バットマン リターンズの紹介:1992年アメリカ映画。DCコミックスの人気ヒーロー『バットマン』の実写映画シリーズ作であり、前作『バットマン』(1989年)を起点とする四部作の第2作です。前作の監督:ティム・バートンと主演:マイケル・キートンが続投し、社会から虐げられた二人の哀しき怪人ペンギンとキャットウーマンの顛末をバットマンの視点から描いていきます。
監督:ティム・バートン 出演者:マイケル・キートン(ブルース・ウェイン/バットマン)、ミシェル・ファイファー(セリーナ・カイル/キャットウーマン)、ダニー・デヴィート(オズワルド・コブルポット/ペンギン)、クリストファー・ウォーケン(マックス・シュレック)、マイケル・ガフ(アルフレッド・ペニーワース)、パット・ヒングル(ジェームズ・ゴードン警視総監)、マイケル・マーフィー(ゴッサムシティ市長/メイヤー)、アンドリュー・ブリニアースキー(チャールズ ・“チップ”・シュレック)、ヴィンセント・スキャヴェリ(手回しオルガン師)、クリスティ・コナウェイ(氷の女王)、ジャン・フックス(ジェン)、ブランスコム・リッチモンド(ピエロ)、ポール・ルーベンス(タッカー・コブルポット卿)、ダイアン・サリンジャー(コブルポット夫人)、ショーン・ウェーレン(新聞の売り子)、スチュアート・ランカスター(ペンギンの博士)、フェリックス・シラ(皇帝ペンギン)ほか
映画「バットマン リターンズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バットマン リターンズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
バットマン リターンズの予告編 動画
映画「バットマン リターンズ」解説
この解説記事には映画「バットマン リターンズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バットマン リターンズのネタバレあらすじ:起
雪の降る夜、大富豪のタッカー・コブルポット卿(ポール・ルーベンス)と妻(ダイアン・サリンジャー)との間に男の赤ん坊が誕生しました。しかし、コブルポット夫妻は産まれたばかりの赤ん坊を小さな檻の中に閉じ込め、乳母車に乗せて夜の橋の上から川に投げ捨ててしまいました。乳母車は川を下って下水道を通り、そしてペンギンの生息する奥地へと流れ着きました―――。
―――33年後の現代。犯罪と暴力の絶えない大都会ゴッサム・シティにもクリスマスの季節が訪れました。街ではクリスマスツリーの点灯式が華やかに開かれるなか、街には下水道に住むという半分人間・半分ペンギンの“ペンギン怪人”の噂が広まっていました。
とあるビルの最上階の会議室では、街の実力者である実業家マックス・シュレック(クリストファー・ウォーケン)がゴッサム市長(マイケル・マーフィー)らを招いて会議を開いていました。マックスは人口の増加に伴って将来電力が不足すると予測しており、ゴッサム・シティに原子力発電所を建設する認可を求めました。
マックスの秘書でお茶汲み係のセリーナ・カイル(ミシェル・ファイファー)は緊張しながらつい口を挟んでしまい、会議出席者たちに失笑を買ってしまいました。そこにマックスの息子チップ(アンドリュー・ブリニアースキー)が現れ、クリスマスイベントへの参加を促しました。
マックスは市長の紹介で壇上に上がり、市民たちを前にゴッサムには愛と平和が必要だと説きました。その時、会場に巨大なプレゼント箱が運び込まれ、中からバイクに乗った覆面男、髑髏のマスクを被った男、巨漢のタフな男、火吹き男、マシンガンを持った男ら“サーカスギャング団”が現れて市民たちを襲い始めました。
会場は大混乱に陥り、現場に駆け付けたゴッサム市警のジェームズ・ゴードン警視総監(パット・ヒングル)は無線で“バットシグナル”を送るよう要請しました。
昼はゴッサム一の大富豪、夜は悪党を成敗する闇の騎士“バットマン”という二つの顔を持つブルース・ウェイン(マイケル・キートン)。自宅で夜空に浮かび上がったバットシグナルを確認したブルースはバットマンに変身し、愛車“バットモービル”で現場に急行しました。
会場ではサーカスギャング団のひとりがマックスの身柄を引き渡すよう要求していました。チップが団員を引きつけている間にマックスはその場から逃げ去りました。バットマンはバットモービルの各種装備で団員たちを蹴散らし、団員に人質にされたセリーナを救いました。セリーナは倒された団員からスタンガンを奪いました。バットマンはゴードンから、マックスの行方が分からなくなったと聞かされました。
