プラトーンの紹介:1986年アメリカ映画。実際にベトナム戦争に従軍したオリバー・ストーン監督自身の体験を元にベトナム戦争の現実を描いた作品。トム・ベレンジャー、ウィレム・デフォーといった有名俳優を起用する一方、当時は無名だったジョニー・デップなども出演している。出演俳優達は撮影の2週間前から実際にローテーションを組んで野営監視を行う、食料は全て実際の軍隊と同様のレーション、戦場を演出するためシャワーを浴びることは禁止されるなどの徹底ぶりであった。焼き払った村から撤退するシーンで兵士たちが携行していたM16アサルトライフルは、日本の遊戯銃メーカー・MGCが提供している。
監督:オリヴァー・ストーン 出演:チャーリー・シーン(クリス・テイラー)、トム・ベレンジャー(ボブ・バーンズ曹長)、ウィレム・デフォー(エリアス・グロージョン軍曹)、ジョニー・デップ(ガーター・ラーナー)、デイル・ダイ(ハリス大尉)ほか
映画「プラトーン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「プラトーン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「プラトーン」解説
この解説記事には映画「プラトーン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
プラトーンのネタバレあらすじ:1
1968年、ベトナム。共産主義と資本主義の対立が本格化し、アメリカとソ連・中国は南北ベトナムに大規模な軍事支援を行い、大国間の代理戦争が激戦の様相を示していました。クリス・テイラーは、貧困層や差別被害層など、いわゆる底辺層と呼ばれる若者達だけがアメリカ軍へ入隊する様相に憂いを感じ、自身で現実を確かめるべく、両親の反対を押し切って軍に入隊し、一兵卒としてベトナムの戦地へ訪れます。しかし、そこはクリスの想像を遥かに超えていました。砂塵が巻い高温多湿が襲い来る劣悪な環境、漂う硝煙と血の匂い、そして兵士達の間で蔓延するクスリ。およそ現実とは思えないこの光景を前に、クリスは到着早々後悔の念に駆られてしまいました。正義感ぶった自分の行いを後悔しつつ、ベトナムの地で兵士としての長い日々が始まるのでした。アメリカ陸軍第25歩兵師団のある1小隊に配属されたクリス。そこにはベテラン下士官のボブ・バーンズ曹長とエリアス・グロージョン軍曹、そして過酷な戦場を生き抜いてきた兵士達がいました。
プラトーンのネタバレあらすじ:2
ある日、待ち伏せに参加することになったクリス達新兵は、実戦経験も浅はかなまま、おぼつかない様子で野営とトラップの準備を進めていました。小隊員が交代で監視を行う中、クリスもジュニアと交代し眠りにつきます。幾分時間が経過した後、目が覚めたクリスでしたが、交代したはずのジュニアも眠りに落ちており、誰も周囲を監視していない状態に気付きます。そんな中、北ベトナム兵が姿を現しますが、実戦経験の浅いクリスは動くことができず、敵の接近を許してしまいます。敵が目前に迫る中、設置したブービートラップが炸裂し、小隊のメンバーが飛び起きて応戦を始めました。敵は逃げていきましたが、味方にも死傷者が出てしまいます。ジュニアは敵の接近を許したのはクリスが監視を怠ったせいだと責めたて、他の小隊員からも責められてしまいます。理不尽な現実を目の当たりにし、責任の所在など関係無いことに気付きます。戦闘で負傷したクリスは一度後方の病院へ送られますが、復帰を果たし小隊へ戻ってきました。拠点に戻ったクリスを迎え入れる小隊員達。クリスも差し出されたタバコとクスリに手を出し、徐々に小隊に馴染んでいきました。戦闘の合間、一夜の楽しいひとときは過ぎていきます。
プラトーンのネタバレあらすじ:3
戦いの日々は続き、とある偵察任務中、敵のトーチカを発見した小隊は付近の探索を開始しますが、ブービートラップにかかった小隊員2名が戦死してしまいます。さらに行方不明となった1名が殺された状態で発見され、怒りに震えるバーンズ曹長と小隊員。近くの村を調査するよう命令を受けた小隊は、そこで大量の武器弾薬を発見します。北ベトナムに協力している村と見做し、激昂するバーンズと彼に従順な小隊員達は、村人を皆殺しにしてしまえと叫びます。そしてバーンズは武器も持たず、無抵抗な村人を殺害してしまいます。クリスは憤りを感じていたものの、どうすることもできずその様子ただ見入るばかりでした。そこへエリアス達が村に到着、殺害の様子を見たエリアスは激昂してバーンズに殴りかかりました。二人の対立は決定的になり、小隊はバーンズ派とエリアス派の様相を示していきます。村は焼かれ、北ベトナムに協力したとみなされた村人は連行されていくのでした。バーンズの不法な殺人を目撃したエリアスは小隊長ウォルフ中尉と中隊長ハリス大尉に直訴しますが、バーンズの顔を立てるウォルフ中尉は殺人は目撃していないとシラを切ります。彼は経験の浅い小隊長であり、古参の兵士達に完全に舐められているのでした。バーンズ派の小隊員達も殺人は犯していないと証言する気です。
プラトーンのネタバレあらすじ:4
