レッドタートル ある島の物語の紹介:2016年日本,フランス,ベルギー映画。スタジオジブリとして初の海外との共同制作作品。第69回カンヌ国際映画祭・「ある視点」部門特別賞の受賞作品。吹き荒れる嵐によって海に放り出されて無人島に漂着した男、その後どのような運命をたどるのかを描く。高畑勲監督やプロデューサーの鈴木敏夫が制作サイドに名を連ねる。作中、叫び声などを除いて明確なセリフが無いという斬新な作品となっている。
監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
映画「レッドタートル ある島の物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「レッドタートル ある島の物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
レッドタートル ある島の物語の予告編 動画
映画「レッドタートル ある島の物語」解説
この解説記事には映画「レッドタートル ある島の物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
レッドタートル ある島の物語のネタバレあらすじ:はじめに
最初に「レッドタートル」を見た谷川俊太郎さんの書いた詩の一部を紹介しておきます。
どこなのか ここは
いつなのか いまは
どこから来たのか
どこへ行くのか いのちは?
そして、マイケル監督はインド洋に浮かぶセーシェル島で10日間取材しています。何かの寓話、聖書の一節として、とらえた方がいいのかもしれません。それでは、はじめます。
レッドタートル ある島の物語のネタバレあらすじ:嵐の中で
いきなり荒れ狂う暴風雨の中で、大波に揉みくちゃにされて、溺れかけている男がいます。予告である場面です。どうやら転覆し白い船底が見えているので、小舟かヨットかボートが沈んだようです。でも、元々ヨットに乗っていたのか、それとも救命ボートだったのか、分かりません。前者なら、天候も確かめず、出港した迂闊者と言えますが、それを確かめる術はありません。結局、岩場にたどり着き、何とかそれに這い上ります。船は壊れてしまったようです。しばらくすると雨はやみました。そして誰かいないか探し回ります。男には分からないでしょうが、観客には、それが孤島であることが俯瞰で分かります。右側(恐らく北側)が急斜面の岩場、そして南側(左?)が緩やかな斜面で森になっていました。ふと、男は牛のような鳴き声を聞きます。ひょっとして牧場でもあるのかも?そう期待して辿り着いたのは岸壁でした。海鳴りか、風のいたずらかと、すごすごと、帰りかけた時、不意に牛?の正体が分かります。それは、アザラシ(あるいはアシカ)でした。日本でも千葉県に犬吠埼という地名があるように、それは大量にいた絶滅危惧種である犬の鳴き声に似ていたニホンアシカの鳴き声が由来です。(他にも犬が7日間鳴いてた説もあります。)頂上の岩場から男は「おーい」と叫びます。でも、こだまするだけで誰も答えてくれません。男は岩場の上から、樽が浮いているのを見つけます。何か食料品かもしれません。酒ならなおラッキーです。でも北の崖は急斜面です。そろそろと降りますが、足を滑らせました。海に落ちればよかったのですが、岩場の隙間に出来た水たまりに落ちました。岩場はコケでも生えているのか滑って登れません。水に潜ってみると何とか横穴を見つけました。でも、この穴が外に続いているとは限りません。また、穴は入り口でさえ、男が何とか潜れるほどの大きさです。奥までその穴の大きさとも限りません。2回の躊躇の末、男は潜り、穴を潜り抜けようとします。1度胸がつっかえて、息を吸いに水面に戻りますが、再チャレンジで何とか通り抜けに成功します。(でも実は、この辺で死んでいたのかもしれません。もしくは、産道の暗喩(メタファー)とする、「千と千尋」や「ポニョ」等に見られるトンネル=生まれ変わりの表現だったのかもしれません。)
