寒椿の紹介:1992年日本映画。宮尾登美子の同名小説を映画化した作品。昭和初期の高知を舞台に人情に厚い女衒と彼を慕う美しい芸妓を中軸に色街の人間模様が描かれていきます。儚げで美しい芸妓牡丹役を南野陽子が体当たりで演じ、話題を呼びました。
監督:降旗康男 出演者:西田敏行(富田岩伍)、南野陽子(貞子/牡丹)、高嶋政宏(仁王山)、かたせ梨乃(松崎みね)、藤真利子(富田喜和)、萩原流行(田村征彦)、白竜(多田守宏)、神山繁(中岡亮太)ほか
映画「寒椿」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「寒椿」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
寒椿の予告編 動画
映画「寒椿」解説
この解説記事には映画「寒椿」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
寒椿のネタバレあらすじ:起
昭和のはじめ。高知で芸妓紹介業を営む富田岩伍が京都の祇園にやってきます。逃げ出した芸妓の小奴が祇園で遊び惚けていると聞き、迎えに来たのです。高知に連れ戻された小奴は置屋の女将松崎みねからきつく叱られますが、悪びれる様子も見せません。岩伍は小奴をはじめ多くの芸妓を高知一の料亭「陽暉楼」に送り込んできました。元々東京で賭博打ちをしていた岩伍は現在の妻喜和と知り合って女衒に転身し、一代で商売を成功させた苦労人です。しかし肝心の妻喜和は岩伍の商売に馴染めず、一人息子の健太郎を連れて実家に帰ってしまいます。憤った岩伍は喜和の実家を訪ね、健太郎だけを強引に連れ戻します。岩伍は不器用ながらも健太郎を愛し、ゆくゆくは商売を継がせたいと考えていますが、母と引き離された健太郎は反抗的な態度を見せます。健太郎もまた女を売買する父の仕事を受け入れられずにいるのです。家を飛び出した健太郎は母の元へ帰るためバスに乗りますが、岩伍もバイクで猛追し、健太郎を連れ戻そうとします。女車掌の貞子は健太郎を庇おうとしますが、岩伍の執念に屈した健太郎は父とともに暮らす覚悟を決めるのでした。
寒椿のネタバレあらすじ:承
ある日岩伍の元にバスの車掌をしていた貞子とその父親が身売りの相談にやってきます。貞子は博打好きの父親の借金のカタに売られることになってしまったのです。貞子を女郎屋に売り飛ばすこともできましたが、岩伍はまだ生娘だという貞子を憐み、よねに預けて芸妓の修業させることにします。料亭「陽暉楼」の主人から牡丹という源氏名を与えられた貞子は厳しい稽古に耐え、やがて美しい芸妓として成長していきます。時代は普通選挙法が成立し、平民から票を集めようと地元有力者の間で次の選挙に向けた激しい攻防が開始されていきます。立候補に意欲を見せるのが南海銀行の頭取多田の長男守宏と土佐銀行頭取中岡です。多田陣営はヤクザ百鬼勇之助に選挙支援を依頼し、中岡は百鬼と対立するヤクザの田村に選挙支援を依頼します。守宏と中岡は「陽暉楼」においても売れっ子芸妓となった牡丹を巡って激しく対立するようになります。さらに田村の子分で元力士の仁王山も牡丹に一目惚れしてしまい、彼女と会う金を作るべく博打にのめり込んでいきます。しかし牡丹は自分に目をかけてくれた岩伍に密かな恋心を募らせています。よねから守宏と中岡のどちらかに身請け先を決めるよう迫られた牡丹は岩伍に相談にいきますが、岩伍は守宏に決めるようアドバイスします。
寒椿のネタバレあらすじ:転
牡丹の身請け先は守宏に決まりますが、仁王山は嫉妬に怒り狂い、守宏から牡丹を奪い去ります。そして海沿いの小屋に牡丹を匿い、そこで共同生活を始めます。牡丹は荒々しくも一途な仁王山の愛を次第に受け入れるようになります。やがて田村が仁王山の居場所を突き止め、牡丹は助け出されます。田村はこの事件によって多田親子にも貸しを作ることに成功します。田村から大阪で出直すよう勧められた仁王山ですが、牡丹を諦めることができません。松崎家に乗り込んできた仁王山は牡丹に会わせてほしいと懇願しますが、よねに断られ、逆上して刃物を振り回し始めます。駆け付けた岩伍が暴れまわる仁王山を追い詰めていき、仁王山は警察に逮捕されます。この一部始終を見ていた健太郎は父を初めて見直します。選挙は守宏が勝利し、牡丹は国会議員となった守宏とともに東京で暮らすことが決まります。岩伍やよね、小奴らに別れを告げ、車に乗り込む牡丹でしたが、田村達の仕掛けた罠が待ち受けていました。守宏が仁王山に手籠めにされた牡丹に興味を失っていたことから、牡丹を満州に売り飛ばそうという計画が進んでいたのです。田村は大阪の女衒、英治に牡丹の売買を依頼しますが、英治は古くからの知り合いである岩伍にこのことを密告します。岩伍は英治の助けを借りて牡丹を助け出すことに成功します。
寒椿の結末
ヤクザ達の慰み者にされた牡丹はすっかり衰弱し、寝込んでしまいます。憤った岩伍は陽暉楼に一人乗り込み、宴を楽しんでいた守宏や田村を殴りつけます。陽暉楼の主人からしばらく身を隠すよう助言された岩伍は牡丹達を連れ、逃亡の準備を始めますが、松崎には田村の子分達が大挙して乗り込んできます。岩伍は襲い掛かってくるヤクザ達を相手に死闘を繰り広げます。そこに釈放された仁王山も駆け付け、岩伍を援護します。岩伍は仁王山とともにヤクザ達を倒し、牡丹や健太郎を連れて車で逃走します。しかし今度は田村が岩伍達の車を追ってきました。岩伍は仁王山達を先に行かせ、田村と対決しますが、相打ちとなりました。刺された岩伍は川に落ち、田村は刺し傷が深く絶命します。その後健太郎は母とともに東京で暮らすことになりました。牡丹は仁王山とともに新しい地でやり直すことになり、健太郎達は旅立つ牡丹と仁王山を見送りに行きます。その帰り道、健太郎がふと木陰に目をやるとそこには岩伍が立っていました。健太郎は父が無事であったことに涙し、岩伍の胸の中に飛び込みます。健太郎は東京で一緒に暮らそうと訴えますが、岩伍はそれは無理なのだと健太郎を諭します。そしてこれからは父の代わりに母のことを守ってあげてほしいと健太郎に頼みます。母を守る覚悟を決めた健太郎は涙を拭い、喜和の元へと帰っていくのでした。
この映画は、宮尾登美子の原作のもと作られています。高知を舞台に作られているので、大好きな高知のことを思い出し懐かしく見ることができました。話が簡単なので、サラサラ見ることができることと、昔の女性生き様みたいなものを感じました。