マネー・ショート 華麗なる大逆転の紹介:2015年アメリカ映画。マイケルルイスが著した本「世紀の空売り、世界経済の破綻に賭けた男たち」を原作に映画化した作品。リーマンショックが起きる前に経済破綻の危機に気付いた男たちの実話を、クリスチャン・ベイルやブラッド・ピットなど豪華キャストで描く社会派ドラマ。サブプライムローンの危険性を察知した金融トレーダーらが、ウォール街を出し抜こうとする様子を描く。今作では豪華な俳優陣が熱演を繰り広げ、アカデミー賞にノミネートされました。
監督:アダム・マッケイ 出演:クリスチャン・ベイル(マイケル・バーリ)、スティーヴ・カレル(マーク・バウム)、ライアン・ゴズリング(ジャレッド・ベネット)、ブラッド・ピット(ベン・リカート)ほか
映画「マネーショート 華麗なる大逆転」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マネーショート 華麗なる大逆転」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マネーショート 華麗なる大逆転の予告編動画
映画「マネーショート 華麗なる大逆転」解説
この解説記事には映画「マネーショート 華麗なる大逆転」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マネーショート 華麗なる大逆転のネタバレあらすじ:起
2005年、元神経科でありながら投資会社を経営するというヘッジファンドマネージャーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、ある日、大好きなハードロックを聞きながら数字を眺めていると、あることに気づきます。
当時爆発的に売れていたCDO(Collateralized Debt Obligation:債務担保証券)という金融証券の中にサブプライムローンが含まれていて、これが不良債権化すればCDOを持つ投資家達に影響が及んでしまうというものでした。
そこでマイケルは、後にアメリカに訪れる危機を救うために回避しようと動くのではなく、それを利用して空売りすることで儲けを得る方法を思い付きます。それはCDS(クレジットデフォルトスワップ:債務不履行保険)という、いわゆる企業の倒産保険のようなものでした。
そしてさっそくこの考えで証券ディーラーと大手銀行を回り、内容を説明し、彼らを説得しはじめました。まさかサブプライムローンが破綻するとは思ってもいない多くの会社は、住宅市場が固定されているものと思い、彼の提案を受け入れます。
マネーショート 華麗なる大逆転のネタバレあらすじ:承
しかし、依頼人の何人かはマイケル(クリスチャン・ベイル)が彼らの投資を浪費しているのではないかと思い、怒りをぶつけ、逆にマイケルはその行いを拒絶してしまいます。
そして多くの投資家が怒りを彼にぶつけながらも、ついにマイケルが予測した時に合わせて市場は暴落してしまうのです。その予測に乗っ取り、マイケルは489%もの利益をたたき出すのです。
銀行家のジャレッド(ライアン・ゴズリング)は、マイケルの対応をした銀行マンから、マイケルの行動を耳にしします。そしてマイケルの予測が真実であると理解し、マイケルの動向に目をつけていました。
ジャレットは知人であるヘッジハンドマネージャーのマーク(スティーブ・カレル)を説得し、自分と同じようにCDSを購入するようにアドバイスします。皆と同じく、まさかサブプライムローンが…と思っていたマークにとってはジャレットの話はにわかに信じがたいものでした。
彼らはCDSの販売や、利害対立のために詐欺的な評価を与えられるローンのグループと格付け会社の不正により、切迫した市場崩壊がさらに恒久化されていることを知っていきました。
マネーショート 華麗なる大逆転のネタバレあらすじ:転
時を同じくして、カリフォルニアで小さな投資会社から始めたチャーリー(ジョン・マガロ)とジェイミー(フィン・ウィットロック)の若者二人もサブプライムローンの不安定さを解析し、破綻していくだろうという事に気づいていました。しかし彼らの小さな会社のわずかな資金力では、このウォール街では認められるには程遠かったのです。
そんな中、マイケルのCDSの企画書を見た二人は、これがまさしく自分たちの言いたいことだと感銘を受け、このチャンスを逃してはいけないとウォール街に出ていく決意をしました。そして、そのために既に引退している自分たちの金融の師匠であるベン(ブラット・ピット)に会いに行く事を決意します。
