スペンサー ダイアナの決意の紹介:2021年イギリス, チリ, ドイツ, アメリカ映画。1997年に亡くなったイギリスのダイアナ元皇太子妃。この映画は彼女が離婚して王室を去る決意をしたといわれる1991年のクリスマスの3日間を、虚実織り交ぜて描いた寓話である。ちなみに「スペンサー」とは彼女の旧姓。アカデミー主演女優賞にもノミネートされたクリステン・スチュワートがダイアナを研究しつくし仕草やイントネーションまで見事に演じている。その他共演はイギリスの名優ティモシー・スポールやサリー・ホーキンスなど。
監督:パブロ・ラライン 出演:クリステン・スチュワート(ダイアナ妃)、ティモシー・スポール(アリステア・グレゴリー少佐)、ジャック・ファーシング(チャールズ皇太子)、ショーン・ハリス(ダレン)、サリー・ホーキンス(マギー)ほか
映画「スペンサー ダイアナの決意」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スペンサー ダイアナの決意」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「スペンサー ダイアナの決意」解説
この解説記事には映画「スペンサー ダイアナの決意」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スペンサー ダイアナの決意のネタバレあらすじ:起
1991年12月24日。サンドリンガム・ハウスには、クリスマスを過ごすロイヤル・ファミリーが続々とやってきます。新任のグレゴリー少佐はしきたりどおり、入口でやってきた人々の体重をはかっています。
自ら愛車を運転して道に迷ってしまったダイアナが車を停めると、前方からやってきた車の男性が下りてきました。彼はサンドリンガム・ハウスの厨房を仕切るシェフのダレンです。
彼はダイアナにもう近いので急ぐよう言いますが、ダイアナは横の野原に歩いていってしまいます。ポツンと立っていたかかしから古びた赤いジャケットを脱がせて戻ってくると、ここはかつて生まれ育った場所で、このジャケットは彼女の父のものだといいます。
ハウスにはついにエリザベス女王も到着し、その入口は閉じられてしまいます。ようやく到着したダイアナは体重をはかるよう指示され、前任者は見逃してくれたと言って反発します。しかしグレゴリーは譲らず、ダイアナははかりに乗るしかありませんでした。
集合場所へは向かわずトイレで嘔吐したダイアナは、「3日間。たったの3日」と自分を奮い立たせます。その後ダイアナはなじみの衣装係マギーを見かけ、車の中のジャケットを繕ってほしいと頼みます。
その日の午後、ダイアナは息子たちと穏やかな時間を過ごしています。すると、プレゼントを開ける時間だと侍女が呼びにきました。ダイアナはふたりを先に行かせ、自分はしばらく経ってからその部屋へ向かいますがもう誰もいません。夫からのプレゼントは真珠のネックレス。それは、彼が愛人に贈ったものと同じでした。
部屋に戻ると、ヘンリー8世の妻で夫が別の女性と結婚したいがために処刑されたアン・ブーリン王妃の本が置かれていました。そこへマギーがジャケットを持ってやってきます。マギーはダイアナを励まし、あえて毅然と真珠のネックレスをつけるべきだと進言します。
遅れてディナーにやってきたダイアナ。チャールズをにらみつけながらしきりに真珠をさわり、ついにネックレスを引きちぎってしまいます。スープの中に落ちた大玉の真珠をスプーンに乗せると、おもむろに口に入れて噛み始めます。その後トイレで嘔吐していると、侍女がデザートの時間だと呼びに来ました。そのときダイアナの首にはあの真珠のネックレスがつけられていました。
夜中、部屋を抜け出したダイアナは厨房でケーキなどを食べています。やってきたグレゴリーはダイアナに、パパラッチ対策のため部屋のカーテンを閉めるよう注意して去っていきます。
深夜、ハウスを抜け出したダイアナは隣接する自分の生家へと向かいますが、老朽化のため立ち入り禁止になっているそこは有刺鉄線で囲われ、彼女は警備員に止められて仕方なくハウスに戻っていきます。息子たちの部屋に簡単なプレゼントを持ってきたダイアナは、起きてしまったふたりと楽しいひとときを過ごします。
スペンサー ダイアナの決意のネタバレあらすじ:承
12月25日、朝。マギーは任を解かれ、別の衣装係がやってきました。その彼女に罪はないもののダイアナは反発し、マギーを戻すよう懇願します。ロイヤル・ファミリーの写真撮影にも遅刻し、チャールズからは食事を吐かないようにたしなめられるダイアナ。
クリスマスミサのあとマスコミ向けの撮影に応じるロイヤル・ファミリー。ダイアナは夫の愛人の姿を見かけ心を乱します。その様子をテレビで見ていた衣装係は、ダイアナが衣装を間違えていると指摘します。
午後、ハウスの庭ではチャールズがウィリアムに射撃の練習をさせています。翌日行われるキジ撃ちのための練習ですが、ウィリアムはあまり乗り気ではないようでうまく撃てません。ダイアナは戻ってきたチャールズに、ウィリアムに銃を撃たせないでと抗議します。
しかし衣装を間違えたことや深夜に外へ出たことなどで逆に責められ、言いたくなかった真珠のネックレスについて思いをぶつけてしまいます。チャールズは、我々は国民が望む姿を見せる必要があると冷たく言い、ここではすべて筒抜けだと彼女を牽制します。