その頃、ひとりで逃げていたマックスは落とし穴に落ち、気がつくと下水道の奥にあるサーカスギャング団のアジトにいました。マックスの前に現れたのは、サーカスギャング団の首領“ペンギン”(ダニー・デヴィート)でした。背が低く丸々と肥え太った体型、その名の通りまさしくペンギンのような風貌のこの男は巷で噂になっていた“ペンギン怪人”そのものでした。
噂が本当だったことに驚くマックスに、ペンギンは「俺とお前は“怪物”と呼ばれている共通点がある。だが、同じ“怪物”でも尊敬されるお前とは違い、俺は嫌われてきた」と語り、マックスが会社ごと汚職に手を染めている証拠を握っていると告げました。
ペンギンは「もう地下の暮らしなどうんざりだ。俺も日の当たる場所へ出たい。俺は“怪人”ではなく“ひとりの人間”として尊敬されたい。俺は出生の真実が知りたいのだ」と語り、マックスの会社が廃液を垂れ流していることや本社ビルが建築基準法に違反していることなどの証拠を突きつけて協力するよう脅しました。マックスは不正揉み消しと引き換えにペンギンと手を組むことにしました。
バットマン リターンズのネタバレあらすじ:承
セリーナはくたくたに疲れ果てて帰宅しました。セリーナは愚痴をこぼしながら、唯一心を許せる存在である1匹の黒猫にミルクを与えました。寝支度を始めたセリーナでしたが、留守番電話のメッセージでやり残した仕事があることを思い出し、慌てて会社に引き返しました。
セリーナは翌日の打ち合わせの下調べのため、会社ビルの高層階にある資料室で書類を漁っていると、ペンギンから解放されたマックスが戻ってきました。セリーナは資料の中から、マックスが原発を隠れ蓑として巨大な蓄電池を持つ電力施設を作り、ゴッサム中の電力を吸い上げたうえで独占しようと目論んでいることを知ってしまいました。マックスは口封じとしてセリーナを高層階から突き落としました。
地面に横たわるセリーナに1匹の黒猫が歩み寄りました。そしてこの一帯に棲む沢山の野良猫たちがセリーナを取り囲み、死んだはずのセリーナは猫の力を得たかのように蘇生しました。帰宅したセリーナは狂ったかのように家中のものを壊しまくり、猫のぬいぐるみを刃物で滅多刺しにし、スプレーで落書きを始めました。
そしてセリーナはミシンと裁縫道具を取り出すと、家にあったエナメルの服を猫のような真っ黒なスーツに改造していきました。セリーナは何だか自分が生まれ変わったかのような気持ちになっていました。
サーカスギャング団の事件を受け、市長は記者会見を開いて必ず事態を収拾すると宣言しました。ところが、突然乱入してきたサーカスギャング団の者がまだ幼い市長の子供をさらい、下水道の中に消えていきました。ペンギンは団員から子供を引き取り、マスコミの前に現れてあたかも自分が子供を救ったかのように振る舞いました。
ペンギンはマスコミを通じ、両親を探していること、自分は一体何者なのか知りたいこと、そしてなぜ両親が自分を棄てたのか知りたいことを訴えました。ブルースは執事のアルフレッド・ペニーワース(マイケル・ガフ)と共に、自宅でそのテレビ中継を見ていました。幼い頃に両親を失っているブルースは、自らの境遇をペンギンに重ね合わせました。
ペンギンの自作自演にまんまと騙されたマスコミは、ペンギンと繋がりを持ったマックスにも取材攻勢をかけました。ペンギンは資料館で両親の戸籍を探し始めました。
ブルースとアルフレッドはペンギンのことを追究すべく、秘密基地“バットケイヴ”のコンピューターで過去にとあるサーカス団が子供たちを誘拐した事件について調べ始めました。その結果、そのサーカス団は警察に摘発される寸前に公演を中止したこと、その際にサーカス団を率いていた奇形の男が行方をくらましたことを知りました。ブルースは更にペンギンの周辺を探ることにしました。
ペンギンは調査の結果、ようやく両親と自分の本名を特定しましたが、両親は既に他界していました。ペンギンは両親の墓参りに向かい、詰めかけたマスコミや野次馬に対して自分の本名は“オズワルド・コブルポット”であること、そして両親を赦すことを表明しました。ペンギンの生い立ちはマスコミに大々的に取り上げられ、ゴッサムの人々はペンギンに同情しました。
夜の路地裏で通行人の女性が強盗に襲われていました。そこに黒いスーツを着たセリーナが現れ、強盗を「弱者しか襲わないマザコン野郎」と罵りました。セリーナは圧倒的な強さで強盗を叩きのめし、助けてくれた礼を言おうとした女性に「隙がありすぎる。バットマンが助けてくれると思った? 私の名は闇の黒猫“キャットウーマン”よ」と告げると去っていきました。
