バットマン ビギンズの紹介:2005年アメリカ映画。DCコミックスの人気ヒーロー『バットマン』の実写映画シリーズ作であり、これまでの前4作からスタッフ・キャスト・設定などを一新したリブートシリーズ「ダークナイト」三部作の第1作です。監督をクリストファー・ノーランが務め、主人公バットマンをクリスチャン・ベイルが演じます。本作は原作のエピソードの中から『The Man Who Falls』『バットマン:イヤーワン』『バットマン:ロングハロウィーン』を基とし、これまで語られることのなかったバットマンの誕生についての秘話を描いています。
監督:クリストファー・ノーラン 出演者:クリスチャン・ベイル(ブルース・ウェイン/バットマン)、マイケル・ケイン(アルフレッド・ペニーワース)、ゲイリー・オールドマン(ジェームズ・“ジム”・ゴードン巡査部長)、モーガン・フリーマン(ルーシャス・フォックス)、リーアム・ニーソン(ヘンリー・デュカード/ラーズ・アル・グール)、ケイティ・ホームズ(レイチェル・ドーズ)、キリアン・マーフィー(ジョナサン・クレイン/スケアクロウ)、渡辺謙(ラーズ・アル・グール(影武者))、トム・ウィルキンソン(カーマイン・ファルコーニ)、ルトガー・ハウアー(リチャード・アール)、マーク・ブーン・ジュニア(アーノルド・フラス刑事)、コリン・マクファーレン(ギリアン・B・ローブ警視総監)、ラリー・ホールデン(フィンチ検事長)、ジェラルド・マーフィー(フェイデン判事)、ライナス・ローチ(トーマス・ウェイン)、サラ・スチュワート(マーサ・ウェイン)、ガス・ルイス(ブルース・ウェイン(幼少期))、エマ・ロックハート(レイチェル・ドーズ(幼少期))、リチャード・ブレイク(ジョー・チル)、ジョン・ノーラン(ジョージ・フレデリックス)、ティモシー・ジョン・ブース(ミスター・ザーズ/ビクターザーズ)ほか
映画「バットマン ビギンズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バットマン ビギンズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
バットマン ビギンズの予告編 動画
映画「バットマン ビギンズ」解説
この解説記事には映画「バットマン ビギンズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バットマン ビギンズのネタバレあらすじ:起
犯罪と暴力がはびこる大都会ゴッサム・シティ。この街で一番の大富豪であり、一大企業「ウェイン産業」のオーナーであるトーマス・ウェイン(ライナス・ローチ)の一人息子、ブルース・ウェイン少年(ガス・ルイス)は、幼馴染の少女レイチェル・ドーズ(エマ・ロックハート)と自宅のウェイン邸の庭で遊んでいました。
しかし、かくれんぼをしていたブルース少年は誤って庭の古井戸に落ちてしまい、そこでコウモリの大群に襲われました―――。
―――時は流れ、成人したブルース(クリスチャン・ベイル)はアジア某国のとある刑務所で目を覚ましました。ブルースは度々悪夢にうなされていました。他の受刑者たちと共に食事の列に並んでいたブルースは“地獄の悪魔”を気取る巨漢の男に因縁をつけられ、周囲を巻き込んだ大乱闘を引き起こしました。巨漢男とその仲間たちを叩きのめしたブルースは、駆け付けた看守たちによって独房へ放り込まれました。
独房の中にはヘンリー・デュカード(リーアム・ニーソン)と名乗る男がいました。デュカードは裏社会に君臨する忍者集団「影の同盟」の首領ラーズ・アル・グール(渡辺謙)の代理人と名乗り、ブルースのことも、ブルースが犯罪者の世界を知るためにあえて悪に身を堕とした経緯も知っていました。
そのうえでデュカードは「君は道を見失っている。悪を憎み、正義を実行する。それが影の同盟の道だ。君はそこで超人的な力を身につけ、別の存在になるんだ」と同盟に入るよう誘いました。
翌日。ブルースはデュカードの差し金により釈放されました。ブルースはデュカードに言われた通りにヒマラヤの東の山腹に咲く青い花を摘み取り、険しい山道を登って影の同盟のアジトに辿り着きました。