マークはその後、サブプライムローンに関して調査を始めていました。そこで驚愕の事実を知るのです。銀行家達がとても返済が出来そうもない低所得層にサブプライムローンを複数に渡って組ませていたのです。
初めはサブプライムローンの崩壊には懐疑的な見方をしていたマークもこの現実が決め手となり、ジャレットの提案を受けCDSを購入することにしました。しかし調査を終えたマークの気持ちは、こんな詐欺めいたことが大規模にまかり通っていることに憤りを感じずにはいられませんでした。
その頃、チャーリーとジェイミーはベンに会いにラスベガスにやって来ていました。ベンから教えを請い、そして大量のCDSを購入し大喜びの二人に、ベンは一喝します。「お前達がこれで儲けているということは、その分住む場所をなくしたり、将来先が見えなくなる人がたくさん出るということなんだ。それを分かっているのか?」ベンはこの理不尽な仕組みを理解しており、やがてこの件からは離れていきます。
マネーショート 華麗なる大逆転の結末
2008年がやってくるとリーマンショックが起こり、マイケルが予想した通り投資会社が軒並み破綻していきます。マイケルはCDSの会社が潰れていく前に保険金を回収し、AIGの保険金を空売りします。そして資本家の元本に充て、自らのファンドを閉鎖しました。マークやジャレット、チャーリーやジェイミーも同様にCDSを売り、多額の儲けを得ることが出来ました。
しかし、かねてからの計算通りに事は進み、多額の儲けを得て潤ったはずの彼らの表情は冴えません。リーマンショックでほとんどの人が損をしている中、儲けを出した彼らの利益はアメリカ経済が破綻することで得ることが出来たものなのです。
これまで詐欺まがいな事を行ってきた銀行や投資家達、その悪行を見逃してきた政府らはそのツケを払わされる事なく、何も知らずに銀行や投資家達に騙されてきた一般市民がその負担を強いられるのです。
彼らの成功の裏側で騙され損をした人達が路頭に迷うことになる。それを知る彼らには、とてもこの結末を歓喜で終えることは出来ませんでした。
さらにはリーマンショックで破綻し、その負債を払いきれなくなった銀行は税金を使って救済されます。結局、詐欺まがいの事を行っても彼らはその罪に問われる事はなかったのです。そして彼らは現在、何食わぬ顔でまた新たなサブプライムローンに似た商品を売りに出そうとしています。
以上、映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のあらすじと結末でした。
マネーショート 華麗なる大逆転の解説・用語説明
サブプライム・ローンとは?
低所得者向けの高金利の住宅ローンのこと。アメリカでは家の資産価値は下がることはないと一般的に考えられているため、低所得者であっても購入する家そのものを担保にしてお金を借りることができた。また、この時期は家の値段がどんどん上昇していくというバブル状態でもあり、返済能力の低い低所得者層向けの住宅ローンであっても焦げ付くとはあまり考えられていませんでした。
MBS(モーゲージ債/不動産担保証券)とは?
銀行などの住宅ローン業者が、家を買った人とサブプライムローン契約したものをまとめてゴールドマン・サックスなどの投資銀行にサブプライムローン債権として売却し、投資銀行がそれを投資家や投資ファンド向けに利回りの良い金融商品、モーゲージ債として証券化したものです。
CDO(債務担保証券)とは?
サブプライムローン債権やMBS(モーゲージ債)などを合体させて作った金融商品です。リスクの異なる複数の債権を組み合わせているため、MBSより低リスクで、リターンも良いリスク分散した証券として売られていました。
CDS(債務不履行保険)とは?
CDSはCDOが破綻したときの保険商品のようなもので、CDOなどの債権を持っていなくてもCDSだけ持つこともできました。保険料を支払う必要はありますが、もしCDOが暴落や破綻するような損失が発生すればCDSによって保険金が下りるという性質の金融商品です。劇中ではゴールドマン・サックスなどの投資銀行がこの商品を売っています。つまりゴールドマン・サックスはサブプライムローンなどで儲かるという商品を売りながら、それが破綻するという商品も売っていたのです。
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