バットマン リターンズのネタバレあらすじ:転
ブルースはペンギンと繋がりのあるマックスに探りを入れるべく、マックスの会社に乗り込みました。マックスは原発を建設するなら未だと主張しましたが、ブルースはゴッサムの電力は供給過剰だとして原発建設に反対の立場を表明しました。ブルースはマックスが何を企んでいるのかと問い、マックスはブルース同様に原発に反対している市長を批判しました。双方の議論は真っ向から対立し、ヒートアップしていきました。
そこにセリーナが現れ、彼女が死んだものと思っていたマックスは驚きを隠せませんでした。ブルースはクリスマスイベントの日にバットマンとして助けたセリーナのことを覚えていましたが、セリーナは一切の記憶を失っていると語りました。内気で口下手だったはずのセリーナはいつしか饒舌を飛ばす奔放な性格へと変貌していました。マックスはセリーナにブルースを送るよう命じました。
その際、セリーナはブルースに「マックスと取引する人には見えないわね」と言い、ブルースも「君こそマックスに仕えるタイプには見えないな」と返しました。マックスはセリーナが何かを企んでいると感じました。
マックスはペンギンの新たなアジトを訪れ、「君にはカリスマ性がある」とペンギンを言葉巧みに口説いてゴッサムの新たな市長に擁立することにしました。市長選は先月行われたばかりでしたが、マックスは市長の信用を失墜させたうえでリコールする策略を企てていました。
すっかりその気になったペンギンは団員たちに街を襲撃させ、暴動をけしかけようとしましたが、駆け付けたバットマンに阻止されました。同じ頃、キャットウーマンはマックスが経営するデパートに侵入し、警備員たちを叩きのめすと爆弾を仕掛けていきました。
ペンギンはバットマンの前に現れ、「この俺に勝てると思っているのか」と挑発しました。そこにキャットウーマンが現れ、次の瞬間デパートは大爆発を起こしました。キャットウーマンはそのまま姿を消し、ペンギンは「彼女は俺がもらう」と告げて引き上げていきました。
バットマンはキャットウーマンに追いつき、ほぼ互角の格闘戦を展開しました。バットマンは腹に怪我を負いながらも、二人は闘いを通じて互いに意識し合うようになっていました。
翌日。すっかり時代の寵児となったペンギンは詰めかけたマスコミを前に、ゴッサムが暴動寸前に陥ったのは市長の責任だと非難しました。演説を終えたペンギンの前にキャットウーマンが現れ、共通の敵であるバットマンを悪党に仕立て上げるため手を組もうと持ちかけてきました。ペンギンは快諾し、ある作戦を思いつきました。
ブルースは自宅のテレビで、ペンギンが演説で市長を批判する様を見つめていました。そしてブルースは街に繰り出してセリーナと接触し、セリーナを自宅での夕食に誘いました。その頃、ペンギンはツリー点灯の大役を担う女優の“氷の女王”(クリスティ・コナウェイ)を誘拐していました。
その夜、自宅にセリーナを招いたブルースは「物事には表と裏がある」と語り、かつて交際していた報道カメラマンのヴィッキー(前作『バットマン』に登場)は自分の裏の顔に疲れ果てて去っていったことを明かしました。心に孤独を抱えるブルースは魅惑的なセリーナに心を惹かれていたのです。
セリーナはブルースに情熱的なキスをして迫りましたが、互いに傷を負っていたため、それぞれの正体を知られたくない二人は我に返りました。その時、テレビに臨時ニュースが入り、バットマンが氷の女王を誘拐したと報じられました。ブルースはアルフレッドにセリーナへの対応を任せ、バットマンに変身して街に向かいました。
セリーナはアルフレッドにブルースへの伝言「あなたと出会って私は変わった。あなたといると本当の自分に戻れるの」を託してウェイン邸を後にし、キャットウーマンに変身して街に急ぎました。
街ではクリスマスツリーの再点灯式が開かれ、市長は挨拶でゴッサムの治安を守り抜く決意を表しました。バットマンは氷の女王が拘束されているビルに侵入し、彼女を助けようとしましたが、現れたキャットウーマンに邪魔されたあげく、ペンギンが放った大量のコウモリによって氷の女王はビルの屋上から突き落とされてしまいました。
ペンギンはバットマンに濡れ衣を着せ、突入した警官隊はゴードンの命令を無視してバットマンを銃撃しました。バットマンは下の階に転落し、現れたキャットウーマンはバットマンを誘惑しながら「あなたが助けようとした女性はみんな死ぬのね。バットマンを引退すべきよ」と脅しました。
