劇場版ポルノグラファー~プレイバック~の紹介:2021年日本映画。2018年にフジテレビで放送された「ポルノグラファー」。FOD(フジテレビオンデマンド)での配信も人気を呼び、2019年には続編「インディゴの気分」も制作されたが、本作はさらにその先のストーリーで、官能小説家と大学生の男性カップルが、大きな危機を迎えるさまを描く。原作は「on BLUE」連載中の丸木戸マキのBLコミック。官能小説家・木島を演じるのは「仮面ライダー剣」でデビュー以来、俳優・モデルとして活躍する竹財輝之助。その恋人・春彦は「トミカヒーロー レスキューフォース」で主演をつとめた猪塚健太が演じる。監督は「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」「弱虫ペダル」の三木康一郎。
監督:三木康一郎 原作:丸木戸マキ キャスト:竹財輝之助(木島理生)、猪塚健太(久住春彦)、吉田宗洋(城戸士郎)、大石吾朗(蒲生田郁夫)、松本若菜(明実春子)、奥野壮(明実静雄)、小林涼子(木島菜月)、前野朋哉(木島洋二)、ほか
映画「ポルノグラファー~プレイバック~」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ポルノグラファー~プレイバック~」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
劇場版ポルノグラファー~プレイバック~の予告編 動画
映画「ポルノグラファー~プレイバック~」解説
この解説記事には映画「ポルノグラファー~プレイバック~」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
劇場版ポルノグラファー~プレイバック~のネタバレあらすじ:起
ヒグラシの鳴く夏の日。実家に戻った木島理生(竹財輝之助)は、久住春彦(猪塚健太)に宛てた手紙をしたためています。
ふたりの出会いは自転車事故。不注意で理生にケガを負わせてしまった大学生の春彦は、官能小説家である理生の仕事を手伝うため、彼の作品の口述筆記をすることになったのです。ふたりの距離は徐々に縮まり、やがて体を重ねるように。しかし少々ひねくれている理生は、まっすぐに愛情をぶつけてくる春彦をのらりくらりとかわしていたのです。
わけあって理生が実家に戻って二年半。ふたりは再会し、春彦はたびたび理生の住む地を訪れるようになっていました。
雷雨が降り始め、理生は部屋の窓を閉めます。そして春彦への会いたい気持ちをつづった手紙を破り捨て、「出せないだろ、こんな手紙…」とイラ立つのでした。
実は数週間前、理生は東京から会いにきた春彦とラブホテルで激しく愛し合ったあと、春彦がセクシーキャバクラに行ったことが発覚してケンカをしていたのです。もう行かない、と申し訳なさそうにする春彦に理生は、ガマンしなくていいと突き放し部屋を出ていってしまいました。
理生は、恩師である作家・蒲生田郁夫(大石吾朗)とのやりとりを思い出していました。幸せな人間に文学なんていらない、と言う理生に対し蒲生田がなんと答えたのか、理生には思い出せませんでした。
ある日、木島家では理生の妹家族と母親、そして理生が海水浴に行くことになり、理生は支度を急がされていました。外にいる妹たちを見ていた理生は、そのあたりまえのように幸せそうな日常の姿が突然つらくなり、その場から逃げ出してしまいます。
夜、ふらっと帰ってきた理生は怒り心頭の妹・菜月(小林涼子)から罵声を浴びせられます。「もういい!」と菜月は部屋を出ていき、夫の洋二(前野朋哉)は妻を追いかけていきます。年老いた母は菜月の娘をお風呂に連れていき、居間には理生だけが残されました。
翌朝、理生は小さな荷物を持って家を出ていきます。あてもなくバスに乗り、以前春彦と入ったラブホテルが目にとまり、春彦はバスを降りてそこにチェックインします。
劇場版ポルノグラファー~プレイバック~のネタバレあらすじ:承
うたた寝していた理生は、廊下で争う声が聞こえ目覚めます。部屋を出ると男女が言い争っており、止めようとした理生は巻き添えを食って倒れ、左腕を負傷してしまいます。ケガをさせた女性は理生を病院へ連れていき、息子だという青年もやってきました。左利きの理生は執筆できなくなってしまうため、その息子に「漢字は得意?」と聞きますが得意ではなさそうでした。
その母子、母の明実春子(松本若菜)はスナックアケミのママをしており、息子の静雄(奥野壮)はその店を手伝っていました。春子は理生をスナック兼自宅に連れてくると酒をふるまい、気が済むまでいていいと上機嫌。居場所のなかった理生もありがたくその言葉に甘えます。春子は理生が官能小説家だと知ると興味津々、サインを書いてほしいとねだるのでした。
翌朝、早速店の掃除を手伝う理生。静雄がそれを止めようとしますが、思わず手が重なり妙な雰囲気に。その後、執筆中の理生の部屋に春子がやってきていきなり誘惑してきますが、「ダメです」と理生にはぐらかされてしまいます。
その夜、スナックの店内はたくさんの常連客でにぎわっています。奥のカウンターに座った理生は、ママの新しいカレと思われているようです。せっせと接客する母を見ながら静雄は、「あいつも、あいつとも、(母は)ヤッたことある」と4人位の男性を指さします。そしてなんとなく、理生とはそうならない気がする、と言うのでした。