ラーズと対面したブルースは、悪と戦うためには内なる恐怖を克服せよと告げられました。早速デュカードから厳しい修行を課せられたブルースは、己が恐れるものについて語るよう迫られました―――。
―――あの日、コウモリの大群に遭遇してからは、ブルース少年はコウモリを極度に恐れるようになっていました。父トーマスはそんなブルース少年に「人はなぜ落ちるか。それは這い上がるためだ」と励ましました。
ある日、ブルース少年はトーマスと母マーサ(サラ・スチュワート)と共にオペラ鑑賞に出かけました。ブルース一家が乗ったモノレールは、不景気と貧困にあえぐゴッサムのため格安な交通機関を作ろうとトーマスが出資して開業したものでした。
オペラを鑑賞していたブルース少年は、黒い服の役者の演技にコウモリの姿を連想してしまい、恐れをなして「帰ろうよ」と言い出しました。ブルース一家は劇場の裏口から外に出ましたが、待ち構えていたコソ泥のジョー・チル(リチャード・ブレイク)に銃を突き付けられ、金をよこせと脅されました。
説得しようとしたトーマスは撃たれてしまい、マーサも射殺されてしまいました。チルはその場から逃走し、トーマスはブルース少年に「恐れるな…」と言い残して息を引き取りました。
両親を失ったブルース少年に優しく接してくれたのは、ゴッサム市警の警察官ジェームズ・“ジム”・ゴードン(ゲイリー・オールドマン)でした。間もなくチルは逮捕され、ウェイン産業はブルース少年が成人するまではリチャード・アール(ルトガー・ハウアー)が代わりに経営することになりました。
すっかり心を閉ざしてしまったブルース少年が唯一心を許せるのは、トーマスの代からウェイン家に仕える執事のアルフレッド・ペニーワース(マイケル・ケイン)でした。自分のせいで両親は死んだと自責の念に駆られるブルース少年に、アルフレッドは「悪いのはあの男(チル)です」と慰めました。
それ以来、アルフレッドは親代わりとしてブルース少年を育てました―――。
―――デュカードに語り終えたブルースは、彼から真実と向き合う方法、数百人を相手に戦う戦術や格闘術、行方をくらますために姿をかき消す方法や忍術の数々を叩き込まれていきました。デュカードはブルースの両親が殺されたのはトーマスが抵抗しなかったからだと語り、ブルースに戦う意思の重要さを説きました。
デュカードもまた愛する妻を殺されており(その経緯は『ダークナイト ライジング』を参照)、その時に「悪は倒さねばならぬ。迷うことも慈悲をかけることもなく」と悟ったのです。デュカードは「怒りこそが原動力だ。しかしそれは時に身を滅ぼしかねん。救いになるのは“復讐”だ」と語りましたが、ブルースは復讐はしたくないと語りました―――。
―――両親の死から14年後。服役していたチルはマフィアのボス、カーマイン・ファルコーニ(トム・ウィルキンソン)の犯罪を証言するための公聴会に出席することになっていました。大学生になっていたブルースは休学を決意、久しぶりにウェイン邸に戻り、アルフレッドに公聴会に行くことを伝えました。
ブルースは地方検事の補佐となっていたレイチェル(ケイティ・ホームズ)と再会しました。レイチェルはブルースに公聴会には行かない方がいいと忠告しましたが、チルへの復讐心を抱き続けていたブルースは密かに拳銃を忍ばせていました。
公聴会に出席したチルはファルコーニの犯罪の証言と引き換えに仮釈放が認められました。ブルースは銃を手にチルを待ち構えていましたが、チルは突然現れたファルコーニの部下に射殺されました。チルの最期を見届けたブルースはレイチェルから、ファルコーニは判事を買収していることを告げられました。
ブルースは「正義が行われたんだ。彼ら(ファルコーニ)には感謝さ」と言うと、レイチェルは「それは正義ではなく復讐よ。正義は秩序のためだけど、復讐は自己満足」と告げ、不況と貧困に苦しむゴッサムの市民たちの現実を見せつけました。レイチェルは犯罪を溢れさせているファルコーニこそが元凶であり、毎日のようにチルのような犯罪者が生み出されているのだと語りました。
レイチェルから「お父様が嘆くわ」と言われたブルースは拳銃を川に投げ捨て、単身でファルコーニの元に出向きました。ファルコーニは市議会議員、労働組合の幹部、判事、警察をも牛耳っており、金の力だけではなく“恐怖”で支配していました。
