海を感じる時の紹介:2014年日本映画。原作は、第21回群像新人賞を受賞した作家・中沢けいのデビュー作。愛を知らない少女が、一人の男と出会い女へと目覚めていく様子を描いた作品。監督は「僕は妹に恋をする」などで知られる安藤尋で、主演は市川由依。
監督:安藤尋 出演:市川由衣(恵美子)、池松壮亮(洋)、阪井まどか、高尾祥子、三浦誠己、中村久美、ほか
映画「海を感じる時」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「海を感じる時」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
海を感じる時の予告編 動画
映画「海を感じる時」解説
この解説記事には映画「海を感じる時」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
海を感じる時のネタバレあらすじ:起
高校一年の恵美子(市川由衣)は、新聞部に所属しています。ある日、授業をさぼって部室で暇つぶしをしていると、そこへ三年の先輩・洋(池松壮亮)が入ってきます。「授業にまともに出ていないと、三年になったときに後悔するぞ。」と叱られる恵美子。
突然、洋はキスがしたいと言い出します。驚いた恵美子は自分のことが好きなのかと尋ねますが、洋は「決して君が好きな訳じゃない。ただ、キスがしてみたいだけ。」と、そっけない態度をとります。それでも洋に体をあずける恵美子。二人はキスをして、そのまま洋は恵美子のスカートの中に手を入れました。しかしチャイムが鳴ると、そそくさと部室をあとにする洋。
その後、喫茶店に恵美子は洋を呼び出して、以前から好きだったと告白します。しかし洋は、「女の人の体に興味があっただけで、君じゃなくてもよかった…」と冷たく言い放ちました。拒絶された恵美子ですが、それでも洋のことをあきらめきれずにしつこく追いかけまわします。そして自らの体を差し出す恵美子は、たとえ洋から愛されなくても、もとめられることに喜びを感じていました。
その後も2人は体の関係を続け、ついに恵美子は妊娠してしまいます。洋は「金しか出せないよ…」と突き放しますが、恵美子は産みたい一心です。しかしその後、洋と一緒に乗ったバスの車内で、恵美子は出血していることに気が付きました。
海を感じる時のネタバレあらすじ:承
高校を卒業して東京へ出た洋。そんな洋に恵美子は何通も手紙を出していましたが、ある日、まとめて送り返されてきます。その手紙を勝手に読んだ母親は、それまでの洋と恵美子との関係に愕然とします。
そして怒り狂う母親。「自分の体を好きな人に許して、何が悪いの?」と反抗する恵美子は、手紙に『体の関係だけでいいから会ってほしい』と書いていました。手紙を破り捨てた母親は、これまで大事に育ててきた娘が、みだらだと嘆き悲しむのでした。
夏になると、恵美子は東京の洋のアパートを訪ねることにします。「これで終わりにして欲しい。これ以上自分の生活をおかさないでくれ。」と頼む洋。しかし「自分の生活に入ってきたのはあなたよ!」と言って、恵美子は黙って服を脱ぎ始めます。そして再び抱き合った恵美子と洋。
家に帰ったころにはすっかり暗くなっており、母親には洋のところへ行っていたとすぐにばれてしまいます。大学受験のある恵美子を心配する母親。幼い頃に父親を亡くし、そのことで進学できないと周りから言われることを母親は一番嫌がっていました。しかし恵美子は母親の言うことなど一切聞かず、「家を出て行く!」と言い出します。
次第に母親は「死にたい…」と口にするようになり、精神的に不安定になっていきました。海に向かって泣き出す母親に、恵美子は「私も女なのよ…」と呟きました。
海を感じる時のネタバレあらすじ:転
大学受験に失敗した恵美子は、洋と一緒にいたい一心で家を出ることにします。恵美子は「自分の気持ちをわかって欲しい。」と洋に頼みますが、彼の態度は変わらず冷たいままです。
どんな形でもいいので洋に必要とされたいと願う恵美子は、東京へ出て花屋で働き始めます。この頃から、洋は少しづつ恵美子に優しく接するようになっていました。それでも一人暮らしをする恵美子のもとに、気が向いた時だけやって来る洋。
ある日、母親が恵美子の部屋を訪れます。その日は来ないよう伝えていたのですが、突然洋はやって来ます。するとそれまで穏やかだった母親の態度が急変。母親は洋のことを無視して、「早く料理をして!」と恵美子をにらみました。恵美子は帰るよう促し、洋は渋々と部屋を出て行きました。
後日、洋の部屋で体を重ねた後、彼が姉に恵美子の乳首の色について話したことを知ります。不機嫌になり帰ろうとする恵美子。洋は引き止めますが、恵美子はそれでも帰ろうとします。すると、洋は恵美子の母親から無視された話を持ち出し、恵美子はこれまでずっと抱えてきた不満をぶつけました。
次第にヒートアップした恵美子は怒りを爆発させて、洋に物を投げつけます。すると洋は、「一緒に暮らそう。別々にいるからダメなんだ…」と言って、二人は再び抱き合うのでした。
後日、恵美子は洋の姉に呼び出されます。高校生の頃、洋は恵美子の存在に疲れていました。だからこそ、洋の姉は「恵美子が男遊びをしているので乳首が黒いのではないか」と話していました。しかし最近では洋の恵美子への気持ちも変わったようで、「あまり弟のことを責めないでね…」と洋の姉は話すのでした。
海を感じる時の結末
一人で居酒屋で飲んでいた恵美子は、店を出た後に公園の街灯に向かって石を投げはじめます。すると同じ店にいた中年の男性から声をかけられ、そのまま男の部屋で男女の関係を持ちました。
それから数日後、洋のために手料理を振舞う恵美子。恵美子は見ず知らずの男と寝たことを告白します。初めは信じなかった洋も、恵美子の態度にその話が本当だと気付きました。そして怒りを爆発させる洋。
恵美子は、高校生の頃に自分のことを好きではないと言った洋が許せないでいます。しかし今は心から恵美子のことを愛している洋。恵美子は過去のことが忘れられず、怒った洋は部屋を出て行きました。
その後、実家へと帰った恵美子。母親は仕事で家を離れて暮らしているので、実家には誰も住んでいません。実家を見回した恵美子は、幼い頃の家族のことを思い出しました。母親がミシンを掛けて、父親がピアノを弾く幸せだった頃の姿を思い出す恵美子。
翌朝、恵美子は下着姿のまま家の前の砂浜に立ち、海をじっと見つめるのでした。
以上、『海を感じる時』のネタバレあらすじと結末でした。
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