ザ・スクエア 思いやりの聖域の紹介:2017年スウェーデン,ドイツ,フランス,デンマーク映画。第70回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞したスウェーデン発の風刺ドラマです。ストックホルムの美術館を舞台に、人生の成功を収めたはずのキュレーターの男を取り巻く人間模様を毒とユーモアを交えて描きます。
監督:リューベン・オストルンド 出演者:クレス・バング(クリスティアン)、エリザベス・モス(アン)、ドミニク・ウェスト(ジュリアン)、テリー・ノタリー(オレグ)、クリストファー・レッソ(マイケル)ほか
映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ザ・スクエア 思いやりの聖域の予告編 動画
映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」解説
この解説記事には映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ザ・スクエア 思いやりの聖域のネタバレあらすじ:起
スウェーデン・ストックホルムの有名美術館でチーフキュレーターを勤めるクリスティアン(クレス・バング)は、女性ジャーナリストのアン(エリザベス・モス)からインタビューを受けたのち、街角で男女のトラブルに巻き込まれました。その際にクリスティアンは財布とスマートフォンを盗まれてしまい、GPS機能をパソコンで探知するとどうやら貧困層の多く住む地域に持っていかれたことが明らかになりました。クリスティアンは部下と共に犯人のいると思われる地区へ乗り込み、部下の提案を受けて脅迫状(盗んだ物を返さないと潰す。クリスティアン宛でコンビニへ届けろ、という内容)を大量にアパート全室のポストへ放り込んでいきました。
ザ・スクエア 思いやりの聖域のネタバレあらすじ:承
時を同じくして、美術館では新たなる展示「ザ・スクエア」の準備が着々と進んでいました。美術館内の広場の床を照明で四角く括ったそのコンセプトは、「その中ではすべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」というもので、このアートを通じて貧富の格差など現代社会の病巣に一石を投じる狙いがありました。美術館スタッフと広告代理店は「ザ・スクエア」の宣伝について議論を交わし、YouTubeなどのSNSを活用する方針を打ち立てていました。数日後、クリスティアンの盗まれた物は全て戻ってきましたが、今度はクリスティアン宛に別の荷物が届き、その中には「よくも泥棒扱いしたな。家族に謝罪しなければカオスに陥れてやる」との脅迫めいた手紙が入っていました。
ザ・スクエア 思いやりの聖域のネタバレあらすじ:転
仕事で忙しいクリスティアンは代わりに部下をコンビニへ向かわせると、そこには一人の少年がおり、「よくも泥棒扱いしてくれたな。僕と家族に謝れ!」と迫ってきました。一方、クリスティアンは数日前にインタビューしてきたアンと再会していました。クリスティアンはインタビューの後、アンと肉体関係を持っており、使用したコンドームの処分を巡って一悶着起こしていたのです。どの女とも簡単に寝るのかと執拗に迫るアンに対し、クリスティアンは「権力はセクシーだと思わないのか?」と突き放しました。そんな時、クリスティアンの知らないところで美術館側は「ザ・スクエア」の宣伝動画をYouTubeにアップしていました。その内容は、貧しい白人の少女が「ザ・スクエア」内に立ち入って爆殺されるというショッキングなものであり、アップとともに30万回の再生回数を超えるとともに激しい世間からの非難にさらされるものとなりました。
ザ・スクエア 思いやりの聖域の結末
そんな騒動の最中、美術館の主催でレセプションが行われ、多くの招待客が招かれました。ところがクリスティアンの目の前で、猿に扮したパフォーマーのオレグ(テリー・ノタリー)が突如暴走を始め、会場は大混乱に陥りました。クリスティアンが自宅に戻ると、そこには何とあの少年が待ち構えており、クリスティアンに謝罪を強要してきました。何とか少年を追い払ったクリスティアンでしたが、どうしても少年の声が頭を離れず、降りしきる雨の中ゴミ捨て場を漁って破り捨てた手紙を発見、そこに書かれてあった少年の電話番号に電話をかけましたが応答はありませんでした。結局、動画の責任を取る形でクリスティアンはチーフキュレーターを辞任することとなりましたが、かえって炎上商法が功を奏したのか、「ザ・スクエア」は皮肉にも世間やマスコミの話題を大いに集めることになりました。数日後、少年に謝ろうと決意したクリスティアンは彼のアパートへ車を走らせましたが、既に少年は引っ越した後でした。
人間の欺瞞、不寛容さを主題にしていますが、現代美術館で様々な出来事が繰り広げられるので、美術館の裏側を覗くような面白さもあります。猿に扮した人物による過激なパフォーマンスと、クリスティアンと肉体関係を持つアンの飼っているいるボノボが穏やかな様子なのが対照的であり、各所にメタファーが散りばめられているのも魅力です。