ITバブルと寝た女たちの紹介:2007年日本映画。ノンフィクション作家・家田荘子の著書『バブルと寝た女たち』を映画化したシリーズ第4作は、1990年代末期から2000年代初頭にかけて日本で巻き起こったITバブルの時代を背景に、田舎から女優を目指して上京しながらもIT企業社長と逢瀬を重ねるうちに時代の波に飲み込まれていく一人の女性の愛と悲劇を描いていきます。
監督:佐藤太 出演者:三津谷葉子(牧田碧)、金子昇(小田島悟)、三浦敦子(倉崎麻美)、七世一樹(藤代浩太)、中島宏海(時枝町子)、喜多嶋舞(小田島藍)、家田荘子ほか
映画「ITバブルと寝た女たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ITバブルと寝た女たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ITバブルと寝た女たちの予告編 動画
映画「ITバブルと寝た女たち」解説
この解説記事には映画「ITバブルと寝た女たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ITバブルと寝た女たちのネタバレあらすじ:起
女優になることを夢見て田舎を飛び出した牧田碧(三津谷葉子)は、沢山の人が行き交う東京・渋谷に降り立ちました。とある劇団に所属することになった碧は狭いアパートを借り、弁当屋でアルバイトをしながらレッスンに明け暮れる毎日を過ごしていました。
そんなある日、碧は劇団の同僚の倉崎麻美(三浦敦子)から安月給のバイトなんか辞めちゃえばいいと言われ、高級ホテルのラウンジを借り切ったゴージャスなパーティーに誘われました。普段着のままの碧はドレスで着飾った麻美に連れられて会場に入り、麻美が交際している投資会社「藤代ファンド」社長の藤代浩太(七世一樹)を紹介されました。パーティーには他にも企業家や富豪の御曹司などが参加しており、碧は場違いだと感じて戸惑いながらもドンペリのロゼを進められ、参加者に口説かれそうになったその時、軽やかにピアノを弾く、最近目覚ましい急成長を続けているインターネット関連のベンチャー企業「ザップスター」の若きオーナー社長・小田島悟(金子昇)に目が釘付けとなりました。あいにく碧を口説いた参加者が酒を飲んでいたことから、運転手を雇っている小田島が送っていくことにしました。藤代はやけになった参加者を見て「相手が小田島さんじゃ勝ち目はないな」と呟き、麻美は「男なら今から負けを認めないで」とたしなめられました。
碧は小田島のベンツで自宅アパートに送ってもらいましたが、車内では緊張して会話すら交わせませんでした。アパートに着いた碧は小田島に礼を言って部屋に戻ろうとしましたが部屋の鍵をどこかに落としてしまったようで、同居人の画家・時枝町子(中島宏海)に鍵を開けてもらいました。小田島はすっかり泥酔しきった碧の様子を心配そうに見守っていました。
ある日、碧に低予算のネット配信ムービーでの配役の仕事話が舞い込んできました。碧は商店街のくじ係という小さな役を与えられましたが中々台詞を覚えられず、何度もNGを出しては監督に叱られてしまいます。そんな時、撮影現場に何と小田島が現れました。小田島はこのムービーのスポンサーであり、主演女優にクランプアップの花束を渡すと、隅っこで落ち込んでいる碧を優しく励ましました。
ITバブルと寝た女たちのネタバレあらすじ:承
碧の謙虚さに心を惹かれた小田島は彼女を食事に誘い、先に待ち合わせていた碧の服装を見るなり「この格好じゃあ、次に行くところに少し地味かもしれないな。君がよかったら僕に(服を)選ばせてくれないかな」と申し出、碧を高級ブティックへと連れて行くと次から次へと高級ドレスや靴を選んでいきました。小田島は戸惑いながらも着飾った碧に満悦の笑みを浮かべ、続いて高級美容室で綺麗にメイクアップを施された碧は見違える程に華麗な変身を遂げました。
碧は小田島と高級レストランで食事をし、ドンペリのゴールドを振舞われました。小田島は「僕が映画監督だったら君を主演にする」と言って励まし、乾杯を交わしました。
それからというもの、碧は稽古にバイトにより一層精を出し、小田島とデートを重ねていきました。そんなある日、碧が一人で体を慣らしていると麻美が現れ、藤代から聞いたとして「友だちだから忠告しとくけど、小田島さんは諦めた方がいいよ。あの人は超お金持ちのお嬢さんと結婚してるんだって」と告げてきました。ショックを受けた碧は小田島にそのことを問い質してみると、小田島は「最初に言っておくべきだったな。カミさんとは政略結婚で、今ではすっかり冷め切っちゃってて。お互い口には出してないけど、そろそろ終わりかなって・・・」と明かし、これからも話し相手になってほしいと碧に伝えました。「君といると、なんだか落ち着くんだ」と小田島から言われた碧はすっかりその気になり、それからも高級レストランで食事を共にするなどデートを重ね、アパートを訪れた小田島の料理の腕に舌鼓を打ち、チャーターしたヘリコプターで夜の東京の夜景を楽しむなど二人の関係は急速に深まっていきました。小田島は碧の誕生日プレゼントとしてダイヤのブレスレットを渡し、二人は想いを告げあって唇を重ねました。
