ホロコースト記念館で、体験談を話す機会がミーシャにやってきます。ミーシャは当時のことを話すことに抵抗感がありましたが、夫や周りの人に説得されて、その時に、ミーシャは初めて当時を語ることとなります。
カトリックのド・ワーイル家の養子となったミーシャでしたが、歓迎されたわけではなく、愛されることなく邪魔者扱いでした。ある時、両親がドイツにいることを教えてもらい、ミーシャはコンパスを持って、ベルギーからドイツへ歩いて向かうことを決意します。
ミーシャと狼のネタバレあらすじ:承
ミーシャが森を彷徨っている間に、多くのユダヤ人が収容され、ミーシャはその難からは逃れることができました。森を歩いている途中、食べ物を盗んだため、ミーシャは農夫に追われる身となってしまいます。そんなときに、一匹の狼と出会います。ミーシャと狼はしばらく並んで一緒に歩きます。今のミーシャには仲間が必要でした。
そして、狼の群れと合流します。ミーシャは一番下のランクで群れに加わります。仲間が欲しかったミーシャは、狼たちに従順さを示しました。狼界のルールでは、ボスがまず食事を取り、余ったものを下のランクの仲間たちに分け与えるというものでした。ミーシャの元にも肉のかけらが分け与えられました。
体験談は大盛況に終わり、興味を示した出版社のジェーンが、この体験談を書籍化しないかと猛アプローチをかけます。ミーシャは長い間その話を断り続けていましたが、周りの人に説得され、なんとか本の出版を了承します。この話は世界的に話題になり、様々な国で翻訳されました。ディズニーからは版権が欲しいとの依頼もありました。
しかし、いざ出版となると本は期待のようには売れず、ミーシャ夫妻は財政難に陥ってしまいます。それをきっかけにミーシャは、ジェーンの要求を拒絶するようになります。そしてミーシャはジェーンを訴えます。
2001年最高裁判所。裁判内容は、ジェーンがミーシャに対して印税未払いに関するものでした。ジェーンは印税をミーシャ夫妻に払った証拠を集めましたが、陪審員はミーシャの体験談に心を動かされ、ミーシャが勝訴します。ジェーンに2250万ドルの賠償金が課せられました。
裁判後、ジェーンの人生は崩壊します。出版社は倒産し、PTSDを患います。しばらく経ってからジェーンは事後分析を行います。ミーシャの印税受取署名には、戦争で失われたはずの出自が書かれていました。これを見たジェーンは、ミーシャは嘘をついているのではないかと疑い始めます。
ミーシャと狼のネタバレあらすじ:転
フランス版の書籍では、両親の名前をヴァッレと記載し、それ以外の国の書籍ではド・ワーイルを使用しています。フランスで素性がばれたら何か困ることでもあるのか。ジェーンは相関専門家に調査を依頼すると、書籍に添付されている写真にも不自然な点が多々出てきます。
相違を確かめるため、ジェーンはベルギーにいるイブリン・ヘンデルに調査を依頼します。彼女もまた、ホロコーストの生存者でした。イブリンは電話帳からヴァッレという名前の人物を探しましたが見当たりません。
裁判後、版権がフランスへと移り、ミーシャはフランスで講演など、積極的な活動を行っていました。
イブリンは、ナチスの逮捕リストからミーシャの両親の名前を探しましたが見当たりません。隠されたユダヤ人の子どもリストにもミーシャの名前の記載はありません。しかし、戦時中のため記録漏れなどはよくあること。確実な証拠とはなりませんでした。ミーシャはそもそもユダヤ人ではないのでは?その視点に変えて調査を続行します。
イブリンは、ミーシャの母親の生まれ故郷エテルベークで、カトリックの教会にある洗礼証明書リストを調査することに。すると、ミーシャの名前モニーク・ド・ワーイルの記載を発見しました。
しかし、まだこれでは不十分。今度はブリュッセルの学校の名簿リストを見ると、モニーク・ド・ワーイルの記載がありました。これにより、ミーシャの体験談は真っ赤な嘘で、ユダヤ人ですらなかったことが証明されました。
ミーシャと狼の結末
ミーシャの体験談は映画化され公開が控えています。ジェーンは急いでブログに一連のことを書き込み、様々な機関にこのブログのリンクを送ります。すると、次の日にそのブログの内容が新聞の一面を飾ります。ミーシャの嘘を知ったミーシャの隣人たちは、多額の寄付をして応援していたため、裏切られた気持ちになります。
それからミーシャの素性が次々と明らかになります。ミーシャのおばエマは、ミーシャには妄想癖があるとカメラで話します。
ミーシャの父親について研究した学者が、ミーシャの父ロベールについて語ります。ロベールは愛国心のあるベルギー人として、第二次世界大戦に参戦していました。ベルギーがドイツに占領された後は、抵抗軍としてベルギーのため、家族のために戦います。
しかし、ロベールはドイツ軍に逮捕されてしまい、ドイツの刑務所へと収容されます。厳しい拷問を受けたロベールは、妻と娘のミーシャの守る代わりに、抵抗軍の仲間をドイツ軍に売ってしまいます。そして、ロベールは裏切り者として歴史に名が刻まれます。ミーシャは裏切り者の娘として生きていきました。
ミーシャは体験談の全ては嘘であることを認めます。
ジェーンはミーシャの体験談の書籍を出版するにあたり、ホロコースト研究者に原稿を見せています。その学者からは、この本は信憑性がないため出版しない方がいいとのアドバイスを受けていました。しかし、ジェーンは強行突破をします。儲けたい欲や、ミーシャの体験談を信じたい気持ちが勝ってしまったのです。
ミーシャが嘘を認めたため、ジェーンの賠償命令は一部棄却されました。
現在ミーシャは存命で、この映画を製作するにあたりインタビューを依頼しましたが、一切応えることはありませんでした。
以上、映画「ミーシャと狼」のあらすじと結末でした。
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