孤狼の血 LEVEL2の紹介:2021年日本映画。柚月裕子の小説『孤狼の血』シリーズを映画化し、日本アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を受賞した『孤狼の血』(2018年)の続編です。本作は原作では描かれていないオリジナルストーリーとなり、前作同様の広島の架空の町「呉原市」を舞台に、前作主人公の遺志を継いで地元の裏社会を仕切っていた刑事が最凶の“悪魔”の出所をきっかけに壮絶な抗争に巻き込まれていく姿を描きます。前作に引き続いて白石和彌監督がメガホンを執り、前作では助演だった松坂桃李が主演を務め、敵役として鈴木亮平が参戦します。
監督:白石和彌 出演者:松坂桃李(日岡秀一)、鈴木亮平(上林成浩)、村上虹郎(近田幸太(チンタ))、西野七瀬(近田真緒)、音尾琢真(吉田滋)、早乙女太一(花田優)、渋川清彦(天木幸男)、毎熊克哉(佐伯昌利)、筧美和子(神原千晶)、青柳翔(神原憲一)、斎藤工(橘優馬)、中村梅雀(瀬島孝之)、滝藤賢一(嵯峨大輔)、矢島健一(友竹啓二)、さいねい龍二(菊地)、沖原一生(有原)、三宅弘城(中神悟)、JAY(石原)、安竜うらら(角谷華英)、小栗基裕(戸倉毅)、杉田雷麟(柳島)、播戸竜二(賭場で勝負する男)、宮崎美子(瀬島百合子)、吉田鋼太郎(綿船陽三)、寺島進(角谷洋二)、宇梶剛士(溝口明)、江口洋介(一ノ瀬守孝)、かたせ梨乃(五十子環)、中村獅童(高坂隆文)ほか
映画「孤狼の血 LEVEL2」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「孤狼の血 LEVEL2」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
孤狼の血 LEVEL2の予告編 動画
映画「孤狼の血 LEVEL2」解説
この解説記事には映画「孤狼の血 LEVEL2」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
孤狼の血 LEVEL2のネタバレあらすじ:起
平成3年、広島県呉原市。広島最大の暴力団・広島仁正会傘下の五十子会が“アニキ”の出所祝いとばかりに、呉原市の暴力団・尾谷組の若頭・橘優馬(斎藤工)のいるクラブへ攻め入ろうとしていました。尾谷組と広島仁正会の抗争は昭和63年に手打ちになっていたはずでしたが、両者の抗争は水面下ではまだ続いていました。
五十子会の組員たちは運転手役の“チンタ”こと近田幸太(村上虹郎)を外で待機させ、クラブに突入すると店員を拳銃で脅しました。ところが、クラブの客は全員が呉原東署の刑事たちであり、五十子会の組員たちは全員逮捕されました。
客に扮した呉原東署の刑事たちの中には、刑事二課・暴力班捜査係の日岡秀一巡査(松坂桃李)の姿がありました。五十子会が橘を狙う情報は密かに日岡に漏れていたのです。クラブから出た日岡はチンタに背後からナイフで刺されました。周囲が唖然とする中、逃げたチンタはすぐに逮捕されました。
実はチンタは日岡が五十子会に送り込んだスパイであり、周囲を欺くために一芝居打っていたのです。日岡は防弾チョッキを着ており、当初の打ち合わせでは拳銃を使うはずがチンタはナイフを使ったのです。
日岡は前作『孤狼の血』で死亡した伝説の刑事・大上章吾の遺志を継ぎ、呉原市の裏社会を取り仕切る日々を送っていました。
孤狼の血 LEVEL2のネタバレあらすじ:承
時を同じくして、徳島刑務所に服役していた五十子会傘下の上林組組長・上林成浩(鈴木亮平)が出所しました。服役中、刑務官の神原憲一(青柳翔)から目の敵にされていた上林は広島市でピアノ教室を営む憲一の妹・千晶(筧美和子)を襲撃して殺害しました。
広島県警は千晶殺人事件の捜査本部を立ち上げ、日岡も応援要請を受けて加わりました。そこにはかつて日岡に大上の内偵を命じていた県警本部捜査一課の管理官・嵯峨大輔(滝藤賢一)の姿もありました。
千晶の遺体は凄惨な危害を加えられており、眼球が抉り取られていた状態でした。嵯峨は千晶の兄である憲一が上林の恨みを買っていたことを挙げ、日岡に五十子会周辺の捜査を命じました。日岡は公安出身で県警捜査一課のベテラン刑事・瀬島孝之警部補(中村梅雀)とコンビを組むことになりました。
一方、上林は前作で死亡した初代会長・五十子正平の三回忌法要に姿を現しました。上林は尾谷組に落とし前をつけさせると息巻きましたが、二代目会長の角谷洋二(寺島進)や五十子の妻・環(かたせ梨乃)らは既に手打ちが済んでいるとして乗り気ではありませんでした。
五十子の組員たちは悪魔のごとく気性の激しい上林が出所してきたことに恐れをなし、刑務所は問題児の上林を厄介払いしたくて早めに出所させたのではないかと考えました。その後、広島仁正会会長の綿船陽三(吉田鋼太郎)の元に出向いた上林は大暴れし、理事長の溝口明(宇梶剛士)を殺害して綿船らを驚かせました。
