恋におちたシェイクスピアの紹介:1998年アメリカ映画。若かりし頃のシェイクスピアと、富豪の娘ヴァイオラとのロマンスが、名作「ロミオとジュリエット」の物語と巧みに交差させて描かれています。ストーリーはフィクションでありながら、セットや衣装などの時代背景は丁寧に再現され、実在の人物を多数盛り込むことで、現実味のある作品に仕上がっています。劇中劇の主役ロミオを演じるために、男装を披露するグウィネス・パルトロー他、圧倒的な存在感を醸し出すジュディ・デンチなど、名俳優の競演を見るのも楽しい、アカデミー賞作品賞を始め多数の賞を受賞した秀作です。
監督:ジョン・マッデン 出演:グウィネス・パルトロー(ヴァイオラ・デ・レセップス)、ジョセフ・ファインズ(ウィリアム・シェイクスピア)、ジェフリー・ラッシュ(フィリップ・ヘンズロー)、コリン・ファース(ウェセックス卿)、トム・ウィルキンソン(ヒュー・フェニマン)、ベン・アフレック(ネッド・アレン)、ジュディ・デンチ(エリザベス女王)、ほか
映画「恋におちたシェイクスピア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「恋におちたシェイクスピア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
恋におちたシェイクスピアの予告編 動画
映画「恋におちたシェイクスピア」解説
この解説記事には映画「恋におちたシェイクスピア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
恋におちたシェイクスピアのネタバレあらすじ:起
1593年、芝居熱に沸くエリザベス朝のロンドンには2つの劇場があった。英国一の人気役者バーベッジが率いるカーテン座では有名劇作家マーロウ(ルパート・エヴェレット)をかかえ、疫病で劇場が閉鎖される中でも宮廷劇場での上演を許され、人気を博していた。対してヘンズロー(ジェフリー・ラッシュ)が設立したローズ座は、長引く閉鎖で資金難に陥っていた。
借金取りのフェニマン(トム・ウィルキンソン)に返済を迫られたヘンズローは、苦し紛れに「ウィリアム・シェイクスピア<ウィル>の新作喜劇がある」と口走ると、フェニマンから2週間後に上演して上がりをよこせとせまられる。ヘンズローは慌ててウィル(ジョセフ・ファインズ)のもとへ走るが、当の本人はスランプ中で、ただの一言もかけていなかった。
ローズ座は今、お抱え役者のアドミナル一座が地方巡業中で新たに役者を雇う金もないため、オーディションで役者を集めようとするが、箸にも棒にも掛からぬ者ばかりの中で際立って演技力のある若者が現れる。
トマス・ケントと名乗るその若者は、ウィルの追及に驚いて逃げ出し、後を追ったウィルがたどり着いたのは裕福な商家デ・レセップス家の館だった。
レセップス家の美しい令嬢ヴァイオラ(グウィネス・パルトロー)はこよなく芝居を愛し、役者になることを夢見ていたが、風紀を乱すとして女性が舞台に立つことは許されなかった。そこで彼女は男装し、トマス・ケントと名乗って憧れのシェイクスピアの作品を演じたいと、ローズ座のオーディションの舞台に立ったのだった。
恋におちたシェイクスピアのネタバレあらすじ:承
その晩、館で開かれた舞踏会に紛れ込んだウィルはヴァイオラに出会い、2人はたちまち恋におちるが、そこへヴァイオラに目をつけていた貴族ウェセックス卿(コリン・ファース)が割って入り、彼女は自分のものだと追い返される。
ヴァイオラに出会ったことで創作意欲に火が付いたウィルは、台本を書き進めるかたわら彼女へ愛を込めた手紙を書き綴る。ヴァイオラはウィルからの手紙を受け取って夢見心地になるが、彼女は父親からウェセックス卿との結婚を言い渡される。
