探偵はBARにいる(たんていはバーにいる)の紹介:2011年日本映画。札幌を舞台に、探偵をしている主人公が、バーにかかってきた謎の電話を機に、事件に巻き込まれていくミステリー。複数の事件が複雑に絡み合い、真相がわかる結末まで目を離せません。この作品は、札幌在住の作家・東直己の推理小説『ススキノ探偵シリーズ』を原作とした映画です。
監督:橋本一 出演者:大泉洋(探偵・俺)、松田龍平(高田)、小雪(沙織)、西田敏行(霧島)ほか
映画「探偵はBARにいる」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「探偵はBARにいる」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
探偵はBARにいるの予告編 動画
映画「探偵はBARにいる」解説
この解説記事には映画「探偵はBARにいる」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
探偵はBARにいるのネタバレあらすじ:1.プロローグ:探偵<俺>
舞台は北海道の札幌・ススキノ、ある雪の降る夜、ある男が数人のチンピラに袋叩きに遭っていました。するとそこへ1人の男が現れました。その男はあっという間にチンピラたちを蹴散らしました。袋叩きに遭っていた男はその男に「高田くん、おっせーよ」と言いました。この袋叩きに遭っていた男こそ、この映画の主人公<俺>、そして、助けに来た<俺>の相棒・高田は、北大農学部の助手で、空手部の師範代でケンカが強く、できれば1日中寝ていたいという怠惰な男です。<俺>は、行きつけのバー「ケラーオオハタ」でオセロをするのが好きでした。オセロは「表と裏、白と黒、簡単に裏返る人間と同じだから」です。<俺>の街は、ここアジア最北の大歓楽街・ススキノ、<俺>の仕事は、この街のプライベート・アイ「探偵」です。だが<俺>は、携帯は持たない、束縛されるのが嫌だからで、その代わりバー「ケラーオオハタ」の黒電話で依頼人からの依頼・連絡を受けています。<俺>は職業がら本名は明かさない、何枚もの名刺を持ち歩き、その時々で使い分けています。
探偵はBARにいるのネタバレあらすじ:2.奇妙な依頼
<俺>は相棒・高田と、札幌の経済界を牽引する「霧島グループ」創立20周年パーティに行きました。そこに出席している依頼人・「北海道日報」の新聞記者・松尾に、チンピラから奪い取ったスキャンダル写真を渡すためでした。松尾と<俺>とは飲み友達で、情報交換をする仲でもありました。その夜、ある事件が起こりました。「霧島グループ」の社長・霧島敏夫が、拉致されようとしている少女を助けようとし、逆に撲殺されてしまったのです。その事件後、いつものように<俺>がバーいたときでした。1本の電話がかかってきました。コントウキョウコと名乗る女性からの仕事の依頼電話でした。<俺>はキナ臭い感じを受けましたが、彼女の依頼を受けることにしました。その依頼の内容は「札幌法律事務所の南という弁護士に会い、去年の2月5日にカトウがどこにいたか。…その時の様子を教えてほしい」という簡単な仕事でした。<俺>はいつものように偽装し、その南と面会しました。<俺>はその直後、謎の男たちに拉致され、人気のない雪原の穴の中に埋められてしまいました。何とか脱出し、公衆電話から高田を呼び、高田の錆びれたオンボロ愛車・初代ビュートで、何とか凍え死なずに帰ってこられました。<俺>は、これは「これ以上、関わるな」という警告だと察知しました。その夜、<俺>はコンドウキョウコに紳士的に結果を報告しました。<俺>は彼女に「南の表情が変わった」と、直感的に見抜いたことを報告しました。彼女は「またお願いするかもしれません」と言い、一方的に電話を切りました。<俺>の主義は「感情に流されれば寿命が縮む」でしたが、今回は<俺>を怒らせた奴らに報復することに決めました。
探偵はBARにいるのネタバレあらすじ:3.2つの事件
