八甲田山の紹介:1977年日本映画。1902年(明治35年)。関係が悪化したロシアとの開戦不可避と見られおり、対露戦の準備として行われた、厳冬期の八甲田山での行軍演習中に、青森の連隊が遭難。わずかな生存者のみで大多数が死亡した事件を元にし、一部フィクションも付け加えて、壮絶な世界が描かれています。
監督:森谷司郎 出演:高倉健(徳島大尉)、丹波哲郎(児島大佐)、島田正吾(友田少将)、大滝秀治(中林大佐)、北大路欣也(神田大尉)、緒形拳(村山伍長)、大竹まこと(橇隊の兵卒)、三國連太郎(山田少佐)、加山雄三(倉田大尉)、加賀まりこ(徳島妙子)ほか
映画「八甲田山」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「八甲田山」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「八甲田山」解説
この解説記事には映画「八甲田山」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
八甲田山のネタバレあらすじ:起
いずれロシアとの戦争になると考えた軍部は、極寒の地で戦うために、雪の中の行軍の訓練が必要と考えました。弘前第八師団の友田(島田正吾)は、青森第五連隊の神田(北大路欣也)と弘前三十一連隊の徳島(高倉健)に「2人とも雪の八甲田を歩いてみたいと思わないか?」と提案。違うルートで行軍し、八甲田ですれ違うよう計画されます。神田と徳島は八甲田での再会を誓い合います。徳島は10泊で総距離240kmの強行日程、少数精鋭の27名の隊員で計画。神田はいきなり八甲田を目指す3日間の短期日程。当初は小隊の予定でしたが、山田(三國連太郎)が徳島の隊は貧弱だと考えたため、合計210名で行く事になります。
八甲田山のネタバレあらすじ:承
第五連が出発。初日に山田が追い返した為、道案内人なしで行軍します。やがて天候が悪化、行軍するかどうかの決定を、神田でなく、指揮権のないはずの山田が下し、実権も神田から山田へと移ります。神田の部隊は雪に不慣れなうえ、道に迷い、錯乱して隊から離れる者も出ます。峡谷を登る際に氷に足を滑らせ多数の犠牲者が出ます。2日目、3日目と天候は回復せず、神田は「天は我々を見放した。」と叫びます。村山(緒形拳)は隊から離れ、1人で行動しはじめます。一方、第三十一連隊は案内人もいて迷う事なく、予定どおりに三本木に到着。同じ日に第五連隊も三本木到着の予定だったと聞いて徳島は不安になります。第五連隊が行方不明と連絡を受けた本部は、雪中行軍中止を決断するも、徳島へ連絡する術がありませんでした。
八甲田山のネタバレあらすじ:転
神田から、田茂木野へ行き救助を依頼するよう命じられていた江藤を遭難救助隊が発見、本部に第五連隊遭難の知らせが入りますが、第三十一連隊はすでに八甲田山へと進んでいました。途中、斉藤の弟、長谷部の遺体を発見し、第五連隊の遭難を知りますが、第三十一連隊はそのまま前進。賽の河原で、第五連隊の遺体を多数、発見します。その中に、遭難の責任を取って舌を噛んで自決した神田の姿もありました。悲しみと衝撃を受けた徳島は、それでも八甲田山を突破し無事帰還します。田茂木野に到着する直前、道案内たちに手当を渡し「八甲田で見た事は今後一切喋ってはならない。」と言います。
八甲田山の結末
その後、徳島は収容された神田の遺体と対面。そこで第三十一連隊が賽の河原に到着する前に、遺体は収容されていたと聞き、愕然とします。徳島は、神田の妻はつ子から、神田が徳島との再会を楽しみにしていたと聞き「会いました。間違いなく、自分は賽の河原で会いました」と泣き崩れました。第三十一連隊は負傷者1名を汽車で帰した以外は全員生還、第五連隊は倉田(加山雄三)以下12名しか生還せず、生還者の1人、山田は後に拳銃で自決しました。倉田は2年後の日露戦争で厳冬の中を戦い、戦死します。やがて時が流れ、平和な時代になりました。ロープウェイに乗って、草木に覆われた穏やかな八甲田山の景色を眺める、足の不自由な老人がいました。第五連隊を生き抜いた村山でした。
「八甲田山」感想・レビュー
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子供のころにこの作品を見ましたが、社会人になってやっとこの作品の価値がわかりました。
無茶な作戦、バカな上司、ぐちゃぐちゃな組織、…。
会社員として、他人事とは思えないような作品です。
反面教師として、会社員は必見の作品だと思います。
ちなみに、映画の中で、兵士が雪に埋もれながらいきなり服を脱ぎだすシーンがありますが、これは科学的には、「寒さに対抗して身体が熱を発しようとして、その内部からの熱を感じての行動」で、実際にある話らしいです。 -
高倉健(徳島大尉)と北大路欣也(神田大尉)の幼いころからの友情に、胸が打たれます。緒形拳さんも、最後にとても重要な役目でした。
キャストも豪華で、見応えがありました。
三國連太郎(山田少佐)まで行軍するとは知らず、若い者がバタバタ死んでくのに、最後まで生き残ってるところは、映画だなと思うところもあります。 -
不朽の名作、芥川の音楽が印象的
脱やくざ役の健さんを初めて見たのはこの映画で、あまりにものギャップに更に好きになりました。やくざ役もカッコよかったのですが、脱やくざの健さんもなかなか感激するものが有りました。
この映画は、内容がシビアなので最初子供の頃に見た時はよくわからなかったのですが、40年経て再度見直してみたらより深い部分までわかるようになり、更に面白くなり何度も見直しています。徳島大尉が死ななくて良かったと子供ながらに思っていました。