スクラップ・ヘブンの紹介:2005年日本映画。世界を一瞬で消す方法がわかりました…。退屈な日々にうんざりしていた警官と、バスジャック事件をきっかけに偶然知り合った便所掃除の若者が意気投合し、世の中を浄化すべく「復讐代行業」を開始しますが、爆弾を作る義眼の女も巻き込んで事態は思わぬ方向へと動き出していきます…。
監督:李相日 出演者:加瀬亮(粕谷シンゴ)、オダギリジョー(葛井テツ)、栗山千明(藤村サキ)、光石研(嶋田係長)、森下能幸(佐藤)、田中哲司(斎藤)、水木薫(サキの母)、鈴木砂羽(相川美佐)、団時朗(吉田院長)、山田辰夫(葛井守)、柄本明(薮田刑事)ほか
映画「スクラップ・ヘブン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スクラップ・ヘブン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スクラップ・ヘブンの予告編 動画
映画「スクラップ・ヘブン」解説
この解説記事には映画「スクラップ・ヘブン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スクラップ・ヘブンのネタバレあらすじ:起
ドラマのような正義の味方に憧れて警察官になった粕谷シンゴ(加瀬亮)。交番勤務を経てようやく警察署勤務となったものの、現実は配属された庶務課で来る日も来る日もデスクワークなどの事務仕事に追われてばかりで、シンゴにとってはとても生きがいを感じられるようなものではありませんでした。
刑事課への異動を熱望していたそんなある日、シンゴは刑事課のベテラン刑事・薮田(柄本明)に連れられ、殺害された犯罪被害者の弔問に出向きました。その被害者はかねてからストーカー被害に悩まされており、何度か警察に相談に来ていたのですが、そのストーカーによって殺害されたのです。シンゴは弔問の帰り、手土産のケーキを頬張りながら路線バスに乗り込みました。
スクラップ・ヘブンのネタバレあらすじ:承
バスの乗客はシンゴの他にも、軽そうな若い男・葛井テツ(オダギリジョー)とサングラスをかけた薬剤師の女・藤村サキ(栗山千明)、そして中年男の斎藤(田中哲司)の三人が乗り合わせていました。突然、斎藤は拳銃を手にバスをジャック、正義の味方を夢見るシンゴにとってはまたとないチャンスでしたが何もできず、そのうちにテツは撃たれてしまい、サキはバスが急ブレーキで止まったはずみでサングラスが外れ、隠していた片目の義眼を落としてしまいます。結局、バスジャック事件は斎藤の自殺という意外な形で幕を閉じました。
3ヶ月後、シンゴはテツと偶然にも再会を果たしました。便所掃除の仕事をしているというテツの父は地下鉄サリン事件の被害者であり、症状は回復したものの周囲は腫れ物を扱うかのように接し、やがて父は退職に追い込まれ、精神を病んで入院したというのです。テツの「世の中のヤツは想像力が足りない」という言葉に、シンゴはある決意を抱きました。
スクラップ・ヘブンのネタバレあらすじ:転
すっかり意気投合したシンゴとテツは、公衆便所の落書きをツールとして「復讐代行業」を開始しました。二人は「誰も傷つかないこと」をモットーに、まずは手始めに医療ミスを隠蔽していた病院長(団時朗)を捕まえては面白半分に拷問を加えました。これに味をしめた二人は次のターゲットとして息子を虐待する母親(鈴木砂羽)に狂言誘拐をしかけ、精神的に徹底的に揺さぶりをかけていきました。テツと共に復讐を請け負うシンゴはすっかり見違えたかのように活き活きとなり、かねてからシンゴに目をかけていた薮田はその変化に次第に気付いていきました。
そんなある日、シンゴのもとにあのサキから「助けて」という連絡が入りました。とある事情から“彼氏”のフリをしてほしいということだったのですが、あのバスジャックの時にサキを助けられなかったという負い目、そしてそのサキに頼られた事を素直に喜んだシンゴはすっかり浮かれて舞い上がってしまい、仕事で大きなミスをして署内から嫌がらせをされるようになりました。
実はサキには裏の顔がありました。片目を先天的な障害で失ったサキはそのことからコンプレックスを抱き、いつしか屈折した感情を薬局の薬を使って爆弾を作ることによって晴らしていました。
スクラップ・ヘブンの結末
一方、父を自殺で失ったテツはシンゴも想定できないほどの暴走に走り、シンゴがつい愚痴をこぼしたことから警察を次なる復讐のターゲットに選び、交番を片っ端から襲撃して拳銃を強奪するという事件を起こしました。興奮するテツとシンゴのもとに、今度はサキから復讐の依頼が舞い込んできました。ターゲットは「全部」。
ところが、シンゴは捜査一課の刑事から、自分たちが盗んだ拳銃がホームレスの手に渡り少年をターゲットにした殺人事件にまで発展した事、そして拳銃を盗まれた警官が自殺したことを知らされました。更には東京や神奈川での各地の交番が同様の手口で襲撃され、被害は拡大していきました。やがて拳銃を持って自首してきたテツをシンゴが取り調べることになり、誰も傷つかない約束だったと言うシンゴと、想像すればわかった事だと言うテツはこの事件を境に仲違いしてしまいました。その後、テツは留置場で自ら命を絶ちました。
全てに絶望したシンゴは、世界を一瞬で消そうとサキが作った爆弾を放り投げました。しかし、爆弾は通りがかりの軽トラックの荷台の水を貯めた容器にポチャリと落っこちてしまい、結局死にきれなかったシンゴはただその場に立ち尽くすのみでした。
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