スターリンの葬送狂騒曲の紹介:2017年フランス,イギリス,ベルギー,カナダ映画。ソビエト連邦の最高権力者スターリンは粛清という名の大量虐殺による恐怖で、国民や側近を支配してきた。その独裁者が脳出血で危篤に陥り、後継者を指名することなく息を引き取った。表向きは厳粛な国葬の準備を進めるが、スターリンの腹心だったマレンコフ、モスクワ党第一書記フルシチョフ、秘密警察警備隊最高責任者のベリヤが3大トップとなり、そこへソビエト軍最高司令官ジェーコフ元帥まで参戦し、権力バトルが始まった。嘘と裏切り、仕掛け合う罠など国を担うはずの男たちのなんでもあり、やったもの勝ちのゲスな本性が暴かれていく。ロシアでは政府が上映を禁止したが、ヨーロッパ全土、さらにはアメリカやオーストラリアまでスマッシュヒットを記録した。
監督:アーマンド・イアヌッチ 出演:スティーヴ・ブシェミ(フルシチョフ)、サイモン・ラッセル・ビール(ベリヤ)、パディ・コンシダイン(アンドレーエフ)、ルパート・フレンド(ワシーリー)、ジェイソン・アイザックス(ジェーコフ)、オルガ・キュリレンコ(マリヤ)、マイケル・ベイリン(モロトフ)、アンドレア・ライズブロー(ヴェトラーナ)、ポール・チャヒディ(ブルガーニン)、ダーモット・クロウリー(カガノーヴィチ)、アドリアン・マクローリン(スターリン)、ジェフリー・タンバー(マレンコフ)ほか
映画「スターリンの葬送狂騒曲」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スターリンの葬送狂騒曲」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スターリンの葬送狂騒曲の予告編 動画
映画「スターリンの葬送狂騒曲」解説
この解説記事には映画「スターリンの葬送狂騒曲」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スターリンの葬送狂騒曲のネタバレあらすじ:起
1953年、モスクワ。スターリンの秘密警察NKVDは20年に渡り恐怖で政治を支配していました。敵の名簿を愉しげにチェックするスターリン。名前の載った者は問答無用で粛清される恐怖のリストです。ある日、中央委員会書記長スターリンは側近たちと夕食のテーブルを囲んでいました。第一書記フルシチョフの小話に大笑いしながら話しに乗るNKVD警察隊トップのベリヤ。スターリンの腹心マレンコフは話し下手ですぐシラケさせてしまいます。そんな宴が明け方まで続き、自室に戻りレコードをかけるスターリン。無理を言って演奏会を録音させたレコードを開けると、一通の手紙が落ちます。「死を祈り、神の赦しを願う。暴君よ。」と書かれた手紙はピアニストのマリヤからでした。スターリンは余裕の表情で微笑みますが、次の瞬間、顔を歪めその場に倒れました。
スターリンの葬送狂騒曲のネタバレあらすじ:承
朝食を持参したメイドがスターリンの重体に気付き、すぐさま側近たちが呼ばれます。驚愕しつつも代理を務めると名乗りを上げたマレンコフ。側近たちは医者を呼ぼうとしますが、有能な医師たちはスターリンの毒殺を企てた罪で獄中か、死刑に処されており仕方なくヤブ医者たちが呼ばれました。スターリンの娘スヴェトラーナと息子ワシーリーも駆けつけて側近たちは見守りますが、医者は脳出血で回復は難しいと判断。その同様の中、バリヤはモスクワの警備を軍から自身の警備隊の部下へと交代させます。その後、一度は意識を取り戻したスターリンでしたが、後継者を名指しすることなく息を引き取りました。突如空いたソビエト最高司令官の穴を埋めるべく、マレンコフとベリヤは手を組みます。幹部会が開かれ次期書記長にマレンコフ、第一副議長にベリヤが推挙され、異議を唱えたフルシチョフはスターリンの国葬委員長を押し付けられます。
スターリンの葬送狂騒曲のネタバレあらすじ:転
ナンバー2の座を手に入れたベリヤは優柔不断なマレンコフを都合よく操り、暴走を始めます。絶対服従だったスターリンの粛清リストをあっさり破棄し、人気取りのために囚人を解放します。さらに、凄まじい宗教弾圧を行ったスターリンの葬儀に、まるで嫌がらせかのように主教たちを招待します。この横暴に黙っていられなくなったフルシチョフは、参列者の混乱で彼を困らせるために、封鎖されていたモスク行き列車の運行を再開させます。警備隊は押し寄せる人の波に慌てて発砲。1500人もの死者を出す惨事となりました。
スターリンの葬送狂騒曲の結末
思惑通りにベリヤを陥れることのできたフルシチョフは、さらにたたみかけます。ベリヤと敵対するソビエト軍最高司令官ジェーコフ元帥にある作戦を持ちかけるのです。それは葬儀の中で決行するクーデター。ベリヤはあっさり捕まります。さらにフルシチョフはサインを嫌がるマレンコフを脅し、処刑の署名をさせると、ベリヤはすぐさま銃殺されました。その場で燃やされる遺体を見て嘆くヴェトラーナに、そっと「都合の悪い存在は消される」と伝えるフルシチョフでした。のちにフルシチョフは中央委員会の第一書記に就任。2年後にはマレンコフを降格させました。とある劇場。拍手を送るフルシチョフの後ろには、のちに書記長となるブレジネフの姿がありました。
以上、スターリンの葬送狂騒曲のあらすじと結末でした。
舞台はロシアなのに、使用言語が英語なのが少しシュールだった。宣伝会社はコメディと題しているが、実際にはコメディ色は薄め。GAGAの映画らしい手が込んだ美術の歴史もの映画。イギリス製作と聞いて「なるほどな」とうなづかずにはいられなかった。
権力闘争ムービーとしても見ごたえはあるし、登場人物を一々紹介してくれるのも親切設計。ブラックコメディのシーンもしっかり笑える。丁寧な作りの良作映画。