レッドタートル ある島の物語のネタバレあらすじ:島での生活
さて、数時間で歩き回れるほど狭い孤島であり、誰も人がいないことから、無人島であることを知った男は、絶望と疲労で寝てしまいました。数時間後、白いカニが男のズボンの中に入り、その痛さで起きます。とりあえず、疲労は回復したようです。とりあえず水を確保することにしました。周りが海でも海水は飲めません。海水を煮詰めて、その蒸発した水蒸気を冷やして水を溜める方法もしません。道具もありませんし、そもそも、この映画に火は出てきません。後にヤシの木は出てくるんですけどね。火打石を探したり、木をこすり合わせて火起こしもしません。島の中央部、森の中の平原に湧水があるようで、男は夢中で飲みます。雨水が溜まったものかもしれませんが、特に腹痛も起こしません。健康だけが取り柄のようです。次にヤシの木を見つけ、登り、落とすことで木の実を割り、何とか空腹を満たしました。次に、竹林を見つけ、何か思案をしているとブオーと、異音が聞こえてきました。何事かと思えば、すぐ分かりました。スコールです。男は、急いで移動します。恐らくヤシの木の森に逃げたのでしょう。竹があるということはアジア圏のようです。そしてスコール(通り雨集中豪雨)があると言うことは、熱帯ということです。まー、マイケル監督がインド洋に浮かぶセーシェル島で10日間取材したということは先述してますので、南国なのでしょう。男は、水源と食糧を見つけ、喉の渇きを潤して満腹になり眠くなります。浜辺で寝ます。起きると、少し潮が引いて橋が現れていました。熱帯地方にあるような白い木で作られた桟橋でした。どこまでも伸びています。男は、嬉しくなって、走り出します。「おーい」と叫びながら、ふと飛べるのではないかと思い、地面から足を離します。浮きました。そのまま泳ぐように飛び、裏返ったところで、砂浜で目覚めました。予告にもあるシーンです。男は、竹でイカダを作りはじめました。帆は笹で汲んだようです。ロープは漂着物を利用したようです。ただ、切る道具はありませんので、竹は朽ちた物や倒れたものを拾い集めただけのもののようです。それが悪かったのでしょうか? 暗礁にぶつかったのかもしれません。竹のイカダは唐突に下から突き上げがあり、イカダの真ん中からめくりあがり、イカダは真っ二つに折れてしまいました。男は諦めません。そんなに時間もかからずに2隻目を作りました。男は水面に顔を突っ込み、水下を覗きこみますが、何もありません。でも、また壊れてしまうのです。サメやクジラでしょうか? いえ、この映画のタイトル的に60~100cmまでに成長するレッドタートル(アカウミガメ)かもしれません。浦島太郎の伝説を生んだ巨大なウミガメです。ちなみにアカミミガメという亀もいますが、それはミドリガメの別名なので、数十cmにしか成長しません。この辺、まだ正体が分からないので、少しホラーです。
レッドタートル ある島の物語のネタバレあらすじ:レッドタートルとの出会い
男は疲れ果てて、寝てしまいました。しかし、どこからか音楽が聞こえます。何だ、クラシック音楽かと、男は寝直そうとしますが、ガバっと起きます。音楽だと? そう思って、森の中から抜け出し、音が聞こえる方に歩いて行きました。それは浜辺でした。弦楽器四重奏です。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスを、4人のバロック時代の音楽家が弾いています。例のクルクル巻いたカツラもかぶっています。男は「おーい、おーい」と演奏者たちに声をかけながら走っていきます。でも消えます。