バットマンはマントに仕込んだグライダーでビルから飛び去り、停めていたバットモービルで一時撤退しようとしましたが、バットモービルはサーカスギャング団によって細工されており、ペンギンの遠隔操作により暴走してしまいました。バットマンはバットモービルを制御できず窮地に陥りましたが、間一髪で制御装置を外して難を逃れ、警察の追跡を振り切って逃走に成功しました。
バットマンを倒し損ねたペンギンでしたが、気を取り直してマックスと共に市長選の演説台に立ちました。ブルースとアルフレッドはバットケイヴからテレビ中継をジャックすると、あらかじめ録音しておいたペンギンがゴッサム市民を侮辱する内容の音声記録を流しました。
これまでペンギンを支持していた市民は手のひらを返したかのようにブーイングを浴びせ、ペンギンは一転してゴッサムの敵へと追いやられました。マックスは「終わりだ」とペンギンを見限り、ペンギンは市民たちに発砲しながらその場から逃げ出しました。
バットマン リターンズの結末
警察に追われる身となったペンギンは下水道のアジトに引き返し、人々は自分を人間としてではなく怪物として見ていることに怒りを爆発させました。そしてペンギンはゴッサムに自分と同じ“長男”として生まれた子供に自分と同じ過酷な運命を味わせてやると息巻き、部下たちに街中の子供たちをさらって下水道に沈めるよう命じました。
バットケイヴでバットモービルを修理しているブルースの元に、マックス主催の仮装パーティーへの招待状が届きました。セリーナも現れると睨んだブルースは会場に潜り込み、セリーナを見かけてダンスを共にしました。しかし、セリーナはマックスを殺すための拳銃を忍ばせており、これ以上マックスのような悪党をのさばらせるわけにはいかないとブルースに告げました。ブルースはセリーナからキスされながらも「時にキスは命取りになる」と忠告しました。
その時、会場の床下から爆発が起こり、中からペンギンが姿を現しました。ペンギンは今頃部下たちが子供をさらいにゴッサム中を駆け回っていることを告げ、マックスの息子チップをさらおうとしました。マックスはペンギンを見捨てたことを詫び、自らチップの身代わりとなって連行されていきました。
ペンギンはマックスを檻の中に閉じ込め、これからさらってきた子供たちをマックスの会社が垂れ流す汚水に沈めてやると宣言しました。その頃、サーカスギャング団はゴッサム中から子供たちをさらっていましたが、現れたバットマンに阻止されました。
作戦の失敗を知ったペンギンは怒り狂い、最後の手段としてミサイルを背負ったペンギン軍団をゴッサム中心部の“ゴッサムプラザ”に向かわせました。バットマンは専用戦闘機“バットウィング”を駆り、ペンギン軍団がゴッサムプラザに集結したところを見計らってバットケイヴのアルフレッドに妨害電波を発射させました。ペンギン軍団は下水道のアジトへと移動を始め、ペンギンは地上に逃げようとしましたがバットマンに捕まり、ペンギン軍団が発射したミサイル攻撃をくらいました。
マックスは混乱に乗じて脱出しようとしましたが、現れたキャットウーマンに襲われました。駆け付けたバットマンはマックスを警察に突き出して法の裁きを受けさせようとしましたが、キャットウーマンは「私とマックスには法は通用しない」と自らの手でマックスを殺そうとしました。既にキャットウーマンの正体がセリーナであることを見破っていたバットマンは自らマスクを取って正体を明かしましたが、セリーナは説得を聞き入れませんでした。
マックスは隠し持っていた拳銃で二人に発砲、セリーナに数発の銃弾を撃ち込みました。セリーナは執念だけで立ち上がると、マックスに隠し持っていたスタンガンを突き立て、マックスを発電装置に押し付けて感電死させました。アジトは大爆発を起こし、セリーナは爆発の中へと消えていきました。
ペンギンは満身創痍になりながらも、バットマンを殺そうと迫りましたが、その場に倒れて息を引き取りました。ペンギンの亡骸は彼が可愛がっていた皇帝ペンギンたちによって下水の奥底へと水葬されました。
クリスマスを迎えたゴッサム・シティ。ブルースはアルフレッドの運転する車で夜の街を走っていました。その時、ブルースはキャットウーマンらしき人影を見つけ、車を停めさせて様子を見ていると、足元に1匹の黒猫が歩み寄ってきました。ブルースは黒猫を抱きかかえたまま車に戻り、家路につくと、夜空にはバットマンに助けを求めるバットシグナルが浮かび上がっていました。そして街のどこかでバットシグナルを見つめるキャットウーマンの姿がありました。
以上、映画「バットマン リターンズ」のあらすじと結末でした。
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