ファルコーニはブルースに「お前は両親が死んだことで世間の残酷さを見た気になっているが、実際は世間知らずのお坊ちゃまだ」ろ言い放ち、両親を侮辱した揚げ句にブルースをつまみ出しました。自分の無力さを思い知らされたブルースはゴッサムを飛び出し、世界中を放浪しては犯罪者たちと行動を共にするようになったのです―――。
バットマン ビギンズのネタバレあらすじ:承
―――デュカードはブルースに「真の恐怖は君の中にある。己の力への恐怖、怒りへの恐怖、善や悪を成し遂げる強い意思への恐怖…自分の恐怖と向き合え」と説き、青い花をすり潰して焚いた煙を吸うよう指示しました。「己自身が恐怖となって敵の心に潜り込め。人は目に見えないものを恐れる。己が恐怖の源となれ」
ブルースは過酷な修行の末に、遂にコウモリの恐怖を克服することに成功しました。ブルースは正式に影の同盟の一員として認められ、一個部隊の指揮権を与えられました。修行の総仕上げは強盗殺人を働いて捕らえられた男の処刑でした。しかし、ブルースはこの男は裁判で裁かれるべきだと主張し、処刑を断りました。
ラーズはブルースを影の同盟にスカウトした理由を語りました。それはゴッサムの名士であるブルースを同盟の一員としてゴッサムに送り込み、不正と腐敗に満ちたゴッサムを破壊することが真の目的でした。ブルースはゴッサムを破壊ではなく守るべきだと主張し、同盟に反旗を翻してアジトに火を放ちました。
ブルースはラーズと戦いましたが、ラーズは崩れてきた瓦礫の下敷きになって絶命しました。ブルースはデュカードだけは救い、燃え盛るアジトから脱出しました。ブルースは麓の村人にデュカードの身柄を預け、プライベートジェットで迎えに来たアルフレッドと再会を果たしました。
ブルースは私財を投げ打って貧しい市民を救おうとしたトーマスの遺志を継ぎ、ゴッサムから犯罪を根絶する決意を固めました。犯罪に無関心な人々を動かすためには“衝撃的な何か”が必要だと感じたブルースは人間を超える“何か”をそのシンボルにし、犯罪者に恐怖を植え付けることを思いつきました。
ブルースは7年ぶりにゴッサムに舞い戻りました。ウェイン産業の社長代行となったアールは株式公開に踏み切り、今は法的にアルフレッドに預けているブルースの所有株をも手に入れようと目論んでいました。
その頃、ゴッサムの法廷では精神科医のジョナサン・クレイン(キリアン・マーフィー)が、担当する殺人犯を精神疾患を理由に収監すべきではないと証言していました。クレインは他にもファルコーニの手下3名を同様の手口で収監阻止に成功しており、検事長のフィンチ(ラリー・ホールデン)と癒着していました。フィンチはレイチェルに、ファルコーニを敵に回すなと警告しました。
クレインはファルコーニと癒着しており、彼の組織の麻薬取引にも関与していました。クレインの“雇い主”はファルコーニすらも恐れる人物であり、ファルコーニとクレインは共謀して邪魔なレイチェルを排除することにしました。
ウェイン邸にコウモリが迷い込んだことに気付いたブルースは、少年時代に自分が落ちた古井戸の中を探索し、その奥にコウモリの生息する地下洞窟があることに気付きました。ブルースは改めて、自分がコウモリの恐怖を克服したことを実感しました。
ブルースはウェイン産業の本社に乗り込み、父の築いた会社のことを詳しく知りたいとして応用科学部に社員として雇うようアールに要求しました。そのアールは軍事産業への参入に消極的だったトーマスの方針を転換し、本格的に軍需産業への参入を進めていました。
ブルースは元役員でトーマスの理解者だったルーシャス・フォックス(モーガン・フリーマン)と会いました。フォックスはアールによって閑職の応用科学部に左遷されており、ブルースはフォックスが開発しながらも高コストを理由に採用されなかった前衛部隊用サバイバルスーツや各種特殊装備の試作品を譲り受けました。
ブルースは洞窟の内部が南北戦争時代に使われた地下要塞であることを知り、ここを秘密基地にすることにしました。ブルースはアルフレッドやフォックスの協力を得て装備品に改造・改良を施し、足りない部品は海外にあるダミー会社を通じて調達しました。