<俺>は高田と共に、南の事務所を見張りました。すると、そこに<俺>を拉致した男たちが来ました。<俺>たちはその男たちを尾行すると、地元で最も下品なヤクザ・花岡組のアジトに入っていきました。彼らは「則天道場」という看板を掲げていました。<俺>は松尾に情報を求めました。その情報によると、花岡組は地上げのため、下っ端の田口晃に「皆楽会館」を放火させ、その後、口封じのため、シンナー中毒という形で抹殺していました。そして、その火事で出たたった1人の死人がコンドウキョウコ(近藤京子)という女性でした。この放火事件は、あの電話よりも先に起きたもので、何者かが近藤京子と名乗り、何かを企んでいると<俺>は直感しました。その夜、<俺>は松尾に連れられ、高級クラブ「コンチェルト」に行きました。そこで目を見張るような美人ママと会いました。ママの名前は沙織、殺された元「霧島グループ」の社長・霧島敏夫の妻でした。<俺>はまず、近藤京子の昔の知人に会いに行きました。その知人の話では、京子は「店を持たせてくれた足長おじさんに悪いから」と言い、その会館の売却を拒んでいたようでした。次に<俺>は、放火犯にされ殺された田口晃の実家を訪ねました。田口の母・康子は溜め込んでいた愚痴を、<俺>に吐き出しました。貧乏くさい田口の家には、不釣り合いな50インチのテレビがありました。そこへ父・田口幸平が帰ってきました。幸平は<俺>を見るなり、妻・康子を殴りました。仲裁に入った<俺>は、幸平に追い出されました。その夜、コンドウキョウコから再び依頼の電話がありました。「カトウを呼び出せ」というものでした。俺は早速、指示通り、カトウという男を呼び出す手配をしました。その前に、<俺>は気になっていた近藤京子の母・百合子に話を聞きに行きました。百合子の話によると、実は京子が父だと思っているのは母の再婚相手で、実の父親は別にいたのでした。そしてその父親が足長おじさんでした。そしてなんとその父親とはあの殺された霧島社長でした。それはあの放火事件と同じ2月5日でした。<俺>の頭の中で、2つの事件がつながりました。
探偵はBARにいるのネタバレあらすじ:4.黒幕
ある日、<俺>は誰かに狙われている感じを受けました。それは相田でした。相田は「桐原組」の若頭で、〈俺〉とは腐れ縁の仲でした。<俺>は相田から南の裏情報を聞きました。南はとんでもない悪党弁護士でした。そして、南は花岡組と絡んで、放火されたあの「皆楽会館」にも地上げをかけていたのでした。相田は、一連の事件の黒幕を密かに探ってやると言い、ビールを一気飲みしました。その夜、偶然、街中で豪勢に遊んでいた田口幸平を見かけた<俺>は、幸平を締め上げました。幸平は息子の殺害の裏事情を知っており、それをネタに花岡組から金をせびり取っていました。幸平はその証拠となるテープも持っていました。翌日、<俺>と高田は則天道場に記者を装い、入りました。<俺>は田口晃の件を突っ込んで訊きましたが、答えは知らぬ存ぜぬでした。帰ろうとする<俺>たちを、あの<俺>を埋めた男たちが襲ってきました。<俺>たちは必死で戦い、何とか逃げ出すことに成功しました。次の日、カトウと会う場所に行きました。すると、やってきたのは、あの<俺>を埋めた男でした。あの男がカトウだったのです。その夜、<俺>は高田と今後のことを考えました。南や花岡組、そしてそれを操る黒幕をどうすれば、洗い出せるかを…。その時、田口幸平が証拠テープを持っていることを思い出しました。<俺>たちは田口の家に駆け込みましたが、既に幸平と妻・康子はカトウたちに殺されていました。<俺>の怒りは頂点に達し、翌日、カトウを尾行し、奴と戦おうとしました。しかし、カトウは何者かによって射殺されてしまいました。<俺>は足音を追いましたが、逃げられました。その夜、<俺>は相田から貴重な情報を入手し、空港に行きました。ヘリから出てきたのは、関西の裏社会のフィクサー・銀漢興産の岩淵恭輔とその息子・岩淵貢、そして、なんと沙織が出てきました。