厨房へ向かったダイアナは、そこでもダレンに「ここではすべて筒抜け、めったなことは言わない方がいい」と言われてしまいます。彼女はダレンにワイヤーが切れるカッターがあるかたずね、それを借りました。
外を歩きながらダイアナは一羽のキジを見かけ、「逃げなさい」と声をかけます。ここのキジは撃たれるために存在していて、撃たれなくても車にひかれて死んでしまうのです。そこへグレゴリーがやってきました。
めずらしく個人的な会話をした彼は、今夜のディナーには遅刻しないようにとクギを差します。ダイアナはアン・ブーリンの本を置いたのはグレゴリーなのではないかと疑っていますが、彼は何のことかわからないと言ってハウスに戻っていきました。
スペンサー ダイアナの決意のネタバレあらすじ:転
部屋に戻るとカーテンが開かないよう縫い付けられています。渋々ドレスを着て衣装係を追い出したダイアナは、カッターでカーテンを縫った糸を切り始めます。ドレス姿で鏡の前に立った彼女は自分の腕をカッターで切りつけ、血が止まらなくなってしまいます。ディナーの時間が迫っているのにガウンに着替えたダイアナは、息子たちの部屋のバスルームに立てこもります。
その後なんとかディナーには参加しますが、途中でまたトイレから出られなくなってしまいます。外から声をかける侍女は、出てくるまで待つと言います。なんどか無視していると「ダイアナ」と呼びかけられました。ドアを開けるとそこにはマギーがいて、ダイアナは彼女に抱きつきます。でもそれはさっきまでいた侍女たちでした。
彼女たちに伴われて戻る途中、それ以上進めなくなりダイアナは向きを変えます。反対方向へ歩きながらその姿はアン・ブーリンとなり、「具合が悪いと伝えて!」と叫びながら逃げ出してしまいます。
そのまま入口の係からコートとブーツを受け取るとダイアナは外に出ていきます。どちらへ?との質問に「家よ」と答えるダイアナ。カッターでワイヤーを切りながら生家へ侵入したダイアナは、真っ暗でホコリだらけの室内を進んでいきます。床や階段はところどころ腐っており、慎重に彼女は2階へと上がっていきます。
そこには少女時代を過ごした自分の部屋がありました。この屋敷で過ごした楽しかった日々を思いながら、彼女の心は限界を迎えていました。階段の上まで戻ってきたダイアナは、そのままそこから身を投げ出そうと脱力します。
しかしそのとき、廊下の奥からだれかが近づいてきました。アン・ブーリンです。「逃げて」という声に、ダイアナは首のネックレスを引きちぎります。廃屋の階段を真珠の粒が落ちていきます。
まるで吹っ切れたかのようにダイアナは走り、踊ります。その姿は少女から大人へと変わっていき、ダイアナはさまざまな服やドレスを着て踊っています。そして屋敷の外を全速力で走っていくのでした。
スペンサー ダイアナの決意の結末
12月26日の朝。まだ眠っているダイアナの部屋に入ってきたのはマギーでした。それに気づいたダイアナは、ベッドの中から手を伸ばしマギーの手を握ります。
それからふたりはダイアナの運転で海へ出かけます。マギーはチャールズによって呼び戻されました。ダイアナの話し相手になってくれ、と。ダイアナは、昨夜アンに救われたと話します。そして多くの王が“征服王”などの二つ名で呼ばれるように、千年後の自分はなんと呼ばれるかと考え始めます。
そしてマギーに、「チャールズに私が変だと言った?」とたずねます。マギーはその質問に答える前に伝えたいことがあると言い、聞いたら私を解雇したくなるかもと前置きしてから「あなたに恋している」と告白します。それは恋愛感情としての恋だと言い、そのうえで“衝撃女王ダイアナ”と呼びます。
自分の気持ちに応えることはできないダイアナを思いやり、マギーはちゃんとわきまえている大人だから大丈夫、と続けます。困惑しながらもうれしそうなダイアナは、マギーとふたりで砂浜を走り回りました。
その帰り道でダイアナは車を降り、スタッフ用の駐車場にとめておいてほしいとマギーに頼みます。そして父のジャケットを着たまま歩いていってしまいます。
ダイアナの目的地はキジ撃ちの狩場でした。そこでは今まさにロイヤル・ファミリーの狩りが始まろうとしており、もちろんチャールズやエリザベス女王もその瞬間をまっています。
いよいよ狩りが始まり銃声が響き渡ると、ほどなくして「人がいる」との声で射撃が中止されます。歩いてきたのはダイアナでした。彼女はウィリアムを迎えに来たと叫んでいます。その行動に人々は呆然と立ちすくみますが、チャールズはウィリアムを、ダイアナのもとへ行くよう促します。
ハウスに戻り楽しそうに帰り支度をするダイアナ、ウィリアム、そしてヘンリー。3人はダイアナの運転するフォードでハウスをあとにします。
その後サンドリンガム・ハウスでは、グレゴリーが本棚にアン・ブーリンの本を戻していました。
ロンドンに着いた3人はドライブスルーでケンタッキー・フライド・チキンを買い、テムズ川のほとりでそれを頬張ります。ふたりの息子の食べる姿を見ながらダイアナは、スッキリとした笑顔を浮かべていました。
以上、映画「スペンサー ダイアナの決意」のあらすじと結末でした。
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