12モンキーズの紹介:1995年アメリカ映画。謎のウイルスにより人類の大半が死滅した近未来からタイムスリップしてきた男が、その原因を探るべく奮闘する姿を様々な伏線と共に描いたSFサスペンスです。
監督:テリー・ギリアム 出演者:ブルース・ウィリス(ジェームズ・コール)、ブラッド・ピット(ジェフリー・ゴインズ)、マデリーン・ストウ(キャサリン・ライリー)、クリストファー・プラマー(ドクター・ゴインズ)、デヴィッド・モース(ドクター・ピータース)ほか
映画「12モンキーズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「12モンキーズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
12モンキーズの予告編 動画
映画「12モンキーズ」解説
この解説記事には映画「12モンキーズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
12モンキーズのネタバレあらすじ:起
2035年、前世紀末に蔓延した謎のウィルスによって人類の大半が死滅した世界。地上はいまだにウイルスに汚染されており、生き残ったわずかな人類は地下での生活を余儀なくされていました。
科学者たちはウィルス発生の原因を突き止めるべく、囚人のジェームズ(ブルース・ウィリス)を減刑と引き換えに過去の世界へタイムトラベルさせます。手掛かりは廃墟の壁に描かれていた「12モンキーズ」なる赤いペンキで描かれた猿の模様です。
タイムマシンに乗せられたジェームズは、ウィルスが蔓延し始めたとされる1996年に向かう予定でしたが、タイムマシンのトラブルにより、誤って1990年に飛ばされてしまいます。ジェームズは警察に人類滅亡の話をしますが、誰も信じず、狂人扱いされて逮捕されてしまい、精神病院に送られます。
12モンキーズのネタバレあらすじ:承
ジェームズは担当医である精神科医キャサリン(マデリーン・ストウ)に事の顛末を話しますが当然信じてもらえません。この病院には、細菌学者の息子で、自分の本当の父は神だというジェフリー(ブラッド・ピット)も入院していました。
ジェームズはジェフリーの助けを借りて脱走を試みますが失敗、気が付くと元の2035年に戻されていました。科学者たちは再度ジェームズにチャンスを与えますが、またしても手違いで第一次世界大戦の時代に飛ばされ、再度のチャレンジで無事1996年に到着します。
ジェームズは早速キャサリンと再会し、12モンキーズの手掛かりがあるとされるフィラデルフィアに向かいます。旅の途中、ジェームズは夢の中で、幼い頃の光景を思い出していました。それは、目の前で男が銃で撃たれ、キャサリンそっくりの女性が駆け寄る光景でした。
12モンキーズのネタバレあらすじ:転
フィラデルフィアに着いたジェームズとキャサリンは調査の結果、12モンキーズが実在していること、かつて精神病院にいたジェフリーが関与していることを突き止めます。しかし、ここでジェームズは再び2035年に連れ戻されてしまいます。
度重なるタイムトラベルで一体どの時代が本来の時代なのか混乱し、任務にも疲れ果てたジェームズは科学者に頼んで再び1996年に飛び、今後はこの時代に安住してキャサリンと一緒に暮らし、人類滅亡などは自分が創り出した妄想だと思い込むことにしました。
しかし、ジェームズの真意を知りたいキャサリンは独自調査の結果、第一次世界大戦の頃の写真にジェームズが写り込んでいるのを発見。これを見たジェームズは一連の出来事が妄想ではなく真実であることに気が付きます。
12モンキーズの結末
一方、過激な環境保護団体「12モンキーズ」を率いるジェフリーは、活動を活発化させていました。ジェームズとキャサリンは変装して真実を探ろうとする中、タクシーのラジオで「12モンキーズ」が故意に動物園から野性動物を開放したというニュースを聞きます。ちょうどこの日は世界にウィルスがばらまかれたとされる日。12モンキーズはウィルスとは全く無関係だったのです。
そのうちに過去の事をだんだんと鮮明に思い出していくジェームズ。空港に着いたジェームズは、自分と同じ任務を背負ってこの時代にやってきたホセ(ジョン・セダ)という男から、ウィルス拡散の真犯人がこの空港内にいると知らされます。
真犯人とはジェフリーの父の助手だった男で、これから飛行機に乗り込もうとしていました。ジェームズは警備員の制止を振り切って男に迫り、ホセから預かった銃を向けますが、駆け付けた警官に撃たれてしまいます。息を引き取っていくジェームズに駆け寄るキャサリンの姿を見ていたのは、まだ幼かった頃のジェームズでした。
まんまと逃げおおせた真犯人はウィルスを持って飛行機に乗り込みますが、その隣の席には、2035年から派遣された自称「救済保険業」の女科学者が座っていました。
以上、映画「12モンキーズ」のあらすじと結末でした。
