アンダルシアの犬の紹介:1928年フランス映画。巨匠ルイス・ブニュエルの処女作にして、シュルレアリスムの傑作。共同脚本にサルバドール・ダリを迎え、脈絡の無い悪夢的な世界を表現している。明快なストーリーが存在しないため、観る者は断片的なイメージから何かしらの意味を見出すことを要求される。1人の男が窓辺で剃刀を研いでいた。夜空を見上げると、丸い月に一筋の雲がかかり始める。男は若い女の目を開き、その眼球を剃刀で切り裂いたのだった。
監督:ルイス・ブニュエル 出演者:ピエール・バチェフ(男)、シモーヌ・マルイユ(若い女)、ハイメ・ミラビエス、サルバドール・ダリ、ルイス・ブニュエルほか
映画「アンダルシアの犬」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アンダルシアの犬」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アンダルシアの犬」解説
この解説記事には映画「アンダルシアの犬」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アンダルシアの犬のネタバレあらすじ:月を裂く雲
昔々、ある所に……。1人の男が、窓辺で丹念に剃刀を研いでいます。ベランダに出た彼は夜空を見上げました。ぽっかりと丸い月に、一筋の雲がかかり始めています。
まるで月を横に切り裂くかのような雲。男はおもむろに若い女の左目を見開かせます。そのまま彼女の眼球を、剃刀で横に切り裂きました。真っ二つになった眼球からどろりと雫が滴ります。
アンダルシアの犬のネタバレあらすじ:よだれかけの男
8年後。男が町を自転車で走っていました。彼はスーツの上からよだれかけを付け、スカートのような布を巻いて、首からは箱を下げています。若い女はアパートの部屋で本を読んでいました。
彼女は何か感じ取り、険しい顔で本を横に投げ捨てます。窓に駆け寄ると、眼下には自転車を漕ぐ男。若い女が挙動不審にしていると、男は自転車ごと横転してしまいました。若い女が慌てて男のもとに駆けつけると、彼は頭を打って倒れています。
若い女が顔中にキスをしますが、ピクリとも動きません。若い女は男のよだれかけや箱を部屋に持ち帰り、ベッドの上に並べていきます。それが終わると、若い女は近くの椅子に座ってじっとベッドの上を見ていました。
すると背後にスーツを着た男が現れます。彼は自分の手のひらをじっと見ていました。痙攣する手の真ん中に穴が空き、そこから蟻が湧き出て蠢いています。凝視していると、蟻は水着を着た女の腋毛に変わります。
アンダルシアの犬のネタバレあらすじ:手首と女装した男
道路に切断された手首が無造作に落ちています。それを女装した男が杖でつついていました。人々が円を描くように、女装した男と手首の周りに集まって来ます。警官がやって来て手首を箱に入れ、女装した男に渡しました。女装した男は愛しいもののように、大切に箱を抱きしめます。
警官が野次馬を追い払った後も、女装した男は道路に立ったままでした。その様子を、アパートから男と若い女が見ています。男は何かを期待するように女装した男を見下ろしていました。すると女装した男は車に轢かれて倒れ、また野次馬が集まって来ます。
男は興奮し、若い女の胸を揉みしだきました。直に触っているのを妄想し、白目を剥いて涎を垂らします。若い女は嫌がって男を突き飛ばし、部屋中を逃げ回りました。男は若い女を捕まえようと、ニヤニヤ笑いながら床に落ちていた縄を引っ張ります。
しかしその縄は重い荷物に繋がっており、男は必死に引っ張りました。縄に繋がっていたのは2台のグランドピアノです。ピアノの上には、それぞれ目から血を流したロバの死体が乗っていました。更にその先には、目を白黒させた2人の聖職者が繋がれています。
アンダルシアの犬のネタバレあらすじ:帽子の男
若い女は恐ろしさのあまり部屋を飛び出しました。男がそれを追いかけます。若い女が急いでドアを閉めると、男の手首が挟まりました。男の手にはまた蟻が群がっています。気付くと男はよだれかけを付けた状態でベッドに仰向けになっていました。
午前3時。帽子を被った男が訪ねて来ます。若い女が部屋に招き入れると、帽子の男はベッドに横たわる男に激怒しました。帽子の男はよだれかけや箱をむしり取り、外へ捨ててしまいます。男はまたスーツ姿になりました。帽子の男は、壁に頭をつくよう男に命令します。
16年前。帽子の男は本を数冊男に手渡し、部屋を出て行こうとします。しかし男に呼ばれて振り向きました。男の両手の本は銃に変わっていました。銃撃された帽子の男は、次の瞬間林の中に現れます。帽子の男は若い女の裸の背に縋るように倒れました。若い女は幻のようにすぐに消えてしまいます。帽子の男の遺体は居合わせた人々によって運ばれていきました。
アンダルシアの犬のネタバレあらすじ:海辺
若い女が部屋のドアを開けると、壁に蛾がとまっていました。若い女が顔を顰めると、蛾はいつの間にか男に変わっています。男が顔を覆っていた手をどけると、口が消えていました。若い女は慌てて自分の唇に口紅を塗ります。すると男の口元が毛だらけになりました。
若い女が自分の腋を確認してみると、毛がなくなっています。怒った若い女は舌を突き出し、部屋から出ていきました。ドアの向こうは海岸に繋がっていました。若い女は海辺に立つ男に駆け寄り、キスをします。
2人が寄り添って歩いていくと、男のよだれかけや箱が落ちていました。それを汚いもののように扱った2人は、そのまま海岸を歩いていきます。春に……。砂浜に下半身が埋まった2人の遺体を映し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「アンダルシアの犬」のあらすじと結末でした。
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