リーピングの紹介:2007年アメリカ映画。海外ドラマ「マンハッタンに恋をして~キャリーの日記~」で、「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公キャリーの若い頃を演じたアナソフィア・ロブが、ミステリアスな美少女を演じるオカルト・ホラー。主演はアカデミー賞女優のヒラリー・スワンク。信仰心厚い素朴な人々が暮らす田舎町ヘイブン。そこで旧約聖書に記された「十の災い」と酷似した異常現象が連続して起こる。過去に夫と娘を亡くしたことから、神への信仰を失った大学教授のキャサリンは、科学的原因を証明するためにヘイブンの調査を引き受ける。そこで彼女を待っていたものとは…?
監督:スティーヴン・ホプキンス 出演者:ヒラリー・スワンク(キャサリン)、アナソフィア・ロブ(ローレン)、スティーヴン・レイ(コスティガン神父)、デヴィッド・モリシ―(ダグ)、イドリス・エルバ(ベン)、アンドレア・フランクル(ローレンの母)、ウィリアム・ラグズデール(保安官)ほか
映画「リーピング」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「リーピング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「リーピング」解説
この解説記事には映画「リーピング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
リーピングのネタバレあらすじ:起
ルイジアナ州立大学の教授キャサリンが、助手のベンと共にチリ共和国を訪れていました。謎の体調不良を訴える地元住民の調査が目的でしたが、信心深い地元住民は、異変は全て神の意志によるものだと信じています。調査を終えたキャサリンは、体調不良の原因が近隣工場からたれ流されていた有害廃棄物にあると結論づけます。キャサリンがこれまで調査を手掛けた“奇跡”と呼ばれるものには、全て科学的根拠がありました。彼女は宗教に懐疑的で、完全な無神論者。しかしそうなったのには理由がありました。宣教師だった昔、派遣先のスーダンで夫と娘を狂信者に殺害されたのです。そんな彼女に、知人のコスティガン神父が電話をかけてきます。自分の目の前で、キャサリンの写真の顔の部分が燃えた。これは神の警告で、君に危険が迫っていると言うのです。神父の忠告を笑って聞き流すキャサリンに、新たな調査依頼が入ります。ヘイブンという田舎町の川が真っ赤に染まった原因を突き止めてほしいというものでした。依頼者のダグという男性によると、町に住むローレンという12才の少女が兄のブロディ―を川で殺害。それ以来、川の水が血のように赤く染まったとのこと。キャサリンとベンは、ダグに案内されヘイブンの町へと向かいます。
リーピングのネタバレあらすじ:承
ヘイブンは、信心深い人々が暮らす静かな町でした。しかし、真っ赤な川には大量の魚が死んで浮かんでいます。調査に出たキャサリンは、沼地で1人の少女を目撃。ダグは、その少女こそローレンだと言います。ダグはキャサリンを100年前に町があったという廃墟に連れて行きます。一方、川にいたベンの頭上からおびたただしい数のカエルが落ちてきます。驚いたベンは、これこそ旧約聖書の出エジプト記に書かれた「十の災い」で、血の川に続きカエルの雨という第二の災いかもしれないと言います。その夜、キャサリンとベンはダグの家に泊まります。ダグが焼いた魚にウジがたかり、驚いているところに保安官から連絡が入ります。牧場の牛達に異変が起こっていました。ベンは、「十の災い」が増えていく状況に恐怖を抱きます。しかしキャサリンは、聖書の災いなど全て化学で説明できると反論します。保安官や牧場主のジムは、災いは全てローレンの家族のせいだと信じているようです。その真夜中、ダグと2人きりで酒を飲んだキャサリン。どちらも配偶者を失くしており、身の上話をしているうちに抱き合い結ばれます。しかし翌朝目覚めると再びローレンの姿が現れ、次の瞬間、夫と娘のいるスーダンの砂漠に立っている自分に気づいたキャサリンは、何が現実で何が幻かわからなくなってしまいます。翌日、キャサリンは1人でローレンの家を訪ねます。誰もいませんが、壁の向こうにもう1つの部屋を発見しました。そこに再びローレンが現れて消え、姿を見せたローレンの母親が「息子の死は自業自得よ」と謎の言葉をつぶやきます。