ある日、碧は研修公演ながらも主役に抜擢され、麻美は碧のブレスレットを見ながら複雑な心境になりました。その夜、麻美は藤代と激しいセックスを交わし、「碧よりも私の方がいい女だよね。あの女を何とかして」と嫉妬心を露わにし、小田島を目障りに思っていた藤代も麻美の話に乗ることにしました。
ITバブルと寝た女たちのネタバレあらすじ:転
主役に選ばれて浮かれている碧に、町子は「もし小田島さんから芝居を辞めろと言われたらどうする? 自分より大きな夢を追いかけている男と付き合うことはそういうことよ」とたしなめられました。
ある夜、バイトを終えた碧の背後から車が猛スピードで衝突、碧は一命を取り留めるも入院することになりました。小田島はチャンスを逃してしまったと悔やむ碧を「諦めちゃだめだよ」と励まし、気分転換に温泉旅行に誘いました。碧は麻美の企みも知らず、自分に代わって主役となった麻美の姿に「輝いてるよ」と呟きました。
小田島と碧は海の見える高級旅館に宿を取り、碧は女将から「奥様」と呼ばれて上機嫌になりました。その夜、碧は小田島と肌を重ねました。小田島の携帯には妻・藍(喜多嶋舞)から着信がありましたが、マナーモードだったため気付かれることはありませんでした。
翌日、小田島は東京に戻ったら妻と離婚すると言い出し、「今すぐ芝居を辞めろとは言わないが、俺だけのヒロインになってほしい」と告白してキスをしました。藍は慰謝料5億円で離婚を受け入れましたが、去り際に「その子にそれだけの価値があるの?」と吐き捨てました。藍は碧の前に現れ、コップの水を碧にかけると「せいぜい私の二の舞にならないように努力なさい」と嫌味を吐いて去っていきました。マスコミは小田島の離婚を大々的に報じましたが、彼の率いるザップスターは着実に成功を収め続け、小田島は碧と遂に再婚しました。小田島と身体を重ね合う碧の左手の薬指には結婚指輪がきらめいていました。
ITバブルと寝た女たちの結末
ある夜、麻美は碧が働いていた弁当屋で弁当を買って藤代の元に向かいましたが、藤代は投資の失敗で倒産の危機を迎えており、麻美に「お前に貢いでる余裕なんてないんだよ!」と当たりました。麻美は藤代に入れ知恵をし、小田島にザップスターのライバル会社の名をちらつかせて投資話を持ち掛けさせ、小田島は藤代の会社の株を50%取得することを条件に引き受けることにしました。
小田島と碧は町子の個展開催を祝い、碧は町子に感謝の気持ちを伝えましたが、小田島は町子に自社の株を買ってみてはどうかとインサイダーまがいの取引話を持ち掛けてきました。
ザップスターは藤代ファンドをM&Aで経営統合、小田島は藤代をザップスターの副社長に迎えました。テレビで小田島らの会見を見ていた碧の携帯に麻美からメールが届きました。「やっぱ持つべきものは友達だよね。これからは四人で楽しもう」
ザップスターは折からのITバブルの波に乗って更なる成長を続け、時価総額500億円を突破しました。しかし、テレビのインタビューに応じた作家・家田荘子(本人)はITのような実態のないものにこれだけの金が集まることに疑問を呈し、“虚業”だと切り捨てました。その頃、藤代は小田島に自らの息のかかった女性秘書を送り込んで誘惑させました。
小田島は中々家に戻らない日々が続き、碧は町子のところに愚痴をこぼしに来ました。町子は「昔の私みたい」と呟くと、自分もかつてのバブル時代にひとりの男を愛し、バブル崩壊で心中を図ったものの自分だけが生き残ったことを打ち明けました。「お互い弱かったのね。夢を掴んだつもりでいい気になってた。バブルなんていつかなくなっるものなのに・・・」との町子の言葉に碧の心中は揺れ動きました。
小田島は藤代とクラブで飲み歩き、女性秘書の誘惑を受け入れました。その様子はマスコミの格好のターゲットとなり、週刊誌の記事を読んで驚く碧に小田島は電話で「週刊誌の記事なんてやっかみだから気にすることはない。俺を信用しろ」と言いながらも今日も帰れないと告げて電話を切りました。その頃、小田島はホテルで女性秘書と戯れていました。
週刊誌を読んだ麻美は激怒して藤代に掴みかかり、やけくそになった藤代は札束で麻美の頬っぺたを叩いて挑発しました。麻美は藤代に「あんたのやってきたこと、全部世間にぶちまけてやる!」と告げて飛び出しました。
碧と麻美は自分たちがすっかりバブルに踊らされたことを悔やみ、碧は麻美に「ずっと友達だよ」とささやきました。その直後、麻美は碧に「東京は私には似合わなかった。疲れちゃったよ。ごめんね、碧」との置手紙を残し、東京から去ろうとしましたが、夜道で藤代の取引相手のやくざに拉致されて線路に投げ込まれました。藤代はやくざから恐喝され、ザップスターにはインサイダー取引容疑で東京地検特捜部の捜査の手が入りました。小田島と碧の家にも家宅捜査が入り、政治献金で味方につけていた政治家からも見放された小田島は碧に「すまない」と謝罪しました。小田島の知らないところで不正経理が行われており、罪を擦り付けられて絶望する小田島を碧は「くじけちゃだめだよ」と慰めました。
藤代は逮捕され、小田島は「ありがとう。最高に幸せだった」と碧に告げて逮捕されました。マスコミは“時代の寵児”の転落を大々的に報じました。碧は麻美の墓前に「麻美の分まで頑張るからね」と伝え、女優として生きていく決意を固めました。左手薬指には指輪はありませんでした。
以上、映画「ITバブルと寝た女たち」のあらすじと結末でした。
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