タワーリング・インフェルノの紹介:1974年アメリカ映画。138階建てのグラス・タワーで火災が発生する。災はビルを次々と燃やし尽くし、着々と最上階のパーティ会場に近づく。設計者ダグと消防隊長のオハラハンは、パーティ会場に残された生存者を救出できるのか?
監督:ジョン・ギラーミン 出演者:スティーブ・マックイーン(マイケル・オハラハン)、ポール・ニューマン(ダグ・ロバーツ)、ウィリアム・ホールデン(ジャームズ・ダンカン)、フェイ・ダナウェイ(スーザン・フランクリン)、フレッド・アステア(ハーリー・クレイボーン)ほか
映画「タワーリング・インフェルノ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「タワーリング・インフェルノ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「タワーリング・インフェルノ」解説
この解説記事には映画「タワーリング・インフェルノ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
タワーリングインフェルノのネタバレあらすじ:起
設計者、ダグ・ロバーツはグラス・タワービルの竣工式を迎えていた。しかし、落成式の当日になってビルの地下にある機械室の補助発電機からボヤが発生し、その影響で、81階の居住区の倉庫から火災が発生する。地下室から報告を受けたダグは、地下室に向かいボヤが出た発電機を調べると設計図とは異なる配線が使用されているのに気づく。
タワーリングインフェルノのネタバレあらすじ:承
ビルのオーナーのダンカンに、ダグはその事を報告し竣工式の延期を訴えるが、ダンカンは竣工式を延期させないと断る。そんな不安の中で、とうとう竣工式は行われてしまう。しかし、倉庫の火災は着々と延焼し、燃え続けていた。ダグは相棒のウィルとと共に、もう一度、ビル全体の点検に訪れていた。やがて、81階から火災が発生しているのを気づいた警備員は、ようやく消防を要請する。81階にいた警備員は、煙が発生しているドアに気付き、開けようとするが後から来たウィルがその警備員を制止しようとする。そして、ウィルは警備員の代わりにバックドラフトに巻き込まれ、大やけどを負ってしまう。この状況は重く見たダグは、ダンカンにパーティー会場の客の避難を促すが一向に聞こうとしない。
タワーリングインフェルノのネタバレあらすじ:転
やがて、タワーに消防隊のオハラハン隊長が到着する。オハラハンの説得で、ダンカンはようやくパーティ会場の客を避難させるが81階の火事は着々と延焼し、パーティ会場にまで迫っていた。そして、火災の影響で中央エレベーターや階段が使えなくなってしまい次々と逃げ遅れた人々を炎は巻き込んでいってしまう。屋外エレベーターでの避難を開始したもの、爆発の影響で使えなくなってしまう。次に屋上からヘリでの脱出を試みるが屋上まで上がってきた炎によって、ヘリは爆発してしまう。更に、隣のビルとビルの間をロープで繋ぎカゴを使っての救出法に試みるが、しびれを切らしたダンカンの娘婿のロジャーがリフトを奪い、リフト共々落下してしまう。
タワーリングインフェルノの結末
パーティ会場にいる客を全員避難させるには、時間が足りない事を悟ったオハラハンは、最後の手段に出るとダグに電話で伝える。最後の手段とは屋上の貯水タンクを爆破し、その水でビルの火災を消火するものであった。やがて、オハラハンとダグによって貯水タンクが破壊され、大量の水が会場に流れてくる。多数の死者を出したが、ようやくビルの火災は鎮火する。生き残ったダグとオハラハンは、一言二言を言葉を交わし、別れる。
以上、映画タワーリング・インフェルノのあらすじと結末でした。
「タワーリング・インフェルノ」感想・レビュー
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地上波で映画が放送されていたころから何回も見ていて、つい最近、またテレビで見ました。「ポセイドン・アドベンチャー」と似た系列だと思っていたら、2作共通で担当しているスタッフが多かったようです。
昔は1台のテレビをみんなで見ていたので、その時代じゃなかったら、女性なので興味は持たなかったかもしれません。しかし、父と兄の影響で、アクションものも意外と好きになりました。
貯水槽を爆破した後のシーンは今見ても迫力ありますが、今回見て印象に残ったシーンは、フレッド・アステアとジェニファー・ジョーンズのささやかな恋愛シーンです。フレッド・アステアが地上に降りた後途方に暮れるシーンでは、泣きそうになりました。ジェニファー・ジョーンズの代わりに、猫と幸せに暮らして欲しいな、と思ってしまいました。
パニック映画の代表的作品です。公開前から大きな話題とっていたのは、その共演陣の豪華な顔触れにもよると思います。彼らが一堂に会するわけではありませんが、それぞれの人間模様が垣間見れれることが記憶に残っているのです。閉鎖された空間で迫り来る死と闘うのは既に『ポセイドン・アドベンチャー』でも見られた構図ですが、超・超高層ビルのちょうど真ん中辺りで発生したボヤが大火となり、ビルの落成記念パーティに招かれていた名士達を襲うという設定はなかなかでした。最初はほんの小さな失火が、時間の経過と共にビル全体に燃え広がり、中に閉じ込めらた人達の運命は時間との勝負となる。結果から言えば、犠牲となった人達のほとんどが助かったはずなのに、ビルの安全性と経済的問題、それと自分のメンツにこだわった会社社長の判断ミスにどうしても目が行くのです。そう、人災ということなのです。ビルの消化を指揮する隊長が警告のためにパーティ会場を訪れた際に、婦人の何人かに声をかけて連れ出せばいいのに、と当時の私は思ったくらいでしたから。確かに隊長の口から「火事の発生」が告げられたらパニックが起こっていたでしょう。しかしほんの数人であったにせよ、救うチャンスを逃したという点は重大な失態でしたね。ビル建設で問題となるのはエレベーターの設置なのですが、未だに効率的に横へ移動する物は実用化されていません。ビルが巨大になればなるほど、中を利用する人間の数は多くなり、事実出退勤の時間は相当な混雑となることは誰しもが経験したことがあることでしょう。映画でも失火を告げられて我先へエレベーターと向かう人々が描かれていますが、下降中に延焼中のフロアで不意に扉が開き、無残にも焼死するという惨劇を見たことは現在でも大きなショックとなっているのですが。エレベータはその構造上、煙突同然であり、火と煙の通路でもあるということを知らしめた点でもこの映画は評価できるのです。「確実に消火できるのは7階までだ」という隊長の言葉にも現実の厳しさを感じました。おそらく技術が進んだ今日においてさえ、その数字が飛躍的に伸びているということはまずないのでは。本来安全性を最優先すべきところを経済性重視(実際は賄賂絡みの手抜き工事の連続)のためおざなりにされたのも当時の時代性を反映しているようでした。この映画の見どころは何と言っても炎との闘いにあります。実際にビルの高さに相応するセットを汲んで火の手を上げて見せるという手法は革新的で、凄い迫力でしたね。『PA』が水との闘いであったこととも好対照でした。残念だった点もあります。物語の終盤で火の手が迫り、このまま全員焼死するか、それとも屋上の配水用タンクを爆破して一気に消火するのか(水圧等で死人が出るのは避けられない)という決断に迫られたけれど、あっけなく鎮火に成功したのは興醒めでした。ここでの描写が弱かったのは不満でしたね。ともかくも、こういう種類の大作は実写を取り入れた形ではもう作られることは無いですよね。映画だから許されることもありますけど、コンピュータの作った画像では、あの迫力が見られることはまずないでしょうから。こういう点でも記念すべき一作なのでした。