男は狂ってしまったのでしょうか? でも、もう一度、別の場所に演奏者たちは現れます。理性的に考えれば、蜃気楼だったのかもしれません。どこかの浜辺で演奏している演奏者達が、風向きで、その演奏の音まで聞こえている? もしくは脳の認識エラーで、男の過去の記憶が視覚や聴覚情報として見えたり聞こえているだけかもしれません。幽霊が見える理屈です。男は文明や人との関わりに飢えていました。月は下弦の18日。満月から少し欠けた状態です。(これ少しおかしい気がしますが、後で説明します)男は納得できないまま、再び寝てしまいます。その頃、砂浜ではアカウミガメの子供達が孵化し、満潮の海に流れて行ってました。翌日、もしくはさらに数日後、男はイカダを2倍にしました。面積的に4倍です。白いカニ4匹が乗りこんでいます。男は竹で叩いて追い出して降ろします。この白いカニは、ジブリ系でよくあるマックロクロスケやコダマのような妖精的存在です。この映画のマスコットと言っていいでしょう。時々、様々な行動をして観客を和ませます。でも時折怖い表現もあります。満潮の波に乗れず、干からびてしまった子カメを巣穴に運び込んだりもします。水たまりから逃げ出せなかった魚を穴に運び込もうとして、引き入れて、頭が入り込まなかったり。男が竹を運んでイカダ作りをしてるので、真似して、カニ達も小さな笹を運んだりします。カニだけは死にません。少なくとも、映画の中では生態系とかけ離れた存在です。数いるので、男と違い、社会生活をしているとも言えます。そう考えると、この映画もしくは島を支配していたのは、実は白いカニの一族だったのかもしれません。(あくまで自分個人の想像あるいは感想です。)男も、岩陰でアザラシの死体を見つけます。多分、島に上陸して最初に遭遇した個体でしょう。ハエがたかっています。食えたものではないでしょう。でも男は皮を裂きます。勿論、腐臭で、男は吐きます。そうまでして男がやりたかったのは、皮を剥ぐことでした。男はYシャツとズボンを着続けています。着替えが欲しかったのかもしれません。ともあれ、男は出港します。今度こそ壊されないように竹で武装しています。常に音を立て威嚇します。海に何度も顔を突っ込み、下からの警戒も怠りません。でも、何も起こりません。何も起こらないなら、それに越したことはありません。男が警戒を緩めると、また下からの突き上げが起こりました。男は上から叩いて応戦します。流石に今度はイカダは壊れませんが、下からの突き上げが激しすぎて男は海に転落しました。そして、遂に会ったのです。レッドタートルに。巨大なウミアカガメは、男に向かって泳いできます。男は身構えますが、息も続かず海の中では、とても適いません。身を小さく縮めて、肘や膝を折り、亀のように頭や胴体を守ります。でも、ウミアカガメは、それ以上襲ってきませんでした。巨大な竹のイカダを壊すことが目的だったようです。母ウミアカガメなら、孵化して、海に旅立った我が子達の危険を取り除くための防衛行為のための攻撃だったのかもしれません。でも、男には、その意思はなく、お互いの不理解は、次なる悲劇を生みます。
レッドタートル ある島の物語のネタバレあらすじ:報復
男はやっとの思いで、岸に泳ぎ着きます。イカダが大きかった分、沖まで出てしまったために、その分、帰りの泳ぐ量が増えたわけです。とりあえず、精神も肉体もボロボロになったので、寝ます。そして、真夜中。空には満月が登っています。ここが変です。数日後なら、下弦の半月になっているはずです。もしくは1カ月以上経過していたのかもしれません。1カ月経っているのなら、満月でもいいのですが、なら分かるように描写すべきなのに、数日しか経過していないように見えるのは時間が逆行しているのかもしれません。あるいは、単純に月の左右反転ミスか。勿論、本編には然程影響することではありません。