チェンジリングの紹介:2008年アメリカ映画。1920年代のロサンゼルスで実際に起きたゴードンノースコット事件の被害者家族の実話を元に映画化した本作は、アカデミー賞にノミネートされるなど話題を呼びました。警察を敵にまわし、行方不明の息子を取り返そうとする母親の姿を描いた感動のドラマです。アメリカの名監督&俳優のクリント・イーストウッドがアンジェリーナ・ジョリーを主演に迎えて製作されました。
監督:クリント・イーストウッド 出演:アンジェリーナ・ジョリー(クリスティン・コリンズ)、ジョン・マルコヴィッチ(グスタヴ・ブリーグレブ牧師)、ジェフリー・ドノヴァン(J・J・ジョーンズ警部)、コルム・フィオール(ジェームズ・E・デイヴィス警察本部長)ほか
映画「チェンジリング」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「チェンジリング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
チェンジリングの予告編 動画
映画「チェンジリング」解説
この解説記事には映画「チェンジリング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
チェンジリングのネタバレあらすじ:1.消えた愛息子
1928年、ロサンゼルス郊外で電話会社に勤務するクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、妊娠中に夫に逃げられてしまい、それ以降、9歳になる愛息子・ウォルターを女手ひとつで育てていました。クリスティンは子育てをしながらも、彼女の仕事ぶりは高く評価されていました。
3月10日の日曜日、急な仕事が入ったため、家にウォルターを一人残して出社したクリスティンが帰宅すると、ウォルターの姿が見当たりませんでした。必死に捜索しますが、ウォルターの姿は見つかりませんでした。言いきれぬ不安に駆られたクリスティンは、警察に連絡しましたが、警察から「子供の失踪の場合、24時間以上経過しないと捜索できない」と言われてしました。
仕方なく一晩、寝ずにウォルターの帰りをクリスティンは待ちましたが、ウォルターは帰ってきませんでした。その翌朝から警察が捜査を始めましたが、ウォルターの足取りは全く不明でした。クリスティンも仕事の休憩時間を使って、独自に捜索をしますが、有力な情報を得ることはできませんでした。
ウォルターの姿が消えてから約5ヵ月経過した8月、ロス市警のJ.J.ジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)のもとに「イリノイ州でウォルターが見つかった」という一報が入りました。ジョーンズ警部からその吉報を聞いたクリスティンは嬉しさと安堵で涙し、ジョーンズ警部らとウォルターが帰ってくる駅に急行しました。駅には感動の再会の場面を記事にしようと、新聞記者たちが押し寄せていました。
しかし汽車から降りてきたその子は、息子のウォルターとは全く違う子供でした。クリスティンはジョーンズ警部に「違います。息子じゃありません」と訴えますが、ジョーンズ警部は「5カ月も離れていたら容姿も変わります。あなたが動転しているからです」と一方的に言われます。その子供も、自分はウォルター・コリンズと名乗り、住所まで正確に言い、「この人がママだよ」と言い、クリスティンに抱き着いてきました。
クリスティンは困惑しながらも、ジョーンズ警部やジェームズ・E・デーヴィス市警本部長に促され、新聞記者に感動の再会場面として写真を撮られました。困惑するクリスティンは、ジョーンズ警部に半ば強引に促され、その子供を連れて無理矢理に帰宅させられました。
チェンジリングのネタバレあらすじ:2.闘いの始まり
連れ帰ったその子供は、行方不明前のウォルターの伸長よりも7cmも低く、しかも割礼(宗教儀式の一つで、男性器の包皮の一部を切除すること)していました。クリスティンは自分がウォルターだと言い張るこの子供は、全くの別人だと確信しました。