リーピングのネタバレあらすじ:転
状況が全く改善されないことに腹を立てた町長は、ベンとダグを責め立てます。町にはシラミが大発生し、教会に集められた子供達が次々と髪を刈られていました。キャサリンは、遺体安置所でブロディーのミイラ化した遺体を見せられます。さらに、川の赤い水は全て人間の血であることも判明。これは手に負えないとコスティガン神父に電話をかけます。神父は、全てサタンの仕業であること、そして次のサタンとなるのは第二子で、第二子が思春期を過ぎた時、初子を犠牲にしてサタンの化身となると話します。つまり兄を殺したローレンこそサタンであり、サタンの世になる前にローレンを殺害する“天使”がキャサリンだと言うのでした。そこまで説明した神父をサタンが襲います。神父は、炎が燃え盛る部屋に閉じ込められます。キャサリンは大急ぎでローレンの家へ向かいます。壁の向こうの地下室へ下りると、拷問部屋のような場所に拘束台まで置いてあります。部屋の奥にいたのはローレンの母親で、キャサリンの目の前で銃口をくわえ自ら命を絶ちます。直後、現れたローレンから身を隠すキャサリンですが、家の外ではイナゴの大群が発生し、ローレンを殺害しに来た町の男達が大混乱に陥っていました。
リーピングの結末
イナゴから逃れ、遺跡の地下室に逃げたベン。そこでおびただしい数の子供の頭蓋骨を発見します。ベンから電話を受けたキャサリンが地下室に向かうと、ベンはすでにこと切れていました。キャサリンは、地下室に現れたダグに「私が終わらせる」と告げて1人で外へ出ます。そこにはローレンが立っていました。ローレンに触れた途端、キャサリンの脳裏に異様な映像が飛び込んできます。町の人々が、ローレンを生贄に儀式を行っていました。その中にはダグの姿もあります。ローレンは必死でその場を逃げ出し、追ってきたブロディ―を川で殺害したのです。サタンとは町そのものであり、ローレンこそ天使だという事実にキャサリンは気づきます。そこにダグが現れ、ローレンにだまされるなと叫びます。キャサリンにはダグの嘘がわかっていました。ベンを殺したのもダグです。ダグは、ヘイブンの町が洪水で壊滅した後、人々は信仰を失くしたと言います。神は非情であり、サタンこそ救いだと。町の人々が、魅入られたような表情でダグ達を囲みます。キャサリンはローレンに「怖がらないで!」と叫び、自分を犠牲にしてダグとともに落雷に撃たれます。キャサリンとダグは燃え上がりながら空へと上がって行きますが、次の瞬間大きな爆発が起きます。ローレンが目覚めると、そばにキャサリンが倒れていました。2人は固く抱き合い、車でヘイブンを後にします。「これからは家族よ」と言うキャサリンに、ローレンはキャサリンのお腹に手を当て「男の子もいるわ」とつぶやきます。キャサリンはダグの子を妊娠していました。「犠牲が払われ、完全な子を授かる」という神父の言葉が蘇り、キャサリンは言葉を失います。
旧約聖書の世界の終末に関する題材を取り入れた洋画は結構あり、その多くがキリスト教徒でない日本人には良くわからなかったという感想であることが多い。しかし、この映画では宗教の詳しい話の解説というよりも、サスペンス(話の続きに対する不安)や画面の恐ろしさを引き立てるような話の展開作りに主眼が置かれている。
世界の闇が詳細に、生々しく(その場の情景を目の前で見ているような,いかにも現実的な感じに)描かれている。そのため臨場感にあふれており、この作品はホラー映画の良い部分をもっている。
村人たちに疑いをかけられ、孤立した少女 ローレン。やり方は間違っていたが荒廃の中、神に背いた村人を、救おうとしたダグ。役者さんの演技も上手で、彼らの心の状態がよく分かった。