涙ながらに書かれた”結婚しアメリカへ行くのでもう会えない”という別れの手紙を受け取ったウィルは、諦めきれずに館まで行くと、そこでトマスがヴァイオラだったことを知って驚く。そしてその夜、2人は愛を交わす。
それから毎夜、愛の日々を送るうち、ウィルの台本は喜劇から自らの結ばれぬ愛を描いた悲恋”ロミオとジュリエット”へと変わっていき、ヴァイオラは昼はトマスとしてロミオ役を演じ、夜はウィルと愛を交わす日々が続いていた。
そんな中、ヴァイオラがウェセックス卿とともにエリザベス女王陛下(ジュディ・デンチ)に謁見する日、離れがたいウィルは侍女に変装して宮廷までついて行く。そこでヴァイオラは「劇作家は恋に無知だ」と言う女王に思わず反論、咎めるウェセックス卿と勢いで”芝居は真実の恋を描けるか”という賭けになる。
恋におちたシェイクスピアのネタバレあらすじ:転
ウィルは”ロミオとジュリエット”を書き上げ、完成台本をヴァイオラに捧げる。2人は夜だけでなく稽古中も周りの目を盗んで視線を絡ませ、限られた時間を惜しむように舞台裏でも愛し合うが、トマス姿のヴァイオラとウィルの情事を目撃した少年が宮廷長官に密告、女が舞台に立っていることが発覚し、ローズ座の閉鎖が言い渡される。
トマスは去り、ローズ座の面々が酒場で失意に暮れているところに、バーベッジが現れる。彼は日ごろ役者らをゴミ扱いしている宮廷長官の鼻を明かしてやろうと、ヘンズローにカーテン座を提供する。
カーテン座で”ロミオとジュリエット”が上演されるその日、ヴァイオラとウェセックス卿との結婚式が取り行われていた。式が終わり、教会からでたところで”ロミオとジュリエット”上演のチラシを偶然目にしたヴァイオラは、乳母の協力で港に向かう馬車から抜け出して、カーテン座へ向かう。
その頃、カーテン座ではトマスの代わりにウィルがロミオを演じることになっていたが、ジュリエット役のサムが運悪くその日の朝に声変わりしていた。
恋におちたシェイクスピアの結末
客席のバーベッジにピンチを告げにいったヘンズローは、そこでヴァイオラを見つけると、急遽彼女をジュリエット役にかりだす。目の前の彼女に驚くウィルだったが、自分たちの悲恋そのままのストーリーを、2人は心のままに演じ切る。そんな2人の様子をあとを追ってきたウェセックス卿も客席から見ていた。
舞台は満場の大喝采で幕を閉じたが、そこへ宮廷長官らが現れ、風紀紊乱で全員を逮捕すると言い渡す。
ところが、お忍びで観覧していた女王がそれを遮り、ヴァイオラをトマス・ケントと呼び、ここに女はいないと取り成し、賭けはウェセックス卿の負けだとして賭金をヴァイオラに渡すよう告げる。
ウィルにも今度は変装せずに城へ来るよう言い、温情を見せる女王だったが、神前での婚姻の誓いには女王も無力だとして、ヴァイオラに告げるべき別れを告げてウェセックス卿の元に戻るよう言い渡す。
もう書く気力がないというウィルにヴァイオラは賭け金を渡し、自分は自分の人生を生きるから、ウィルには書き続けてほしいと願い、ウィルに別れを告げる。
彼女が去ったあと、ウィルはヴァイオラの新しい人生を思い描きながら、彼女を主人公にした新作の台本にペンを走らせるのだった。
以上、映画「恋におちたシェイクスピア」のあらすじと結末でした。
BSで観ましたが、居酒屋で刺殺された劇作家のクリストファー・マーロウや、のちに暗く残酷な作風で有名になるジョン・ウェブスターも登場し、ノンフィクションではないかと錯覚するような素晴らしい作品で、最後に次の恋愛喜劇「十二夜」の構想に続けるところが、粋なウィリアム・シェイクスピア誕生物語になっていると思いました。シェークスピアを読んだことがある人は、ぜひ観てください。