ぼくのバラ色の人生の紹介:1997年ベルギー、フランス、イギリス映画。リュドヴィックは身体は男の子、心は女の子。夢は女の子になる事。両親はそんな彼を温かく見守るが、周りはそれを許さない?
監督:アラン・ベルリネール 出演:ジョルジュ・デュ・フレネ、ジャン=フィリップ・エコフェ、ミシェール・ラロック、エレーヌ・ヴァンサンほか
映画「ぼくのバラ色の人生」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ぼくのバラ色の人生」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ぼくのバラ色の人生」解説
この解説記事には映画「ぼくのバラ色の人生」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ぼくのバラ色の人生のネタバレあらすじ:女の子になりたい!
とある住宅地での引越しウェルカムパーティー、ファーブル夫妻は子供を紹介しようとするけれど、長女と三男が出てこない。名前を呼ぶと姉のゾエに連れられたリュドヴィックが姉のドレスにお化粧をして出てくる。集まった一同はぎょっとするが、いつもの事のようにその場をとりなして化粧を落とさせる。のん気な母親に、上司の近所に引っ越してきた手前、父親は気が気でない。新しく入った学校の最初の授業は宝物を持ってくる授業。リュドヴィックは着せ替え人形を持っていくが、男女の着せ替え人形を見て、教師は「こっちがあなたなんでしょ?」と、分かってくれない。同じクラスの上司の息子ジェロームはパーティーでリュドヴィックが落としたイヤリングを持ってきていた。ジェロームと仲良くなった事から、家に遊びに行くと、入ってはいけない部屋があった。開けてみるとそこは女の子の部屋。ジェロームの妹の部屋だが彼女は「いない」という。そんな部屋で遊んでいると、ジェロームの母親に見つかってしまう。妹はすでに亡くなっていた。
ぼくのバラ色の人生のネタバレあらすじ:大きくなったらなったら女の子になれるでしょ?
上司の家でのリュドヴィックの失敗に、父親はピリピリする。けれど、大きくなったら女の子になれると思っているリュドヴィックには、なぜ女の子の服を着てはいけないのか分からない。あまつさえ大きくなったらジェロームと結婚したいと思っている。母親は男と男は結婚できないと諭そうとするが、リュドヴィックは大人になったら女になるから大丈夫だと言張る。ある日学校でせっかく隣の席だったジェロームは席を替えてくれるように先生に頼んだ。理由は「地獄に落ちるから」。ショックを受けたリュドヴィックが姉に泣きつくと、地獄に落ちるような事は無いと優しく慰めてくれる。姉のゾエに男と女の違いを聞くと、「XXとXY」と教えられる。それを決めるのは神様だとも。その日リュドヴィックは夢の中で、神さまは自分のXを一つ落としてしまう夢を見る。
ぼくのバラ色の人生のネタバレあらすじ:パパがクビになったのは僕のせい?
学芸会でリュドヴィックは王子役のジェーロームにキスをされる白雪姫役の女の子が羨ましくて、彼女をトイレに閉じ込めて、自分が白雪姫として王子様を待つ事に成功。しかし途中でばれて大目玉を食らってしまう。以来ジェロームもリュドヴィックにキスをしようとした角でオカマと呼ばれるはめに。精神科でのカウンセリングもうまくいかず、おばあちゃんの「一週間スカートをはいていれば飽きる」というアドバイスから、スカート姿で呼ばれていない誕生日界に出席する。表立っては受け入れてくれたが、結局逆効果で裏での陰口やいじめは激しくなるばかり。そんなある日、サッカーの練習の後、更衣室で他の男の子たちが出て行くのを待っていると、リュドヴィックはリンチ去れてしまう。兄二人はなすすべなく見ているだけ。ショックを受けた彼はガレージの冷凍庫の中に隠れていた所、母親によって発見される。しかし、いじめはエスカレート。父は仕事をクビになり、ガレージに「オカマ」と書かれるまでになってしまう。
ぼくのバラ色の人生の結末:新しい引越し先の不思議で出会った。君は女の子?男の子?
父親の就職を機に、新しい住宅地へと引っ越す事になったファーブル一家。引越しの荷物整理もそこそこに散歩に出かけてしまうリュドヴィックに誰のせいで引っ越すはめになったのか、母親はおかんむり。通り沿いのベンチから、大好きな着せ替え人形の看板を見ていると、クリスと名乗る子に遊ぼうよとちょっかいをかけられる。男の子っぽいその子は母親からクリスティーヌと女の子だと分かる呼び方をされるのが少し気に入らない様子。クリスの母親は引っ越してきたリュドヴィックの母に、うちの子(クリスティーヌ)は少し変わってるけど仲良くしてと誕生日会に招待する。クリスの誕生日会に。リュドヴィックは三銃士の恰好をしていく、一方、ティアラに青いドレスのクリスは服装のせいかご機嫌斜め。みんなが庭で会食している時にリュドヴィックを呼び、服を変えてくれるように頼む。リュドヴィックは女の子の恰好はしないと約束した手前拒むのだが、無理矢理服を取り替えられてしまう。クリスは上機嫌だけれど、リュドヴィックの母は、また女の子の服を着たのかとクリスが無理矢理取り替えたというのも聞かずに怒る。逃げるリュドヴィックを追うと、道にある着せ替え人形の看板に梯子がかけてあるのを見つける。恐る恐る登っていくと、看板の中、着せ替え人形の世界の中のリュドヴィックが「みんなが平和に暮らせるように僕はいなくなる」と母に手をふる。彼を追いかけようと看板の中に入ろうとした所で目覚めると、クリスの家のリビングに寝かされていた。クリスの母親に事の顛末を聞き再び庭に戻ると、クリスもリュドヴィックも楽しそうにしていた。その姿を見てほっとするリュドヴィックの母。
以上、映画「ぼくのバラ色の人生」のあらすじと結末でした。
ぼくのバラ色の人生について:子供の素朴な疑問と大人の常識の齟齬
最終的にこの作品では、心と身体の性の不一致に関して肯定はしているものの、具体的な解決策は描かれていない。逆に理解者もただの事なかれ主義だったり、偏見の目がどのように向けられているのかが描かれている。生まれ持った身体と心の性と、社会に要求される男らしさ女らしさのズレが見て取れる。最後のパートで母親がリュドヴィックに銃士の恰好をさせたのは、精一杯の見た目の男らしさのためだと思う。また「引越し」は「性差別・偏見の残る社会」から「新しい男女のありかたの認められた社会」への転換のメタファーにも見える。ちなみに、同姓婚が合法になったのは世界に先駆けてオランダが2000年、ベルギーが2003年。90年代後半はまだ社会的な偏見や差別もあったのではないだろうか。
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