あの頃。の紹介:2020年日本映画。音楽グループ「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシスト、「神聖かまってちゃん」のマネージャー、漫画家など多彩な活動を展開する劔樹人の自伝的青春コミックエッセイ『あの頃。 男子かしまし物語』を今泉力哉監督が映画化した青春映画です。松坂桃李が若き日の劔樹人を演じ、2000年代初め頃を舞台に「ハロー!プロジェクト(ハロプロ)」のアイドルに魅せられた劔とオタク仲間たちの青春の日々を描きます。
監督:今泉力哉 出演者:松坂桃李(劔樹人)、仲野太賀(コズミン)、山中崇(ロビ)、若葉竜也(西野)、芹澤興人(ナカウチ)、コカドケンタロウ(イトウ)、大下ヒロト(アール)、木口健太(佐伯)、中田青渚(靖子)、片山友希(奈緒)、山﨑夢羽(松浦亜弥)、西田尚美(馬場)ほか
映画「あの頃。」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「あの頃。」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
あの頃。の予告編 動画
映画「あの頃。」解説
この解説記事には映画「あの頃。」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
あの頃。のネタバレあらすじ:起
2004年、大阪。当時大学生だった劔樹人(松坂桃李)は、アルバイトのかたわらバンドを結成してベースを弾いていました。しかし、好きで始めたはずのバンドも、バイトの多忙ゆえに全く練習ができず、ミスを繰り返してはメンバーに叱られる有り様でした。
バンド活動もすっかりやる気をなくし、退屈な日々を過ごしていた劔は、心配して訪ねてきた友人の佐伯(木口健太)からパチンコに誘われました。結局、劔はパチンコに行くことなく部屋で寝ていましたが、佐伯は夜に劔の元を訪れ、「これ見て元気出せ」と1枚のDVDを渡して帰っていきました。
そのDVDは「ハロー!プロジェクト(ハロプロ)」のアイドル・松浦亜弥(山﨑夢羽)のミュージックビデオであり、愛くるしい笑顔で「桃色片想い」を歌う亜弥の姿に劔はあっという間に魅了されていきました。
劔はその勢いのまま夜の街へと飛び出し、松浦亜弥のCDを買うべくCDショップに向かいました。そこには「モーニング娘。」などのハロプロのアイドルのコーナーが設けられており、劔は店員のナカウチ(芹澤興人)から1枚のチラシを渡されました。それはライブシアター「なんば白鯨」で行われる、あるイベントの告知でした…。
あの頃。のネタバレあらすじ:承
劔は早速「なんば白鯨」へ足を運びました。そこでは「ハロプロあべの支部」という連中がハロプロの魅力やメンバーそれぞれの推しメンについて熱く語っていました。あのナカウチもその一員であり、劔は彼らの話に深く引き込まれていきました。
「ハロプロあべの支部」のメンバーはナカウチの他に、やたらとプライドの高いひねくれ者で藤本美貴推しのコズミン(仲野太賀)、中心人物で石川梨華推しのロビ(山中崇)、ハロプロ全般推しのイトウ(コカドケンタロウ)、重度のオタクで痛車やヲタグッズを自作するのが生き甲斐の西野(若葉竜也)といった個性派揃いでした。
イベント終了後、劔がナカウチに誘ってくれたお礼を言っていると、ロビが劔に「お兄さん、あやや(松浦亜弥)推しちゃう?」と声をかけてきました。劔はそのまま打ち上げに参加することになり、一行は店の予約が取れなかったことから、イトウの住むアパートで打ち上げをすることになりました。メンバーたちはまるで学生のノリで羽目を外してはしゃぎ回り、劔もいつしかその輪の中に加わっていました。
それからというもの、「ハロプロあべの支部」の面々は毎夜のようにイトウのアパートに集い、時には一緒に銭湯の湯に浸かりながらハロプロについて議論を重ねたりDVDを観たりする日々を送るようになりました。
そんなある日、劔の大学の後輩の靖子(中田青渚)がハロプロに興味を抱いてきたことから、劔は学園祭でハロプロ啓蒙活動を行なうことを思いつきました。劔は靖子を「なんば白鯨」に連れて行き、「ハロプロあべの支部」の活動を紹介しました。劔は仲間たちと共に学園祭に乗り込み、ハロプロの曲を流してパフォーマンスを展開しました。