ハリス大尉は作戦行動中は仲違いは止めて協力するようバーンズとエリアスに要請しますが、二人の確執はすでに決定的となっており、軍法会議にかけられることを阻止しようとするバーンズはあることを企てます。新たな作戦中、敵の待ち伏せを受けた小隊はその場に立ち往生してしまいます。小隊長ウォルフ中尉は味方の砲兵隊に支援砲撃を要請したものの、誤った座標を伝えてしまい、小隊は味方の砲撃に晒されてしまいます。激昂したバーンズは上官であるウォルフ中尉を殴り、誤った座標を指定したことを咎めます。一方、エリアスはクリス達を引き連れ、敵の進攻を阻止しようとしていました。クリス達をその場に残し、自分は別の場所を守ると1人で進んでいきますが、その様子をどことなく心配そうに見つめるクリス。敵の進攻を阻止して喜ぶクリスでしたが、味方のクロフォードが撃たれてしまいます。そこへバーンズが現れ、撤退するからクロフォードを連れて拠点に戻れと命令するのでした。エリアスがまだいることを伝えると、バーンズは自分が連れ戻すと言い、エリアスの場所へ向かっていきました。拠点に到着したクリスは撤退のヘリが到着する中、エリアスの身を案じて引き返して行きます。
プラトーンのネタバレあらすじ:5
エリアスは1人敵の進攻を食い止めていましたが、そこへバーンズが現れます。エリアスはバーンズと出会ったことで微笑みましたが、バーンズは銃口を降ろさずそのままエリアスを撃つのでした。誰も見ていない状況でエリアスを殺す絶好の機会と見たバーンズですが、拠点に戻る途中で引き返したクリスと出会ってしまいます。「エリアスは?」と問いかけるクリスに、死んだと答えるバーンズ。クリスは信じられませんでしたが、敵が眼前に迫る中で躊躇している暇はなく、撤退するヘリに乗り込むのでした。撤退のヘリからふと地上に目をやったクリスは、死んだはずのエリアスが敵の大部隊に追われているのを発見します。「エリアスだ!」と叫ぶクリスですが、ヘリは着陸できず上空を通り過ぎていきます。敵に追われながら必死に逃げるエリアスでしたが、無念を伝えるかのように両手を天に挙げ息絶えてしまいます。死んだと伝えられたエリアスが生きており、クリスはバーンズに疑いの目を向けます。拠点に戻ったクリスはバーンズを殺害するよう仲間に仕向けますが、仕返しが怖いエリアス派だった小隊員達は乗り気ではありません。そこへバーンズが現れ、エリアスはクズだったと言い放ちます。激昂したクリスはバーンズへ襲いかかりますが、歯がたちません。
プラトーンの結末
翌日、エリアスが戦死した地点へ戻ることになった小隊。敵の大部隊の侵攻が迫りつつある中、小隊は防御陣地を構築して待ち構えます。直前に除隊が叶った者、後方へ送ってほしいと嘆願する者、諦めて達観している者、それぞれの思いが錯綜する中、北ベトナム軍の大夜襲が開始されました。夜襲は激戦の様相を示し、次々と戦死していく小隊員達。中隊長のハリス大尉は、全滅寸前の危機的状況を打破すべく、味方の爆撃機に爆弾を陣地にバラまくよう命令します。敵味方が入り乱れる大混戦の最中、クリスはバーンズと出会いますが、敵も味方も分からない状況でバーンズはクリスに襲いかかります。殺されかけた瞬間、爆撃機から落とされた爆弾が炸裂し、気を失うクリス。翌日、目が覚めると周囲は戦士した敵と味方の遺体で溢れかえっていました。虚ろな足取りで歩きだすクリスの目の前に、満身創痍のバーンズが現れました。衛生兵を呼べと命令するバーンズでしたが、クリスは何かを決めたようにバーンズを見つめています。全てを悟ったバーンズは「殺せ」と言い放ち、クリスに撃たれて絶命するのでした。間もなく味方の救援が到着し、生き残った小隊員達を保護していきます。クリスは2度負傷したことで後方へ送られることになり、移動のヘリに乗り込みます。愛国心と正義感に燃えベトナムにやってきた青年クリス。幾多の狂気と地獄を乗り越え、成長した彼が飛び立っていくシーンで映画は終わります。
「プラトーン」感想・レビュー
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冷徹なバーンズと優しさを失っていないエリアス。組織の中にある葛藤を描いています。舞台は戦場だけれど、実社会に通じるものがありますね。主人公の新兵クリスはそれを俯瞰する立場。バーンズの戦争犯罪を追求するエリアスは証拠隠蔽の為バーンズに殺され、最後主人公がそのバーンズを葬ります。前線から救出されヘリで離脱する時、この組織の中にある葛藤は実は自分の中にもあって常に両者は戦っている。主人公が、そう思いを巡らせているところでこの映画は終わります。社会に潜んでいる良心と現実との戦い。それを見事に描いています。
ベトナム戦争を描いた映画の傑作。監督のオリバーストーンは、ベトナム戦争に偵察部隊の一員として参戦していたそうだが、映画の中の登場人物や出来事は、監督自らが戦地で体験したことに基づいているという。敵の見えないジャングル、村人がゲリラに協力しているかもしれない、という恐怖、ジメジメとした蒸し暑い気候などが主人公たちを苦しめ、変えていく様子を鮮明に描く描写は必見だ。