マイケル監督は天体事象に興味はなく、それを描けるほどの知識はなかったというだけのことです。そもそも、この映画時間の経過が分かりにくいです。ともあれ、男はズリズリという何かが砂を引きずる音で目覚めます。それはあの巨大なウミアカガメが海から這いあがってきた音でした。男はイカダを壊された怒りが蘇ります。そして、竹を持ってきて殴ります。折れます。手で殴っても痛いだけです。男は悪魔的で残忍なことを思いつきました。亀を引っくり返すことにしたのです。勿論、100kgを超える巨体ですので、そう簡単にはひっくり返せませんでしたが、ウミアカガメを何とかしなければ、イカダでこの島を脱出できません。その一念で何とか引っくり返しました。カメはもがいています。予告にもあります。男は、さらに馬乗りになって、何度もひっくり返った亀の甲羅の上で飛び跳ねます。でも、ビクっともしません。とりあえず気が済んだので、男は再びイカダを作り始めます。亀は1日中、何とかひっくり返ろうと、もがき続けます。そして、次の朝、亀はピクリとも動かなくなってました。男は後悔します。何も命を奪う気はなかったのです。その証拠に、カレイを仕留めて、食べさせようとまでしていたのです。右カレイ、左ヒラメなので、多分カレイ。(男はベジタリアンなのか、ヤシの実以外、ここまで食べる描写はありません。)男は、半分くらいまで完成したイカダ作りをやめて、蘇生を試みます。とにかく干からびたなら海水をかければいいのではないかと、竹の水筒で、海水を汲んで何度もかけます。男が疲れて眠るまで、その無意味な行為を続けました。そして、いつしか眠ってました。
レッドタートル ある島の物語のネタバレあらすじ:女の出現
そして、バキっという音で目覚めます。亀の甲羅が割れた音でした。男は寝ます。朝起きると、亀の身体が消え、割れた甲羅の中に褐色の女がいました。でも息はしていません。とはいえ、人間で、しかも女性です。男はコミュニケーションに飢えています。何とか話がしたくて、今度は湧水、あるいは雨が溜まった水たまりから真水を汲んできて、飲ませます。でも、勿論、女は目覚めることはありませんでした。そのうち雨が降ってきました。女を濡らさせるわけには行けません。竹で骨を組んでその上に、笹を乗せて、屋根を作ります。男自身も、その屋根の下で寝ました。次の朝、男が目覚めると女は甲羅を残し、海にいました。男は嬉しくて、呼びかけますが、女は海から出てこようとしません。男は気づきます。女は裸です。恥ずかしくて上がってこれないのではないか? そう考えると男は自分の来ていたYシャツを脱ぎ、浜辺に置いて、林に入ってました。そろそろいいかな? と思って戻ると、女はYシャツを着て海にいました。今度こそ近づいてもいいかと思って、海に入ろうとしますが、女の行動を見て、ハッとします。女は甲羅を海に入り沖に運んでいたのです。ウミアカガメが女になったのなら、海に帰りたいのかもしれません。しばらく見守ることにしました。結局、女は甲羅を海に流して戻ってきました。でも、男に近づこうとしません。男は考えます。そして、半分まで作ったイカダを海に流すことにしました。そうこうしている内に、女はやっと打ち解けます。背景が白くなり、謎ダンスの末、子どもが生まれました。(SEXシーンの暗喩だったのかもしれません。)もう、この辺謎です。日本の昔話的な「鶴の恩返し」的な話になりつつあるのでしょうか。亀なので亀女房? キリスト教的に解釈するなら、男に神が伴侶を遣わしたのでしょうか?この辺で、理解するのは諦めました。亀は男に殺された(負けた)からか女になったのでしょうか? それとも男をこの島で生かせるために女になったのでしょうか。キリスト教の旧約聖書に、「生めよ、増えよ。地に満ちよ」というのがあります。男は生物として人間として子孫を残せれば満足だったのでしょうか?
