警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件の紹介:2022年日本映画。突如として東京で行方不明になったイギリス人のルーシー・ブラックマン。最初はこの事件を軽く見ていた警察でしたが、ルーシーの家族が来日したことによって、メディアが過熱し、世界が注目する事件へと発展。捜査を進めていくと、悲しい事件の全貌が明らかになります。当時出動していた警視庁捜査一課の刑事たちをはじめ、捜査に関わった人々のインタビューを通して、日本で起きた日本最大級性犯罪の真実に迫るドキュメンタリー映画です。
監督: 山本兵衛 出演:山代悟、ティム・ブラックマン、阿部勝義、中村竜太郎、ジェイク・エーデルスタイン、九々純一郎、副島雅彦、浅野泰彦、光眞章、麻倉理香、和田志織、丸山とき江、畑下亮、内藤正、山口光子、ほか
映画「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」解説
この解説記事には映画「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件のネタバレあらすじ:起
東京にて、かつての捜査一課のキャップの立場だった山代悟はルーシー事件について、「これは困難な事件だった」と口を開きます。
ルーシーの実父ティム・ブラックマンは、娘ルーシーについて話し始めます。ルーシーは様々な世界を見たいからと、航空会社で働くことを夢に見ます。その夢を叶えたルーシーでしたが、突然航空会社を辞めて日本へ行くと言い出します。ティムは、娘にとってこれはいい経験になるだろうと快く受け入れます。
2000年7月4日、ジャーナリストの中村竜太郎のもとにゲストハウスを経営している友人から、「21歳のルーシーと連絡が取れなくてすごく心配だ」との連絡が入ります。中村は記事にしようと出版社に掛け合いましたが、まだ事件になってないから扱えないと上司に断られてしまいます。
当時、犯罪記者をしていたジェイク・エーデルスタインは上から、行方不明者が外国人のルーシー事件を担当するように指示されます。日本はとても安全で礼儀正しく犯罪がないイメージを抱いていたジェイク。しかし、この事件を担当して、日本には暗い裏の顔があると知ります。
2000年7月6日、ルーシーが失踪して5日後。イギリスにいたティムは、娘のルーシーが行方不明になったことを知ります。
当時外国人の不労就労が多く、所在不明になることはよくあったケースなので、最初の段階ではルーシー事件を重く受け止めていなかった日本警察。
ルーシーは日本のホステスで働いていたため、まず警察はルーシーのお客さんを手当たり次第にあたります。
警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件のネタバレあらすじ:承
2000年7月12日、ルーシーが失踪して11日後。ルーシーの父親ティム、母親ジェーン、そして妹のソフィーが来日し、記者会見をします。それをきっかけにこの事件は日本で大きな話題となりました。ティムは日本の警察を信頼していなかったため、自らのカリスマ性を活かしてメディアを扇動していました。
そのおかげもあってか、ルーシー事件のようなケースであれば、通常捜査員4~5人のところ、100人の警察が動員をすることになります。しかし、ティムの警官を無能に見せるやり方は怒りを買うことになります。
警察の世界では、先輩の班、最初に事件に入った班がやったことにケチつけてはいけないという暗黙のルールがあります。もう一回それをやり直して捜査するということは絶対できません。そのため、後から捜査に参加した寺前班は、ルーシー事件の捜査方法に疑問を持っていても進言することはできませんでした。
そこで、寺前班は捜査の報告会が終わったあとに、こっそり報告書をチェックしていきました。日報を一つ一つチェックしていると、そこである情報を見つけます。クラブに勤めている外国人の女性が、ある男性客に「海にドライブに行こう」と誘われて行ったら、何か薬を飲まされ心神喪失になって何時間も意識を失ったという情報をクラブの店長が報告しに来たとうものでした。
しかし、その店長は違反も薬もたくさんやってきたろくでもない人物像だと警察内では認識されており、この人の言うことはあてにならないと、この情報は流れてしまいます。その情報があったのは、今から5年前の話。ルーシーとの共通点は外国人ホステスだということだけでしたが、この情報は怪しいと目をつけます。
警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件のネタバレあらすじ:転
2000年7月15日、ルーシーが失踪して14日後。六本木の外国人クラブで聞き込みを開始。聞き込みを開始した当初は、外国人ホステスたちの多くは不法就労であるという弱点があったため、あまり協力的ではありませんでした。しかし、少しずつ、ルーシーのためだったら協力してくれるという女性が現れ、何人も同じような被害にあった人がいることが明らかになりました。