その頃、巡査部長に出世していたゴードンは、同僚のアーノルド・フラス刑事(マーク・ブーン・ジュニア)が金で買収されていることに心を痛めていました。ブルースはゴードンが汚職のはびこるゴッサム市警において数少ない善良で実直な警官であることに目をつけ、目出し帽と試作スーツをまとってゴードンに接触し、街の不正を正すための協力を求めました。
ブルースはフォックスから形状記憶型の特殊な軽量繊維を提供してもらい、空を滑空するためのマントに活用することにしました。フォックスは橋梁建設用に開発した特殊装甲車“タンブラー”も提供し、ブルースはその性能の高さに着目しました。
ブルースはファルコーニとフラスの癒着の現場を盗聴し、ファルコーニがレイチェルの始末を目論んでいることを知りました。ブルースが更に装備の改良を続け、敵に恐怖を与えるモチーフをかつて自分が恐れた“コウモリ”にすることを決めました。
ファルコーニはフラスの立ち合いのもと、着々と麻薬密輸の準備を進めていました。ブルースは完成したマスクと胸にコウモリのマークをあしらった黒のスーツをまとって“バットマン”に変身し、密輸の現場である港を襲撃しました。バットマンは手下たちを叩き伏せ、ファルコーニを殴って気絶させました。
続けてバットマンはファルコーニの手下に襲われていたレイチェルを助け、判事がファルコーニと癒着している証拠の写真を渡しました。その後、ファルコーニと手下たちは駆け付けたゴードンらに逮捕されました。投光器に縛り付けられたファルコーニの影は、まるでコウモリのように夜空に浮かび上がっていました。
バットマン ビギンズのネタバレあらすじ:転
ファルコーニが謎の男に襲われたとのニュースは大々的に報じられました。ゴッサム市警は謎の男(バットマン)を危険視しましたが、ゴードンだけは謎の男が協力者だと確信していました。
ブルースはバットマンがマスコミに取り上げられたことに最初の手応えを感じました。アルフレッドは体中に痣を作ったブルースに、活動を怪しまれないように表の顔は派手にスポーツカーを乗り回し、人気女優と浮名を流すプレイボーイを演じることを提案しました。
一方、アールは部下から、ウェイン産業が極秘裏に開発していた軍用のマイクロ波放射器が何者かに奪われたとの報告を受けました。マイクロ波放射器は敵の水源地を叩くために開発されたもので、水を瞬時に気化させる能力を有していました。
ブルースは周囲の目を欺くため、超高級車のランボルギーニでホテルに派手に乗り付け、アールの目の前で美女たちをはべらせていました。ブルースはたまたま居合わせたレイチェルと気まずい再会をしてしまい、「これは本当の僕ではない」と弁明しました。レイチェルは「人の本性は行動で決まる」と言い残して去っていきました。
拘置所に入れられたファルコーニはクレインを呼び出し、クレインの“雇い主”およびクレインが精神病院で行っている人体実験の件をバラすと脅しました。クレインは覆面を被って“スケアクロウ”に変身し、ファルコーニに幻覚剤を吹きかけて発狂させるとナローズ島にあるアーカム精神病院に収容させました。
バットマンはゴードンの自宅を訪れ、ファルコーニの麻薬の半分が何者かに渡っているとの情報を伝えました。ゴードンは警察がバットマンを追っていることを話しました。続いてバットマンはフラスを締め上げ、麻薬の半分がナローズ島に送られたとの情報を聞き出しました。一方、ファルコーニの荷物を調べていたフィンチはマイクロ波放射器を見つけてしまい、口封じされてしまいました。
バットマンはナローズ島にあるクレインのアジトに潜入しました。クレインはファルコーニの麻薬密輸を隠れ蓑に“新薬”を入手しており、バットマンもしくはファルコーニに嗅ぎ付けられる前に証拠を隠滅しようとしていました。クレインの手下を叩きのめしたバットマンでしたが、クレインはスケアクロウに変身するとバットマンに幻覚剤を吹き付けました。
バットマンの脳裏にはコウモリのトラウマが蘇り、スーツに火を放たれたバットマンはアジトから放り出されてしまいました。バットマンはアルフレッドに救援を求め、ウェイン邸に引き返しました。フォックスはブルースの血液を採取して解毒剤を作り、ブルースは正気を取り戻しました。