レッドタートル ある島の物語のネタバレあらすじ:子どもの成長
子どもは4つ足のハイハイから二足歩行に徐々に成長します。カニ歩きを真似したりもします。そして、ある日、漂着物にガラスの酒瓶のようなものを見つけました。拾って慌てて母親に持っていきます。母親は、瓶のふたを抜いて見せました。キュッ、ポンと音がしました。息子は、慌てて他に持って行って、キュッ、ポン。キュッ、ポンと楽しそうに遊んでいます。その時、母親と父親は黒いカラス(ムール?)貝の殻を割って、中身を取り出していました。また、ある時は、毛皮の加工をしたりしています。母親は毛皮の服を着てますので、また、アザラシが都合よく死んでいたのかもしれません。ある日、親子3人で岸壁に登っていると、息子は、下に亀を見つけました。見たことない生き物です。近寄ろうとして、岸壁を降りようとして、父親同様、岸壁の縦穴に落ちてしまいました。父親は慌てて助けようとしましたが、息子は泳げるようです。母親は、父親を落ち着かせます。そうしていると、亀がどこからか出てきました。母親は、息子に、その亀についていくように言って(正確にはジェスチャー)息子はその通りにし、穴から出てきました。父親と母親は急いで飛び込んで、抱き合って無事を喜びました。その様子を横で小さな亀が2匹、見つめていました。恐らく、兄弟(姉妹?)です。かつて孵化し海に旅立った兄弟亀達が成長して戻ってきたのでしょう。息子と亀達は仲良しになって一緒に泳ぎます。また幾日、幾月、幾年か経って、父親は絵を描き始めました。それはかつて自分がいた陸地の絵でした。大勢の人、ビル、キリンや象もいます。息子は母親にも何か書いてとねたります。母親は人を描きかけて、亀にしました。息子も真似して描き出します。息子はあっという間に成長し、父親と同じ背丈になりました。ヒゲも生えて、父親とそっくりです。違うのは髪の長さ位です。息子は、父親と違い、母親のような伴侶はいません。ガールフレンドが欲しいようです。そんな時、海では異変が起こりつつありました。
レッドタートル ある島の物語のネタバレあらすじ:大海嘯
見たこともない数の鳥達が空高くニャーニャー騒いでます。ウミネコなのでしょう。そして、海は沖の方まで干上がっていました。何匹もの魚が打ちあがってピチピチしていました。男は気づくべきだったのかもしれません。息子は林の中で悩んでいました。そして、来たのです。津波が。海は島の全てを押し流さそうと、物凄い高さの海の壁が迫ってきていました。とりあえず、男と女は高い所に逃げようとします。息子も何事かと思って林から出ると津波に気づき、慌てて林に戻ります。しばらく無駄な抵抗を続けました。でも、島さえ押し流そうと埋め尽くさんばかりの津波にはどうすることもできませんでした。竹さえも根を抜かれ流れていきます。でも、津波は去りました。女は生きていました。息子と間もなく再開しました。男はどうしたのでしょう?落ちこむ母親を慰めつつ、息子は岸壁に登ります。そして見つけました。男は漂流するヤシの木にしがみついていたのです。でも間もなく力つき、海に落ちました。息子は慌てて海に走っていきますが、間に合いそうにありません。海の中の男は、ふと何かに座っているのに気付きます。ウミアカガメでした。2匹います。かつて男が殺した亀くらいの体長にまで成長していました。男も衰弱していたので、そのまま亀に捕まり、浜まで連れて行ってもらうことにしました。そうこうしている内に、息子と合流し、息子に肩を担がれ、無事3人は合流しました。でも別れの時は近づいていました。
レッドタートル ある島の物語の結末:旅立ち
そのうち、息子は亀達と海で泳ぐようになり、島から沖まで泳げるようになり、壁があることに気づきます。まるで海が凍ったかのように壁はあり、下から潜れば、その壁を超えられることに気づきます。それが分かると、息子の決断は早かったです。息子は、父母と別れ、亀達と海に旅立ちました。男もそうすればよかったのかもしれません。でも、髪は白髪になり、それだけのことを決断する勇気も体力もなくなっていたのでした。女も同じく年を取っていました。いつものように、魚や貝を拾い、眠るだけ。でも、ある朝、男は目覚めませんでした。女は泣きました。そして、再び亀になって、海に戻るのでした。女が男と一緒にいたのは復讐だったのでした。それとも、男が死ぬまで同情で一緒にいたのでしょうか? あるいは、男は既に、大分前に死んでいたのかもしれません。何もかも分かりません。不思議な話でした。