沙織は息子・貢と近々結婚予定という話でした。相田によると、沙織はとんでもない悪女でした。<俺>は、元夫の霧島殺害計画を企てたのは、沙織だと推理しました。<俺>は沙織のクラブに行き、沙織にカマをかけました。沙織の表情は一変しました。推理が当たっていたと確信した<俺>は、VIPルームに集まっていた岩淵恭輔と貢、南、そして沙織のもとに行きました。<俺>は奴らに宣戦布告したようでした。翌日の夜、<俺>はいつも松尾と行くスポーツバーのマスターたちに、拉致され、半殺しにされました。情報を聞き駆けつけてくれた高田に助けられました。満身創痍の<俺>に、峰子やススキノの仲間たちが見舞いに来てくれました。お蔭で元気になった<俺>に、高田は「もう手を引け」と言いましたが、<俺>にはそれができませんでした。<俺>は沙織のもとへ行きました。憤りを抑えきれず<俺>は、沙織に銃を向け「俺の依頼人に指一本でも触れてみろ。お前ら全員、ぶっ殺してやる」と言い、沙織に引き金を引きました。銃には弾は入っていません。空砲でした。沙織の目から一筋の涙が流れました。<俺>は立ち去りました。
探偵はBARにいるのネタバレあらすじ:5.悲しき真相
沙織と岩淵との結婚が迫るある夜、コンドウキョウコから最後の依頼の電話がありました。<俺>は依頼に従い、沙織を小樽に呼び出し、<俺>も小樽へ向かいました。そこで決定的な証拠が得られるとコンドウキョウコは言いました。沙織の結婚式の日、<俺>は小樽の指定場所で考えました。そして、<俺>は事の真相を、依頼人を悟りました。<俺>はとんでもない勘違いをしていました。依頼人は沙織でした。<俺>は沙織に電話をしました。<俺>は「探偵は絶対、依頼人を守らなくてはいけないんだ」と言い、沙織がしようとしている事を止めようとしました。しかし、沙織は「ありがとう、さようなら」と言って切りました。沙織はベンチの裏に、<俺>宛ての手紙を隠していました。<俺>はその手紙を一瞥し、沙織のもとへ急行しました。沙織と霧島は、互いに愛し合い幸せな暮らしをしていました。そんな時、花岡組は皆楽会館の土地を手に入れようとしたのですが、近藤京子が頑なに拒否したので彼女を殺しました。正義感の強い霧島は、実の娘の京子の死の真相を徹底的に調べて知りました。娘の死の黒幕は、かつて霧島と京子とを引き離すよう仕向けた岩淵恭輔でした。霧島は岩淵を断罪しようとして、計画的に殺害されたのでした。霧島を深く愛していた沙織は、岩淵の息子・岩淵貢と結婚し、敵の懐に入り、霧島の復讐をしようと企てていました。沙織は<俺>に証拠を探らせ、それを手に入れたのでした。カトウを殺したのも沙織でした。証拠をつかんだ沙織は、今、結婚式の真っ最中でした。沙織はウエディングドレスをまとった姿で、隠し持っていた銃で、南、岩淵貢、岩淵恭輔を撃ち殺し、最後は自殺してしまいました。
探偵はBARにいるの結末:6.エピローグ:「何かあったら、電話してくれ。」
<俺>が結婚式場に着いたときは、もう終わっていました。<俺>は、初めて沙織と街中で出会ったときのことを、ふと思い出しました。「何かあったら、電話してくれ」と沙織に言ったことを…。<俺>はいつものバーに行くと、マスターが何かを出してきました。開けると腕時計でした。今回の仕事で壊れた<俺>の腕時計の代わりに、沙織が買ってくれたものでした。<俺>は哀しみを癒すように、グラスを傾けました。
以上、映画「探偵はBARにいる」の詳細あらすじ解説でした。
大泉洋主演の推理小説『ススキノ探偵シリーズ』のハードボイルド探偵映画。俳優としての大泉洋が堪能できる作品ですが、バラエティの大泉洋の姿を知っているとちょっとむず痒い感覚に陥ってしまいます。依頼された事件の裏側の大きな権力に立ち向かう街の探偵という、ちょっと頼りない感じがハラハラさせられますし、ちょっと切ないラストシーンにほろっとさせられる映画です。松田龍平のヒョウヒョウとしたキャラクターがまたイカしていますね。