その翌日、クリスティンはジョーンズ警部のもとを訪ねて、その事実を訴え、愛息子ウォルターの捜査続行を懇願しますが、ジョーンズ警部は「なぜ、あなたは母親の責任から逃げようとするんです!…なぜ見つかった子の捜索をしなければならない!」と声を抗え、全く聞く耳を持ち合わせませんでした。クリスティンは泣く泣く、その場を立ち去りました。
ジョーンズ警部はクリスティンのそんな様子を見て、直ぐさま、警察のお抱え医師・タールをクリスティンのもとに送り込みました。タールは子供の身長が低くなったことや割礼をしてあることを、何だかんだと理由をこじつけ、クリスティンを説得しようとしますが、クリスティンは納得しませんでした。
その頃、グスタヴ・ブリーグレブ牧師(ジョン・マルコヴィッチ)は、汚職と不正にまみれたロス市警の真の姿を暴く啓蒙活動をしていました。クリスティンの息子の失踪事件に強い不審を抱いたグスタヴ牧師は、クリスティンに「これはロス警察が自らの不正を隠して好感度を得ようとするための陰謀だ」と言い、クリスティンの真の息子探しに協力を申し出ました。
「ただ自分の息子を取り戻したいだけ」だったクリスティンでしたが、グスタヴ牧師の「あなたのお子さんが最初じゃないんです。でも闘えばこれで最後にできるかもしません」と言われ、彼女は警察と闘う決意をしました。
クリスティンは、かかりつけの歯科医からウォルターの歯形が違う診断書をもらい、通学していた学校の担任教諭からも別人だという言質を得ました。クリスティンはそれでも無視する警察に対して、記者会見を開き、公表しました。
そんな警察の威信を貶めようとする彼女の行動に憤ったジョーンズ警部は独断で、クリスティンを警察に呼び出し、即刻その場で彼女を罵倒し、被害妄想の精神錯乱状態だとして断言し、何も間違ったことをしていないクリスティンを精神病棟に放り込みました。
チェンジリングのネタバレあらすじ:3.驚愕の事実
ロサンゼルス郡総合病院精神科には、警察に逆らったことでコード12と分類され、収容されていた女性たちがたくさんいました。クリスティンはそこで治療と称する拷問を受け続けました。医師からは「自分の主張は間違っていた事を認め、警察が入院させた行為は正当であり、警察には一切責任はない」という書類に署名すれば、正気に戻ったとして退院させると言われました。クリスティンは断固としてこれを拒否し続けました。
その頃、ロス市警のレスター・ヤバラ刑事は、カナダからの不法移民の少年スタンフォード・クラークを確保しました。当初は単なる不法移民の強制送還でしたが、ヤバラ刑事は少年クラークから驚愕の事実を知ることとなりました。クラークは従兄弟のゴードン・ノースコットに強制され、ゴードンと共に約20人もの子供を誘拐し、多量殺戮をしていました。クラークはその事を非常に悔い、自責の念で囚われ、嘆いていました。
ヤバラ刑事はその尋常ではないクラークの姿を見て、虚言ではないと判断し、持っていた最近行方不明になった子供たちの写真を彼に見せました。クラークは何十枚もの写真から、ウォルターの写真を取り上げました。ヤバラ刑事は驚愕しました。見つかったはずのあのウォルターは、誘拐殺人の被害者となっていたのです。
ヤバラ刑事はその事実を上司であるジョーンズ警部に報告しますが、ジョーンズ警部はまた、それを隠蔽しようと画策しました。しかし、ヤバラ刑事は独自に動き、そのクラークの証言の裏どりに入りました。
ヤバラ刑事はクラークに、死体を埋めた場所を掘り起こさせました。するとそこからは白骨化した遺体が次々と出てきました。ヤバラ刑事は即刻、ゴードンを指名手配しました。この猟奇的殺人事件は「ゴードン・ノースコット事件」と呼ばれ、新聞に大きく取り上げ報じられました。
その頃、グスタヴ牧師は突如として姿が消えたクリスティンの身を案じながら、クリスティンの事件での警察の不正を暴こうと、ラジオ放送で人々に訴えかけ続けていました。クリスティンが精神病院に収容されていると知ったグスタヴ牧師は、精神病院に乗り込み、「ゴードン・ノースコット事件」の新聞記事を見せ、彼女を解放するように迫りました。画して、クリスティンは退院を許可されましたが、新聞でこの猟奇的殺人事件での息子の死を知り、嘆き悲しみました。
チェンジリングのネタバレあらすじ:4.事件の幕引き
