マイ・ブックショップの紹介:2018年スペイン,イギリス,ドイツ映画。イギリスの小さな港町。戦争で夫を亡くしたフローレンスは、この町に長年の夢だった本屋を開いた。クリスティーンという賢い少女と配達係ウォーリー少年の力を借りて、少しずつではあるものの、経営は軌道に乗り始めていた。しかし、ここは保守的な地方の町。フローレンスの挑戦を快く思わないガマート夫人は様々な手段で妨害し、彼女を追い込んでいく。人嫌いで40年も屋敷に引きこもっている読書好きの老紳士ブランディッシュ氏はフローレンスのために尽力を尽くして、助けようと試みるが事態はさらに悪くなっていく。原作は英ブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの小説『ブックショップ』。様々な障害に凛と立ち向かい闘うフローレンスと、社会の無常や理不尽さを静かに込め描かれている。2018年のスペイン・ゴヤ賞では作品賞・監督賞・脚色賞を受賞した。
監督:イザベル・コイシュ 出演:エミリー・モーティマー(フローレンス・グリーン)、ビル・ナイ(エドモンド・ブランディッシュ)、ハンター・トレメイン(キーブル氏)、オナー・ニーフシー(クリスティーン)、フランシス・バーバー(ジェシー・ウォルフォード)、ジェームズ・ランス(ミロ・ノース)、パトリシア・クラークソン(ガマート夫人)ほか
映画「マイ・ブックショップ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マイ・ブックショップ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マイ・ブックショップの予告編 動画
映画「マイ・ブックショップ」解説
この解説記事には映画「マイ・ブックショップ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マイ・ブックショップのネタバレあらすじ:起
1959年のイギリス。戦争で夫を亡くした未亡人フローレンス・グリーンは夫との長年の夢であった本屋を小さな港町で開くことを決意しました。町の銀行員キーブルから難癖をつけられ何度も融資を断られましたが、我慢強く耐えた結果、それまでに放置されていた通称オールドハウスという古い建物を買い取ることができ開店準備にとりかかります。フローレンスの唯一の楽しみは海の見える丘で本を読むこと。そんな彼女の姿を、40年以上屋敷に引きこもっている変わり者の読書家ブランディッシュ氏が遠くからそっと見ていました。ある日のこと、フローレンスは町一番の有力者ガマート夫妻が主催するパーティに招待され、城のような大きな屋敷へ向かいました。パーティではBBCで働くノースの感じ悪い態度に困惑していたフローレンスでしたが、ガマート夫人が声をかけてきました。「本屋ができて町のみんなは喜んでいる」夫人の言葉に安堵してたのも束の間、「オールドハウスを芸術センターとして使いたい」と言い出してきたのです。しかしフローレンスはこの申し出にひるむことなく、きっぱり断りました。
マイ・ブックショップのネタバレあらすじ:承
町ではフローレンスが書店を諦めるという噂や、なかなか手続きを進めない弁護士など逆風は続きます。それでも、船頭のレイヴンが親切に海洋少年団を派遣してくれ開店準備を手伝ってくれたり、仏頂面だが賢い少女クリスティーンを紹介してくれたりと味方をしてくれる人々もいました。注文した本が次々に届き、少年たちが作った本棚に並べていくと、フローレンスは妨害しようとするガマート夫人や銀行員、弁護士のことは頭から消えていくのでした。そんな中、少年団の1人ウォーリーが1通の手紙が届けてきました。送り主は、ブランディッシュ氏でした。その手紙には推薦本を少年に届けさせてほしいと書かれていました。早速フローレンスは、最初のお客さんとなったブランディッシュ氏に「華氏451度」を送りました。この作品に感動したブランディッシュ氏はブラッドベリの他の作品も送ってほしいと依頼。こうして本を通じた2人の交流が始まりました。
マイ・ブックショップのネタバレあらすじ:転
本屋は瞬く間に話題となり、軌道に乗り始めていました。読書が嫌いというクリスティーンもフローレンスを慕い一生懸命仕事をこなします。フローレンスはそんなクリスティーンに『ジャマイカの烈風』を勧めました。しかし一方で、ガマート夫人は嫉妬に燃え、オールドハウスを手に入れたいという欲求は募るばかり。フローレンスはそんなことは知らずに、ノースによって持ち込まれたウラジミール・ナボコフの問題作『ロリータ』を店頭に並べるかどうかブランディッシュ氏にアドバイスを依頼。ブランディッシュ氏は屋敷へフローレンスを招待すると「あなたは勇気に満ち溢れている、応援したい」と優しく背中を押してくれたのでした。『ロリータ』はすぐに町に知れ渡り、店の周りに人だかりができるほど話題となりました。フローレンスの書店が人々の話題になることをどうしても許せないガマート夫人は、弁護士を通じて苦情の手紙をよこします。それでもフローレンスは決して屈することはありませんでした。
マイ・ブックショップの結末
ガマート夫人は次に政治家の甥っ子を使い、"名所・公的に価値ある資源"の法案を通してオールドハウスを強制収用する動きを見せます。児童労働の法令違反で学校にいたクリスティーンは連れ去られ、さらには町に新たな書店もできました。全てはガマート夫人が仕掛けたことでした。夫人の包囲網に八方塞がりになってしまったフローレンス。いつもの海岸で泣き崩れていると目の前にブランディッシュ氏が現れました。「君を助けたい」、そう言うとガマート夫人に直訴するために数十年ぶりの町へ向かいました。しかし、ブランディッシュ氏の願い虚しく、夫人は頑なに拒否。感情を爆発させ、夫人の屋敷を出たブランディッシュ氏でしたが、途中で倒れてしまいそのまま目を覚ますことはありせんでした。オールドハウスを手放す以外方法がなくなり、1番の理解者であるブランディッシュ氏が亡くなったことで悲しみに沈むフローレンス。遂に夢は敗れてしまいました。フローレンスは想いの詰まった本屋を出て、船に乗り込みます。そこにクリスティーンがお別れを言いに駆けつけました。手には『ジャマイカの烈風』が見えました。その後ろではもくもくと立ち込める灰色の煙。フローレンスはすぐにクリスティーンが本屋に火を放ったことを察しました。そして時が経ち、近代的な書店に女性が1人。大人の女性になったクリスティーンはフローレンスの夢を継いで本屋の夢を叶えたのでした。
以上、マイ・ブックショップのあらすじと結末でした。
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