この日はブルースの誕生日。ウェイン邸を訪れたレイチェルはブルースにプレゼントを渡すと、これからナローズ島に渡ってファルコーニを調べることを告げました。ブルースはアルフレッドに来客の対応を任せると、ウェイン邸の秘密の扉から地下洞窟の秘密基地“バットケイヴ”に向かい、バットマンに変身しました。
その頃、フォックスの前にアールが現れ、マイクロ波放射器の件について訊いてきました。フォックスは過去にマイクロ波放射器で毒物を散布する実験が行われたことを知っており、アールは実験に関する全ての資料を明け渡すよう命じるとフォックスを解雇しました。
アーカム精神病院を訪れたレイチェルはファルコーニの症状を取り調べようとしましたが、現れたクレインによって地下に案内されました。そこではクレインの手下が新薬を水道に垂れ流しており、そのことを知ったレイチェルはスケアクロウに捕らえられて幻覚剤を吹き付けられてしまいました。
精神病院の地下に乗り込んだバットマンはクレインの手下たちを叩きのめし、クレインに幻覚剤を吹き付けて“雇い主”の情報を聞き出しました。“雇い主”の正体は何と死んだはずのラーズ・アル・グールでした。
バットマンはレイチェルを連れて精神病院から出ようとしましたが、周囲はバットマンを逮捕しようとする警官隊や特殊部隊に包囲されていました。ゴードンは潜入するフリをしてバットマンに近づき、クレインが毒物を水道に流したことを伝えました。バットマンは周囲に大量のコウモリを放って警官隊を攪乱し、タンブラーを改造した“バットモービル”にレイチェルを乗せてナローズ島から脱出しました。
バットマンは警察とゴッサム市街でカーチェイスを繰り広げ、追跡を振り切ってバットケイヴに戻りました。バットマンはフォックスから託された解毒剤をレイチェルに打ちました。バットマンは回復したレイチェルに2本の解毒剤を渡しました。1本はゴードン用、もう1本は大量生産用でした。
一方、ゴードンはただちに水道を止めるよう要請していましたが、毒薬の混ざった水は既にゴッサム中に回っていました。ゴードンは捕らえたクレインから毒薬の出所を吐かせようとしましたが、クレインは「もう手遅れだ」と言うのみでした。
バットマン ビギンズの結末
ブルースはレイチェルをアルフレッドに託し、ウェイン邸で開かれていた自身の誕生パーティーに参加しました。フォックスは何者かが奪ったマイクロ波放射器で汚染された水道水を気化しようと目論んでいることに気付いていました。毒薬は液体の状態では無害であり、気化することで有毒性を発するものでした。
ブルースはフォックスに極秘裏に解毒剤を大量生産するよう依頼しましたが、その直後にブルースの前にデュカードが現れました。実はヒマラヤで死んだラーズ・アル・グールは影武者であり、デュカードこそが本物のラーズ・アル・グールだったのです。
ラーズはバットマンの正体がブルースであることも知っており、クレインがヒマラヤの青い花から毒薬を作り出したこと、クレインは金のために影の同盟の計画に乗ったことも明かしました。影の同盟はゴッサム中に流れる汚染された水道水をマイクロ波放射器で気化し、ゴッサムを市民ごと滅ぼそうと企んでいたのです。
ブルースはわざと悪態をついて招待客を逃がしました。ラーズは「ゴッサム市民などどうせ価値のない命ばかりだ。腐敗した世界は滅ぼすべきだ。私と共に世界を救おうではないか」とブルースを誘いましたが、ブルースは「良き命もある。この街は救うべきだ。ゴッサムは渡さない」と断りました。
ラーズはゴッサムの不況を招いたのも、ブルースの両親を死に至らしめたのも影の同盟の仕業であることを明かしました。ブルースは怒りのままにラーズに戦いを挑みましたが、ウェイン邸には火が放たれ、ブルースは焼け落ちた木材の下敷きになって身動きが取れなくなってしまいました。ラーズは明日にもゴッサムを滅ぼすと宣言して去っていきました。
その頃、影の軍団はアーカム精神病院に収容されている凶悪犯罪者たちを解放していました。ナローズ島には警官隊が送り込まれ、犯罪者たちと一触即発の事態となりました。ナローズ島とゴッサム本土を結ぶ桟橋に着いたレイチェルはゴードンにバットマンから託された解毒剤を渡しました。
