里見八犬伝の紹介:1983年日本映画。鎌田敏夫の小説『新・里見八犬伝』を映画化した作品。時代劇に洋楽を取り入れるなど、斬新な演出が話題となった。妖婦玉梓とその軍勢によって城を攻め落とされた里見家。唯一生き残った静姫は、霊玉を持った男達から里見家と玉梓の100年に及ぶ因縁を知らされる。玉梓の怨念を打ち砕くため、静姫は霊玉を持つ八犬士を従え邪悪に立ち向かっていく。
監督:深作欣二 出演者:薬師丸ひろ子(静姫)、真田広之(犬江親兵衛)、千葉真一(犬山道節)、夏木マリ(玉梓)、目黒祐樹(蟇田素藤)ほか
映画「里見八犬伝(1983年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「里見八犬伝(1983年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「里見八犬伝(1983年)」解説
この解説記事には映画「里見八犬伝(1983年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
里見八犬伝のネタバレあらすじ:里見の姫
舞台は日本、安房国。地域を治めていた里見家の城が攻め落とされ、城内の人間は皆殺しにされます。100年前、里見家によって滅ぼされた蟇田一族が妖怪として転生し、復讐を図ったのです。一族を率いる妖婦玉梓とその息子蟇田素藤らが城へ入ると、そこには彼らが「御霊様」と呼ぶ悪霊の魔像がありました。玉梓は御霊様へ里見家の血を捧げるため、1人城から逃げた静姫に追手を差し向けます。男装して山中を逃げ惑う静姫。共に城を抜け出した忠臣達は玉梓の軍勢に殺害されてしまい、慣れない山道をたった1人で歩きます。空腹に耐えかねた静姫が炭焼小屋に忍び込んで食料を探していると、村の若者犬江親兵衛が現れました。食料と水を分けて貰った静姫でしたが、女だと気付かれ押し倒されてしまいます。そこへ2人の山伏が現れ静姫を救出しました。里見の姫を捕らえれば褒美があると耳にした親兵衛は、山中に罠を仕掛け始めます。
里見八犬伝のネタバレあらすじ:100年の呪い
山伏達は犬山道節、犬村大角と名乗り、山中で火を囲みながら静姫に絵巻物を渡します。そこには今回の事件の発端となった出来事が描かれていました。100年前、当時の里見家当主義実は悪政をしいた蟇田定包らを討ち滅ぼしました。その際定包の妻玉梓は呪いの言葉を吐いて絶命します。しばらくして戦に負けそうになった義実は、飼い犬八房に敵将の首を取って来たなら娘の伏姫を与えると冗談を言いました。ところが八房は本当に敵将の首を討ち取ります。伏姫は八房と共に城を去りますが、姫を取り戻そうと鉄砲隊が差し向けられます。八房を庇った伏姫が被弾すると、彼女の体内から八つの光り輝く霊玉が飛び出しました。伏姫は、100年後この玉を持った八犬士が里見の姫を奉じて玉梓の呪いに打ち勝つだろう、と予言を遺します。道節と大覚は、絵巻物に記された霊玉をそれぞれ所持していました。伏姫の物と伝わる笛を託されたものの、静姫は困惑します。一方その頃、犬塚信乃は義妹浜路と代官の婚礼の席に出ていました。ところが宴に突然蛇が現れ、その混乱に乗じて田楽師犬坂毛野が代官を殺害。毛野が逃げ去った後、彼女を手引きしたとして信乃が疑われます。庇った浜路が殺害され、信乃は狂ったようにその場の人間を斬り伏せますが、庭で光る霊玉を発見します。
里見八犬伝のネタバレあらすじ:新たな仲間