以上、映画「レッドタートル ある島の物語」のあらすじと結末でした。
レッドタートル ある島の物語の評価・感想
第69回カンヌ国際映画祭・「ある視点」部門特別賞の受賞作品。マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督は第73回アカデミー賞・短編アニメーション賞を受賞した「岸辺のふたり」(2004年)の監督でもあります。(「ある視点」部門の受賞作品と言えば、日本だと「あん」という作品があります。樹木希林さんがハンセン病の女性役で、和菓子作りをすることに対する周囲の反応…とかいう内容だったような。予告しか見てません。社会派作品?)元々は宮崎駿監督が、マイケル監督の「岸辺のふたり」(8分)を気に入って、外部で「監督を頼むなら彼がいい」と言って、鈴木敏夫プロデューサーが勧誘してて、マイケル監督もジブリとならと興味を持って、2007年から製作にかかり、9年かかった作品。で、アドバイスしたのが高畑勲監督。はい、ここまでで、かなりの地雷臭がします。(「ゲド戦記」同様、また宮崎監督は最初だけ口出して、投げ出しているし。そして、「金色のマーニー」以降、ジブリには監督が出来る人はジブリを退社して、いなくなっているので、外部監督の受注を受けるしかない状態です。宮崎監督は長編映画は引退すると宣言して以来、三鷹ジブリ美術館の短編映画しか作らない状態ですし。そのうち、庵野秀明監督が「風の谷のナウシカ2」を作るのではないか…という話もあります。)高畑監督もアーティスティックではあるけれど、宮崎監督の得た収入を使い潰した「かぐや姫の物語」しかり作品が多い人。それでも海外では評価が高くはあります。そして、無声映画として、CMされてたりはしますが、正確にはセリフがないアニメ。というか、元々幾つかセリフはあったらしいですが、高畑監督と鈴木Pが「削った方がいい」といったらしいです。(絶対、鈴木Pは宣伝文句が欲しかっただけと思います。そのせいで、余計分かりにくい作品になっている気がします)正直、単館上映とか、日本で数館上映からはじめて、口コミで人気集めた方が集客率はよかった気もするし、ジブリ映画として見ない方がいいです。宮崎監督に追い出された細田守監督の「時をかける少女」はそれでヒットしたわけだし。まー、宮崎アニメ以外のジブリ映画を見ない人は、やめておいた方がいいです。でも、ジブリ映画として行って、「何だこれ?」と思う被害者は多く出ると思います。「となりのトトロ」の同時上映が「火垂るの墓」(高畑作品)で、青ざめた親子が劇場から飛び出してきたように。とはいえ、好きな人は好きな作品だと思います。80分、無声映画で雨音や波音などの環境音が多い映画のため、瞬間、気を失いかけました。ただ、退屈というわけでもなく前半にホラー展開があり、その緊張を解け、穏やかなシーンが後半続くので寝そうになるだけです。だから、反対に睡眠導入用のDVDとして欲しいかも。気持ちよく寝れそうです。といっても寝る映画=悪い映画というわけでもありません。岡田斗司夫さん曰く、緊張と緩和の緩急の差が激しい映画程、体調によっては寝る場合があるからです。自分は「ジュラシックパーク」の1作目で数分寝た経験がありますw高速道路で80km/h以上で緊張をして高速走行中に、単調な景色が続くと居眠り運転をして事故りやすいのに似てるのかもしれません。マイケル監督はオランダ出身で、イギリスを主に活躍しているのに、今回製作したのはフランスでだそうです。「岸辺のふたり」は「Father&Dauther(父と娘)」(8分)というタイトルでネットにありますので、それを見るか「レッドタートル」の予告を見てから、映画を見るか決めた方がいいです。「岸辺の~」は、自転車で岸辺に通う父と娘がいて、娘は段々成長し、岸辺通いをやめたのに対し、父は通い続け、ある日、岸辺に水がなくなり、父は、自転車を降り、干上がった岸辺に降りていくのですが…という作品。ほぼ影絵。夕焼けもあるので、色がないわけではないです。勿論、無声アニメ。
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