タイム・オブ・ザ・ウルフの紹介:2003年フランス,オーストリア,ドイツ映画。ミヒャエル・ハネケ監督が手掛けたフランス・ドイツ・オーストリアの合作となります。ハネケ監督としては珍しくSF色が盛り込まれた作品です。どういうわけか世界滅亡の危機に瀕した世界で懸命に生きる親子の姿が描かれています。
監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:イザベル・ユペール(アンナ)、ベアトリス・ダル(リセ)、パトリス・シェロー(トーマス)、ローナ・ハートナー、モーリス・ベニシュー、オリヴィエ・グルメ、ほか
映画「タイム・オブ・ザ・ウルフ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「タイム・オブ・ザ・ウルフ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
タイム・オブ・ザ・ウルフの予告編 動画
映画「タイム・オブ・ザ・ウルフ」解説
この解説記事には映画「タイム・オブ・ザ・ウルフ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
タイム・オブ・ザ・ウルフのネタバレあらすじ:起
はっきりとは描かれていませんが世界は核攻撃により終わりを告げ、人類の未来は危機的状況にありました。アンナ(イザベル・ユペール)とその家族は山の別荘へ街から避難してきますが同じく東欧より避難してきた貧しい家族に占拠されていました。アンナの夫が交渉するも無情にも銃で撃たれ殺されてしまいます。
こうして家族三人になってしまったアンナ、娘のエヴァ、息子のベンは助けを求めて街を彷徨いますが、皆自分が生きる事に必死で誰も助けてくれません。三人とも父親の死のショックに打ちひしがれますが、中でもベンのショックは大きく鼻血が止まらないほどダメージを受けてしまいます。
タイム・オブ・ザ・ウルフのネタバレあらすじ:承
方々を彷徨い歩きようやく辿り着いた干し草の小屋で宿をとる三人。やっと寝付けた頃、夜中に起きるとベンがいなくなっている事に気づきます。懸命になって探し、ようやくベンを見つけるとベンはエヴァと同じ年頃の少年と一緒でした。少年を含めた四人はここから逃げ出すための列車に乗るために少年から聞いた駅に向かうことになりました。
駅に辿り着いたが少年が盗みを働いたために付近で路上生活を余儀なくされてしまいます。駅舎では十数人の人々が列車を待ち集団生活をしていました。集団生活とはいえ無法地帯となっていたそこはボスが取り仕切っていました。普段飲むための飲料水すらボスの許可なく手に入れられるものではなくなっていたのです。
タイム・オブ・ザ・ウルフのネタバレあらすじ:転
そんな非常な暮らしも多くの人が助けを求め同じ場所にやって来たために少しずつ民主的になっていきます。とはいえ暮らしが良くなるわけでなく人の数が増えたことで足の踏み場がないほど窮屈なものとなり、支配するものがいなくなったことから善行と悪行の区別がつかなくなってきます。犯罪を裁く機関がすでにないため揉め事はうやむやにされていく現状の中ある女性の優しさに触れたアンナは貼りつめていたものがとれむせび泣いてしまうのでした。
そんなある日父親を殺した家族と遭遇し、アンナ達は懸命にそれを訴えますが相手も無実を訴えます。話は平行線になってしまい、やはりここではどうすることも出来ませんでした。真夜中、エヴァが目を覚ますと少し離れた所で寝ていた少女が何者かにレイプされているのを見つけてしまいます。エヴァは恐怖のため何もできずただ同様に目を覚ましたベンに見せないよう抱きしめることしかできなかったのです。
タイム・オブ・ザ・ウルフの結末
以前ヤギの件で騒ぎを起こした男が再びヤギや食料を盗まれたと騒ぎだします。そして前回同様にまたポーランドからの避難家族の男に嫌疑を向けるのでした。家族が懸命に守り事なきを得ますが今度は路上生活を続けていた少年に容疑が向けられます。少年の所に話を聞きに行ったエヴァは少年の犯行だったと知り、少年を罵り泣き出してしまいます。少年はそれを見て謝るとエヴァはレイプされた少女が自殺してしまったこと助けられなかった自分を悔いていると胸の内を話すのでした。
誰かが焼け死ぬ事で世界が救われるかもしれないという嘘かも誠かもしれないデマを信じたベンが鼻血を出しながら焚き火の前に立ち、服を脱ぎ裸になります。そしていよいよ飛び込もうとした時に男が止めに入ります。それはヤギの件等で騒ぎを起こした男でした。男はベンを抱き締めながら「もういい 気持ちだけで十分だ」と優しくなだめます。その姿はまるで父親のようです。彼はベンの勇敢さを褒め称えました。
そして誰も乗っている気配のない列車が走っているシーン。それはアンナ達が待つ駅に向かっているのか定かではないが列車は人々の希望そのものでありこの先の平和を象徴しているようでした。
この映画の感想を投稿する