被疑者の共通点は、高級車を所有している男性から「海を見に行こう」と誘われたこと。海辺の近くのリゾートマンションの部屋に連れて行かれ、そこで変なお酒を飲まされて気を失い、目が覚めたら身体中に違和感があるとのことでした。
あるオーストラリアの女性が、容疑者であろう人物の電話番号が書かれた手帳を持っていると。そのおかげで、寺前班はHonda Yujiという名前と携帯番号を入手します。しかし、その行動が上層部にばれてしまいます。先発の山代班は、ルーシーの顧客をずっと逆上って調査していたため、寺前班の捜査はそれに反する行動だったため、叱りを受けます。
2000年7月21日、ルーシーが失踪してから20日後。東京の警察に不安を抱いていたティムは、懸賞金をかけたり、ホットラインを開設したり、自らどんどん行動していきました。そんな働きもあってか、当時のイギリス首相のブレアが来日。ティムはイギリスで大きな話題になれば、それが東京の警察にも伝わると考えます。結果、東京の警察はプレッシャーをかけられたと感じます。
Honda Yujiの通話明細を差し押さえると、その中にルーシーの携帯番号がありました。携帯を探知して居場所を突き止めようとしましたが、バレないように細工をしてあり、特定に難航します。諦めずに、様々な場所で探知された場所の対角を結んで交わったところを中心に調査。すると、とある高級マンションにたどり着きます。
そのマンションの管理人から高級車を乗り回している人物がいるとの情報を得ます。その住人が所有する会社の名前はプラントオリハラ。
イギリス人のモニカという女性が、“コージ”と名乗る人物から海を見に行こうと誘われ、逗子マリーナへ向かったとの情報を得ます。そこは有名人や政治家がいるような高級リゾートマンション。そのため捜査が難航しますが、高級車を所有している人物を重点的に調べると、織原城二(おばらじょうじ)という人間が浮上します。前回調べたプラントオリハラという会社名と名前が合致します。さらに調べると、織原にわいせつな前科前歴があることが発覚します。
モニカとジェシーに、織原の顔写真を見せると「この人だ」と。ただ、ルーシーと織原のつながりは未だにわからない状況です。
調査を進めていくと、織原の住まいは元赤坂タワーズで、女性を連れ込むのは逗子マリーナであることが分かります。
警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件の結末
2000年10月1日、ルーシーが失踪して103日後。未だ織原とルーシーの繋がりが分からなかったため、他の被害者の罪状で織原逮捕に踏み切ります。
織原は不動産管理会社の社長で、ルーシーの勤務先でよく目撃されていたそう。家宅捜査を進めると、“自分が悪になる”という文章が描かれたノートや、相当数のビデオテープが発見されました。ビデオには、四百数十人の女性に対するわいせつ行為が映っており、見た者の多くは体調不良者になるほどの卑劣さでした。こうして、日本最大レベルの性犯罪が明らかになります。しかし織原は、金銭絡みのプレーだと、頑なにわいせつ行為を認めませんでした。
家宅捜査ののち、警察は被害者たちに聞き込みを開始しますが、何も覚えてない人たちばかりで、何をされたかわからないとのこと。家宅捜査では、たくさんの薬が発見されました。そして、ルーシーが失踪する8年前に、織原と関わった21歳のカリタが亡くなっていたことが明らかになります。
2000年10月29日、ルーシー失踪から120日後。変わらず織原は全面否認の態度を取り続けます。決定的な殺人の証拠がないため、織原の自白だけが頼りです。そこで、織原の領収書から当時の状況把握を開始します。すると、ルーシーの行方が分からなくなった後に、織原は大量の買い物をしたようで、その中にはチェーンソーも含まれていました。さらに、織原の自宅の近所から“騒音がすごい”と苦情もあり、警察はその場所で遺体が解体された可能性が高いと見ます。
ルーシー失踪から131日後。織原のアパートの周辺で遺体発掘調査を開始。手あたり次第に探しているため、なかなか見つかりません。そして、あっという間に遺体捜査の最終日。諦めかけていたそのとき、海岸沿いの洞窟でバラバラにされた女性らしき遺体が発見されます。関わった捜査員は歓喜します。しかし、最終的には織原が殺人で立件されることはありませんでした。
200名以上に及ぶ被害者にも関わらず、最終的に立件までいったのはたったの被害者10人。第一審判決で織原は、カリタに対して無期懲役が言い渡されましたが、ルーシーに対しては無罪となりました。有罪にできなかった理由は、織原の自白がなかったからです。この結果に被害者家族をはじめ、警察たちも憤慨します。
第二審判決では、ルーシーに対する第一審判決を破棄。ルーシー事件に対しても、織原の無期懲役が確定しました。
以上、映画「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」のあらすじと結末でした。
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