そのころ春彦は、理生のスマホがつながらなかったので実家に電話をしています。妹の菜月は、ケンカして出ていった、友だちのところにいると電話してきたのでてっきり春彦のところにいるのかと思ったと話します。
劇場版ポルノグラファー~プレイバック~のネタバレあらすじ:転
ある日、理生は静雄に官能小説の口述筆記をさせています。階下で春子が店の掃除をしていると、春彦がスマホを見ながら店内に入ってきました。木島理生がいるはずだ、と強引に春彦は二階に上がり、理生が静雄に小説を書かせているところを目撃してしまいます。ふたりの関係を察した春子は、痴話喧嘩に使っていいよ、とスナックを休みにしてふたりきりにさせるのでした。
理生は自信がないと言います。実家を出て東京に戻り、もしうまくいかなかったら?春彦の理生に対する感情を無視し、理生は春彦から離れようとします。
そのとき「春子!」と叫ぶ静雄の声が響き渡り、二階にあがると腹部を押さえて春子が苦しんでいました。急いで病院に行くと、彼女は腸閉塞で入院することになってしまいました。受付で手続きする静雄を見て看護師たちがヒソヒソと「院長の…」と噂話をしています。帰りの車で静雄は、春子がその病院の院長の愛人であることを明かし、以前にもこんなことがあったと言います。
スナックに戻ると静雄は気を利かせてコンビニにでかけます。再びふたりきりになった理生に春彦は、明日お見舞いが終わったらふたりでどこかにでかけようと提案しますが、理生は静雄がかわいそうだ、デリカシーがないと怒ります。仕事をやりくりしてやっと休暇をとって会いにやってきた春彦はその気持ちをぶつけますが、理生は「狭量なやつだな」と吐き捨てます。その言葉に傷ついた春彦は荷物を持ってスナックを出ていきます。
雨の中、傘もささずに歩いている春彦を見つけた静雄は、こんな夜に行く場所もない、と結局連れ帰ってきます。
濡れた服を乾かしながら、ひとりスナックのソファで眠る春彦。深夜、春彦のそばに理生がやってきてタオルケットをかけ直し、キスをしようと顔を近づけますが、しないまま部屋を出ていきました。実は眠っていなかった春彦は嗚咽しながら泣くのでした。
翌朝。きれいにたたまれたタオルケットの上に「東京に戻ります。春彦」とメモを残し、すでに春彦の姿はありませんでした。
追う気のない理生は静雄と春子のお見舞いへでかけます。春彦が帰ったことを知った春子は、すぐに追いかけた方がいいと理生に言います。なにもしないのは真っ白な預金通帳といっしょだと言う春子。春子のようにタフじゃないからと理生は言いますが、「タフになるのよ!」と春子は喝を入れます。
病院を出た理生と静雄。運転しながら静雄は、春子が三年前にガンの手術をしたこと、今は治っているが、理生に後悔してほしくなくてあんなことを言ったのだろうと語ります。それを聞いた理生は駅に向かってほしいと告げ、静雄は「いいよ」と微笑むのでした。
劇場版ポルノグラファー~プレイバック~の結末
理生は春彦のスマホに電話をかけますがつながりません。電車に乗った理生はそのまま東京へとやってきました。共通の友人である城戸(吉田宗洋)を呼び出した理生は、自分だと出てもらえないので城戸のスマホから電話してほしいと頼みます。電話を代わってもらった理生は今から30分で家に行く、といって電話を切ります。迷惑そうにしながらもふたりを心配する城戸。別れ際、春彦は優良物件だから手放すな、と声をかけると理生は手を上げて答えました。
春彦の部屋へとやってきた理生。よそよそしく接する春彦に理生は頭を下げてあやまり、「君と向き合うのがこわかった」と告白しました。そして名前で呼ぶのも恥ずかしくてできなかったと。春彦は名前で呼んでくれなかった理由がわかり、表情が明るくなります。ふたりは抱き合い、そして見つめ合います。
「は、は、る、ひこ」
照れながら呼ぶ理生に春彦は「はい」と返事します。
ようやくハッキリとつきあうことになったふたりはキスを交わしそのままソファへ。でも突然春彦が「実家へ行こう!」と準備を始め、ふたりは理生の実家へと向かいます。
口の悪い妹・菜月に迎えに来てもらい、木島家の家族とともに楽しい時間を過ごす春彦。そしてふたりは春彦の泊まる和室で愛し合います。
深夜、目を覚ました理生が見つめていると春彦も目を開けます。涙を流す理生の頬をぬぐい、春彦はやさしく「大丈夫ですよ」とささやきます。
理生は蒲生田との会話を思い出しました。「幸せな人間に文学は必要ない」という理生に蒲生田は、「幸せは月の満ち欠けみたいなもの。本質的に幸せな人間なんていない」と語り、「寂しさのない人生なんてあるのかね」と問いかけました。
翌朝。布団を干すため部屋を開けた菜月は、裸で眠るふたりの姿を見てしまいます。そっとふすまを閉め、起こさないように立ち去る菜月。振り返ったその顔にはやさしげな笑みが浮かんでいました。
六ヶ月後。
理生は春彦に手紙を書いています。スナックアケミが閉店していたこと、うわさによると静雄は好きな人とかけおちし、春子は宝くじが当たったとかでインドへ行ったらしいとつづります。そして自分もまた、もうすぐこの町を出ていくのだろうと。
手紙の最後に、「君とともに生きたいから」と書いてそれを消す理生。その言葉は直接会って伝えようと理生はほほ笑むのでした。
以上、映画「劇場版ポルノグラファー~プレイバック~」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する