「12モンキーズ」感想・レビュー
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ウィルスによって人類が大幅に数を減らし荒廃してしまった未来を救う為に過去に飛ばされる主人公…という話はSFものであればそう珍しくないかもしれません。
ただ今作で面白いのは、未来から飛ばされてきた男は早々に精神病院へと送られてしまい、次第に自分はただ妄想を信じているのではないかと思い込むようになってしまうところです。未来に起こる出来事を暗示するような人物や場所、『12モンキーズ』なる集団などがあちこちに登場してくるところが不気味で、観ているとだんだん不安になってきます。
未来を救おうと奮闘しつつも徐々に心が壊れていく主人公演じるブルース・ウィリスと、エキセントリックな精神病患者役のブラット・ピットの演技が冴え渡っていて、何度観ても感嘆させられます。
見返すことで新たに発見できる要素も多く、繰り返しの鑑賞に耐える名作だと思います。 -
未来から来たジェームズの警告を、現代に生きる人たちが誰ひとり聞こうとしない愚かさについて考えさせられました。「温暖化はでっち上げ」と豪語する、超大国の大統領の姿と重なり合ってしまいます。ジェームズが幼い頃から繰り返し見てきた夢の映像が、現実の世界と繋がり合うクライマックスのシーンに強く心を揺さぶられました。
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1996年12月28日、人類はあるウイルスによって99%が死滅した。
なぜ、そのウイルスが地球上に蔓延したのか? ——-。この映画「12モンキーズ」は、熱狂的なファンを世界中に持つ鬼才・テリー・ギリアム監督が、「フィッシャー・キング」以来の沈黙を破って世に問うた問題作で、タイム・スリップあり、ミステリあり、バイオあり、サイコサスペンスあり、ちよっぴり笑いありの、まさしく、”人間の本質”を問う近未来映画の傑作です。
21世紀初頭、人類は20世紀後半に地球上に蔓延したウイルスのため、地下生活を余儀なくされていました。
科学者たちは、そのウイルスの発生原因を探るため、過去にタイム・トラベラー調査員を送り込んでいましたが、思うような成果をあげる事が出来ませんでした。そこで状況打破のため、服役中の囚人ジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)が、新たに調査員として選ばれ、1996年のフィラデルフィアへ送られる事になったのです。
彼がそこで見たものは、荒れ果てた町並みと、動物たち、そして奇妙な猿のマークと、”俺たちがやった”という文字でした。
果たして、これにはどういう意味があるのか? ——-。コールは、子供時代の悪夢にうなされるという問題を抱えたまま、時空の旅に出ます。
だが、機械の故障か、1990年のフィラデルフィアに到着してしまいますが、そこで彼は、挙動不審から逮捕され、精神病院に収容されてしまいます。コールの担当となったのは、キャサリン(マデリーン・ストウ)という美しい精神学者で、彼は収容された病院でウイルスの手掛かりを見つけます。
この病院に収容されていたジェフリー・ゴインズ(ブラッド・ピット)の父親が、高名な細菌学者だったのです。コールは脱走を試みますが、再び収容されます。
しかし、タイムトラベラーの時間規制が過ぎたのか、厳重な警戒の中、コールは未来に引き戻されるのです——-。その後、コールはなぜか、第一次世界大戦中のフランスに送られ、そこで彼は、精神病院服役中に支えとなってくれたキャサリンを捜し出し、捜査の協力を請うのです。
最初は不信感ばかりを感じていたキャサリンでしたが、次第にコールの言葉に耳を傾け始め、二人は運命の日に向かって疾走し始める事になる。
この映画の中で複雑に張り巡らされた伏線を辿っていくと、全ては最初の一点に辿り着くのがわかります。
それは、まるで人間の精神の中の”輪廻転生”のようなものなのです。あらゆるテクノロジーが支えている文明社会。
人間はその文明社会の中で、自分の首を絞め続けているのだ—-と、テリー・ギリアム監督がスクリーンの向こう側から、我々観る者に、そう問いかけているような気がします。なお、この映画でブラッド・ピットはゴールデン・グローブ賞の最優秀助演男優賞を受賞し、アカデミー賞の最優秀助演男優賞にもノミネートされています。
公開当時鑑賞しました。20年以上経った今観ても、作品が全く色褪せていないので驚きました。ジェフリー(ブラッド・ピット)が精神病院内で見たいテレビ番組の予約について、ジェームズに説明するシーンがとても気に入っています。1度鑑賞しただけでは全てを理解出来なかったので、複数回鑑賞するとより楽しめました。繰り返し出てくる空港での回想シーンも、似ている様でいて少しずつ違っており、非常に凝った作品だと思います