あの頃。のネタバレあらすじ:転
ある日、劔は靖子から松浦亜弥のコンサートに行きたいと言われました。劔はたまたまもう1枚入手していたチケットを使って靖子を誘いましたが、前日になって突然靖子は体調が悪いので行けないと言い出してきました。コズミンは、それは劔が靖子にフラれたのだと感づいていました。
仕方なく一人でコンサートに行った劔は、隣に座る白髪の男から唐突に「20年後の君だよ。君は今のままでいい」と告げられました。それは幻影だったのですが、この頃から劔は果たして今のままでいいのか思い悩むようになりました。
そんな劔を見かねたコズミンは松浦亜弥のファンクラブ会員限定握手会のチケットが当選したことを告げ、「誰のせいで毎日楽しいと思うてんねん。行かんかったら失礼やわ」と送り出しました。劔は憧れの松浦亜弥と対面を果たしました。
そんなある日、「ハロプロあべの支部」に、西野の知り合いで藤本美貴推しのアール(大下ヒロト)が合流しました。ギターを弾いているアールは劔がかつてベースを弾いていたことを知り、一緒にバンドを組もうと呼びかけました。
劔ら「ハロプロあべの支部」の面々は「恋愛研究会。」なるバンドを結成、全員お揃いの帽子とTシャツ姿で「なんば白鯨」のステージに立ち、モー娘の「恋ING」をパフォーマンスしました。しかし、劔はこのイベントの際に靖子が佐伯と付き合っていることを知りました。
このイベントにはアールの交際相手・奈緒(片山友希)が来ていました。奈緒はストーカーに付きまとわれており、そのことを知った仲間たちはストーカーに反撃しましたが、ストーカーもネット掲示板で「ハロプロあべの支部」の悪口を書き込むなど激しく応戦してきました。結局はコズミン自らストーカーに対面して土下座する羽目になりました。
その後、奈緒に惚れ込んでしまったコズミンは猛アタックを敢行、一時アールとの関係がこじれかけましたが、劔の計らいにより双方は和解しました。この時、劔を含め誰もがこのまま下らなくとも楽しい時間がずっと続くと信じていました…。
あの頃。の結末
2008年。劔は東京にいました。ナカウチが東京の知人の経営するライブハウスに転職し、劔はそのライブハウスのスタッフをすることになったのです。劔とナカウチ以外の仲間は大阪に残り、それぞれ別々の人生を歩んでいました。「ハロプロあべの支部」の面々はすっかり疎遠になっていたのですが、コズミンだけはあの頃と変わらず単独ライブを開くなど活動を続けていました。
そんなある日、劔はコズミンが肺ガンを患っていることを知りました。しかし、コズミンは常にマイペースを貫き、辛い入院生活でも決して笑いを絶やすことはありませんでした。ところが、コズミンのガンは他の箇所に転移しており、次第に体力も弱っていきました。
劔ら「ハロプロあべの支部」の面々はコズミンを励ますために久々に再集結し、「コズミン生前葬」というイベントを催しました。劔たちは白装束姿のコズミンを囲んで「恋ING」を歌い、コズミンは感極まって泣き出した劔を「なんで泣いてんねん」と慰めました。
2010年。この頃からアニメやフィギュアに興味が移っていたコズミンはツイッターで心境を語り始めました。コズミンは何度も何度も生死の境をさまよい、そして遂に本当の危篤を迎えました…。
…劔や仲間たちは力尽きたコズミンの葬式に参列しました。劔たちはコズミンの棺に彼が生前愛してやまなかったフィギュアを沢山入れておきました。コズミンの死に顔はとても安らかなものでした。
それから月日は流れ、劔はひとりあの頃を振り返っていました。劔の目には、あの頃と全く変わらぬ笑顔のコズミンの姿が浮かんでいました。
以上、映画「あの頃。」のあらすじと結末でした。
ハロプロファンでなくても、なんらかの推し活をしたことのある人ならば共感できる部分が多い映画です。
落ち込んだときに聴いた音楽がきっかけで大ファンになって推し活を始めるまでの描写に特に共感できました。
推しがきっかけで出来た友達がただ趣味を共有するだけの人間関係を超えて一生の親友になれるのはとても羨ましいです。