静姫は道節と大覚に伴われ、小さな寺へやって来ます。遅れて大覚の母が現れましたが様子が変です。突然母は巨大なムカデに姿を変え、静姫を襲いました。どうやら大覚の母は既に玉梓の手の者に殺害され、体を乗っ取られてしまったようです。偶然居合わせた信乃と毛野も加わり戦いが始まると、霊玉がムカデに飛んでいきます。苦しんだムカデは液体となって消えました。それぞれの霊玉を手にした4人は同志となり、静姫も決意を固めます。残る4人の同志を探して旅を続ける静姫一行。ところが静姫が仕掛けられていた罠にかかり、親兵衛に拉致されてしまいます。これで褒美が貰えると上機嫌の親兵衛でしたが、蟇田の軍勢によって焼かれた村や嬲り殺された子どもを見て心を入れ替えます。追手から逃れるため洞穴に避難した静姫達は、新たな同志犬田小文吾と犬川荘助に出会い、道節達とも合流します。静姫は親兵衛に笛を渡し、彼が戦いに巻き込まぬよう別れを告げました。
里見八犬伝のネタバレあらすじ:出生の秘密
大覚達に追い払われた親兵衛は、玉梓の軍勢に捕まり城へ連行されました。そこで親兵衛は玉梓が自分の母だと知らされます。親兵衛は玉梓の怨念を背負って転生した彼女の息子だったのです。真実を拒否する親兵衛は静姫から渡された笛を一心不乱に吹き鳴らします。すると玉梓が苦しみ出したため、素藤が親兵衛を殺害。改めて悪の化身につくり変えるよう配下の者に命じます。それを阻止したのは蟇田家に仕える侍犬飼現八でした。現八は笛の音で八犬士としての心を呼び覚まされ、親兵衛を連れて城を脱出します。道節達が集まっていた洞へ向かった現八は霊玉を見せ、同志として迎えられます。一旦は悪に染まった親兵衛も静姫の呼びかけで正気を取り戻し、更に右手に霊玉が現れます。八犬士最後の1人は親兵衛だったのです。静姫は親兵衛と愛を確かめ合いますが、突然現れた大蛇に拉致され玉梓達の手に落ちてしまいます。決戦前、八つの霊玉が光り輝き弓矢を持った仏像が出現しました。そして弓矢を静姫に与えるように、と伏姫の声がします。八犬士は静姫救出と玉梓達の怨念を打ち砕くため、城へと馬を走らせます。
里見八犬伝の結末:最終決戦
城に侵入した八犬士を待っていたのは手強い敵の軍勢でした。死闘を繰り広げる八犬士は最終的に親兵衛以外死亡してしまいます。静姫の縛めを解き、素藤と戦う親兵衛。素藤を弓で傷つけると、彼は苦しみ出しミイラ化しました。それを見た親兵衛は静姫に弓矢を渡し御霊様を射るよう言います。静姫の放った矢は庇おうとした玉梓もろとも魔像に突き刺さり、強い揺れと共に城が崩れ始めます。玉梓の呪いはついに打ち砕かれました。何とか脱出した静姫と親兵衛は、静姫の叔父が治める武蔵の城へ向かいます。役目は終わったと静姫の元から去る親兵衛。ところが静姫は親兵衛を追いかけて来ました。姫としての身分を捨て、親兵衛と共に生きることを決意したのです。親兵衛はためらいますが、そこへ道節達の声が響きました。「行け親兵衛!行け!」と力強い声に背中を押された親兵衛は静姫を抱き寄せます。2人が馬を走らせ、この物語は終わりを迎えます。
以上、映画里見八犬伝のあらすじと結末でした。
この映画は、私が初めて映画館で見たアニメ以外の映画です。子供だってので、この映画を見るまでは映画=アニメでした。姉に付いていく形で一緒に映画へ行き、お年玉で自分でお金を払って見たので、いろんな意味で今でも印象深い作品です。そして何より、犬江親兵衛役の真田広之さんを見て「かっこいい!」と初めて男優さんに興味を抱いた作品。今でも真田広之さんは大好きな俳優さんです。
この映画で印象的なシーンはたくさんあります。妖怪となった因縁の一族に城を攻め落とされ、ひとり生き延び逃げる静姫が山中をさまよいドロドロになり、疲労と空腹の中で差し出された水と食料に食い付くシーン。大覚の母がムカデになって襲ってくるシーン。素藤がミイラになるシーン。あちこちで巻き起こる戦のシーン。暗いシーンが続く中、真っ白な顔で煌びやかな衣装を纏う玉梓の毒々しさ。妖怪と戦う八犬士たちの空中アクション(ワイヤー)は、日本ではこの映画が先駆けですね。いい意味で泥臭い名作です。