その頃、日岡は上林について調べていました。上林は中学生の時に自分を虐待していた酒乱の父を母と共に殺害し、眼球を抉り出していたのです。それは先日の千晶の事件と同じ手口でした。上林も日岡の存在に気付きましたが、地獄を見せてやると言わんばかりに意に介する様子はありませんでした。
日岡はチンタに上林の周辺を探るよう依頼しました。チンタの姉でスナック「華」のママ・真緒(西野七瀬)は弟に足を洗わせたいと考えていました。一方、日岡のもとに安芸新聞社会部の記者・高坂隆文(中村獅童)が接触をかけてきました。高坂は3年前の五十子殺害事件を未だに追っており、日岡は警戒しました。
孤狼の血 LEVEL2のネタバレあらすじ:転
上林は角谷のもとに乗り込み、角谷とその妻・華英(安竜うらら)を捕らえて監禁するとチンタに二人を始末するよう命じました。チンタから角谷夫妻が上林に殺害されたことを聞いた日岡はカチコミのタイミングが分かり次第教えるよう命じました。
その一方で、日岡は瀬島の素性について調べていました。かつて自分や大上を利用した嵯峨を信用していない日岡は自分が今回も応援に呼ばれたことを疑っていましたが、実際に瀬島に会って飲んでいるうちに次第に瀬島は信用に値する人物だと思うようになりました。
一方、上林はチンタに日岡を狙う鉄砲玉になるよう命じました。その頃、日岡は綿船に会い、このままではまた抗争が始まるとして上林を抑え込むよう頼みました。綿船は日岡が大上の形見である狼のジッポーを見ながら、「もう日本に狼はおらん。狼は狂暴になりすぎて手に負えんようになったから人間に根絶やしにされた。強くなりすぎるのも考えものだ」と呟きました。
その矢先、日岡はチンタに銃で腹を撃たれました。日岡はこれで顔が立つだろうとチンタを逃がし、自分はあたかも瀕死の重傷を負ったかのように装いました。ところが、高坂から日岡とチンタの関係を知らされていた上林はチンタにクスリを打ち、警察に偽の襲撃の情報を流すよう命じました。
襲撃の情報を受けた警察は尾谷組の前に張り込みました。別の場所にいた日岡は上林に見つかり、襲撃を受けました。日岡はただちに瀬島らに知らせ、上林はその場から逃走しました。
チンタは上林から拷問を受け、眼球を抉り取られて殺害されていました。日岡は真緒からチンタの死について責められました。この直後、尾谷組で銃撃事件が発生、大上の遺志を継いで抗争が起こらないよう奮闘してきた日岡は自分の苦労が水の泡になりそうになっていることに深く苦悩しました。瀬島は日岡に優しく声をかけ、日岡はつい3年前の五十子殺しの件を洗いざらい話してしまいました。
数日後、日岡は高坂と会い、上林は千晶殺人事件の証拠隠滅を一切行なっていないこと、科捜研は物的証拠がないと判断したことを知らされました。日岡は県警が公安とつるんであえて上林を泳がせていると感づき、瀬島はやはり嵯峨が自分に差し向けたスパイであることに気付きました。
孤狼の血 LEVEL2の結末
日岡は高坂に会い、「戦争」の意思を伝えました。高坂は広島県警が容疑者を隠蔽しているという記事を書き、激怒した嵯峨は日岡を署内に軟禁しました。一方、綿船は上林のもとに出向き、尾谷組との抗争を起こさないよう説得しましたが、上林は聞き入れませんでした。
説得に失敗した綿船はその場を去り、遂に上林は五十子会を率いて尾谷組との全面戦争に突入しました。
警察が動いたことを知った日岡は署から抜け出し、拳銃とパトカーを奪って尾谷組へと向かいました。日岡と上林は激しい死闘を繰り広げました。上林は自分は悪運が強いとばかりに「わしゃ簡単に死ねんのんよ」とのたまいましたが、日岡は自分も上林も警察に利用されていただけだったと返しました。
県警の狙いは上林と大上の後継者である日岡を争わせ、共倒れに追いやることにあったのです。
やがて日岡と上林のもとに嵯峨が駆け付けました。日岡は一瞬の隙を突き、嵯峨の拳銃で上林を射殺すると「これでおあいこですね」と嵯峨に上林殺しの件を擦り付けました・・・。
・・・平成4年。暴力団対策法が施行され、全国各地の暴力団の勢力は急速に衰えていきました。その頃、日岡を欺いた瀬島は悠々と麻雀を楽しんでいましたが、その帰り道に瀬島は猛スピードで走ってきたトラックに轢かれて死亡しました。それはチンタの仇を取りたい真緒が仕組んだことでした。
その頃、日岡は静かな田舎町の安芸太田町の小さな駐在所に赴任していました。そんなある日、町民から絶滅したはずのニホンオオカミが現れたことを知らされた日岡は地元住民と共に山へ捜索に入りました。
鳴き声を聞き付けた日岡は山奥に確かにニホンオオカミがいることを目撃し、住民たちに知らせようとしましたが、ニホンオオカミはいつの間にか姿を消していました。日岡はいつまでもニホンオオカミを捜していました。
以上、映画「孤狼の血 LEVEL2」のあらすじと結末でした。
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