ブルースはアルフレッドによって助けられ、地下のバットケイヴへと逃れました。ウェイン邸は爆破炎上し、ブルースは父トーマスの遺産が失われたことに落胆しました。しかし、アルフレッドはトーマスの言葉「人はなぜ落ちるか。それは這い上がるためだ」を思い起こさせ、ブルースに再起を促しました。
警察は桟橋を上げ、犯罪者たちの流入を阻止しようとしましたが、一足先にナローズ島に渡っていたラーズと影の同盟はマイクロ波放射器を起動させ、島全土を大混乱に陥れました。島に取り残されたゴードンはギリアン・B・ローブ警視総監(コリン・マクファーレン)に応援を要請しましたが、機動隊は既に毒ガスを吸い込まれた後でした。
ブルースはバットマンに変身し、装備を整えるとバットモービルで出動しました。レイチェルは取り残された少年を助けようとしましたが、現れたスケアクロウに襲われました。ナローズ島に到着したバットマンはゴードンに、ラーズの狙いはモノレールにマイクロ波放射器を載せ、ゴッサム中心部の「ウェインタワー」から起動させることでゴッサム全体に毒ガスを充満させることだと伝えました。バットマンはモノレールを止めに行くと告げると、バットモービルをゴードンに託しました。
その頃、レイチェルはスタンガンでスケアクロウを追い払っていましたが、暴徒化した犯罪者たちに取り囲まれました。バットマンは間一髪でレイチェルと少年を救い、安全な場所に避難させました。レイチェルから名前を尋ねられたバットマンは「人の本性は行動で決まるものだ」と以前レイチェルがブルースに告げた言葉を語りました。レイチェルはバットマンの正体がブルースであることに気付きました。
バットマンはラーズを止めようとしましたが、バットマンが影の同盟や犯罪者たちと戦っている間にラーズはマイクロ波放射器を積んだモノレールを発進させてしまいました。犯罪者たちを振り切ったバットマンは中心部に向かうモノレールを追い、ゴードンもバットモービルでナローズ島から脱出してモノレールを追いました。
車内に突入したバットマンはラーズとの格闘戦に臨みましたが、ラーズはバットマンを組み伏せると敗北を認めるよう迫りました。一方、ウェインタワーに到着したゴードンはバットモービルの砲撃でモノレールのレールを破壊しました。バットマンはラーズが気を取られた隙に形勢逆転し、ラーズを叩きのめしました。
とどめを刺すのかというラーズに、バットマンは「俺は誰も殺さない。だが(ラーズを)助けもしない」と言い残して車内から脱出、車体はそのまま地面に激突してラーズは爆死しました。マイクロ波放射器も破壊され、ゴッサムは危機を免れました。ゴードンは飛び去って行くバットマンに手を振りました。
ブルースは慈善団体や信託機関を通じてウェイン産業の公開株の全てを買い占め、筆頭株主として役員会議を招集しました。ブルースはアールを解任し、後任の社長にフォックスを就任させました。
ブルースは古井戸を塞ぎ、アルフレッドと共にウェイン邸の再建に乗り出しました。現れたレイチェルは過去の発言を謝罪しましたが、ブルースは「僕は臆病者だった。復讐は正義じゃない。感謝してる」と返しました。
レイチェルは胸に秘めていたブルースへの想いを打ち明け、二人はキスを交わしましたが、レイチェルは今のブルースの本当の顔はバットマンであり、目の前のブルースは“ブルースの仮面”を被っているのだとして、ゴッサムが平和を取り戻すその日まで待つと告げました。
ゴードンは事件解決の功により警部補に昇進し、ゴッサム市警の屋上にはバットマンにゴッサムの危機を知らせる投光器“バットシグナル”が設置されました。ゴードンはバットシグナルでバットマンを呼び出し、未だ逮捕されていないナローズ島の犯罪者たちの検挙への協力を求めると共に、ゴッサムに“ジョーカー”と名乗る凶悪犯罪者が現れたことを告げました。
バットマンは早速ジョーカーを調べるべく、夜のゴッサムに飛び立っていきました。
(次作『ダークナイト』に続く)
以上、映画「バットマン ビギンズ」のあらすじと結末でした。
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