クリスティンは警察を相手に、訴訟で闘う覚悟を決めて、グスタヴ牧師と彼の友人の弁護士サミー・ハーンの協力を得て、警察を訴えました。ハーン弁護士はまず精神病院に乗り込み、裁判所命令でコード12の女性たちを解放させました。そしてクリスティンとハーン弁護士は、デーヴィス市警本部長や市長に罷免書などを送り付け、追い込んで行きました。
焦ったデーヴィス市警本部長は、ジョーンズ警部と自らの保身を考え、何とかこの難局を乗り越えようと画策しました。警察は最初、ウォルターだと言って引き渡した子供を単なる映画スターに憧れて家出してきた少年だと釈明し、無事に母親のところに戻し、警察の手柄だとアピールしました。
しかし、グスタヴ牧師のラジオでの訴えなどもあり、裁判当日、裁判所は「ロス市警は街の恥」というプラカードと「恥を知れ!」という多くの市民たちのシュプレヒコールで埋まっていました。
裁判では世論を味方につけたクリスティンに有利に動きました。ハーン弁護士はジョーンズ警部を「あなたは自分の否を認めず、貴重な時間を無駄にした!それで結局、救えなかった!…そうではないんですか!」と激しく糾弾し、彼から「そうです」と自分の否を認める発言を引き出しました。
裁判の結果、ジョーンズ警部は無期限の停職処分を受け、デーヴィス市警本部は更迭、また、警察の一方的な判断での精神病院送致の在り方も見直されることになりました。警察とグルだった市長は次期選挙への出馬を取り止めました。
一方、指名手配されていたゴードンも逮捕され、裁判にかけられました。その中で、ゴードンはウォルターを殺害していないと訴えましたが、史上稀に見る子供の大量殺害で、死刑判決が言い渡されました。
それから2年後の1930年、ハーン弁護士から「ゴードンが面会を求めている」と聞かされたクリスティンは、ゴードンの死刑執行の前日、彼が収監されているサン・クエンティン州立刑務所へ行きました。
ゴードンと面会したクリスティンは、ゴードンに息子を殺したのか?と激しく問い詰めましたが、ゴードンははぐらかすばかりで、納得のいく答えは得られませんでした。クリスティンは嘆き悲しみました。翌日、ゴードンはクリスティンや犠牲者の遺族らが見守る中で絞首刑に処せられました。
チェンジリングの結末:5.希望
事件から7年後の1935年2月27日、クリスティンのもとに、ゴードンの処刑に共に立ち会った遺族から「子供が見つかった」という連絡が入りました。クリスティンはロス市警本部に急行しました。
クリスティンは、遺族の息子デビットがヤバラ刑事と話し合っている様子をマジックミラー越しに見ていました。デビットは「ウォルターがいなければ、僕はあそこから逃げられなかった。…怖かったんだ。あいつ(ゴードン)が襲って来そうで。…だって、僕が黙っていたから、そのせいでみんな殺されたのかも…」と証言し、実の両親との再会を喜び、抱き合いました。デビット少年も恐怖と不安、そして猛省に苛まれていたのでした。クリスティンはそんな親子の姿を見て、涙しました。
その時点でも、ウォルターを含む逃げた少年たちの行方は分かりませんでした。逃げ切れたのか捕まって殺されたのかも不明でした。取り調べを終えたヤバラ刑事はクリスティンに「とても勇気のあるお子さんだ。誇りに思ってもいい」と言いました。
クリスティンは笑顔を浮かべ「私もこれで昨日までなかったものを手に入れました。“希望”です」と言い、新たな一歩を歩み始めました。クリスティンはその後、生涯をかけて息子を捜し続けるのでした。
以上、映画「チェンジリング」のあらすじと結末でした。
「チェンジリング」感想・レビュー
-
それにしても当時のロス市警はひどすぎる
日本の昭和三年頃の時代背景も良かったです
前半はあまりの腐敗にムカムカしながら
アンジーが病院に入れられる下りでは観るのをやめようかと。この時代の大正浪漫風の衣装がアンジー似合ってる。
クリントイーストウッド監督作品はどれも良作
制作にロン・ハワードもクレジットされていました。
とにかくアンジェリーナ・ジョリー扮するコリンズ夫人の、息子を探し求める力強い演技力に魅入る作品。愛する息子のために、決して権力にも拷問に近い仕打ちにも負けず、戦い続ける姿に勇気をもらえます。実話がもとになっているというから驚きです。